「今日部活ないとかサッカー部羨ましいわー」
「お前ら部活とかウケるわー、え、今日どこ行くよ?」
「まかせるー」
今日も教室の後ろを陣取り、楽しく盛り上がるクラスのお調子者リア充軍団。
つうかさ、なんでリア充は教室の後ろだったり、ドア付近を陣取るの?すごい邪魔なんですけど。あと最近はトイレで盛り上がるおちゃらけ男子どもお前らはなんなんだよ、トイレが近いのか?16、17歳でトイレが近いって……可哀想だな。話は逸れたけど、リア充さん達は盛り上がるのはいいけどもう少し場所を考えて欲しい。
そして、そんなリア充軍団の頂上に立つ。つまりこのクラスのトップに立つのが、
「陽乃はどこがいいー?」
「あ、ごっめーん。今日は帰るね」
雪ノ下陽乃である。
今日も人当たりの良い強化外骨格をつけ、クラスの中心に立つ。
人当たりが良く、いつもニコニコ笑っている。そして、容姿端麗、成績優秀、多芸多才、文武両道、と絵に描いたような完璧な人である。
そ、そんな完璧だからって羨ましいだなんてないんだからねっ!……はぁ。俺もあんな完璧な人間だったらぼっちしてなかったのかな。いや、そんなことないか。俺は俺だな。みんな違ってみんないいんだ。
「えー、陽乃帰るん?」
ドリルみたいな前髪を弄りながらクラスの権力ランキング雪ノ下陽乃に次いで2位の金髪ギャルの三浦さんが聞く。
「ごめんねー、埋め合わせはするからさっ」
「そっかー」
「じゃあ、私はそろそろ帰るねっ」
「また明日」
「うん、また明日ー」
そう別れの挨拶をして雪ノ下陽乃は教室をあとにする。
……俺も帰るか。
つうか、なんであんなに授業中は早く学校終わらないかなーって言ってる奴らは放課後になった途端にこんなに長く話をして、ずっと学校にいるんだろうね?早く終わらないかなーって言うならば授業が終わったらすぐ帰ろうよ。
そんなことを考えながら駐輪所に向かうと。
「遅い」
雪ノ下陽乃は俺の自転車に寄っ掛かりながら不機嫌そうに呟く。
「いや、そんなこと言われてもな。ずっと話していたの陽乃だろ」
「そうかもしれないけど、もう少し早く来てよ」
「いやいや、これでも早く来たぞ」
「なら私と一緒に教室出るとかさ」
「え、いや。トップカーストの陽乃と俺が教室を一緒に出るとあれじゃん?」
「……いつもそう言う。ならもう少し早く来て」
「へいへい」
文句を言われつつ自転車の鍵を外し、自転車に乗る。
陽乃は俺が乗るのを確認すると、スッと後ろの荷台のところに乗り、俺の腰に手をまわし、ギュッと体を押し付けてくる。
大きく膨らんだ女性の部分が押し付けられてくるが、今更特になにも感じない。
「じゃあ、帰るぞ」
そう声をかけると、さっきまで不機嫌だったのに今はそんなことはなく笑顔で。
「レッツゴー」
その掛け声とともに俺は自転車を漕ぎ家に帰る。
ーーーーー
俺と雪ノ下陽乃は幼馴染である。
家が、近所で小さい時に陽乃と陽乃の妹である雪乃は小さい頃に仲良くなり、俺、小町、陽乃、雪乃と、小中高とずっと一緒に過ごしてきた。
そして陽乃は家が近所ということもあって、学校から帰ると自分の家に帰るのではなくそのまま俺の家に遊びに来ることが多々ある。
そして、今日もいつものように俺のベットに横になり漫画を読んでいる。
……今更、陽乃に発情するとかはないんだけど、どうしたもんかねこれ。
気を許してくれているってことなのかね。
陽乃は俺のベットに横になって本を読んでいるのでさっきから少しパンツが見えてしまっている。
いや、パンツはただの布切れだよ?でもさ、やっぱりこう、女の子が装備している布切れって……ほらなんかあれじゃん。いくら幼馴染っていっても高校生になると少し変わってきちゃうでしょ。
「見えてるぞ」
「ん?」
「いや、スカートがめくれて」
「……あ」
一応、陽乃は女の子なので指摘してやると、少し顔を赤く染めながらもスカートを直し、パンツを見えなくする。
しっかりと、スカートを正してから横になるのではなく座り、頬を赤く染めたまま上目遣いで陽乃はおそるおそるといった様子で。
「私の見て興奮した?」
