白夜の兄貴分が帰って来るそうですよ?〜リメイク版〜 作:☆シュレリア☆
ちょっと書きたい新作があるけどこれが完結するまでは我慢我慢・・・
同時進行でも良いのよ?って方は感想までどうぞw
多数いる場合は同時進行も検討させていただきますm(_ _)m
ちなみにタイトルは『歌い手たちが異世界から来るそうですよ?』か、『失われし技術を知る者が異世界から来るそうですよ?』のどちらかをと考えています。
アンケートみたいなのを取るのは初めてなので感想に書いてもらっても良いのかわからないんですが、もしご指摘があった場合は活動報告か何かでもう一度取りたいと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、本編をどうぞ!
感想・評価お待ちしています!!!
「ラグスムエナのヤキモチ」
ペルセウスとの交渉やガルドとのゲームから2日が経過していた。
今日は十六夜とジンは書庫で調べ物、飛鳥と耀は特訓、黒ウサギはゲームの審判へ出稼ぎに出ていた。
そして黒夜は・・・現在レティシアにリリと一緒に家事を教えていた。レティシアは眷属になってからというもの黒夜の後ろに付いて回るようになっていて、朝起きると部屋の前で待っていたり、朝食の準備などを積極的に手伝うようになっていたりする。
それならばとレティシアに本格的にメイドとしても働いてもらおうとこうして家事を教えているのだが、もともとなんでもそつなくこなせるレティシアはあっという間に仕事を覚えて行ってしまい、リリを驚かせるのだった。
しかし、レティシアとリリは一つ心配事があった・・・。それは黒夜のことであり、彼は時折ある方向をボーっと眺めている事があるのである。レティシアは何処を見ているのかと考えると、それがラグスムエナの眠る部屋の方向だと気付いた。
ラグスムエナは謎の男との傷は癒えたのだが未だに意識が戻っておらず、黒夜だけではなく飛鳥や耀も心配して様子を見に行く事が多い。
今もまた、黒夜は洗濯物を手に持ちながらボーっとしていた。
「黒夜・・・心配なら彼女の部屋で看病していても良いのだぞ?」
「ん・・・?あぁ、心配してるように見えたか?」
「今日だけでもう3回はそうやって彼女の部屋の方向を眺めているではないか」
「あ〜そっか・・・けど違うんだよ。俺が気にしてるのはラグスにレティシアの事をどう説明しようか迷ってたからなんだ」
レティシアは予想とは全く違った理由に首を傾げて聞き返した。
「私の事?」
「あぁ・・・ほら、眷属になった証のギフト・・・あれをどう説明するか・・・」
「あぁ・・・もしや彼女は黒夜の恋人だったのか?」
「まだ違うよ。けど、ラグスは俺を好いてくれてると思うし、俺もそんな彼女に・・・まぁプロポーズに近い言葉も言ったことがある。だからこそ、レティシアのギフトを見てラグスに嫌われちゃったらどうしようとか考えてたんだよ・・・」
レティシアは意外そうに目を丸くした。黒夜がラグスに対してプロポーズめいたことを言っていた事は黒ウサギ達から聞いて知っていたが、黒夜は他の女性にも意外とストレートに褒めたりしていたので実は確信犯なのではないかと思っていたのである。自分が知るだけでもサウザンドアイズの店員や耀辺りも結構惹かれていると感じているし、レティシア自身も好意を寄せているのだ。
だからこそ、出来るだけ一緒にいたくて後ろに付いて回っていたのだし・・・。
「ふむ・・・まぁ正直に話すしかないのではないか?ちなみに・・・」
そう言いながらレティシアは黒夜の首筋に飛びつくとリリには聞こえないように小声で言った。
「私もお前の事が好きだが、2番目でも構わないと思っているぞ・・・」
そう言って飛び降りた。見上げると、口を開けてポカンと固まってしまった黒夜が映り、これはレアだなと内心でほくそ笑むのだった。
だがこの時・・・ある人物がその場面を見ていた事に、レティシアはもちろん黒夜も気付いてはいないのだった・・・。
side ラグスムエナ
黒夜たちが洗濯物を干していた頃、ラグスムエナはようやく目を覚ましていた。
「ん・・・んぅ・・・・・ここは・・・私の部屋?」
私は周囲を見回すと、そこが自分の部屋だとわかりホッとした。かなり深い傷だったためあのまま死んでいてもおかしくなかったのだが、どうやら助かったようだ。
次に私は飛鳥と耀のことが気になった。いくらパワーアップしたとは言え、まだ数分しか全力で戦えない彼女達ではあの男には勝てないと思っていたからだ。
私は逸る気持ちを必死に抑えながらゆっくりと起き上がると、2人を探すために部屋を出た。
廊下を進んで行くと、子供達の元気な声が外から聞こえてきた。私はそっと窓を開けると、子供達が元気に遊ぶ姿に癒されようと外を眺めたのだが、運悪く?それを見てしまった。
私の視線の先には、白いメイド服を着た知らない少女が黒夜の首に抱きつき・・・キスをしているように見えた。そして少女が飛び降りると、黒夜は僅かに顔を赤くして驚いたように固まっている。
え・・・?あの子は誰・・・?というか今キスしてましたよね・・・?・・・ね!?
