女好きボーダー隊員   作:ベリアル

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第3話

「結婚してください」

 

「第一声がそれか!」

 

那須と熊谷に頭を下げた九条は熊谷に殴られて、地面を転がっていた。

 

「ふぐぅ、俺の求婚にそんなに照れなくても」

 

「120%の嫌悪だよ!」

 

「こんな世界……!」

 

床に伏せたまま九条の目から涙が滲む。

 

「くまちゃん、九条くんのは病気みたいなものだから」

 

那須隊にとって九条の告白は会う度にされるので慣れたものなのだ。

 

「恋の病ってやつだね、那須ちゃん。俺も君のことを毎日考えてるよ」

 

「1年365日失恋してるネクラは黙ってなさい」

 

「厄日だ……!」

 

熊谷からの罵声に、無駄のない動きで四つん這いになる。

 

「九条くんも懲りないね」

 

「那須ちゃん、今度デートに行こう」

 

「そうなったら、体調が悪くなる予定入れとくわね」

 

「ここが地獄か……!」

 

那須が笑顔で追い打ちをかけた姿を見て、チームメイトの熊谷は、玲がイキイキしている、と喜んでいた。

 

「君たちが魅力的だからさ。かわいいよ、熊谷ちゃん」

 

「はいありがと嬉しい」

 

熊谷は今でこそあしらっているが、初めて告白された時は顔を赤くして動揺していた。3秒後に横を通り過ぎた女子に告白して、ビンタをくらわせた。次の日も告白されて、懲りない馬鹿だと察した。

 

『ゲート発生ゲート発生 座標誘導誤差0.35』

 

九条のアピールタイムはトリオン兵の妨害によって、終わりを告げる。

 

「九条くんは初めての防衛に「ガールズチームとのトークタイムを邪魔すんじゃねえええ!」ん……むだから……」

 

異空間から現れたモールモッドを長距離からのイーグレットで早撃ちを繰り出し、一射必中を成功させた。

 

その際にスコープは覗く行為はせず、トリオン兵の特徴である目の部分を命中させている。

 

「今のどう!?惚れた!?かっこよかったでしょ!」

 

那須の指示を出そうとした言葉を遮り、九条は私怨10割の先手必勝を撃った。攻撃手の彼がイーグレットを使用したのには、驚かされる那須隊であった。その驚きも九条の発言で冷めてしまう。

 

「馬鹿言ってんじゃないよ。玲、指示」

 

「うん。九条くんはシフトを考えるとこれから組むことも多くなるだろうから、今日は様子見でお願い。ないとは思うけど、危なくなったら援護お願いね」

 

バンダー及びにモールモッドの出現に那須隊が動き出す。4年前に襲来したトリオン兵に慣れた様子で、各々武器を構える。

 

今日は那須隊にもう一人スナイパーを務める日浦茜がいるのだが、家の事情とやらで姿は見えない。

 

「オーケー。温かく見守ってるよ」

 

「あんたが言うとやましさ全開ね」

 

「そんなことはないさ。ね、志岐ちゃん?」

 

『………』

 

「今日も返事なしか。俺は諦めないよ。俺はジェントルマンだからね。無理矢理はポリシーに反する!」

 

彼女は極度に異性が苦手なので、九条の呼び掛けにも応じない。九条自身、無視されるのは辛いところはあるもの、彼はそんなこと気にするような人種ではないのは周知の事実。

 

那須隊のオペレーター志岐小夜子も男性が苦手といってもモニター越しなどならば大丈夫だが、九条にだけはどういうわけか返事を出すことはない。

 

この日の防衛任務は、異変が起こることなく無事終わりを告げた。

 

 

 

「国近さん、付き合ってください」

 

「いやだ~」

 

「そんな……!」

 

「そんなじゃねえよ」

 

4人の高校生は顔を合わせずに、ゲームが映し出された大画面に集中していた。カセットはやや昔の作品だが、今でもかなりの人気を誇る名作中の名作。

 

手足のある球体がマシンに乗って縦横無尽する。

 

太刀川隊の出水と国近に誘われて、九条と米屋はゲームをしにきた。

 

「九条、昨日槍バカとやりあったけど、他にもトリガーの組み合わせあんのか?」

 

「ハイドラ」

 

「ハイドラのトリガーあんの?」

 

「柚宇さん、お静かに。ってあ゛あ!ハイドラ集めやがったな!」

 

「そう言ってるだろ。あ、俺のトリガーはだな」

 

「今言うなよテメエ!」

 

「弾バカ、槍バカとやりあったってシャレのつもり?」

 

「だあってろや!くんなああああああああ!」

 

「きもつぃいい」

 

太刀川隊の部屋から3つの断末魔が聞こえてくるが、外から聞いた人物はいない。当の九条は口の端から涎を垂らし、恍惚そうにアナログスティックを動かしていた。

 

「で、俺のトリガーだっけ?」

 

「あ、ああ。大丈夫か?」

 

九条はハイドラを手にした後、出水と国近のマシンを破壊。それによって新たなマシンを探すはめになる。ここまではハイドラの醍醐味だからよかった。

 

そして、九条は米屋と出水と国近が新たなマシンを見つけて乗ろうとするいいタイミングで、破壊する非道な行いをした。

 

吹き飛んだマシンを眺めるだけに終わってしまう。希望が絶望に代わり、そのセットが終わると半泣きの国近に首を絞められる。自業自得だが、親友の2人は流石に見て見ぬふりはできなかった。

 

「怒った国近さんも可愛いから平気」

 

重傷なのは首を絞められたからだ。そう自分に言い聞かせる出水。

 

今は国近から逃げて、3人でラウンジでジュースを飲んでいた。

 

