この素晴らしい世界に龍玉を!   作:ナリリン

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今回はヒデオが活躍したはず!


第二十一話

俺は今、平原を舞空術で飛び回りながらあるモノに攻撃し続けている。

 

それは、物という言葉で片付けるには巨大すぎて、そして速すぎた。

 

俺の前にいるそれは、

あらゆる地形をものともせず高速で駆け

生い茂る草木を踏みにじり

近寄った生物を問答無用でを轢き殺す

 

 

 

かつての大国が作り出した人工の悪魔。

 

 

その名は。

 

 

機動要塞デストロイヤー。

 

 

「破壊者」の名を冠するその悪魔は、攻撃をものともせず侵攻を続ける。

操縦者が居るならボコボコにして止めさせようと思い、先程気の感知を使い探ってみたが反応はない。

中にのりこめー^ ^しようにも、徘徊しているゴーレムと外側に備え付けられたバリスタが妨害してくる。

 

 

断じてこの先に進ませてはならない。そう気持ちを奮い立たせる。

 

 

まだ少し距離はあるにしても、この悪魔が到達するであろう場所には最近手に入れた家がある。仲間がいる。仲のいい人達がいる。

 

 

そして何よりーーーーー

 

 

「まだサキュバスのお姉さんにイイ夢を見させてもらってねぇんだ!!てめぇなんかに潰させてたまるかぁあー!!!」

 

 

欲望を全力で叫びながら気弾を乱射していく。緊急の偵察の仕事とはいえ手を抜く気は無い。壊すつもりで攻撃を浴びせる。

 

 

どんな手を使ってでも、絶対にぶっ壊してやる!!俺の夢の為にも!!

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

遡ること1時間。穏やかな朝だった。

朝御飯を食べ終え、優雅にコーヒーを飲んでいると、それは来た。

 

 

『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!機動要塞デストロイヤーが、北西方面から現在この街に向かって接近中!冒険者各員は、装備を整えてギルドへ!街の皆さんは、直ちに避難して下さーい!!』

 

 

突然の警報に驚きコーヒーをこぼしてしまう。熱い。

シャツを脱ぎながら

 

 

「デストロイヤーって、こないだクエストにあったデストロイヤーか?」

 

 

近くに居たアクアに聞く。

 

 

「そうよ!!というか、何呑気に服なんて脱いでんの!今の放送聞いてなかったの!?早く逃げないと!」

 

 

そう叫ぶとアクアはどこかへ行ってしまった。荷造りに部屋にでも戻ったのだろう。

 

 

何となくアクアが出ていった扉の方を見つめていると、めぐみんが荷造りを終えたのか小さな鞄を持って入ってきた。

 

 

「あ、ヒデオ。荷造りは終わったのですか?というか何で上半身裸なんですか?」

 

「コーヒーこぼしてな。荷造りか…。ま、後でやるよ。あ、お茶飲むか?」

 

「頂きます。というか住んでる街が破壊されるかもしれないのに随分落ち着いてますね」

 

不思議そうに俺を見るめぐみんにお茶を淹れてやり、俺もコーヒーを淹れなおす。

 

 

ふぅ…。街が破壊…破壊か…。

 

 

「は?なんて?」

 

 

めぐみんのいってることがわからない。

 

 

「街が破壊される、と。もっと詳しく言えば、機動要塞デストロイヤーがアクセルの街を蹂躙しに来てるんです」

 

「??」

 

「なんでここまで言ってわからないのですか!考えるのをやめないでください!」

 

 

めぐみんが俺の肩を揺らしながら怒り気味に言ってくる。

頭がぐわんぐわん揺れ、思考がはっきりとしてくる。

 

 

街が破壊される。つまり、この家も無くなる。ウィズの店も無くなる。いきつけの店がなくなる。まだ見ぬサキュバスの店がなくなる…だと!?