私は混乱した。まさかあの子は・・・黒夜の恋人?でもいつの間に?
私はいてもたってもいられなくなって、まだ少し重い体を窓から投げ出して急いで彼の元に向かった。
side out
レティシアがほくそ笑んでいると、黒夜はハッと我に返って少し上を見た。レティシアは何事かと視線を移すと、そこにはネグリジェ姿でこちらにダイブしてくるラグスムエナの姿があった。
「ラグス!目が覚めたのか!!」
黒夜は嬉しそうに手を広げると、落ちてきたラグスをしっかりと受け止めてその柔らかい髪を撫でた。しかしラグスムエナはそんな事はどうでもいいとばかりに黒夜の肩に手を置くと、鼻がぶつかる程の距離まで顔を近づけてくってかかった。
「黒夜!さっきのはなに!?というかこの女の子は何者なの!?」
「はい!?」
ラグスムエナはレティシアを指差しながら叫んだが、黒夜はさっきのと言うのがわからずとりあえずレティシアを紹介する事にした。
「とりあえず落ち着け!この子はレティシア。ノーネームの元仲間で、お前が倒れた後いろいろあってペルセウスから俺が買い取ったんだよ。ただ、彼女はちょっと無理をしちゃって神格とかが無くなってたみたいだから俺の眷属にしてある程度力を取り戻させたんだ」
「けん・・・ぞ、く?」
「うん、眷属」
黒夜は知らなかった・・・実はラグスムエナが白夜叉から眷属になるための儀式でのキスの事を聞いていた事に。
「つまり・・・黒夜はこの子にキス・・・したんですね?」
「え・・・あ、はい」
肩を震わせながら俯き気味に聞いてくるラグスに思わず素直に答えてしまった黒夜は慌ててしまったと思うものの時すでに遅し、ラグスはレティシアに向き直っていた。
「レティシアさん・・・申し訳有りませんが、ギフトカードを見せていただけませんか?」
「う・・・うむ」
ラグスムエナはカードを受け取ると、寵愛者と伴侶のギフトを見て崩れ落ちた。
「伴侶・・・はん・・・りょ・・・」
魂が抜けかけているラグスに慌てて黒夜が駆け寄ると、ラグスはガバッと黒夜にしがみ付いた。
「黒夜!どういうこと!?わ、私を・・・私をお嫁さんにしてくれるって言葉は嘘だったの!?」
ラグスは大粒の涙を流しながら叫んだ。それを聞きつけた飛鳥や耀たちが何事かと駆け寄ってきたが、3人の組み合わせを見て納得したように肩を竦めた。
ひとまず、ここでは子供たちに心配をかけてしまうという事で黒夜とラグスとレティシアの3人は、黒夜の部屋へと移動した。
「えっと・・・まず、俺がお前を欲しいと思ったのは嘘じゃない。今だってラグスのこと・・・好きだよ」
好き・・・という言葉に、一瞬喜びそうになったラグスだったがすぐに冷静になった。
「な、なら・・・レティシアさんのあれはどういうことですか?」
「第一の理由はノーネームの戦力アップだ。飛鳥と耀の特訓がまだ途中なのを考えると、これは急務だった。白の話だと、お前に深手を負わせたような連中が今後も現れる可能性があったからな」
黒夜の説明に、ラグスは口をつぐんでしまった。確かにその通りだと思ってしまったからだ。しかしそれでも先ほどの光景の説明にはなっていない。
ラグスは不覚を取ってしまった事に対する反省の意味も込めて1度深呼吸すると、出来るだけ落ち着いた調子で疑問をぶつけた。
「なら、どうしてさっき・・・その、キス・・・していたんですか?」
「へ?」
「さっき!レティシアさんが首に抱きついてキスしてたじゃないですか!!」
ラグスの言葉に、黒夜はあぁと声を漏らしながら顔を手で覆った。
「あれはキスしてたわけじゃないんだよ・・・えっとだな・・・」
「あれは私が黒夜に気持ちを伝えていただけなんだ。私は2番目でも構わない・・・とな」
「おいレティシア!?」
黒夜が言い淀んでいると、素直に答えてしまったレティシアに、黒夜は慌てたが彼女には勝算?があった。
「2番目・・・では1番目は・・・?」
「もちろん君だよ、ラグスムエナ」
レティシアの答えに顔を真っ赤にして二ヘラっと笑みを浮かべるラグスムエナ。レティシアはやはりなと思いながら言葉を続けた。
「そもそも最初に好意を伝えられたのは君の方なんだ。ならば私が1番になれるわけがないだろう?お、だがそう言えば君はまだ自分の気持ちを伝えたことは無いと聞いていたな・・・なら私が1番になるチャンスもあるだろうか?」
最後の言葉にラグスはビクッと震えた。確かに彼女は自分勝手な理由で未だに好意を伝えられないでいる。とは言え出会ってまだ数日しかたっていないのだが・・・。
本当なら自分は一緒にいられるだけでもいいと思っていた筈なのだが、今回のことでハッキリとわかってしまった。
(私は・・・私以外の人が彼と恋仲になるのが嫌・・・なんだ。なんて、嫉妬深いんだろう・・・でも!)