「んまぁ、はっきり言って特にないんだわ。ぶっちゃけると近接武器も孤月でもいいとかなって感じ。スコーピオンは長さとか調整できていいんだけど、もろいし、変化させるのあんま得意じゃない」

 

出水は銃型トリガーのことを聞いたつもりであったが、スコーピオンでなくてもいい発言には、少し興味が出て耳を傾けた。同時に意外と考えているんだな、と失礼な感想もあった。

 

思い返してみれば、九条がスコーピオンを変形させるのはあまりない。弧月は長さが一定で重量がある。九条はそれを理由に弧月を使用しなかったのだろう。

 

「んじゃ、銃型トリガーの考えあんのか?」

 

米屋はストローから口を離す。昨日一戦交えた彼が1番気になっているのかもしれない。

 

銃型トリガーと一言に言っても、突撃銃型・拳銃型・散弾銃型の3つで構成されている。付け加えるなら弾丸も基本は4種類ある。一つの銃に2つまでセットが可能。

 

当然、悩みに悩むのが普通で、他の隊員も考え込む。自分に合うか、他の隊員と何度も戦って決めていくのが定石。

 

「アステロイドとバイパー。銃はまだ決まってないけど」

 

即答。

 

「結論早くね?質問しといてあれだけど、決まってないと思ってたぞ」

 

「ん?そうでもねえよ。しばらくはソロで動くし。アステロイドは鉄板。では、もう一つの弾丸は? メテオラは威力は高いが、牽制か建築物の破壊が基本。要は仲間との連携が重要だな」

 

人差し指を立てて、出水に丁寧に話す。今度は中指を立てる。

 

「ハウンドはバイパーより手間がかからないけど、俺には必要ない。いちいち頭を無駄に使わなくてもいい利点があるけど」

 

最後に薬指を立てた。これで3本の指が立つ。

 

「んで、消去的にバイパーが残る。お前と那須ちゃんもあんまハウンド使わないだろ? レッドバレットは俺にはまだ早い」

 

出水は基本的な部分は九条に教えたが、ここまでは教えていない。ほとんど独学だろう。

 

「とかなんとか言ったけど、何回もバトんなきゃわかんねえやな。固定したわけでもねえからな。そもそも射撃は仲間との連携が大きいからな」

 

「お前やっぱりうちの隊来いよ」

 

天才出水公平は九条の腕を買っていた。普段は奇抜な行動をしているが、頭は決して悪くはない。パーフェクトオールラウンダーの卵をみすみす逃す手はない。

 

出水も射撃系トリガーを扱う隊員で、連携が図れる仲間がいるのは頼もしい。クロスファイアなどには憧れている。太刀川隊にはもう一人隊員はいるもの、出水は彼を欠片もあてにはしてない。

 

なにより、彼とは気が合う。友人と一緒にいて楽しい。高校生らしい思考で行きついた結論。もっとも他のチームメイトが納得するかは別の話だ。

 

「A級1位ねえ、あんま順位が高いと気ぃ引けるな」

 

「なこといったら一生うちに隊員増えねえよ」

 

「唯我いるじゃん」

 

「あれは戦力に入らねえ」

 

米屋の茶化しに即答。後輩の唯我が耳にしていたら泣いていた。

 

「チームはあんま考えねえようにしてんだよ。今はフリーでいたい」

 

「いつになったら太刀川隊入ってくれんだよ」

 

「太刀川隊入るの前提かよ……。さあ、いつだろうな。女の子に誘惑されても入る気はないさ」

 

「どこいくんだ?」

 

「ナ・ン・パ」

 

席を立つ九条はラウンジから去る。出水は項垂れている。もっとも彼がいくら勧誘したところで、隊長の許可が降りなければ意味がない。

 

鼻歌を歌いながら、ランク戦のブースに足を運んでいた。ここなら女性も見れて、面白いランク戦があれば観戦できるからという浅はかな考えで行こうとした矢先に、先日写真で見た風間隊のオペレーターが書類を抱えるようにして、廊下歩いているのを発見した。

 

(なるほど、恋のキューピットのお告げだな)

 

目の色を変えた九条は駆け寄る。

 

「初めまして、九条辰馬と申します。結婚してください」

 

自己紹介から流れるように告白。

 

「えと、ごめんなさい。相手にするなって言われてるの」

 

困ったように言った三上の言葉は既に対策が取られていたような口ぶりであることに、九条へのダメージが重くなる。

 

「What?」

 

「最近B級に上がった九条くんに告白されたらそう言えって」

 

「Who?」

 

「月見さんから」

 

「No!」

 

床に手を着く。

 

「心が痛い……。一体なにが駄目だと言うんだ……」

 

「ほ、ほら!私九条くんと初対面で、すぐに好きになれるわけじゃないから」

 

彼女が悪いわけでもないのに、罪悪感が三上にのしかかり、九条にフォローを入れる。九条には悪手である。伝える人がいないのだから仕方ない。

 

「本当に!?まだ希望はある!?」

 

「う、う~ん。どうかな?」

 

「頑張ります!」

 

「がんばれ……?」

 

三上は困惑していた。聞いていた話と印象があてはまっているのと、想像出来ないからだ。

 

九条の女好きはボーダー女子の中ではC級時代から有名で、熊谷や月見からよく聞かされていた。しかし、米屋や同じチームの歌川からは、出水と並ぶ天才と断片的に聞かされていた。肝心なところは見てからのお楽しみと言われた。

 

「じゃあ、また今度。三上ちゃん」

 

「うん、またね」

 

よくよく考えれば、セクハラエリートに比べれば彼の行為は軽い方なのかもしれない。そう認識してしまった、三上であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






先の展開は全く考えていません!ヒロインもです!

でも、悪魔の占い師が進まないので、投稿させてもらってます!



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