突如降って湧いた理不尽に怒りが込み上げてくる。

 

 

「こうしちゃいられねぇ!!めぐみん!!今からちょっとその調子乗った機動要塞とやらにヤキいれてくる!カズマとかによろしく言っといてくれ!」

 

「何言ってるんですか!1人でなんて無理に決まってるじゃないですか!あ、ちょ!ヒデオ!」

 

 

俺はめぐみんの制止を振り切り、玄関から舞空術でデストロイヤーの方角へと飛んでいこうと、扉を開ける。

そこには、

 

 

「あれ、ヒデオ。どこ行くんだ?」

 

 

墓を掃除しに行っていたカズマが居た。

荷物をまとめに来たのだろうか。

 

 

「あ、カズマ!いい所に!そこの頭のおかしい馬鹿を止めてください!1人でデストロイヤーを倒しに行くとか言うんですよ!」

 

 

む。心外な。少なくともめぐみんにだけは頭がおかしいとか言われたくない。

ムッとした表情でめぐみんを睨んでいると、カズマがチョップしてきた。

 

 

「おいおい。何考えてんだよ。気持ちはわかるが頭冷やせ。おら、ギルド行くぞ」

 

 

カズマに諭され少し苛立ちを残しつつ、アクア達も連れてギルドへと向かう。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

ギルドにて。

 

 

「皆さんお集まりいただき、ありがとうございます!早速ですが概要を説明いたします!放送でも述べたように、機動要塞デストロイヤーが現在北西方面からこの街に接近中です!皆さんには、デストロイヤーの討伐を依頼します!全員参加でお願いします!レベル制限はありません!」

 

 

冒険者達がある程度集まってきたところで受付嬢が説明する。比較的男が多いのは気のせいだろう。

中には魔剣使いミツルギの姿もあった。

まだこの街にいたんだな。幸いこちらには気付いていないようなので、放置しておこう。

 

 

受付嬢がデストロイヤーについて全く知らない人は居ないかと、冒険者達に問う。すると、俺やカズマを含めチラホラと手を上げる者が居た。

それを見て受付嬢は説明を始める。

 

 

「では、説明いたします。機動要塞デストロイヤーとは……」

 

 

曰く、かつての魔術大国が戦争に用いようと作った兵器が機動要塞デストロイヤー。その研究の主任がデストロイヤーを乗っ取った結果、現在まで破壊の限りを尽くしているそうだ。

 

今までも色んな方法で討伐を試みたが、大穴に落として岩で蓋をしようにも塞ぐ前にジャンプで穴から脱出したり、凄腕のブレイクスペル持ちがよってたかって結界を何とか一部破壊したが、要塞最上部に備え付けられた収束魔導砲で消し飛ばされたりしたそうだ。

 

他にもフックのついたロープで登ろうにも速すぎて無理だったりと、ほぼ無理ゲーである。

 

 

だが、ここで引き下がる訳にはいかない。

とはいえ、どうしたものかと頭を悩ませていると、テイラーがふと

 

 

「なぁカズマ。お前さんは頭が切れる。なにか思いつかないか?」

 

 

と、カズマに問うた。前回パーティーを組んだ時にカズマの機転に助けられたと前に言っていた。

カズマは色々と考える素振りを見せるが、やがて諦めたような顔をして

 

 

「いやこれ無理ゲーだろ。爆裂魔法でぶっ壊すことも考えたけど、結界があるんじゃあな…。それに、結界壊したら魔導砲で消し飛ばされるらしいし…。いや、待てよ?」

 

 

言いながらカズマは何か思いついたようで、テーブルで遊んでいたアクアに声を掛ける。あ、ミツルギがカズマに気付いた。

 

 

「なぁアクア。お前2、3人で維持している魔王城の結界なら破れるってウィズに言われてたな。ならデストロイヤーの結界も…」

 

「んー。出来るかもしれないけど、確約は出来ないわよ?」

 

 

アクアがカズマにそう返す。結界壊せるのか。なら爆裂魔法でぶっ壊すことも出来るかもな。俺の気功波系の攻撃なら結界を素通りできるかもしれないが、威力が足りないだろう。それ以前にも問題がある。

 

 

