退場
「せんせーい! こっちこっちー!」
「ん、おぉ早いね十六夜さん。 まだ三十分前だってのに…」
あのデュエルから三日後、約束の休日となり、私は十六夜さんと一緒におでかけするために待ち合わせの広場に行っていた。
休日に異性の生徒と一緒にいるなんて…、って思ったけど別に相手子供じゃねぇか。
別にええがな。
それに自分は自他ともに認めるポンコツ不良教師をやっているんだ、大抵の問題は大丈夫だろ。
それに、彼女と遊ぶ理由は他にもあった。
彼女のコミュ力改善だ。
いじめが改善されても、心の傷はなくなったりしない。
彼女は僕と接するようになってから、放課の時にはほとんど僕と一緒にいる。
さすがにまだ友達を作れないでいるんだ。
そんな彼女に、僕も何か力になればいいと思って、特に拒否もせずによく会ってあげていた。
ただ、そんな時がいつまでも続いてはいけない。
いつかは彼女も友達を作って、最高の学園生活を送らなければいけないんだ。
だから、今回のお遊びで彼女が他人に心を開くきっかけになればいい。
そう思って、彼女の誘いに乗ったのである。
ってな感じで適当に予定を合わせて、休日に遊ぶ約束をした。
やけに十六夜さんが張り切ってたのが気になったなぁ…、ものっそい興奮してたし。
そして当日。
さすがにまだ初等部の女の子を朝っぱらから待たせるわけにはいかない、と思って結構早め行ってたんだけど、まさかもういるとは思わなかったよ。
「だって、今日先生と会うのが嬉しくって…」
すると彼女は顔を赤くして体をもじもじさせていた。
あー、こう見ると本当にかわいらしい子だ。
だが相手は小学生。
早々興奮することはないな、うん。
うん。
「おやおやー、そうでしたか… それじゃあ、さっそく行きますか!」
「! うん!!」
サッと手を差し出すと、やっぱり握ってきてくれた。
よかった、これで嫌な顔されたら先生辞職しちゃうよ。
しかも天使スマイルのオプション付きだ。
そこらのイメクラじゃ絶対感じれない幸せを、今感じていた。
だから興奮しないって。
なんだよイメクラって、そういうもんじゃねーから。
純粋だから。
ってな感じで、いろんなところに行きました。
主に彼女主導で。
最初は洋服屋さん。
なんか新しい服を買いたいから付き合って欲しかったらしい。
別にそれぐらい構わんよ。
一杯選んじゃうよ。
でもまぁ、困った。
正直、彼女は何でも似合うから、何がいいのか分からないでいた。
もう己の好みを叩き付けるという愚策を行った。
人生愚直ダッシュですわ。
これはひいたかなー…って思ったら、あの子は予想外に嬉しそうな顔をして、全部試し着してくれた。
案の定どれも似合っていたから、どれをお勧めしようか迷ってしまっていた。
迷い続けてしまうのもあれだから、とりあえず自分の好きな色の服を推してみた。
すると、彼女はいきなり目の色を変えてその服を手に取り、速攻で買ってきた。
しかも着替えていた。
うーん、マンダム…。
その後軽く昼食をとってから、彼女が見たいといった映画を見た。
この子思っていたよりませてたんだな。
まさか恋愛ファンタジーを小学生と見るとは思わなかったわ。
しかも結構面白いし。
内容は、異能の力を持ってしまった少女を、世界を敵にしても守り続ける騎士のお話だった。
上映中にふと隣を見ると、映画中に十六夜さんが見辛そうに身をよじらせていたからヒョイっと僕の膝の上に乗せてあげた。
「ほら、これで見えるでしょ?」
って言ったら彼女は涙を流して身を震わしていた。
見ると映画はクライマックス。
少女と騎士が愛を誓うところだった。
最後にいいところをしっかり見れてよかったね!
映画を見終わった後、最後に僕たちは観覧車に乗った。
正直、観覧車に乗るのは前の世界も含めて初めてだったから、テンションが半端じゃなかった。
下の景色が景色がすっごく綺麗で、思わずうっとりとしてしまう。
ところで想像してほしい。
大の大人が、しかも30こえたおっさんが、初めての観覧車に乗って下の景色をうっとりと見る姿を。
どうだい、気持ち悪いだろ?
