この素晴らしい世界に龍玉を!   作:ナリリン

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アンケートってどうやるの


第十九話

前回のあらすじ

 

 

眼福。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

ダンジョンに行って数日後、ギルドにて。

 

 

「俺!復活!」

 

 

長い長い休養の末、ヒデオが完治した。やっと治ったのが嬉しいのか、ババーンとポーズを決めている。

 

 

「おぉ、やっとか」

 

 

「あぁ。今朝アクアから太鼓判を押されたぜ。早速だがなんかクエストいくか?」

 

 

ヒデオが若干興奮しながらそう言ってくるが、あいにくの所今日は用事がある。

 

 

「いや、今日は用事があるんだ。ヒデオも付いてきてくれ」

 

 

アクアが居れば充分だが、念のためだ。

 

 

「別にいいけど、どこ行くんだ?」

 

 

「ま、行ってからのお楽しみって奴で。ダクネスは美味しいクエストが貼られた時のために残っといてくれ」

 

 

「了解だ。放置プレイというわけだな」

 

 

もう何も言うまい。ちなみにめぐみんはどっかに行った。偶にある事だし、そこまで問題ではない。

 

 

「じゃ、行くか」

 

 

宴会芸を披露していたアクアを連れ、ギルドを出る。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

カズマに連れられ、アクアと共に目的地へ向かう。この道は…。なるほど、あそこに行くのか。ならアクアを連れていくのは納得が行く。

 

 

でもなー…。

 

 

「なぁカズマ。本当に今から行く所にアクア連れてって大丈夫なのか?多分暴れるぞ」

 

 

ヒソヒソとカズマの耳元で囁く。

 

 

「だよなぁ…。てかどこ行くかは分かったんだな」

 

 

「あぁ。何回か行ったしな」

 

 

俺達がヒソヒソと話していると、仲間はずれにされてると思ったのかアクアが

 

 

「なになに?二人とも何の話をしてるの?私にも教えて?」

 

 

と、話に入ってくる。そのまま言う訳にはいかないので、誤魔化しつつ伝えた。

 

 

「ふーん…。ま、よっぽどじゃない限り暴れたりしないわよ。あんたらは私を何だと思ってるの?」

 

 

アクアがそう言ってきたので、答えてやる。

 

 

「「自称女神(笑)」」

 

 

カズマも同じ事を思っていたようで、見事にハモる。

 

 

「自称って何よ!ちゃんとした女神よ!ていうかなんでハモるの!?」

 

 

ギャーギャーと喚くアクアを宥めつつ歩いていると、目的地に着いた。

 

 

ここに来るのは何度目になるんだろう。休養の間も何回か手伝いに来てたしな。

 

 

そう。俺達が来たのは、ウィズ魔道具店。リッチーのウィズが経営する店である。

 

 

カズマは念のため、もう一度アクアによく言って聞かせる。

 

 

「いいか?アクア。絶対に暴れるなよ?」

 

 

「わかったわよ。ったく。いったい私を何だと…」

 

 

ぶつくさ言うアクアを放置し、カズマは店のドアを開ける。

 

 

からんころーん。そんな音が店内に鳴り響き、中にいたウィズに俺達の入店を告げる。ウィズはいらっしゃいませと言いながらこちらを向く。

 

 

「いらっしゃいませ!あ、カズマさん!ヒデオさん!ようこ…そ…あぁっ!?」

 

 

ウィズは俺達の後ろにいるアクアを見つけると、少し悲鳴を上げる。

アクアはと言うと、ウィズを見た途端親のカタキを見つけたと言わんばかりの形相でウィズに向かおうとする。

 

 

「ああーー!!出たわねこのクソアンデッド!あんた、お店なんて出してたわけ!?女神である私はまだ家なんて持ってないってのに、あんたはお店の経営者!?リッチーの癖に生意気よ!こんな店、神の名のもとに破壊して…!ちょっと!何すんのよヒデオ!離して!そいつ殺せない!」

 

 

「破壊するとか殺すとか、お前はそれでも女神か」

 

 

俺は物騒な事を言うアクアを羽交い締めにし、ウィズに近付けさせないようにする。あれ?この光景前にも見たな。

 

 

カズマは俺に羽交い締めにされるアクアを見てため息を吐く。が、すぐに気を取り直してウィズに挨拶をした。

 

 

「よ、ウィズ。約束通り来たぞ」

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「ふん。お茶も出ないのかしらこの店は」

 

 

アクアが机を指でカツカツしながらネチネチと陰湿なイビリをする。お前は姑か。

 

 

「ああっ!すみません!今すぐ…!」

 

 

「茶なんて出さなくていいぞ。一体どこに茶を出す魔道具店が…」

 

 

ヒデオの言葉も最後まで聞かずにドタバタと奥へと引っ込んでいくウィズ。よほどアクアが怖くて慌てているのか、ガシャーンパリーンと何かが壊れる音が複数回響く。大丈夫か?

