この素晴らしい世界に龍玉を!   作:ナリリン

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オリジナル編を作ろうかな


第三十二話

 ウィズ魔道具店にて。

 

 

「胸が大きくなるポーション?」

 

「ええ。女性冒険者に人気だそうで。うちでも入荷しようかと」

 

「ウィズ、お前それ以上胸大きくしてどうすんだ?めぐみんにトドメでもさすのか?」

 

 

 爆乳から暴乳へと極限進化するわけですねわかります。

 

 

「ち、違います!私はもう充分です!これ以上大きくなると服が入らないですし、肩コリも酷くなります!」

 

「ほうほう。で、服が入らないってのを詳しく」

 

 

 色々と詳しく知る必要がある。べ、別に変な意味とかないんだからねっ!

 

 ……よく考えたら変な意味しかなかったわ。

 

 脳内ツンデレを発動していると、見兼ねたバニラが話し掛けてきた。あ、バニルか。

 

 

「小僧。まだまだセクハラするつもりなのは止めんが、話が進まないのではないか?」

 

「それもそうだな。ウィズへのセクハラは今度にするよ」

 

「私としてはしないで欲しいんですけどね…」

 

「それは土台無理であるな。この小僧、この店には殆どセクハラしに来てるようなものだからな」

 

 

 バレてたか。見通す悪魔さん、流石っす。

 

 

「えぇっ!?何か最近セクハラ発言が多いな、とは思ってましたけど…」

 

「俺は女神にもセクハラする男。今更永遠の20歳のリッチーにセクハラするくらい造作もないわ!」

 

 

 流石に年端もいかない女の子にはしませんよ?ホントだよ?

 俺が公開セクハラ宣言をすると、バニルはとんでもないことを言い出した。

 

 

「…小僧、まさかお主あのプリーストに欲情する程飢えてるとは…」

 

「次それを言ったらお前をこの店ごと消し飛ばしてやる」

 

 

 いくら冗談でも言っていい事と悪い事がある。

 

 

「俺が言ってんのはあのグータラ女神の事じゃねぇ。エリス様だよ」

 

「エリス?あのパッド入りとアクシズ教徒に噂されている?」

 

「そんな噂されてんのか…。まぁそのパッド女神だ」

 

 

 こんな事を言ってるとエリス教徒に殺されそう。エリス様が巨乳なら何のためらいもなく入信するんだがな。

 おっと、話が逸れてしまった。戻そう。

 

 

「いや、今はエリス様の事はいい。で、豊胸ポーションをどうするんだ?」

 

「一応お試しで1ダース注文してみたのですが…」

 

 

 チラチラとこちらを見てくるウィズ。可愛い。

 それは置いといて。

 

 

「で、効果の程を人体実験してこいってか?」

 

「ま、まぁ端的に言えば…」

 

 

 まぁ暇だしいいだろう。めぐみんに飲ませよ。

 ポーションを受け取り帰る準備をしていると、バニルが話し掛けてきた。

 

 

「して小僧。商品の進捗はどのような感じだ?我輩が赴いても良いのだが、この店主が何をやらかすかわからんのでな。気が気でないのだ」

 

 

 居てもやらかすと思うけどな。

 ちなみにウィズの健闘虚しく、業績が悪すぎる、と普通に怒られたらしい。

 

 

「なんかいっぱい作ってたし、そろそろじゃないか?」

 

「ふむ…。ならば後日伺おう。その旨を伝えてくれ」

 

「了解」

 

 

 魔王軍幹部と友達感覚の付き合いをしているのは傍から見れば異常なのだろうか。まぁどうでもいいが。

 

 ウィズとバニルに挨拶をし、その場を後にする。

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

屋敷に帰ると、広間にはアクアだけが居た。

他のみんなはどこいったんだ?

 

 

「あ、ヒデオおかえり。どこ行ってたの?」

 

「ちょっとな。めぐみんは居るか?」

 

「ゆんゆんと庭で遊んでるわね。ゆんゆんの方は勝負とか言ってたけど」

 

「なるほど」

 

 

 そうだ。この際ゆんゆんにも豊胸ポーションを飲ませよう。あの子はめぐみんと違って将来性ありそうだしな。

 

 めぐみんが戻ってくるまでちょむすけと遊ぼうと思い気の感知に意識を傾ける。

 すると、違和感に気付く。

 

 知らない気が一つあるな。誰だ?