しかも、それをまだ純粋な子供に見せたら、どうなるかな。
うぇぇい…、きっついなぁ…。
ってわけで、名残惜しいが自分の体裁と未来ある子供の健全な成長のために景色を見るのをやめ、十六夜さんを見ることにした。
なんか、目をうるうるさせながら、こっちをよく分からない表情で見てきていた。
とりあえず、この変な空気を打破するためにニッコリを笑ってみた。
そしたらまた抱きつかれた。
かわいかったから僕もギュッとしてあげた。
よし、変なイメージは持たれてないな。
でもなんで抱き着いてきたんだ?
感動したからか、キミも観覧車初めてだったんだね。
仕方ないね。
そして夜がすっかり暮れて、僕は彼女を家に送って行った。
白い軽自動車で。
もはや台無しである。
別にいいか、相手小学生だし。
そもそも、そういうもんじゃねーから。
そうそう、嬉しいことがありました。
十六夜さんがね、別れ際にね、
「先生、私もう泣いたりしないから。 頑張ってみる。 だから…、その………、見てて…くれる…?」
って言ってきてくれたんだよ。
もう涙が止まらなかったね。
いじめに苦しんでいた彼女が、遂に自分の足で友達作りを始める決意をしたんだ。
もうたまらんね、抱き着いちゃったよ、ご自宅の前で。
そしたらあの子もまた抱きしめてくれて、また泣いちゃったよ。
それから僕は、満面の笑みを浮かべる彼女と別れて、自宅に戻った。
いやー、今日はいい日だったなー…、教職に就いて初めて先生らしいことしたわ!
そう思って、僕は眠りについた…。
それから数日後、僕はなぜか逮捕された。
罪状は援助交際、及び幼児への性的暴行らしい。
ん?
どういうこと…?
私は、ずっと孤独だった。
何年か前にいきなり手に入れてしまった異能の力。
デュエルをするとダメージが実体化して、相手を傷つけてしまう、忌むべき能力。
その能力のおかげで、私は誰からも相手にされず、一人ぼっちだった。
パパやママも私の能力を怖がって、あんまり話すこともなくなってしまっていた。
家に帰っても簡単な挨拶しかしないで、用事があっても使用人さんに言わなくちゃいけなかった。
その使用人さんも私と話すことが嫌なのか、冷たい雰囲気を出していた。
それからパパに学校に入れさせられた。
寂しかったけど、どうしようもなかった。
それに、学校でなら友達ができるかもしれないと思って、ちょっと嬉しかった。
でも、学校に行ってからも、状況はまるで変らなかった。
能力のせいで誰も私とデュエルをしたがらない。
話しかけても、無視されて、逃げられてしまう。
いつも誰かに見られていた。
ジロジロと、珍しいものでも見るかのような目。
友達なんて、できなかった。
毎日が苦痛でしょうがない。
いっそ消えてしまえたら、そう思うようになった。
そしてあの日、運命の日が訪れた。
月例実技テストの日、私は相手になってくれる先生がおらず、いつものように誰かが「仕方なく」来てくれるのを待っていた。
「うぇ? キミはまだテスト受けてないのかな? よかったら僕が相手するけど、いい?」
突然、誰かに話しかけられた。
驚いて前を見ると、男の人が前にいた。
知らない人、真っ黒な髪、真っ黒な瞳をしたその人は、先生の服を着ていた。
(先生…なのかな…? この人…。 私の事…知らないんだ…)
そう判断した。
でなきゃおかしい。
誰が好き好んで、私みたいな化け物の相手をしたいだろうか。
でも、テストを受けれればどうでもいいと思って、私はその人の誘いに応じた。
結果は、私の圧勝。
この人、本当に先生なのかな。
一杯モンスターを出すけど、上級モンスターを出すこともなく、下級モンスターを出すことしかしないその人は、はっきり言って弱かった。
本当に、よく分からない人だった。
ただ、はっきりしたことはある。
これで、先生は私の事を知っただろう。
この先生も私の事を恐れて、もう私の所には来ないだろう…。
なぜか胸の内がすごく痛くなったけど、無視した。
