旅立つこと約十数時間。私は何年ぶりかの日本の土を踏みしめていた。…まぁ、実際は土ではなくコンクリートだが。
「さて、確か駒王町だっけか。うーむ…遠いなぁ」
貰った地図とにらめっこしながら駒王町を目指す。歩きだと数日はかかる距離だ。
ここはやはりタクシーでも呼ぶか。お金ならいくらでもあるし、なんとかなるだろ。
私はタクシーを使って駒王町へ向かった。
ちなみにお金は何万か飛んだ。少し痛い出費だった…。
◇
駒王町に着いたので休憩ついでに来たファミレスで、教会の装束を着ている少女が二人とどこかの学校の制服を着た男三名と少女一人。
「(あの教会の装束を着た二人が紫藤イリナとゼノヴィアか。そして――)」
制服を着た一人の男を見る。…あれが赤龍帝か。まだ目覚めてさほど日が経っていないと聞いていたが、既に龍の気配を感じ取れるぐらいには強くなっているらしい。
「(まぁ…現段階では放置してもいいだろう。だが、力に溺れるようならば、ただかるのみ)」
この異形の世界からのはみ出しものを狩るのは私の仕事だ。そう――あの狩人狩りの鴉の狩人のように。
ちらっと紫藤たちをほうを見ると、どうやらもう帰るらしい。
「(赤龍帝たちに気づかれないように後をつけるか…)」
赤龍帝が会計を済ました後に会計を済まし、ゆっくりと後をつけるのだった。
◇
紫藤たちは赤龍帝らと別れた後、人気のない場所へ来ていた。あぁ…これは――
「さっきからつけている人、出てきなさい」
「私らが気づかないと思ったのか?」
「……やっぱり気がついていたか。さすが聖剣使いだ」
ハットと深く被り、マスクで表情を見せないように紫藤たちの目の前に現れる。
「何者だ…。何故私たちをつけていた!」
ゼノヴィアが聖剣エクスカリバーを包んでいた布を取っ払う。それと同時に紫藤のエクスカリバーも変化する。
…丁度いい、彼女らの力も見ておくか。本当に堕天使に通用するかを。
変装用の仕込み杖をしまい、異空間から大刃を引っ張りだし、肩に担ぐ。
「…来い。君らが堕天使に通用するかをな」
「―っ。はああああ!!!」
ゼノヴィアはエクスカリバーを構え、突撃してくる!
「(確か…ゼノヴィアが持っている聖剣は破壊のほうか…。なら、斬りあうのは得策ではないな)」
ゼノヴィアが破壊のエクスカリバーを振り下ろす動作に入ったと同時に、ステップでかわす。
だが、かわした位置には既に紫藤のエクスカリバーの刃が私を襲おうとしていた。
「(こいつは擬態のエクスカリバー…。なら、刃を交えても大丈夫だな)」
紫藤のエクスカリバーを大刃で受け流し、二人から距離を取る。
「くっ…コイツ、速い!」
「あの一瞬で私たちの連携を避けきるなんて!」
「ふむふむ、いい連携だったが私を捉えるまでには至っていないようだな。ならば今度はこっちから行くか」
持っている遺骨を握り、彼女らに一気に近づく。
「な―っ」
「反応が鈍い」
大刃の柄でゼノヴィアの額を軽く叩き、紫藤には短銃をつきつける。
「終わりだな」
「―っ」
「っ!」
彼女らが聖剣を強く握りしめたのを見逃す私ではない。
「おっと、変なことはしないほうがいい。言っておくが、お前らなんてここから一秒もあれば殺せることを忘れるな」
「ちっ」
「はいはい、これでいいんでしょ?」
彼女らは聖剣を下ろし、両手をあげる。
「そうそう。物分りのいい子は好きだ。―で、自己紹介がまだだったな。私の名は――まぁ狩人と呼んでくれて構わない。現在は教会のお世話になっている狩人だ」
「あなたが狩人さんなのね?私は紫藤イリナよ」
「ゼノヴィアだ。お前が助っ人ってわけだな」
「まぁそういうことになるな。よろしく頼む」
大刃を異空間にしまい、仕込み杖を引っ張り出す。剣は街中だとよく目立つからな。
「詳しい経緯なんかは…そうだな、私の家に来ないか?腰を落ち着かせる場所のほうがいいだろう」
「そうだな。そのほうがいいと思う」
「うんうん」
彼女らの同意を得て、私は家に向かっていった。