「なぁカズマ。結界壊して爆裂魔法をぶち込むってのは予想できるんだが、魔導砲はどうすんだ?結界壊したら撃ってくるんだろ?」

 

 

そう、収束魔導砲の存在である。結界を壊した結果街が消し飛ぶとか本末転倒もいいところだ。

 

 

「お前がやるんだよ」

 

 

は?何を言ってるんだこの男は。

 

 

「何言ってんだ?馬鹿か?」

 

「馬鹿はお前だ。かめはめ波使えるってことを忘れたのか?」

 

 

あ。そういう事か。てっきり舞空術使って単身でデストロイヤーに乗り込めとか言われるかと思った。そんな事しようとする奴がいたらアホか馬鹿だな。ん?ブーメラン?知らんな。

 

 

「なるほど。撃ち返せってことか。その後はなんだ?爆裂魔法でぶっ壊すのか?」

 

「そういう事だ。で、お前の言う通り魔道砲が収まったらめぐみんの爆裂魔法で足をぶっ壊す。動きさえ止めればただの要塞。どうとでもなるだろ」

 

 

なるほどね。確かに現状ではそれが最善手だろう。だが、さっき聞いた話から推測するに、足を数本壊した程度では普通に歩けるだろう。

 

 

「だけど、流石にめぐみんの頭のおかしい威力の爆裂魔法でも、足を全部ぶっ壊すのは範囲も威力も足りねぇんじゃねぇか?」

 

「そこなんだよな。うーん。あと1人、爆裂魔法の使い手がいれば…」

 

 

カズマがそう呟く。

爆裂魔法、爆裂魔法ねぇ…。

考えていると、大きな気が近付いてきた。あ、コイツは…。

 

 

「遅くなりました!ウィズ魔道具店店主です!」

 

 

ウィズが来た。確か前に冒険者の資格を持ってるとかなんとか言ってたな。

 

 

「店主さんだ!店主さんが来た!」

 

「貧乏店主さんが来た!」

 

「店主さんが来た!これで勝てる!」

 

 

どうやらウィズはこの街では元高名なアークウィザードで通ってるようで、冒険者(特に男)の士気が高まったように見える。

作戦の概要を説明すると顎に手を当て考える仕草をし、ブツブツと呟き出した。

 

 

「なるほど…。足を壊して射線が変わることと、第二波が来る可能性を考えると、ヒデオさんが撃ち返して魔導砲が収まったと同時に私とめぐみんさんで爆裂魔法を放てば…」

 

 

ふむ、なるほど。てかウィズも爆裂魔法使えるのな。さすがリッチー。

 

てかこれ俺結構重要なヤツ?

 

 

「よし、それで行こう。ただ、もっと正確な情報が欲しいな…。そうだヒデオ。お前今からデストロイヤーんとこ飛んでって色々と調べてきてくれねぇか?」

 

 

単身で突っ込めと。まぁ最初はそのつもりだったが。しかし、状況が状況だ。大人しく従っておく。

 

 

「心得た。なぁカズマ」

 

「なんだ?」

 

 

ただ、これだけは言っておきたい。

 

 

「別に倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

ドヤ顔でそう言い放ち、カズマの返答を聞かずにギルドの玄関からデストロイヤーのいる北西方面へ向けて飛んでいく。

 

 

……これ、フラグじゃね?

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

そして現在。

攻撃し続けているが、巨大な蜘蛛は依然進路を変える気配はない。

 

時折要塞最上部に備え付けた砲台で俺を攻撃しようとしてくるデストロイヤー。

恐らく一定量の干渉を受けると狙いを定めて干渉と同等の威力で放つシステムなのだろう。まぁロックオンされる前に避けてるから当たってはないけど。

砲弾ではなくかめはめ波のようなビームで攻撃してくる。これがさっき言われた魔導砲か。

 

 

『お、俺のかめはめ波とそっくりだ…!』

 

 

初めて見た時は思わずそう呟いた。

 

 

さて、冗談はこれくらいにして。

 

 

今の状況は結構まずい。かなりまずい。

 

 

まずこのデカブツが思ってたよりデカブツだったし、硬かった。速さは俺の方が上だが、今は意味が無い。

 

先程気円斬で足の付け根部分を狙ってみたが、硬すぎて切り込みを入れたところで弾かれてしまった。

 

 

結論。俺一人では仕留めきれない。

 

 

街では今頃カズマ指揮の元、迎え撃つ準備をしているだろう。

 

 

よし、帰るか。

 

 

現状報告と回復をしに街に帰る事にした。

 

敵前逃亡ではない。戦略的撤退だ。いいね?