やがて音が収まったかと思うと、お茶のいい香りが漂ってきた。

 

 

「お、お待たせしました…」

 

 

おぼんにお茶を載せおそるおそる店の奥から出てくるウィズ。アクアの分すら要らなかったのにきっちり三人分淹れてくるあたり、人の良さが伺える。良い子。

 

 

椅子にふんぞり返るアクアの前にそ〜っとお茶を置くウィズ。お茶を出されたアクアはふんと鼻を鳴らしお茶を啜る。ヒデオも頂きますと言ってお茶を啜る。

 

 

「うっ…。美味しいんですけど。アンデッドの癖にいい茶葉使って!アンデッドの癖に美味しくて温かいの淹れちゃって!」

 

 

どんだけ難癖付けたがるんだよ。だからお前は姑か。

 

 

「すみませんすみません!」

 

 

アクアの高圧的な態度にペコペコと頭を下げるウィズ。ま、アクアはあとでしばくとして。今日は別の用で来たんだ。本題に入ろう。

 

 

「ウィズ。そんな奴ほっといていいぞ。今日はリッチーのスキルを教えてくれるって言ってた件で来たんだ。スキルポイントに余裕出来たからさ、何か教えてもらいたいんだが…」

 

 

「ぶっ!」

 

 

「うわ!何すんだアクア!きたねぇな!」

 

 

俺の言葉にアクアが口に含んでいたお茶をヒデオにぶっかける。うわぁ。

 

 

「汚いって何よ!女神の口から出た物が汚いなんてある訳がないわ!それよりカズマ!リッチーのスキル?リッチーのスキルですって!?あんたと言いヒデオと言い、女神の従者としての自覚はないの!?この際だからヒデオにも言っとくわ!リッチーのスキルなんてろくでもないものばっかりよ!そんな物覚えるなんて…!いい?リッチーってのは薄暗くてジメジメしたところが好きな、言わばナメクジの親戚みたいな連中なの」

 

 

「ひ、酷いっ!」

 

 

うん。ほんと、酷い言いようだな。どんだけアンデッド嫌いなんだよ…。ウィズ若干泣いてるぞ。

 

 

「まぁ、ナメクジの親戚だろうが何だろうがいいんだけどさ。ほら、リッチーのスキルなんて普通覚えれないだろ?そんな珍しいスキルを覚えたらパーティーの戦力になるんじゃないかと思ってな。いくらヒデオが強いといっても、流石にヒデオ1人だけだと限界があるだろ」

 

 

「むぅ…。女神としては従者がリッチーのスキルを覚えるのは見過ごせないんですけど…」

 

 

俺の言葉に納得がいったのか、しぶしぶ引き下がるアクア。しかし、ウィズの方は何か引っかかる所があったのか首をかしげている。

 

 

「女神としては…?以前のターンアンデッドの件でまさかとは思ってたんですが、ひょっとして本物の女神様だったりするんですか…?」

 

 

ウィズがビクビクしながらアクアに尋ねる。アンデッドの王ともなると流石にわかるのか。俺の方は未だにアクアが女神だと信じたくないんだが。

 

 

そんなことを俺に思われてるともつゆ知らず、アクアは久々に女神扱いされて嬉しいのか自信満々に胸を張る。

 

 

「あ、わかっちゃう?わかっちゃう?私の溢れ出る女神オーラがわからせちゃう?あなたはよそに言い触らしたりしないでしょうから特別に言っておくわ。私はアクア。そう、何を隠そうアクシズ教団が崇める女神、アクアよ!控えなさいリッチー!」

 

 

「ひぃぃぃぃ!」

 

 

自信満々に自己紹介をしたアクアに、かなりビビり俺の後ろに隠れるウィズ。いくら天敵の女神とは言え、流石にビビりすぎじゃないか?

