一時間目、現代文
「ここで主人公が思った事は?」
知るわけねえ。
二時間目、数学
「この公式には相対性理論が重要だ」
それ殆ど哲学寄りだから出来ません。
三時間目、音楽
「この、おおぞら〜に〜つばさをひろげ〜飛んで〜ゆきたーいようようよう」
宴会風に先生が歌わないでください。
四時間目、体育
「若者よ、真剣に取り組んでるものがあるか? シガマシーンしろ!」
あんたなんで体育教師なんかやってんだよ。
そんなこんなで昼休みになった。
「中田、一緒に飯食おう」
多分、今までつるんでいた仲間は改変されて誰がわからないし、一様知り合いのこいつと飯を食った方が安心だ。
「沙雪ちゃんもどう?」
そう言いながら谷口は沙雪を手招きした。
こいつ、こんな積極的な奴だっけ?
沙雪は少し恥ずかしそうにしながら俺たちのところに近寄ってきた。
俺はとにかく、何でこんなに色々変わっているのかを谷口に問い掛けた。
「そりゃーあれだ。異世界と現実がごちゃ混ぜになるヤツ」
うん、大雑把すぎてわかんない。
第一、ここは異世界じゃない。
その問いかけ以降、沈黙してしまった俺たち三人は、ただひたすら目の前にある弁当を見つめていた。
「ああ、止めてくれよ。僕の大好きなウインナーを返してくれよ」
弁当を食べてる最中に黒板の方で飯を食べている連中が、何やらじゃれ合っていた。
ウインナーを取り上げているヤツの名前は、山村勇気。
こいつ、どっちかって言うと真面目キャラだったような気がするが?
「ホラ、返してやるよ」
そう言いながら山村は箸で掴んだウインナーを箸ごと投げ返してやった。
うあ、流石にそれはヤバいんじゃないか?
傍観者のままでいた時、放送で「チャラリー」という西部劇で流れてきそうな音楽が流れていた。
観てみると、空中でバラバラになった箸とウインナーを空中でキャッチし、箸でウインナーを掴んでいる谷口がいた。
あれ、あいつワンカットで瞬間移動したぞ!?
「おめえ、何もんだ」
「「控えおろう!」」
他クラスから兄弟二人組みが入って来た。
「「このワッペンが目に入らぬか!」」
膝立ちで兄弟が指差す場所には
輝くワッペンに『主人公』という文字が書かれてあった。
手書きだった。
「は、ははー」
山村は地に伏した。
何この時代劇。
いかん、もよおしてしまった。
俺は寸劇をやっているクラスを後にし、トイレへと向かった。
男用と女用のトイレがあった。
あ、今美人さんが俺より速く走って、男用のトイレへと走って行った。
え?
俺は慌てて引き止めた。
「そこ、男用ですよ」
美人さんは振り返り、宝塚の女性のように大人びた印象だった。
まあ、急いでいたから間違う事はたまにはある。俺は優しく間違いを指摘した。
「あ、すまん中田。俺、坂本だけど」
……え?
坂本って女子にモテモテの男子野球部のキャプテンじゃなかったっけ?
あれ、野球部、坂本、男、アタマガイタイ。
俺は仲良く一緒に男子トイレで用を足すことにした。
坂本は何の躊躇もなく股間のブツを出し、小便器に向けた。
うん、もう馴れよう。
そんなことを考えてると、頭の中からお父さんが出てきた。
「何、女だど思ってた人が男で目のやり場に困っている? 中田、それは無理に目を伏せるからだよ。逆に考えるんだ。ガン見しちゃってもいいさ、と」
すまない父さん。男のブツを観ても何もときめかないよ。
なんか男子トイレの鏡でメイクして乙女っぽいけどあのモジャモジャのブツを見てからじゃときめかないよ。
そんな風に昼休みが過ぎていった。