 

そ、そもそも偵察の仕事だしぃ!?悔しくなんてないもん!

 

 

若干視界を曇らせながら、街へと飛んで帰る。

 

 

……なんかムカついたからカズマに頭突き食らわせよう。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

アクセルの街、正門。

 

 

ヒデオが飛んでいってから急ピッチでバリケードやらを作っているが、気休めにしかならないだろう。他になにか出来ることがあればいいが、報告を待つ以外にすることが無い。

 

暇だなーと思っていると、ふと隣にいためぐみんが話しかけてくる。

 

 

「…ヒデオ、まだ来ませんね」

 

「…そうだな。本当に単独で倒しちゃってるかもな」

 

「だと良いのですが…。デストロイヤーに殺されてたりしませんよね?」

 

 

縁起でもないことを…。しかし、その可能性も充分有り得る。デストロイヤーが最初の情報以外の武装や機能を持ってたりして、ヒデオがやられているかも知れないのだ。

 

そんなことを考えていると、最前線に立っていたダクネスが叫ぶ。

 

 

「カズマ!ヒデオが戻ってきたぞ!!」

 

 

噂をすればなんとやら。ダクネスに言われ前を見ると、真っ直ぐこちらに向かって来る点のようなものが見えた。段々と大きくなってきている。

あ、あれ?速くないか?

 

 

「お、おいヒデオ止まれ!聞こえてんのか!?と、止まれよ!止まってください!とまあっぐぅ!」

 

 

この馬鹿、俺に頭突き食らわしてきやがった。いってぇ…。

 

 

「悪ぃ悪ぃ。なんか止まる気がなかった」

 

「止まる気が無かったって、完全に故意じゃねぇか…。後で覚えとけよ…」

 

 

腹を抑えながらヒデオを睨む。フリーズで首筋をキンキンに冷やしてやりたいところだが、今はそれどころではない。後でやろう。ひとまず腹を抑えながらヒデオに結果を聞く。

 

 

「で、どうだった?デストロイヤーは」

 

「めっちゃでかくて硬かった。気円斬弾かれたし。肝心の魔導砲は干渉量に威力が比例してた気がする。速度は俺の方が速い。あと、中に人が居るか探ったが反応はなかった。恐らくあと5分もすれば見えてくるはずだ」

 

 

倒せていないかと期待したが、やはり無理だったか。

やっぱり魔導砲がネックだな。干渉量に比例するっつーことは、結界破壊レベルの干渉をしたらやばいのが飛んでくるんじゃねぇか?

 

……いよいよ死ぬ覚悟した方が良さそうだな。

 

「つーか疲れた。アクアー!回復魔法かけてくれー」

 

 

ヒデオがアクアの方へと飛んでいく。

ちなみに布陣としては、両端にめぐみんとウィズ、真ん中にアクアとヒデオである。

 

 

……あと5分か。よし。

拡声器を使い、声を張る。

 

 

『あと5分かそこらでデストロイヤーが来る!!全員準備して待機してろ!!仮に作戦が失敗しても当局は一切の責任を負わないのであしからず!!失敗したら全力で逃げてくれ!!健闘を祈る!』

 

 

俺の言葉に辺りが静まり返る。緊張しているのだろう。無理もない。今から国を滅ぼせる相手と対峙するのだから。

 

 

しばしの沈黙。

どれ位時間が経っただろうか。遠くから地鳴りのようなものが聞こえる。

 

音の鳴る方を見ると、ズジーンズシーンとこちらに進んでくる物体が見えた。

何だあれ…デカすぎる。アレが機動要塞デストロイヤーか…!