ラグスはもう・・・自分の心を偽るのは止めようと思った。
(私は黒夜が・・・好き。ううん・・・愛してる。私の料理を美味しいって言ってくれた。私の孤独にすぐに気づいてくれた・・・。私の悲しみを受け止めてくれた・・・。たった数日なのに、黒夜は私のために沢山の事をしてくれた・・・!だから、もう迷わない・・・もう逃げたりしない!!)
ラグスはレティシアに向き直った。
「どうやら心は決まったみたいだな。私は席を外すから・・・頑張るんだぞ」
「えっと・・・ありがとうございます。レティシアさん」
「ふふ・・・」
レティシアは軽く手を振ると部屋から出て行った。少し置いてけぼりをくらってしまった黒夜は、どうすればいいのかと視線を彷徨わせているとラグスが声をかけてきた。
「その・・・黒夜、貴方に伝えたいことがあります」
顔を真っ赤にし、胸の前で祈るように手を合わせたラグスは緊張しているのか涙目で少し震えていた。黒夜は急かしたりはせず、ジッと次の言葉を待つ。
ラグスは一度深呼吸をすると、しっかりと黒夜の目を見ながら言葉を紡いでいった。
「私は・・・黒夜の事が好きです。出会って間も無い私の悲しみに気づいてくれて・・・優しく受け止めてくれて・・・私の寂しさを埋めるために色々と考えてくれて・・・。私は自分が死神だという事に引け目を感じて、今まで貴方のそばに居られるだけで良いんだと思ってきました。けど・・・もう、それだけじゃ我慢出来なくなってしまって・・・。今後も、今回みたいにヤキモチで暴走してしまうかもしれません。黒夜に、迷惑を掛けてしまうかもしれません。そんな私でも、貴方のお嫁さんしていただけますか?」
ラグスは精一杯の言葉で自分の気持ちを伝えた。黒夜の答えが怖いのか、キュッと目を瞑って小さく震えるその姿は彼女を外見よりも幼く見せたが黒夜はフッと微笑むとラグス抱きしめた。
「馬鹿だな・・・。俺はあの時からずっとお前を嫁にするつもりでいたんだぞ?だから出来る限りお前を1人にしないようにしてたし、お前が寂しく無いように色々と手をつくしてたんだ。後はお前の気持ち次第だったんだよ。だから・・・なんだこれからもよろしくなラグス」
そう言って黒夜はラグスの唇に自分の唇を重ねた。
ラグスは突然のキスに一瞬驚いたが、優しい口付けに次第に自分から求めるようになり2人は時間を忘れて何度もキスを交わすのだった・・・。
その日の夕方、お互いの話で盛り上がった2人が部屋から出てきたのは夕食の時間になってからだった。
お腹が空いたため食堂へ降りていくと、いきなり鳴り響いたクラッカーの音にビックリして黒い球体を出した黒夜を必死に止めた十六夜達は、2人を席に着かせると声を揃えた。
『黒夜、ラグス!婚約おめでとう!!!』
「は?」
「ふぇ!?///」
「いや、だから婚約だよしたんだろ?」
「レティシアがそう言ってたわよ?」
「だから今日はお赤飯もリリが炊いた」
「黒ウサギも帰ってきたらみんなでパーティーの準備をしていたので驚いたのですよ」
「フフ・・・兄上にまたよmふが!?な、なにをする兄上!!?」
「すまん白・・・今だけはその話はしないでおいてくれ・・・」
問題児たちを筆頭に、なぜか白夜叉と葵まで参加していることに若干頭が痛くなる黒夜だったが、良い機会だと思い先ほどラグスと話し合った事をみんなに伝える事にした。
「あ〜その、ひとまずありがとうな。ついでにみんなに伝えておきたい事がある。確かに俺とラグスは結婚を前提に付き合う事になった。だが、みんなも知っての通りレティシアの件もあって2人で話し合ったんだ。結論として、ラグスが1番なのは変わらないけど愛人?側室?って言えば良いのか?」
「間違ってはいないがそれ、あんまり良い意味じゃないからな?」
「マジで?まぁ・・・なんだ、恋人は何人でもOK!ってことになったから、レティシアも変に離れたりしなくて良いからな」
「というより・・・今回はレティシアさんに凄くお世話になりましたから・・・これで独り占めなんてしたらそれこそ私はただの嫉妬深い女になってしまいます」
ラグスの言い方が面白かったのか、十六夜や白夜叉が笑い出すとそれにつられてみんなが笑い出した。
こうしてラグスムエナの勘違いから始まった騒動は良い方向で決着し、まさに雨降って地固まる・・・のように落ち着いたのであった。
この時・・・ある女性が内心でガッツポーズしていたのはまた別の話である・・・。