水が引き、流された冒険者たちがチラホラと立ち上がるのが見えた。どうやら無事のようだ。
「あ、アイツはどうなった?おいヒデオ!気はどうだ?」
辺りを見回し地面に倒れているヒデオを起こし、ベルディアはどうなったかを聞く。
「残念ながらまだ生きてるな。かなり弱ってるが。あっちの方だ」
ヒデオがそう伝えてきたので、言われた方を見ると、ベルディアがヨロヨロと立ち上がろうとしている。やはり水が弱点だったようだ。
「はぁ…。はぁ…。な、何なんだ貴様は…!馬鹿なのか!?馬鹿なんだな!?」
洪水になんとか耐えたベルディアはかなり弱っているようで、今にも事切れそうだ。
「まぁいい…。今ので他の冒険者どもも弱ったようだし、ゆっくりと殺していくか…」
ベルディアは剣を携え、歩を進める。が、そこに俺は立ちはだかる。今度こそコイツからなんか奪ってやる。
「こんだけ弱ってんだ!なんか奪ってやる!」
「貴様のスティールなど効かぬわ!!」
「スティール!!」
俺の手にはずしりとした重さが両手に伝わる。やったか!?と思ったが、それがいけなかったのか周りの冒険者たちは
「「あぁ…」」
と、落胆している。ベルディアの方を見るが、剣を携えたまま動く気配がない。
「あ、あのぅ…」
手の方からベルディアの声がする。見てみると……
俺の手の中にはベルディアの頭があった。
「か、返しては貰えませんかね…?」
ベルディアが焦りながら俺に話しかけてくる。ほほーん。なるほどなるほど…。
ニタァ
今の俺はそんな擬音を出しそうな顔になっているだろう。ベルディアの頭を軽く投げ…
思いっきり蹴飛ばし、そして大声で。
「おーい!みんなー!サッカーしようぜー!!ベルディア、お前ボールな!サッカーってのはな!手を使わずに足だけでボールを扱う遊びだよぉぉ!!」
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カズマの呼び掛けに、冒険者達は戸惑いつつもベルディアの頭を蹴る。蹴る。蹴る。
蹴っているうちに楽しくなってきたのか、かなり盛り上がっている。
「え、っちょ!やめ!あぁぁー!」
ベルディアの悲鳴が響き渡る。
さて、と。俺も参戦しよ。
「アクアー!ヒールかけてくれー!」
俺は近くにいたアクアに回復魔法をかけてもらい動かなくなっていた体を動くようにしてもらう。
「サンキューアクア。よし…。おーいお前らー!俺も混ぜろー!」
俺はそう叫びベルディアの頭の方へ駆け出していく。
「お!ヒデオー!パース!」
カズマが頭をこっちに蹴ってくる。
「よっしゃー!いいもん見せてやらァ!」
「ちょ、やめ、やめて!!」
ベルディアがそう叫ぶが、俺は止まらない。頭を高く蹴り上げ、残り少ない気を放つ。
着弾。爆発。
「へっ!汚ぇ花火だ」
「おぉー!流石だなヒデオ!」
盛り上がる俺達に、蹴り上げられ撃ち落とされたベルディアが怒りの声をあげる。
「こ、この小僧が…!調子に乗りやがって!」
「なぁなぁカズマさんカズマさん。ボールが何か言ってるけど聞こえる?」
「いやぁー?全く聞こえないね!」
そう言い再び冒険者達の方へ蹴り飛ばす。
抵抗できない相手をボコボコにすんのって楽しいなー!