 

 

「なぁアクア。ゆんゆん以外にも誰か来てるのか?」

 

「えぇと、クリスがダクネスに会いに来てたわね」

 

 

 クリス…クリス…。

 聞き覚えがある名前に記憶を探る。

 

 あ、思い出した。

 

 

「あぁ、貧乳の…」

 

 

 盗賊。そう言おうとした時、背後からの殺気に気付く。やべぇ!

 

 咄嗟にその場から離れ、殺気の発信源を見る。

 

 

「貧乳の…なんだって?」

 

 

 そこには青筋を立てた銀髪の少女が立っていた。いや、マジすいません。謝るからそのゴゴゴゴゴって感じの雰囲気で威圧するのやめてください。

 

 

「……盗賊ってカズマ君が言ってました!」

 

 

 咄嗟にカズマに全責任を押し付ける。

 アイツが悪いんだ(暴論)

 

 

「ふーん…。ま、どっちでもいいけど。ねぇヒデオ君…だっけ?浮いてないでさ。降りてきてよ。ちょっとお話しようよ」

 

「ひぃっ!マジすんませんっした!」

 

 

 秘技、空中土下座。

 空中で土下座のポーズを決めそのままスーッと降りていく荒技。ただの仰々しい土下座ですねはい。

 

 というか、あの冷たさには覚えがある。ウィズに年齢を聞いた時と…、いつだったか。デストロイヤー戦くらいに感じた記憶がある。

 

 思い出せないでいると、クリスより少し遅れて広間に来たダクネスが。

 

 

「…なぜヒデオは帰ってきていきなりクリスに土下座してるんだ?新手のプレイなのか?もしそうなら詳しく教えて欲しい」

 

 

 と、言ってきた。

 今がチャンスだ!話題をそらせ俺!

 

 

「い、いや失礼な事を言ってしまってな。断じてプレイでは無い。あ、そうだ。お土産があるんだが、見るか?」

 

 

 そう言いながら鞄から例のブツを出す。めぐみんが来てないがここは仕方ない。

 

 

「これはポーション、か?」

 

 

 瓶を一つ手に取り不思議そうに見るダクネス。そんなダクネスの様子をじーっと見るクリス。よかった。話題はそらせたか…。

 

 

「これはただのポーションじゃねぇぞ」

 

「ほう。してその効能は?もしや、飲むと耐え難い激痛が走るとか?」

 

 

 想像したのか頬を赤くしながら聞いてくるダクネス。こいつの頭にはそれしかないのか。

 

 

「そんなもんがあってたまるか。これはな、飲むと胸がでかくなるらしい」

 

 

 沈黙。

 俺の言葉に何故か黙る一同。

 お、おい。これだと俺がやらかしたみたいじゃねぇか。

 

 

「何言ってるのヒデオ。巨乳好きすぎて頭おかしくなった?大丈夫?ついに私達にまでセクハラするようになったの?」

 

「そうか…ついにヒデオも私達にセクハラするように…」

 

「それだけは絶対にないから安心しろ」

 

「「なっ!」」

 

 

 俺の言葉にギャーギャーとわめく2人を放置し、クリスにポーションを一本渡す。

 

 

「…どういう事?喧嘩売ってるなら買うよ?」

 

「せっかく屋敷に来たんだから実験に付き合ってもらおうと思ってな。おらダクネス、アクア。お前らもギャーギャー言ってないで飲め」

 

 

 2人にもポーションを渡す。

 すると、めぐみんとゆんゆんがこちらに来ているのに気づいた。

 この際だ。皆で飲もう。

 

 三人に飲むのを待ってもらい、カズマも迎えに行く。

 

 

 

「ーーーという訳で。第一回!巨乳になるのは誰だ!豊胸ポーション選手権!」

 

「イェェェーイ!」

 

 

 沈黙。

 乗ってくれたのはカズマだけか。悲しい。

 

 

「では気を取り直して。ルールは至って単純!上げ幅が高い奴の勝ちだ!」

 

 

 目測で測ります。

 ポーション全員に行き渡ったのを確認し、合図する。

 

 

「豊胸ファイトレディー…ゴー!」

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 case 1

 元々デカイ組の場合。

 

