Fate/resurrectio   作:ベシ

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どうも、なんとか出来上がったので更新です。

それと、前話の文言を少し修正しました。




 起源。

 

 その言葉だけを聞いて感じることは人それぞれで、解釈によっては如何様にも捉えられるだろう。だが、魔術世界においてはそれはたった一つの事象だけを指す。

 

 世のあらゆるものが持つ、根源の渦より生じた混沌衝動。存在する限り抗えぬ、本能のようなものだ。カタチあるものは須らく、無意識の内にその衝動に沿った行動を取るという。

 

 殆どの存在は、自らの起源を自覚することはなく、一般的な道をほぼ外れずに一生を終えるだろう。しかし、魔道を往く者や、何等かの因果によって起源を自覚した者はそれに強く引かれるようになる。

 

 例えば、虚無。これを起源に持つものは、死に触れることによってしか生を実感出来ない、まさしく「虚無」的な人間になる。

 

 例えば、無価値。価値あるもの、行為。それらを成すことが困難になる。

 

 そして、私は私の起源を既に知っている。

 

「再生」

 

 それが私の起源だ。

 

 

 ▼▼▼▼

 

 

 結局五分も寝られなかった。あの爆発事故を生き残った一般人枠のマスター候補君、いや、もう正規のマスターとして活動しているのだったか。と顔合わせをしてほしいとのことで、アーキマン上司に起こされてしまったのだ。

 

「安静にしておけと言ったのはドクターでしょうに、あんまり扱いがよくないんじゃないですか?」

 

「うん、そう思ったんだけどね、ほら、スキャンの結果全く問題なしと出たからまぁ大丈夫かなって」

 

「はぁ……、いいです。上司としてのあなたはそういう人でした。普段のゆるふわぶりが嘘みたいに厳しいんですから。それより、さっきから手持ち無沙汰気味のそっちの彼が、例のマスター君ですか?」

 

「ああそうだ、彼は宮多理人君。君が目を覚ますまでの間唯一のマスターとして人理を修復するために尽力してくれていた。君たちが向かう筈だった冬木を含めて、すでに四つの特異点を修正することに成功している。まったく、優秀で助かってるよ。理人君、彼女はレナトゥス・エクストラ。Aチームだったマスター適性者だ。と同時に、医療セクションのスタッフでもある。つまり、僕の部下だね! ……なんだいその顔! まるで僕に部下がいるのがおかしいことみたいじゃないか!」

 

「いやべつにそんなつもりは……」

 

「ミヤタ・リヒト、ね。エクストラ家当主、レナトゥス・エクストラよ」

 

「どうも、エクストラさん。宮田理人です、これからよろしく」

 

「ええ、よろしく。ところで、ドクター。先ほど()()()特異点を修復した。とおっしゃっていましたが、どういうことですか? 観測不可能だった領域は2004年日本の冬木のみであったと記憶していますが」

 

「ああ。それもあわせて情報を共有したいと思ってね」

 

 

 ▼▼▼▼

 

 

「……以上が、ここまでの経緯だ。今は次の特異点を探している所だよ」

 

 胡散臭い印象を受けてはいたが、まさかレフ・ライノールが間者だったとは……。すっかり騙されてしまっていた。胡散臭すぎる奴は意外と裏切らない、とは父さんの言葉だったが、当てにならないものだな。

 

 しかし、耳を疑ってしまった。ギリシャ神話の大英雄と、華奢だとは言っていたが、人一人を抱えて生死を賭けた駆け比べをして勝利してしまうなどと。ミヤタは一般人枠ではなかったのか?強化の魔術なりを使ったのだろうが、それにしたって、だ。

 

「ところで、ずっと聞きたかったんだけど、どうして君の凍結が解けたんだい? こちらが操作しなければ解けないはずで、だからこそ霊子筐体(コフィン)からの解凍反応をみて管制室に飛んでいったんだけど」

 

「ああ、それですか。ドクターは、私の起源を知っていますか?」

 

「いや、聞いていないし、分からないな」

 

「そうでしょうね。元から起源は他言するものではありませんが、私のものはエクストラ家の魔術の秘奥に関わることなので、殊更に秘匿しなければならないものでしたから。……私の起源は、「再生」です。ですから、私に何か異常が起きても、それを塗りつぶすように再生するんです。時間はかかりますが。なので、所長、ああ、マリスビリー前所長の方です、に直にお願いしたんです。私の霊子筐体(コフィン)に、万が一何かがあった時に、再生が完了した事を察知したら自動的に解凍される機能を付けてください、と」

 

「そしてその意見が通ったんだね」

 

「はい」

 

「そうか。君の起源は医療に携わるものとして非常に興味深いけど、今はよそう。何度も言うけれど、君が無事でよかった」

 

「ええ、ありがとうございます。……それで、私の処遇はどうなるのでしょう? 特異点にレイシフトをするか、マスター業務はミヤタに任せてスタッフとしてサポートに回るか、位しか思い付きませんが」

 

「うん、元の役割通り、サーヴァントを召喚して特異点へ行ってもらいたい。君の治療魔術はこれから先とても重要になって来るはずだ。魔術礼装になっているカルデアの制服でも出来ないことはないけれど、あれは文字通り「応急」だからね。それに、リキャスト出来るようになるまで時間がかかる。ほら、戦略ゲームなんかでもアタッカーよりヒーラーの方が重要だったりするだろう? あれと同じだよ」

 

 確かに、少ない工程で自分ではない対象に治療を施すエクストラ家の魔術は多少特異ではあるがそれとこれとはまた別の話だ。そもそも、アーキマン上司がカルデアの指揮をとっているという事は、それに伴う様々な職務がその双肩にかかっていると推測される。その上に更にやる事を増やしてしまうなど。