 

 

「ウィズ、いくら女神とはいえ、そこまで怯えなくてもいいんじゃないか?ほらコイツ、言ってる事は完全にヤカラだけど馬鹿だからそこまで怯える必要は…」

 

 

ヒデオも同じ事を思っていたのか、そう言う。

 

 

「い、いえ、確かに女神様は私とは相反する存在です。けどそれよりも、頭のおかしい方が多いアクシズ教団の元締めの女神様と聞いて…」

 

 

「なんですってぇっ!?」

 

 

ウィズの意外な毒吐きにアクアがバン!と机に手を叩きつけ睨む。それを見てウィズは縮こまりまたも謝る。

 

 

「ひ、ひぃ!ご、ごごご、ごめんなさいっ!」

 

 

「は、話が進まねぇ…」

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

猛るアクアをヒデオが拳骨で黙らせ、大人しく座らせる。ヒデオ連れてきて本当に良かった。

アクアはしょんぼりしながら淹れ直したお茶をチビチビと啜っている。余程拳骨が痛かったらしい。

意気消沈しているアクアを若干気にしながら、気を取り直したウィズが、

 

 

「そう言えば、最近知ったのですが、カズマさん達があのベルディアさんを倒されたそうで。あの方は幹部の中でも剣の腕に関してはかなりのものだった筈なのですが、凄いですねぇ。あ、もしかしてヒデオさんがあの時技を教えてくれって急かしてきたのはベルディアさんが原因でした?」

 

 

ウィズが首をかしげヒデオに問う。

 

 

「まぁ、そうだけど…。なんか、ベルディアを知ってるみたいな口ぶりだな。あれか?アンデッド仲間だから繋がりとかあったのか?」

 

 

「ああ、言ってませんでしたっけ。私、魔王軍幹部の1人ですから」

 

 

ウィズが今ニコニコしながらサラッと重要な事を言ったような…。

 

 

………。

 

 

「確保ーっ!!」

 

 

いつの間にか復活していたアクアがウィズに飛びかかった!

 

 

アクアの勢いを支えきれず、ウィズは地面に尻餅をつき倒れ、取り押さえられる。

 

 

「待ってー!アクア様、お願いします!話を聞いてください!」

 

 

ウィズがアクアにのしかかられている。なんかエロい。

アクアはと言うと、いい仕事したとでも言わんばかりに汗を拭い、

 

 

「やったわね二人共!これで借金をチャラにして家まで買えちゃうわよ!」

 

 

嬉々としてそんなことを言う。これが取らぬたぬきの皮算用か。

俺がそんなことを考えていると、ヒデオが椅子から立ち上がりウィズの前にかがみ込み、

 

 

「ったく、事情くらい聞いてやれよ…。えっと、幹部ってどういう事だ?ことと次第によっては、見逃すわけにはいかねーんだが…」

 

 

ヒデオが言うと、ウィズが半泣きで弁明する。

 

 

「ち、違うんです!魔王城の結界の維持のために、魔王さんに頼まれたんです!勿論今まで人に危害を加えた事は無いですし、幹部って言っても、なんちゃって幹部ですから!それに、そもそも賞金もかかってませんから!」

 

 

ウィズの必死の弁明に、俺とヒデオは顔を見合わせ肩をすくめた。

 

 

「…良くわかんないけど、念のために退治しておくわね」

 

 

「待って下さいアクア様ー!」

 

 

アクアに取り押さえられ魔法をかけられそうになり泣きそうな顔で喚くウィズ。取り敢えずヒデオにアクアを引き剥がしてもらい、話を聞く。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

ウィズ曰く、結界の維持のために魔王に幹部になってくれと頼まれたそうだ。人里でのんびり暮らすのは止めないからとも。

それを聞いてもアクアは結界を破るために倒す必要があると主張したが、ウィズの見解ではアクア並のレベルになれば幹部全員を倒さずとも残り2,3人の状態での結界なら破れるとの事だ。ウィズを今すぐ倒しても俺達が魔王を倒せる訳では無いし、取り敢えず倒さないでおこう、そうカズマと決めた。アクアは最後まで抵抗したが。

 

 

「でも、良いのか?幹部って一応はウィズの知り合いの連中なんだろ?ベルディアを倒した俺達に恨みはないのか?」

 

 

カズマがウィズにそう聞く。まぁ、仲良かったら恨んでても仕方ないよな。それにあのオッサン騎士道を真っ直ぐに貫いてたっぽいし良い人っぽかったし仲がいい可能性も…。

俺がそんなことを考えているとウィズが、

 