 

「お、おぉ…。服がきつくなってきた…。苦しくて締め付けられてるようで…はぁ…はぁ…」

 

 

 と、ダクネス。

 苦しければなんでもいいのかコイツは。

 

 

「肩が重くなってきたわ。あと、服がパンパンになりそう」

 

 

 と、アクア。

 そう言えば、コイツは履いてない、着けてない疑惑があるらしいな。興味無いが。

 

 

「服の構造のせいであまり苦しくはないけどこぼれそう…」

 

 

 と、ゆんゆん。

 胸元だけが空いた服とかどこで買うんだよ。

 

 

「すげぇな。効果出るのこんなに早いのか…。ジョークグッズに出来そうだな」

 

 

 

 case 2

 野郎共の場合。

 

 

「胸筋が張ってきた」

 

 

 と、俺。

 鍛えてますから。

 

 

「何も起きないんだが」

 

 

 と、カズマ。

 

 ふーむ。何も起きないか。個人差があるのか?

 

 

 case 3

 ない組の場合。

 

 

「…何も起きません」

 

 

 と、めぐみん。

 

 

「同じく」

 

 

 と、クリス。

 

 うーん。なんで何も起きないんだ?

 

 カズマも何も起きなかったし、この3人に共通する点は…。

 

 

 あっ。

 

 

「ヒデオ。何か悟ったような顔してますね。なんです?なんで私は巨乳になれないんですか?」

 

 

 めぐみんが淡々とそう言ってくる。怖いよ!それに、俺のせいじゃないから!

 

 

「いや、三人に共通する点を探してたんだが、ひとつ見つかってな。言うべきか言わざるべきか…」

 

「なんです?早く言って下さい」

 

 

 目が据わっててとても怖い。

 クリスは無言だが冷たい目でこちらを見ている。だから俺のせいじゃないって!

 

 

「い、いや、カズマもめぐみんもクリスも、ないという点では共通してるなーって…」

 

 

 おそるおそるそう言う。企画したの俺だけど、やらなきゃ良かった!

 

 

「なるほど。確かにそれは共通してますね。でも、ないからといって大きくならない理由は無いはずですよね?何故です?」

 

 

 だから俺に言われても…。

 なにか打開策はないかと、ポーションの入っていた箱を漁る。

 

 箱の底に説明書のような紙が入っていた。

 これだ!

 

 無言で武器を構え俺に攻撃してこようとする二人の前にその紙を出す。

 

 

「まてまて二人共。無言で俺をボコろうとするな。ここに注意書きのようなものがあった。読むぞ…『注意!このポーションはジョークグッズです。服用後数分すると元に戻ります。いくら飲んでも大きくならないと悩んでいるそこのあなた!ゼロには何をかけてもゼロですよ!諦めてね!』」

 

「「…」」

 

 

 黙り込む二人。

 こ、こえぇ…。

 二人が暴れないように最新の注意を払っていると、めぐみんが。

 

 

「…ヒデオ、頼みがあるんですが、いいですか?」

 

 

 嫌な予感しかしない。

 

 

「…なんだ?」

 

「今すぐこのポーションの製作者の元へ連れて行ってください」

 

 

 ほれ見たことか!

 キレてるじゃん!静かに激怒してるじゃん!

 そんな今にも爆裂しそうなめぐみんにクリスも賛同した。

 

 

「めぐみん、あたしも付いてくよ。ヒデオ君。目的地までよろしくね」

 

 

 笑顔でそう言ってくる。いや、だからあなたの笑顔怖いです!目が笑ってない!

 

 

「ふ、二人共落ち着け!これの製作者は悪気があってこれを書いた訳じゃ…!」

 

「へぇ。ヒデオは見たことも無い製作者の肩を持つんですね?ならヒデオが代わりに喰らいますか?」

 

「よし二人共!早く乗れ!クソッタレ製作者をボコしに行くぞ!」

 

 

 手のひら返し?知らんな。

 

 

 

 その日を境に、豊胸ポーションは生産されなくなった。

 

 

 

 

「おっと、あの小僧にそのポーションを持って帰るとろくな事がないと伝えるのを忘れていた。まぁいいか。フハハハハ!」

 

 




セクハラのアレを書いてる時は楽しい。

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