 

 

「おい、これ無理じゃねぇか…?」

 

 

誰かが言う。奇遇だな。俺もちょうどそう思ってたところだ。

逃げたい…。

しかし逃げるわけにもいかないので、指示を出す。

 

 

「「『クリエイト・アースゴーレム』!!」」

 

 

クリエイターさん達がゴーレムを作り、先頭のダクネスの後ろに付き従うように整列する。これも気休めにしかならないが無いよりはマシだろう。

 

作戦の要のめぐみんとウィズに指示を出そうとするが、めぐみんが聞けるような状態でないことに気付いた。

コイツガチガチに緊張してやがる。対ベルディアの時は自信満々に余裕ぶっこいてたんだがな…。

 

 

「おいめぐみん。大丈夫か?」

 

「わ、わ、わら、わらひは大丈び、わ、わが爆裂魔法でけ、消し飛ばしてくれる」

 

「落ち着け、早い早い」

 

 

うわぁ。呂律も回ってねぇ。ガチガチだぁ…。膝も笑ってるし、うーん…。

とりあえずコイツは後回しにして、ウィズに声を掛ける。

 

 

「ウィズー!魔法唱えて待機しててくれ!」

 

「はい!わかりました!」

 

 

俺の指示により爆裂魔法の詠唱を始めるウィズ。さて、まだガチガチのめぐみんをどうするか。

 

 

「おいロリっ娘!お前の爆裂魔法はあんなのも壊せないほどのへっぽこ魔法なのか?爆裂魔法への愛はどこに行ったんだ?魔王軍幹部に頭がおかしいと言わしめたお前はどこに行ったんだ!ウィズに負けてみろ!俺はお前を一生2番手って呼ぶぞ!」

 

「な、なにおうっ!?我をロリ扱いするより、我が名をコケにするよりも、1番言ってはいけないことを言いましたね!?」

 

 

さっきまで緊張していたのが嘘のように、怒りでわなわなと震え爆裂魔法の詠唱を始めるめぐみん。よし、これで準備は整った。

 

 

「おいヒデオ!アクア!準備は大丈夫か!」

 

「はん!誰にモノを言ってんだ?はぁぁぁぁぁ!」

 

「大丈夫よカズマ!いつでもいけるわ!」

 

 

杖を構えるアクアの隣で気を高め始めるヒデオ。よし、大丈夫そうだな。

 

 

「来たぞー!伏せろー!」

 

「カズマー!来たぞー!」

 

 

冒険者達がそう叫ぶ。デストロイヤーが爆裂魔法の有効射程に入った様だ。

よし!

 

 

「アクア、やれ!」

 

「『セイクリッド・ブレイクスペル』!!!」

 

 

アクアがそう唱える。

頭上に巨大な魔法陣が現れたかと思うと、魔法陣に大量の光の弾が生成される。

手を前にかざし、それをデストロイヤーへ撃ち込む。撃ち込まれたそれは、光の束となってデストロイヤーの結界を貫いた!

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

光の束はデストロイヤーの結界を貫き、そして砕いた。

結界を完全に破壊されたデストロイヤーは電源が落ちたかのように動きを止めた。

 

沈黙が流れる。おかしい。なんで撃ってこない?

 

 

「やっ…たか?」

 

 

誰かがそう呟くのが聞こえる。マズイ。このパターンは…!

 

 

「お、おい。なんか上の方が光ってないか?」

 

「あ、あぁ。砲台か?あれは…」

 

 

そうだ。デストロイヤーの魔導砲は『干渉量に比例して威力が上がる』はず。威力が上がれば上がるほど発射までタイムラグがあってもおかしくない。

デストロイヤーの砲台からキュィィインと甲高い音が響く。エネルギーを溜めているのだろう。

 

 

「全員伏せろ!!バカデケェのが来る!!!不死王拳6倍!!」

 

 

そう叫び、気を限界まで集中させる。

 

 

「か…め…は…め…ッ!!!」

 

 

ドッ!!!!