 

「…ベルディアさんとは特に仲が良かったとかは無いですね。私が歩いていると、よく自分の頭を転がしてきてスカートの中を覗こうとする人でした」

 

 

前言撤回。あのオッサン騎士道捻じ曲がってるわ。

 

 

ウィズが言葉を続ける。

 

 

「あと、幹部の中で私と仲が良かった方は一人しかいませんし、その方は簡単に死ぬような方でもないですから。…それに」

 

 

そう言った後、ウィズは寂しそうに笑いながら

 

 

「私は今でも、心は人間のつもりですしね」

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

ウィズの言葉に若干しんみりとしたり、アクアがウィズをいじめてどっちが女神でリッチーかわからなくなったりしたが、無事カズマは『ドレインタッチ』というスキルを覚える事が出来た。

さて用もすんだしギルドに戻ろう、とウィズに別れの挨拶をしようとした時。

 

 

からんころーんと鳴り響き入口のドアが開く。そして入ってきた中年の男。

 

 

「ごめんください。ウィズさんはいらっしゃいますか?」

 

 

おっさんに名前を呼ばれたウィズは、何の用かと問う。

 

 

「はい。わたしがウィズです。本日はどう言ったご用件で?」

 

 

「あぁ良かった。いらっしゃって。実はーーー」

 

 

略。

 

 

不動産屋らしいおっさん曰く、この街の近くにある屋敷に様々な悪霊が住み着き、祓っても祓っても出てくるとの事で、この街では高名な魔法使いで通ってるウィズの元に相談に来たらしい。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

なんやかんや紆余曲折あり、アクアがウィズの代わりに悪霊退治を受け持つ事になった。不動産屋の人は、退治した報酬として、悪評が消えるまで屋敷に無料で住んでくれてもいいとの事だ。棚ぼた。

 

 

屋敷に着くなり女神パワーとやらで何かを感じ取り語り始めたアクアは放置し、合流したダクネスやめぐみんと共に荷解きと掃除をしえ無事に終え、各自自由行動となった。

やがて夜となり、就寝時間となった。まぁアクアがいるから大丈夫だろうと、特に何の心配もなく皆各々の部屋に行き睡眠をとることにした。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

寝てから数時間経っただろうか。唐突に目が覚める。特にトイレに行こうとも思わないし、このまま寝よう。そう思い瞼を再び閉じる。なんか腹の上に人形あったけどどうでもいいや。

 

 

「ここかぁー!」

 

 

バタン!と勢い良く自室のドアが開く。その音に目を開けると人形と目があったが気にせずドアの方を見る。するとアクアがズカズカとこちらに向かってくる。

 

 

「……!」

 

 

声が出ない。金縛りというやつか。さっきから妙に首とか瞼とか動かしにくいし寝返りもうてないと思ってたら金縛りか。

 

 

「ヒデオ、大丈夫?待っててね。今そこの霊をシバキ倒すから!『ターンアンデッド』!!」

 

 

アクアが人形に向けて光を放つ。すると人形は力を失ったようにフッと倒れる。

体の異常もなくなったようだ。

 

 

「サンキューアクア。じゃ、おやすみ」

 

 

「おやすみなさいヒデオ。私はもうちょっと霊をシバキ倒してくるわね!」

 

 

アクアに礼を言い再び寝る。何だったんだあの人形。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

朝。ヒデオが起きてきた。こいつよく寝れたな。

 

 

「おはようヒデオ。昨日は大丈夫だったか?」

 

 

「ふわぁ…。ん、あぁ。夜起きたら腹の上に人形乗ってたり金縛りにあったけどアクアが来たから問題なかった」

 

 

サラッと結構な事を言うヒデオ。メンタル強いというかなんというか。幽霊とか気にならない人なのか?

 

 

「それより除霊は終わったのか?」

 

 

呑気にそんなことを聞いてくるヒデオ。

 

 

「アクアに聞いてみないとわかんねーな。朝飯の時に聞くか」

 

 

「了解」

 

 

その後もヒデオと談笑しながら屋敷の庭にある小さなお墓を掃除していると、朝飯が出来たようでアクアが声をかけてくる。

 

 

「じゃ、行くか!」

 

 

「んだ」

 

 

そう言いヒデオと共に急ぐ。

早く行かないとアクアに全部食べられる。そんなことを語りながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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