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ベルディアをボールにしてから数分。もういいだろうという事で浄化します。
「さ、アクア。頼んだ」
「任せなさいカズマ!セイクリッド・ターンアンデッド!!」
魔法陣が大きな光を放つ。
今度は効いたようで、ベルディアの身体がスーッと薄くなっていく。
「かなり危なかったが、一件落着って感じだな」
ヒデオがそう言う。いや、マジでほんと間一髪だった…。2度と魔王軍幹部とかと戦いたくねぇ…。
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ベルディア討伐から数日。ダクネスが想像と違うタイプの羞恥攻めを受けたりといろいろあったが、ようやく魔王軍幹部討伐報酬が支払われることとなった。
「いくら貰えんのかなー」
「殆ど私の活躍みたいなもんだし、9:1でいいわよ?」
アクアがアホな事を口走る。するとヒデオが、
「殆どお前の活躍?何を馬鹿なことを。お前がやったのは周りを巻き込んでついでに街の入口付近を破壊しただけじゃねーか。そもそも俺が弱らせてなかったらあんな水当たらなかっただろうぜ」
「途中までどっか行ってた人に言われたくないんですけどー!それに、何なのよあのスキル!アンデッド臭がプンプンするわ!」
「あぁ、アレか。ウィズに教えてもらった」
「はぁぁあ!?あんた何やってんの!?女神の従者としての自覚はないわけ!?」
「誰が従者だ誰が!!」
ヒデオとアクアが言い合っている。関わらずにそっとしておこう…。と去ろうとする。
が。
「ちょっとカズマ!あんたも同じ従者としてなんとか言ってやって!」
こいつ、さり気なく俺のことも従者とか言ってきやがった…。よし。
「日頃グータラして殆ど役に立たないどっかの駄女神の戯言なんか聞かなくていいぞヒデオ」
「あー!!駄女神って言った!駄女神って言った!」
ギャーギャーと泣きわめくアクア。毎度の事だがやかましい。そんなやり取りをしている俺達の方にめぐみんたちもやってくる。
「またカズマはアクアを泣かせているのですか?前にも言いましたが、カズマは自分の口撃力を自覚するべきです」
「な、なんなら私の方を罵ってくれても構わないんだぞ…?」
ダクネスはどうやら鎧を修理に出しているようで、普通の服を着ているが、出るとこ出てて普通にエロい。
「今私のことをエロい体つきしやがってこの雌豚が!って目で見なかったか?」
「見てない」
「そうか…」
俺が即答するとダクネスは肩を落とす。コイツは相変わらずだな。
「まぁ確かにエロいよな」
ヒデオが耳元で囁いてくる。コイツもこういってる事だし、仕方ない事なんだ。いや、むしろエロい体をしてる方が悪い。
そんなやり取りをしていると、受付嬢から呼ばれた。
「冒険者サトウカズマさんとその一行は、受付まで来てください!」
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報酬を貰った翌日。ギルド
「あー。修行しに行こうかなー」
机に突っ伏しながら呟くと、カズマが反応してくる。
「前から思ってたんだが、どこで修行してんだ?」
「身体を限界まで追い込めれば良いから、特に場所は決めてないな。人の迷惑にならないような場所でやってる」
「なるほど。まぁ今日は何かクエスト行くから修行なしだけどな」
カズマがダルそうに言ってくる。
まぁ仕方ない。
「まさか報酬貰えるはずが借金背負うことになるとは…」
「理不尽過ぎるんだよこの世界は!魔王軍の幹部を倒したんだぞ!?街、いや、もっと被害が拡大する可能性もあった!確かに民家を流したのは問題だが、魔王軍による将来的な被害を考えたら安いもんだろ!恩を仇で返しやがって!」
カズマは憤っている。無理もない。俺だってかなり腹が立っている。命を賭けて世界を救う手伝いをしたのに、その結果が借金。誰だってキレるわこんなん。
「あーなんか腹立ってきた!金もないしクエストは選り好みしない!これ行くぞ!」
そう言いカズマは依頼書をテーブルに叩きつけた。
その依頼書には…
『ジャイアントトードが出てきてかなり困ってます。駆除してください』
「お、カエルか。懐かしいな」
「えっ!?カエルですって!?いやぁああ!」
「わ、わが爆裂魔法はカエルごときに使うものではないのです…。なのでカエルは勘弁してください」
俺の言葉に、アクアとめぐみんが嫌そうに抵抗する。そんな2人にカズマが、
「うるせぇ!さっきも言ったが選り好みしてる場合じゃねえんだよ!4千万だぞ4千万!」
「でも、カエルは嫌なの!もう食べられたくないわ!」
「安心しろアクア。代わりに私が…」
ダクネスが何かを言おうとしたが、それをカズマが遮る。
「よく考えろ自称なんとか。俺らのパーティーには少しの間とはいえ魔王軍幹部とタイマンで渡り合ったヒデオが居る。カエルなんて楽勝に決まってんじゃねーか」
カズマがそんなことを言ってくる。い、いやぁ。面と向かって褒められると照れるなぁ。けど流石にこんな程度で堕ちるほどアクアはチョロく…
「なるほど!頭良いわねカズマ!ヒデオ!期待してるわよ!」
否。チョロかった。
「ま、まぁいいけどよ…。けどお前らが勝手な行動して食われても責任は取らんからな」
そんなこんなで、俺達は借金返済のためのカエル討伐に出発した。
もっと読まれるにはどうすれば