もうこれっきりの人なんだから…。
でも、それからもあの人は来た。
その度にデュエルしてくれた。
あの人は何度私に負けて傷ついても、私の所に笑ってきてくれた。
おかげで先生は学校では「魔女の付き人」なんてあだ名を言われて、変な目で見られるようになってしまっていた。
嬉しかったけど、これまでだ。
これ以上一緒にいたら、先生まで皆に相手にされなくなっちゃう。
だから、言ったの。
「私といると先生も不幸になるよ」
これで終わりだ。
また、一人ぼっちの再開だ。
そう思うと、自分が嫌になって、寂しくなって、涙が出そうになった。
泣いたらまた先生に迷惑がかかるから堪えた。
でも、先生は
「心配すんな! 先生別に不幸なんてないし、大抵の事は平気だから! 先生キミを絶対守ってあげるから、安心してってね!!」
って言ってくれた。
受け入れてくれたんだ。
魔女と言われる私を。
忌み嫌われる能力を持った、呪われた私を。
一人に、しないでくれるんだ。
気づいたら、私は先生に抱き着いて泣いていた。
嬉しくって、ただただ泣いた。
「先生! あ゛のね゛! わだじ! ずっと一人で! 寂しぐっで…! 助けでほじかっだ…! 抱きしめで欲しがっだんだよ!? 先生! せんせい…!」
先生は、私の言葉を静かに聞きながら抱きしめてくれた。
久しぶりに、誰かとつながった感覚がした。
周りの事なんて気にしないで、ずっと一緒に居たい。
そう思ってしまったの。
それから、私はいつも先生と一緒にいる。
授業が終わったら、職員室の先生の所に。
校庭にいても、教室にいても、体育館にいても、先生の所にいるようになった。
迷惑かなって思ったけど、自分を抑えることができなかった。
ただ、先生と一緒にいたい。
その一心だった。
でも、先生はそんな私に嫌な顔せずにずっと付き合ってくれた。
もう嫌な事なんてない。
周りの視線も気にならない。
魔女なんて言われても気になない。
私は、心の拠り所を手に入れたんだ。
先生さえいれば、それでよかった。
そんな日が続いたある日、妙なことがあった。
頭を撫でてもらいたくって、いつものように先生を探していた時に、先生の机が目に映った。
誰もいない職員室で、それは私にとって宝の山のように見えた。
先生の机…、ちょっといけない気がしたけど、好奇心が勝ってしまって近づいて行った。
あの中には、何かがある。
そんな気がしてしょうがなかった。
先生の机には、いろいろなプリントや教科書が置いてあった。
その教科書はかなり使い込まれているように見えた。
(こんなになるまで使ってるんだ、先生。 それなのに、先生は皆に認められてない…)
そう思うと、急に怒りが込み上げていた。
先生はこんなに頑張っているのに、バカにされている。
それが許せなくなった。
…っと、いけないいけない。
今は怒りを抑えなくちゃ。
それよりも、他に何かないか見たかった。
引き出しの一段目、ペンや消しゴム、基本的な文房具しかなかった。
(うぅー… ちょっと期待はずれかも…)
二段目、何枚かプリントがあって、その上に写真が何枚かあった。
何かの旅行の写真かな?
一枚目には変な髪形の人や金髪の人、茶髪の人たちが写っていた。
これ、どこだろ?エジプトかな…?
(む、誰だろ、この女の人。 先生にくっつきすぎ)
特に、髪の長い女の人が気になった。
だって、先生の腕を組んで抱き着いてたんだから。
二枚目には、学生服の人や先生の服を着た人が写っていた。
(先生の友達…いや、生徒かな?)
他にも色々な写真があったけど、特に気になるものはなかった。
そして三段目。
そこには変な箱があった。
開けてみると、予想外のものがあった。
(先生の…デッキ…!!)
あったのは、先生のデッキだった。
正直、すっごく気になっていた。
なぜ、先生はあんなに弱いんだろうか?
本当に上級モンスターがいないのか…?
もしかして霊的な何かに憑かれているのか?
