サタンシティにある、世界の救世主が住まう事務所に多くの人が押し寄せていた。これだけ聞くといつもの如くファンの追っかけやパパラッチなどといった、所謂日常茶飯事だと思われるだろう。だが、今の状況を考えればそれは絶対にありえない事だ。
「ウゥゥゥ」
「アァァァ」
押し寄せる人々は、まるでゾンビの如きうめき声を上げて入り口に殺到している。あと数分もすれば破られ、中に侵入されてしまうだろう。だが、その数分まで立て籠もる必要はもう無くなった。
「よっと」
今や地球上で片手で数える程度しかいない無寄生者の一人。ピンク色の、何処か抜けた出で立ちをしている彼は太古の昔第七宇宙を恐怖に陥れた存在。
「ほっ、ほっ、ほっ」
「ウゥゥゥ」
敵に回すとこれ以上ないくらい厄介だが、味方に付くと此れ程頼りになる存在はいない。
その特異な体質は王の寄生能力さえ無効化させて、卵を体外に吐き出されてしまってる。
「行くぞ、サタン!」
『やっちゃって下さい!ブウさん!』
最強にして不死身の魔人、ミスター・ブウがとうとう動き始めたのだった。
場面は変わりこちらは人が立ち入る事が余りない深山。そこで一人の地球人が修行に励んでいた。
「ハァ!ドリャア!!デェイ!!!」
彼もまた、先程述べた最強で不死身の魔人と同じ様な存在...なのかもしれない。
別に不死身というわけではないし、寄生されてしまえば支配下に陥る普通の地球人ではある...肉体はという言葉が前に付くが。彼は地球人とは思えない程強大な気を有していた。それは彼の出生に関係するのだろう。
「ハァ...ハァ...っ!今の気は一体?誰かが戦っているのか?」
彼もまた、嘗て第七宇宙を破壊と殺戮によって恐怖に陥れた魔人...その生まれ変わりなのだから。
「...様子を見にいこう。もしかしたら僕達の他にも生存者がいるのかもしれない」
家族に一時の別れを告げて、彼も動き始める。そこに居るであろう生存者の救出に向かうために彼は動き出す。
Side ???
恨むんなら、てめえの運命を恨むんだな… このオレのように…
脳裏に思い出すのは弟子に投げ掛けたあの言葉。今でこそ俺は随分と甘くなったが昔は随分と非道いもんだった...だが、あいつに...彼奴らに関わって俺は変わった。
最初は利害の一致で仕方なく戦ってたはずがいつの間にか、掛け替えのない物を守るために戦うそれへと変わっていた。
「ぐっ...ご飯の奴...腕を上げたな。流石は俺の一番弟子だ」
これは俺の責任でもあるかもしれない。究極ドラゴンボールがあるから...この俺が居るから今回の様な事が起きたのかもしれない。
だから俺は起き上がる。たとえ死が近づいて居るのだとわかっていても。それが自分の運命だとわかっていても。
「何処のどいつかは知らないが...地球を...なめるなよ!!」
傷だらけでいながら、その立ち姿はまるで魔王の如き威厳をもち、同時に人の様な穏やかさを兼ね備えた誇り高き魔族そのものだった。
そしてまた、一人の戦士が動き出す。
–同刻–
カプセルコーポレーションの地下深く。一般の人は出入りのできず、真っ暗で明かりもそこまで明るい事はなく、視界が少し悪い空間にて、一人の女性が作業に打ち込んでいた。キーボードを打つスピードは速く、その余りの速さに残像すら見え始める。文字通りのブラインドタッチを行なっている女性は、王の妻...ブルマであった。
彼女はただひたすら目の前の培養液に浸かっている存在の完成の為に作業を続けている。嘗てツフルの科学者が、その怨念を持ってサイヤ人に復讐を果たす為に作り上げた存在の完成の為に...
「失礼します」
そんな立ち入り禁止区域に一人の人物が入って来る。孫悟天、荒野での戦闘を終えて今さっき帰って来たばかりの様である。
「あら、悟天君。ベビー様に報告はしたのかしら?」
「いえ、ベビー様のお姿は見えませんでしたのでとりあえずブルマ様に報告をと」
と、なると彼とは入れ替わりだったのね。そう一人呟きながら彼女は悟天にただ一言、ご苦労様と労いの言葉をかけた。そして悟天は部屋を後にする。
「それにしても、悟天君やけに戻って来るのが遅かったわね...服もそんなに汚れてなかったところを見ると戦いに手間取っていた訳でもなさそうだし」
まぁ、悟天の事だからきっと何処かでナンパなどをして道草を食っていたのだろう。そう、彼女は自己完結するのだった。
イサヤが行方不明となり、動き出した者達。彼らの動きはこれからの運命にどう働きかけるのだろうか?答えは神のみぞ知る...
悟空が帰って来るまであと一ヶ月
To be continued...
–オマケ–
「それにしても...私達はいつまでこんな地下生活を続けるんですか?」
「焦るでない。シュウ。何処の馬の骨ともしれない連中が世界を支配している様だが、これは逆にチャンスだ!」
「チャンス、と言いますと?」
「隙を見てあのベビーとか言う奴を滅多打ちにして世界中の奴らに見せつければ...あっという間に世界が俺たちにひれ伏すって寸法よ!!」
「流石ピラフ様!」
「(...大丈夫かしら、この作戦。不安しかないけど...)」
ふと思った。ベビーの卵での寄生には段階があるんじゃないかと。
第一段階:所謂ゾンビ。主の命令通り動くがうめき声しか発せず、知能も余り高くない。
第二段階:所謂SIRENの屍人。立ち振る舞いや喋り方は人間のそれだが、よーく聞くとおかしな事を喋っていることがわかる。
第三段階:所謂バイオハザードの上位プラーガ。普通に人間並みの知能を持っていて、会話にも違和感がない。気を読み取れない奴にとっては区別が困難。