 

「しかし、ドクター。それではあなたの負担が、」

 

「いいんだよ。そんなの今よりちょっと頑張れば何とかなる事じゃないか。僕よりも実際に現地へ赴く君たちの方がよっぽど大変だ。理人君も、それでいいかい?」

 

「ああ、やっぱり人手があった方が良いと思う。エクストラさん、お願いします。是非、力を貸してください」

 

 そのどうだと言わんばかりの顔はやめてほしい。全くもって納得できないが、こうなったドクターは意外と頑固である事を思い出した。仕方あるまい。苦労をかけてしまう事になるが、その分私の特異分野で何とかしよう。具体的には、疲労がポン!と抜ける回復薬を調合するとか。

 

「……そうですか。分かりました」

 

「よし! それじゃあ早速サーヴァントを、」

 

「あ、あの、レナさん」

 

 そこで、控え目な声がかかった。私をこう呼ぶ者は少ない。というより、一人しかいない。それは、()()実験の被験者の中で唯一の成功例だった少女。

 

「マシュ。私にはまったくそんな感覚はないけれど、久し振り。みたいね。あなたが無事で居てくれてとても嬉しいわ」

 

 これは本心。初めは同情心だった。けれど、無機質だった彼女が少しずつ変わっていくのを間近で見て、私の心境も変化していった。そんな、年の離れた妹みたいな彼女は、何を思っているのか、肩を震わせて、

 

「はい…。はい……っ!レナさん、あなたが目を覚ましてくれて、私も嬉しいですっ」

 

 私も思わずもらい泣きをしてしまった。

 

「あー、うん。積もる話もあるだろうし、次の特異点の特定にも少し時間がかかりそうだし、サーヴァントの召喚はまた今度でいいか! 理人君、ちょっと手伝って欲しい事があるんだ、一緒に食堂まで来てくれるかい」

 

「分かった。ドクターも偶には良いとこあるんだな」

 

「た、偶にはってなんだい!? 僕はこれでも空気を読める男と評判なんだぞ!」

 

「空気を緩める、の間違いじゃないの?」

 

「なにおぅ!?」

 

 ドクターとミヤタの二人はそんなやり取りをしながら医務室を出て行った。気を遣われてしまったか。

 

 

 ▼▼▼▼

 

 

 この後、マシュの主観的な意見を含めて、改めて爆発事故からこれまでの事を聞いた。ミヤタは、マシュにとって良い存在になっているようだ。まったく、可愛くなってしまって。姉としては少し複雑だが、彼女が年相応の感情を得られるようになったのはいいことだ。

 

 しかし、すっかり話し込んでしまった。いつの間にやらアーキマン上司も医務室に戻ってきて、デスクで事務仕事をしている。

 

「レナトゥス君、マシュ、夜も更けてきたことだし、そろそろ休んだらどうだい? 話はまた明日にでも出来るからね」

 

「あ、はい、それもそうですね。すいません、お話するのが楽しくて。それでは、私は自室に戻ります。レナさん、いくら数値に問題がないからって、病み上がりなんですから無理をしないでくださいね」

 

「そんなに心配しなくても大丈夫よ。けど、ありがとう。……ふふっ」

 

「どうしたんですか?」

 

「なんだか昔とは反対になったみたいで少し可笑しくって、ね」

 

「確かにそうですね。あの頃は私が心配をかけてばかりでしたから……。それでは、おやすみなさい」

 

「ええ、おやすみなさい。また明日ね」

 

「はいっ」

 

 そう言って出て行くマシュの足取りはとても軽快だった。その後ろ姿に、あの頃の弱々しさはまったく感じられない。

 

「うーん、マシュと君があんなに仲が良いだなんて思ってもみなかったなぁ。それ以前に、いつ知り合ったのか、とか色々聞いてみたいね?」

 

「私とマシュだけの秘密です」

 

「そっか、まあ君だから心配はしてないけれど」

 

「おや、随分と信頼してくださってるんですね」

 

「そりゃまあ、上司と部下って立場でとはいえ結構長い付き合いになるからねぇ。それに、君の家も君自身も、魔術師とは思えないくらい善良だから。エクストラ(余計なもの)なんて家名、本当に似合わないよ」

 

「私はそうは思いませんけどね。だって、根元を目指す魔術師なのに、人を癒したいだなんて余計なモノを抱えてるんですから」

 

「見解の相違ってやつだね。まぁとにかく今日は休みなさい。明日には君にもサーヴァントを召喚してもらわなきゃならない。いやでも気を張っていかなきゃ駄目なんだ。だから今くらいはゆっくりしてもバチは当たらない。ほら、眠った眠った!」

 

「はぁ、医療セクションのトップに言われてしまっては仕方ありません。大人しく寝ますよ。……ありがとうございます、ドクター」

 

「どういたしまして。ゆっくりおやすみ、レナトゥス君」

 

「ええ、おやすみなさい」

 




レナトゥス・エクストラさん(26)に召喚してもらうサーヴァントは大凡考えてはあるので良いのですが、悩ましいのは主人公君のサーヴァントなんですよね。章クリア報酬のサバ達はともかく、他が難しい。まあ、冬木からオケアノスまでの間に登場したサーヴァントのうちから選ぶことになると思います。

あ、レナトゥスさんは相手によって言葉を使い分ける人なので少し混乱させてしまったかもしれませんがご容赦ください。

レナトゥスさんが26歳の理由?僕がそれくらいが好きだからに決まってるでしょう! 大人の女性って素敵だよネ!スカサハ師匠とかもうドストライクさ!!
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