先輩の話をまとめると、チームの中には、私をそもそも信頼していた者たち、先輩を敬い慕っていた者たち、私たち下の学年の成績が気に食わなかった者たち、今回の件で体調を信頼できなくなった者たちと大きく4つのグループに分けられるようになった。そのおかげで、練習はそれぞれ各グループで行うようになり、全体としての練習や、統率などの面では全く機能しなくなったという。問題は、練習試合を組むときに体調を中心とした一部の上学年しか姿を現さず、試合が行えなかった。そんな状態が続くようでは、大会に参加など夢の話になってしまう。どうしてもそれを阻止したいが、チームを混乱させた張本人が行動しても誰も首を縦には振ってくれないため、私たちに戻ってきてほしいということらしい。
「お願いだ。戻ってきてくれ……」
隊長は涙ながらにそう訴えかけてくる。私がそっぽを向くと、佐藤はすみませんと隊長に頭を下げる。
「僕は、もう退学になってしまったので……。もう、戻ることができません」
「どうして退学なんかに」
私がそう問うと、佐藤は無理に笑顔を作りながら答える。
「君には教えたくはないかな。まあ、君を守りたかっただけだっていうことにしておいてくれないかな」
「なにそれ。気障なこと言ってないではっきり言ってよ」
「予防を張っただけだよ。たぶん、最悪なことになると感じたから」
「しかし、退学したなんて話私は聞いてないぞ? 先生にだって伝わってないと思うが」
隊長がそんな疑問を口にし、先生方に確認を取ろうと言って携帯を取り出した。隊長の携帯を佐藤は乱暴に取り上げ、「それだけはやめてください」と声を絞り出すように言った。
「どうして?」隊長はそう問う。
「そもそも僕がこの学校に入れたのは試験的な意味合いがあったんです。それが、問題を起こしていたと周知されてしまったら、この先、この学校の発展がなくなってしまう。それだけは、どうしても避けたいんです」
「問題を起こした……」いぶかしむ私がそう呟く。
「厳格に言うと問題が起こりかけていた。そういうのが正しいと思うけど」
「私には言いたくないことなんでしょう? 納得はいかないけど、あんたには期待できないことはわかった」
「ありがとう。そういう言い方をしてくれて助かるよ」
「気味悪い」
私がそう言うのを最後に、少しばかり三人の間に静寂が訪れた。それを破ったのは隊長だった。
「高森。どうして君は戻ってきてくれないんだ」
「私には向いてないってわかったからですよ。誰かと協力するなんて。私は、一匹で生活するのが性に合ってる」
「君には人に正しい道を示せる力がある。それを生かさないのは、もったいない」
「そういわれてもね」
「私たち3年はもう引退する時期だ。頼む。2年生にもなっていない君に重圧を課すべきではないと思うが、私の席を、私の後を継いでほしい」
「隊長になれってことですか?」
「ああ。この騒動を引き起こした私は、責任を取って辞める。もう私には無理だ」
私は、はぁ……とため息をつく。面倒なことになった。そう思ったからだ。でも、どこか楽しみにしている自分もいてしまってた。