――貴公は光の糸を見たことがあるか。細くて儚い、小さな光だ。だが私にとってそれは希望だった――
☆
「ここか…。成程、
クリスタルディ助祭枢機卿から手渡された依頼書を見る。
『 はぐれ悪魔の討伐依頼。
ある街で人が数名行方不明になっている。
そこで狩人殿がその現場に行ってはぐれ悪魔を討伐して欲しい。』
依頼書を読み終え、一息つく。
「聖剣使いを送り込んでも斃せないはぐれか…。よほど隠密に長けているか、単純にしぶといだけか…。どちらにせよ、私はただ狩るだけよ…」
血の臭いを辿りながら進むと、そこには―首のない死体が転がっていた。ここの町の人の者だろうか?まだ死んで日は浅いようだ…
「死体があるってことは…近いな」
左手の短銃を握りしめ、耳を澄ませながら先へと進んでいく。
奥に進むにつれて、死体も増え血の臭いも濃くなっていく。そして血の臭いとは別の臭い――悪魔の臭いも濃くなっている。
そして――広場に奴はいた。
町の人たちを喰らい続けた結果なのか、とても醜く、そして―酷く臭い。
「……」
短銃に水銀弾を込め、背負っている大剣をすぐにでも抜けるように構えつつ、近づく。
「あぁ…人間はウマいナァ。
奴は真後ろにいる私に気づかず、死体を喰らっていく。
(こいつには、この剣すら振るわなくていい…。素手で十分だ)
特性の聖水を右手に振りかけ、奴に声をかけると同時に右手に力を込める。
「おい」
「なんだぁ…うぼぁっ!?」
奴が振り向いたと同時に力を込めた右手が奴を貫く!
「よう、浄化の時間だ。おとなしく、消えてくれよ?」
「あがっ…キサマはイッタイ…」
「そんなことはいい。町の人たちは全員喰らったのか?」
「ヒヒヒ…あぁソウサ。オイシカッタゾ…特に小さい子供の肉はトクニナ…」
「…あぁそうかい。じゃあ消えろ」
奴から心臓を引き抜き、握りつぶすと、奴は絶命しそのまま散っていった。
「…浄化完了。さて、死体を処理してさっさと帰ろう。装束が血だらけだ」
この姿を一般人に見せるわけにはいかないし、何よりうるさい奴もいるからな。
私はこの町中にある死体をかき集め終わる頃に報告を受けた悪魔祓いたちが来て、町の人々が安らかに眠っていることを祈っている最中に私はこっそりと教会へ戻っていった。
☆
翌日、私は信じられないことを耳にした。
私がはぐれ悪魔討伐に行っている間に、教会で保管していたエクスカリバーの何本かが堕天使側に奪われたらしい。
丁度ストラーダ司祭枢機卿やクリスタルディ助祭枢機卿がいなかったらしく、やすやすと侵入を許してしまったとか。
(聖剣を奪うとは…これは下手をすると戦争に発展しかねん…)
と、考え事をしているとき、ストラーダ司祭枢機卿から話しかけてきた。
「今聖剣使いを二人、堕天使が逃げていったと思われる極東――日本へ行ってもらっているのだけどね」
「っ!? エクスカリバーを奪われた堕天使相手にたった二人でいかせたのですか!?」
「話を最後まで聞きなさい。どうやら、堕天使が逃げた日本のある県にある駒王町…。そこは悪魔が統治してる町で――赤龍帝もおる」
「赤龍帝…!? 二天龍の…ですか?」
「うむ。今世の赤龍帝はなにをするのかわからないと聞く。なので――」
「私にそれを手伝ってこい…と?」
ニッと笑み、頷いた。
「わかりました。したくをしてすぐにでも合流できるようにします」
私はストラーダ司祭と別れ、支度を済ませて、日本へ向かったのだった。