最近色々と忙しくて書く暇がありませんでしたがやっと戻ってこれました!
お待たせしてしまった方がいたら申し訳ありません。
さて今回もよろしくおねがいします!
提督は今非常に苦しんでいる。何に苦しんでいるかというと。
「提督! お腹がすきました!」
「……………………はあ」
目の前にいる艦娘、赤城が何を言っているのか、理解に苦しんでいる。何故か。
艦娘は通常の人間と同じように食事を摂るのだが、目の前にいる一航戦の赤城は一般的な食事量の10倍、いや15倍くらいは食べるのだ。人体構造をどこかで間違えたのだろう。実際先ほどの昼飯ではかつ丼を12杯くらい食べていたのを見た。それがおよそ1時間ほど前の出来事。
………………どうすれば腹が減るんだ?
「1時間前にかつ丼12杯くらい食ってたのは俺の幻覚か?」
「食べました! で、お腹がすきました!」
「わかった、一旦落ち着こう。はい、深呼吸!」
その言葉で赤城はスーハーと深呼吸し、ちょっとは落ち着い……
「提督! お腹がすきました!」
だめだこの艦娘。絶対人の話をよく聞かないタイプだ。しっかりしてるときは本当にしっかりしているのに飯の話が絡んでくるとこれだから非常に困る。とりあえずこのままでは話が進まないどころか後退し始めそうなので理由を聞いてみよう。少しは進めることができるだろう。
「どうして突然腹が減ったなんて言い出したんだ?」
「お腹がすいたからです」
……少しでも話が進むと思った俺がばかだったようだ。
というか赤城は前はどのくらい食っていたのかその基準を思い出せば多少腹が減ってる原因に思い至れるかもしれない。まあ思い出せないから本人に聞くのだが。
「前はかつ丼どのくらい食ってたっけ?」
「20は余裕でした! 今でもですけど」
今わかった。この娘規格外だ。胃袋の構造が遺伝子レベルで違うのだろう。
さて20は余裕なのに12くらいしか食べられないということは制限がかかったのだろう。食料の供給量が減ったのか。そんなはずはない。多少の上下はあってもそこまで極端に減ったりすることがあれば書類に目を通すときに気づくはずだからだ。では他の可能性は? 例えば他にもあほみたいな胃袋をした艦娘が現れたとか……………………
ん? 艦娘?
「他の艦娘が増えたせいで自分のご飯の取り分が減ったとか……ある?」
「………………………………」
固まった。
しかもコントラストがなくなってモノクロというか、石というかそんな感じで微動だにしなくなっている。
「もしもし~、赤城さん?」
そう言った瞬間ピシィと何かにヒビが入ったような音がして赤城石像モード(命名提督)がその場でまるで砂漠の岩のようにボロッと執務室の床にばらばらに崩れた。そしてそのまま塵になって床に積もる。その塵はどこから来たのかわからない風に乗せられどこかに流れていった。
(幻覚だよな……)
「なに考えてるんですか……」
巻き戻しをするかのように崩れたときと全く同じ手順を踏んで赤城の形に戻った。
赤城が石像モードになってからここまで全て提督の幻覚というか想像である。提督の想像力スゲー。というより赤城が突っ込んだということはつまり提督の想像を赤城が読み取ったということになる。何故わかったんだろう?
「提督は結構わかりやすいところがあるんですよ」
「なるほど……、ってまたぁ!?」
まあとにもかくにもお腹がすいているということはその分力が出ないということだ。赤城はわりと古くからこの鎮守府にいるため、いわゆる主力級の艦娘である。その彼女が力が出ないというのはわが鎮守府としても非常に困った事態なのだ。とりあえず対処するためには聞き込み調査とかをしなくてはいけない。もとより今日の執務はさほど苦労するものではなかったので提督も聞き込み調査に出かけに行くことにする。
「ということでまずはここだな」
「私たちの部屋……ですか?」
最初にやってきたのは一航戦、つまり赤城と加賀の部屋である。赤城が腹が減って動けないというならば加賀もそうなっている可能性が非常に高い。そうなったら戦力の極端な減少は避けられない。……できればなっていてほしくない。
「加賀ー、いるかー?」
………………………………返事が、ない。
「加賀さ~ん?」
…………やはり返事がない。外出中だろうか。
「赤城、普段加賀はこの時間外出してたっけ」
「いえ、そんなことは」
ではなぜ返事がないのだろうか。急用でもできたのか。それとも花摘みか。いや、考えるのはよそう。なんか非常にまずい気がしてくる。
と、そんなくだらないことを考えているとガタッと室内で大きな物音がした。
「なんだ!?」
「まさか加賀さんの身に何か!?」
「そ、そんな……加賀ッ!」
バタンッと大きな音をたてて扉を開ける提督たち。扉先輩が吹っ飛ぶが気にしない。部屋の中にいたのは
「「加賀(さん)!?」」
うつ伏せになって倒れている加賀だった。左手はちゃぶ台の上に乗っかっていて、右手は力なくだらんとぶら下がっている。提督と赤城は加賀へ駆け寄った。
「加賀さん!?」
「赤城……さん」
かすれそうなほどの小さな声で赤城の名を呼ぶ加賀。
「あなたを……置いて行ってしまって……ごめんなさい……」
「そんな……」
赤城は加賀を抱き留め必死に呼びかける。
「しっかりして下さい! だめです、こんなところで……」
「後は……よろしくおねがい……します……」
赤城の手を強く握ったと思った次の瞬間、その腕が地面に……落ちた……
「加賀さぁーーーーん!!」
涙ながらに加賀の声を絶叫する赤城。だがその声にこたえてくれる者はすでにいない。提督と赤城以外にはもう誰もこの鎮守府に残っていないような、ただただ寂しい静寂がそこにあった……。
「で、何この茶番……」
「いや、面白いじゃないですか」
「赤城さん……、いい加減苦しいです」
長い茶番だった。もうすでに部屋に入った時点で茶番ということはわかっていたが幼いころからこういったことは好きだったからノっていたのだが……途中からわけがわからなくなった。
「で、なんで死に真似を?」
「お腹が空いて動きたくありませんでした」
一航戦全滅! 艦隊運用に支障をきたす恐れがあります! もうやだ! この艦隊!