もはや学園の七不思議にまでなっていた先生の最弱デッキ。
見たくて見たくて、しょうがなくなった。
ドキドキしながらデッキを見ると、唖然とした。
(うわー…、本当に上級モンスターがいない。 これじゃ負けちゃうのも無理ないなぁ…)
そう思って見ていると、急に手が止まった。
自分から止めたんじゃない、勝手に止まったんだ。
同時に頭に警鐘が鳴り響いた。
絶対に見るな。
後悔するぞ。
なぜか、そう聞こえた。
汗が止まらない。
体が震える。
すぐにデッキを戻さなくてはならない、そんな気がしてならなかった。
でも、好奇心が勝ってしまった。
先生を知りたい。
その一心で、手を動かしてしまった。
その先には、見たことのないカードが三枚あった。
先生が使ったことのないカード。
私も、勉強をしていないわけじゃない。
むしろ、テストはクラスでも上位だ。
でも、知らない。
(なに…これ… 緑色の人に… 変な形の竜に… まる…?)
特に、白色の背景に黒い丸が描かれているだけのカードが気になった。
それは、ただただ真っ黒で、全てを飲み込むような…、底のない何かを感じた。
思わずその絵を触れてしまったその瞬間、頭の中に何かが流れ込んできた。
痛い、苦しい。
途方もない量の何かは、私の体を駆け巡り、暴れ出す。
そして、頭の中に勝手に言葉が浮かび、鮮明になっていった。
その言葉は…
「あ…ばたー…」
そう呟くと、私はその場に倒れてしまった。
目を閉じる最後、目の前に真っ黒な何かが近づいてくるのを、私のブラックローズドラゴンが遮っている光景を見た気がした。
目が覚めると保健室にいて、隣に先生がいた。
あれはなんだったんだろう。
先生に聞きたかったが、聞けなかった。
聞いちゃいけない気がした。
先生がどこか遠くに行ってしまう気がしたの。
それが怖くって、聞けなかった。
その恐怖は、ずっと続いた。
いつか先生は、私を置いてどこかに行ってしまうかもしれない。
そう思うと、夜も眠れなかった。
少しでも先生といたくって、先生のお家にまで行くようになってしまっていた。
それからある日。
私は先生にある約束をした。
「先生、今度のテストで私が勝ったら、お休みの日に一緒にお出かけしてくれない?」
先生は、直ぐに了承してくれた。
そして当日、案の定先生には楽勝した。
あのカード達は、使ってこなかった。
やっぱり、先生はあのカードを隠してる。
あのカードには、なにかあるんだ。
でも、今は気にしていられない。
少しでも、先生を繋ぎ止めないと。
そうして、私は先生とデートする約束をすることができた。
張り切りすぎてしまって、一時間前に約束の場所に来てしまっていた。
(変なところないかな…? お気に入りの服だけど…)
そんなことを思っていたら、先生が来た。
いつもスーツだけど、私服もかっこいいなぁ…、先生。
それから軽く挨拶をして、まずは服屋さんに向かった。
その時に、先生は私に手を差し出してきてくれた。
嬉しくなって、ギュッて握ってしまった。
多分…、私顔真っ赤なんだろうなぁ…うぅー…
服屋さんでは、いろんな服を私に勧めてくれた。
それが嬉しくって持ってきてくれた服はほとんど試着しちゃった。
先生は悩んだ後、私にある服を渡してくれた。
真っ赤できれいな服。
先生は赤色が好きで、私にも似合う、って言ってくれた。
その一言で、私の決心はついた。
その服を即買うと、その場で着てしまった。
私の奇行に変な顔されないかなー…って思ったら、いつもの優しい顔だった。
やっぱり、先生は優しい。
それから、次に映画を見に行った。
最近話題の恋愛ファンタジー。
先生と私の関係と、ほとんど同じな物語。
先生が騎士で、私が姫。
相思相愛じゃないのが不満だけど、それでも先生は私の騎士で、大好きな人だ。
映画を見ていると、騎士が姫と別れてしまうシーンがあった。
その時に、怖くなってしまった。
思い出してしまったんだ、あのカードのこと。
急に先生が遠い存在に思えた。
映画のように、先生は私から離れてしまうのか。
どこかに行ってしまうのか。
そう思うとまた涙が出てきそうになった。
だめ、今泣いたら先生に迷惑がかかる。
でも、止まらない。
あふれ出る不安は私を押しつぶしていく。
自分の進むべき道が、急に暗く閉ざしてしまう感覚に陥った。