 

 

デストロイヤーの砲台からそれは発射された。凄まじい速度と質量を持って放たれたそれは、真っ直ぐ俺の方、強いていえばアクアの方へと向かってくる。

 

 

「アクア!下がってろ!!波ァーーーッ!!!」

 

 

ゴゥッ!!!

 

 

アクアを背中に庇うように横にステップし、超かめはめ波を放つ。間違いなく今までで最強のかめはめ波だ。

 

二つの巨大な質量を持った光線は、やがて交わりとんでもない衝撃波と眩い光を生み出した。

 

 

ズンッ!!!!

 

 

両手に衝撃と重さが走る。あ、これヤバイ…!かなりヤバイ…!

なんとか堪えているが、ジリジリと後ろに押されていく。

 

 

「ひ、ヒデオ!?本当に大丈夫なんでしょうね!?なんか段々と後ろに下がってきてる気がするんですけど!」

 

「お、おい大丈夫なんだろうなヒデオ!!お前がやられたら逃げるどころか吹き飛ぶぞ!」

 

 

アクアとカズマが口々に言ってくる。アクアに至っては耳元で叫んできている。うるせぇ!

 

 

「あーもううるせぇな!!分かってるよそんなことは!!」

 

 

叫びながらも手は休めない。しかしそろそろ不死王拳の反動が来る。いくら怪我が治って何故かステータスがかなり上がっていたとはいえ、今は6倍を保つのが限界だ。

 

だが、それがどうした。

限界?上等だ。サイヤ人にとって限界は伸び代だ。飛び越える物だ。ぶっ壊す物だ。

大昔の兵器のくせにいつまでも調子乗ってんじゃねぇ…!

コイツをぶっ倒すにはこれしかない。

覚悟を決め、カズマの方に目をやり呟く。

 

 

「カズマ」

 

「な、なんだ!?」

 

 

また死ぬかもしれない。だが死んだら死んだでその時はその時だ。

 

 

「後は任せる」

 

 

何かを察したのか、カズマは黙って頷く。ウィズが何かを叫んでいるが、聞こえない。

 

 

「不死王拳」

 

 

これが今の俺の最大。最強。最高の一撃。

 

 

「10倍だぁーーー!!!!!」

 

 

ズォアッ!!!!!!

 

 

俺が放った渾身の一撃は、デストロイヤーの放つ光線を飲み込み真っ直ぐに飛んでいった!

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

ヒデオが叫んだと同時に光が急激に強くなり、思わず目を瞑った。やがて光が収まり目を開けると…

 

 

「助かった…のか?」

 

 

先程まで眩い光と衝撃波を放っていた光線は嘘のように消え去っており、デストロイヤーも魔導砲を放つのを止めていた。

 

 

「あっ!第二波が…!」

 

 

第二波を予期しすぐに爆裂魔法を撃たせようと指示を出そうとするが、その心配は杞憂だった。

なぜなら、魔導砲が要塞上部ごと消し飛んでいたからだ。

しかし、流石はデストロイヤー。一部が消し飛んでも動けるようで、ギシギシと音をたててこちらへ進もうとしてくる。だが、わざわざ待ってやる必要も無い。

 

 

「よし。ヒデオのお陰でもう怖いもんなしだ!お二人さん!やっちゃって下さい!」

 

 

めぐみんと、ウィズに指示を出し、2人は爆裂魔法を放つ。

 

 

「「『エクスプロージョン』ッ!!!」」

 

 

同時に放たれたそれは、デストロイヤーの八本の足すべてを爆砕した。途中危ない場面があったが、まぁ丸く収まった感じだな。

 

俺は今回のMVPのヒデオを讃えるべく、ヒデオの方に顔を向ける。が、そこにヒデオの姿は無かった。

 

……は?

 

 

 




感想とか色々とあざーす。


・機動要塞デストロイヤー
転生者が作った機動兵器。なんか色々とやばい。

・収束魔導砲
デストロイヤーと同じ製作者が作った『レールガン』の後継機。相手の干渉に比例して威力が上がる。つよい。

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