「わかったよ……食堂に行こうか」
「何をしに行くんですか?」
「どうにかして飯の量を増やせないかをな」
「「お供いたします!!」」
「お、おう……」
この鎮守府の食材は間宮さんと伊良湖が管理している。この時間ならまだ二人は食堂にいるはずだ。というわけで食堂にやってきた。
「すいません、間宮さん、伊良湖、いますか~?」
「はい~。あ、提督。それと一航戦のお二人も」
「……あれ、伊良湖は?」
てっきり二人とも出てくるものだと思っていたから驚いた。
「む、私より伊良湖に出てきてほしかったんですか? 提督って何気にひどいですね……」
「え、いや、その……ごめんなさい……」
しまった、今のは完全に提督が悪かった。なぜわざわざ誤解を招くような言い方をするのか自分を呪いたくなってくる。
「ふふ、さすがに意地悪でしたか?」
「……はい?」
えーと、どういうことだろう。
「さっきのは冗談です♪」
「え? よ、よかった……のかな?」
どうやらさっきのはただの冗談だったようだ。正直ホッとしてる。
「ただし!」
おっと、人の話は最後まで聞かないとな。
「他の子にはこんなさっきみたいなこと言っちゃだめですよ? 女の子って傷つきやすいんですから」
「わ、わかりました……」
言われるまでもない……、と言いたいところだが指摘してもらわないとまた繰り返しそうだ。
「提督……?」
「ん? ……ゲッ!」
後ろから声をかけられたから振り返ったらすごい形相の二人がいた。早くしろとでも言いたいような視線である。忘れてはいませんよ? ええ、決して。
「えっと、それでですね間宮さん」
「あ、はい。今日はどういった用件で?」
それで提督は最近艦娘が増えたことによりそれぞれのご飯の取り分が減っていること、一航戦の二人の士気が下がっていることを話した。
「なるほど……、そういえば最近はご飯の減りが多少多めに感じますね」
「なんとかできませんかね?」
「一応艦娘の増加に合わせて食材の搬入量は増やして頂いたんですけど……」
増えた艦娘の食事の量が普通だったら問題なかったのだろうが、なぜかよく食べる艦娘がかなりの割合を占めていたのだろう。
だが、困った。食材の搬入はもう少し先なのだ。
「しばらく我慢して頂くしかありませんね……」
「ということだ、すまん」
「わかりました」
およ、案外あっさり納得してくれた。
「そのかわり出撃回数を減らしてください」
「そうね、一ヶ月に一度くらいならいいわよ」
「うん、そんなこったろうと思ったよ」
(しょうがない、あまり使いたくなかった手だけど……)
その日の夜。
「加賀さん。今日の晩御飯お昼よりも量ありませんか?」
「赤城さん。それは私も感じてたことだわ」
今日の晩御飯は野菜炒めとアジの焼き魚、味噌汁、冷奴というシンプルなおかずだ。だがおかわりの量を特別気にする必要がない。実際昼よりも量は多くなっている。野菜だからか。いやそんなはずはない。なんでだろう。
「それはですね」
「あ、間宮さん」
どうやら間宮さんが解説をしてくれるようだ。
「提督が知り合いの農家さんや漁師さんに頼んできたんですよ」
「え? 提督が」
「ええ、直接自ら頼みに」
あの後提督を見ないと思ったらそんなことをしていたのか。いろんなところで地味に苦労をしているようだ。さすがはわれらが提督。
「はい、こちら提督」
「っていきなり現れないでくださいよ!」
「まあまあ、いいじゃないか!」
「全く……」
「ところで提督」
「ん?」
「……ありがとうございます!」
「……どういたしまして!」
今回もなかなか長いですね……。
前回よりも間が非常に開いてしまって本当に申し訳ありませんでした。
次回はもう少し早くできるよう気を付けます。
それでは今回もありがとうございました!