どこに進んだらいいか分からない。
前なんて、見えないよ。
体が震える。
嗚咽が止まらない。
そうしていたら、急に体が浮いた。
戸惑っていると、次に後ろから優しい温もりを感じた。
先生だった。
先生は私を膝の上に乗せると、
「ほら、これで見えるでしょ?」
って言ってくれた。
我慢していた涙が、止まらなくなってしまった。
見られないように、顔を下にやる。
もうだめだ、堪えられない。
先生は、前の見えなくなってしまった私に、優しい光を与えてくれた。
一緒にいたい、今まで以上に。
寝る時も、ご飯のときも、お風呂の時も、どんな時も。
とにかく先生と一緒にいたくなった。
この温もりを、ずっと感じたかった。
その後観覧車に乗って、勇気を出して自分の思いを全て言った。
一緒にいてほしい。
辛い時には、ずっと抱きしめていてほしい。
離れないでほしい。
拒否される覚悟はあった。
自分はきっと耐え切れないだろうけど、それでも、自分の事を伝えたかった。
言い切った後に先生を見ると、先生は目を細めて外を見ていた。
考え込んでいるようだ。
それからゆっくりと私の方を見ると、いつもの笑顔を見せてくれた。
受け入れてくれたんだ、私を。
そう思ったら、また泣いてしまった。
抱き着いて、ワンワン泣いた。
そんな私を、先生は優しく撫でてくれた。
あぁ、私、先生の事大好きなんだ。
先生となら、何でもできる。
そう思えたんだ。
お家の門に着いたとき、私は先生に
「先生、私もう泣いたりしないから。 頑張ってみる。 だから…、その………、見てて…くれる…?」
って言った。
自分なりの決意。
先生と一緒に、新しい道を歩む。
その思い。
すると先生は、泣きながら私に抱き着いてきてくれた。
いつも抱き着く側だったから驚いた。
でも、すっごく温かい気持ちになった。
ギュッて抱きしめた。
離さないように、ずっと一緒に、繋ぎとめるように。
そして、ひとしきり泣いた後、先生は笑って帰って行った。
帰ってベッドに入ると、私は一つの決意をした。
先生のあのカード。
結局今日は聞けなかったけど、あのカードには何かある。
先生は、きっとあのカードに困っている。
だから、私が助けてあげる。
本当の意味で一緒になるために。
そう決意をした。
その数日後、最悪の事が起こった。
先生が逮捕されてしまった。
なんで?
どうして?
理由が分からなかった。
だから必死に調べた。
そして分かった、私のせいだ。
先生は、私と遊んでいたことを見つかってしまって、捕まったんだ。
しかも、罪状が盛られている。
私は、先生に襲われてなんていない。
もっと調べてみると、驚愕の事が分かった。
性的暴行の件は、学校側が警察に言ったのだった。
もともと先生は学校の人たちにすごく嫌われていた。
きっと、先生を完全に追い出したくて、罪を大きくしたんだ。
私が必死に彼の無罪を訴えたけど、受理されなかった。
そろそろ中学生になるとしても、私は小学生。
相手にすらしてもらえなかった。
私のせいで、先生は捕まってしまった。
私の、わがままで、先生は…
もう、私はどうすることもできなくなってしまった。
ズキズキと胸が痛み、突然泣いてしまう日が続いた。
また、一人ぼっちの生活に戻ってしまった。
もう全部嫌いになっていた。
パパも、ママも、先生を奪った学校も、全部全部大嫌いになってしまった。
あの温もりは、もう得られない。
そう思うと、もう全てがどうでもよくなった。
勉強もしなくなった、テストも受けなくなった。
でも、授業だけは出るようにしていた。
いつか、先生が戻ってきてくれるんじゃないかと、ありもしないことを願って。
そして、それから数年後にディヴァインって人に出会った。
聞くと、私みたいな能力を持つ人を探していたらしい。
出会ってすぐに、仲間になるように誘われた。
どうでもよかったけど、もう何も考えなくてもいいんだって思って了承した。
先生が悲しそうにこちらを見ている夢を見たけど、所詮夢だ。
先生にはもう会えない。
「は… はは… アハははははははははははははははははははははは!!!」
完全に全てを拒絶して、私は高らかに笑った。
頬を伝う何かに気付かずに…
ご感想、ご指摘がございましたら、よろしくお願いします。