「いや、別に興奮したってわけではないけど」
「こんなに可愛い子のパンツをみたのに興奮しないの?八幡って性欲ある?男として大丈夫なの?」
「自分で可愛いって言うなよ。性欲ある?ってな今更陽乃のパンツを見たくらいじゃ興奮しねぇよ」
「むっ……、パンチラだよ?」
「は?」
「男の人ってパンチラで興奮したりするんじゃないの?」
女の子がパンチラ、パンチラ連呼するんじゃないよ。
……ふむ。確かにパンチラは男のロマン。いや、届きそうで届かない夢のようなものだ。
がっちりと見えてしまうパンモロとは違う
あ、チラッと見えた!見えそう。あぁ、あと少し。今のってパンツか?あれ、見えたんじゃね?あぁ、結構惜しいところだったのに。っていうようなものに興奮する。だからなのだろう。さっきのように少しの間見えてしまっていたパンツはあまり興奮しなかったのは。
……まぁ、あとは幼馴染ってことで罪悪感とかもあったのかな。
「ま、一般的には興奮したりするかもしれないけど、陽乃のパンツは小さい頃散々見てきたからな。あと幼馴染ってのもあるだろうし」
「なら少しこっちにきて」
陽乃は悪戯っ子のような笑顔で俺を手招きする。そして、陽乃の隣に腰掛けると。
「よいしょー」
「ちょっ!」
俺はベッドに押し倒された。
……は?
「なにしてるの?」
「八幡を押し倒した」
「この意味が分からないんだけど」
「八幡、私じゃ興奮しないんでしょ?」
確かにさっき興奮しないとは言ったけど、さすがにこれはね。
そんな俺の状況を知ってしらずか陽乃はさらにニヤニヤしながらあおむけに寝ている俺の上においかぶさってきた。
そして、陽乃は俺の首に手を回しギュッと力を入れて抱きしめる。
「は、陽乃?」
「……どう。少しは興奮した?」
少し前まではニヤニヤしていたのに今聞こえてきた声は少し震えている。
陽乃!?え?は?どうした!?
俺は困惑していると、ギュッと抱きしめたままの陽乃が体勢を変え、俺と陽乃は並んで寝ていると状態になる。それでも陽乃はまだ俺に抱きついたいる状態なの、陽乃の顔が見える。
すると、陽乃にはうっすらと涙が浮かんでいた。
え!?本当にどうした?俺なんかまずいこと言ったか?それとも今のこの状況で涙目になっているのか?
と慌てて聞くと、
「だって、八幡が私じゃ興奮しないって言うから。……私のことを女の子としてみてくれてないのかって思って、私は八幡からしたら魅力がないのかと不安になって……。」
「……それって」
「そんなことを好きな人に言われると不安になるよ」
と、衝撃的なことを口にする。
え?今、好きな人って言ったのか?俺のことが好きなの?
陽乃の言葉によって頭が真っ白になってしまう。
俺が黙っていると、さらに陽乃の抱きしめる力が強くなる。顔がもうあと数センチで付いてしまうような距離。陽乃の吐く熱っぽい息もかかる距離。
俺は、今まで陽乃と過ごしてきた。でも一度も恋仲になろうとしてこなかった。ならなかったけれども俺は陽乃とそんな仲になりたくないわけではない。むしろなりたい。今の関係が壊れてしまうのではないかと思って、想いを伝えなかったのだ。きっと陽乃もそうだったのだろう。でも今日の俺の何気ない一言で陽乃は不安になり今の状況になってしまったのだ。ならば俺もしっかりと答えを出すべきである。
そう思い、俺は。
「俺も陽乃のことが――」
と口にしかけた時。
ドアの方からガタッと物音がしたと思うと、バンッと開き中学の制服姿の雪乃が入って、俺と陽乃を引き離す。
「姉さん!私の八幡になにをしようとしているのかしら?」
ドアの方を見ると、顔を赤くした小町もいる。小町は俺と目があうとあざとくペロッと舌をだし『ゴメン』とアイコンタクトをする。
……あ。こいつら俺と陽乃の様子をみてうかがってたんだ。だから、俺が陽乃に対して告白しかけた時に雪乃が来たのか。
俺はそんなことを思いらそんな小町と雪乃を恨みつつも、俺と陽乃の今の関係を変えないようにしてくれたことに少し感謝しつつ、突然突入してきた雪乃とそれに対して怒っている陽乃をなだめる。
完