仮面ライダーアスカロン   作:貧弱モノサシ

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僕もライダーオタク……(というよりただのライダー好きの人間)ですが、平成一期と2期のライダーを少し見たくらいなのでライダーのすべてを知っている訳ではありません、なので本当は「書いてもいいのかこれ……」と思いましたが好奇心には勝てませんでした……(即落ち二コマ)


第1話「間違った力・前編」

都市伝説「仮面ライダー」。

その名の通り仮面の者がバイクに乗っている様子からその名がつけられた、仮面ライダーは複数存在し、その半数以上が「正義」を執行していたが──中には悪事を働く者もいた、しかし、そのどれもが「ヒーロー」を名乗るには相応しくなかったと言う。

その噂話は悪い都市伝説とも良い都市伝説ともとれ、その全貌を暴こうとするものも少なくなかったのだが。

2016年夏、その都市伝説はパタリと途絶えた

 

 

~~~

 

とある一軒家の中、朝のニュースをぼんやりと眺める一人の男と幼さを感じる少女が湯気を立てる食事をとっていた。

2人は後ろからみれば親子に見えなくもなかったが男の方は親と呼ぶにはあまりにも若い、髪は後ろで束ねられ、顔つきは大学生と言ったところだろう。12歳ほどの少女の黒い髪は無造作に伸ばされていた、放置しているのはやむを得なかった…といったところだろうか?どれも気にするほどではないものの少女の髪は長さが揃っていなかった、これはニュースを見ているこの男が少女の髪を切ろうとして失敗したからなのだろう

 

「ごちそうさまっ」

 

少女がそう言う、それに続き男も手を合わせ

 

「ごちそうさん」

 

と呟くように言って食器の片付けを始める。皿洗いはまだしないのか、まとめた皿をキッチンに持っていき男は少女の前に立った

 

「今日も行くか、お母さん探し」

 

「うん」

 

先程まで皿を持っていたが今は水や携帯の入った鞄をぶら下げているこの男の名は六護という。

六護は少女の名を知らなかった、それもそのはず、この少女は六護が「拾ってきた」子であった。記憶も無ければ身元を確認できるものも無いという絶望的な状態のため、ふらふらと外出して母親が少女に気付いてくれるのを待っているのだ

 

「六護、今日はどこ行くの?」

 

「今日はバスでちょこっと遠くまで行くぞ、お前がもといた場所だな」

 

………もう拾って3ヶ月はたっている、ほぼ毎日と言っていいほど外出し親を探しているものの少女の親は見つからない、きっと今後も見つかる可能性は限りなく低いだろう……それは六護にももう分かっていることだった。

六護は警察にも協力してもらっていた、親を探しているという内容の呼びかけやチラシなどをしてもらっているのだが耳寄りな情報は一切来ない

 

「なぁ、毎日俺に連れ回されてるみたいで疲れてないか?たまには2日ほど休んでもいいかなと思ってるんだ」

 

六護のその問いに

 

「ううん、楽しいからいいよっ」

 

少女は年相応の元気さを見せた返事を返すのみだった

 

 

~~~

 

「よし、ついたな……ほら、起きろ」

 

バスに揺られて寝ていた少女の体を軽く揺すって起こす六護、シートベルトをはずしてやると大きく伸びを始めるのを見て少しニヤっと笑う。人間に対してこういう表現は間違っているとは感じているものの、六護は小動物的な可愛さがあると常常思っていた

 

「ね、私がもといた場所ってどこ?」

 

「路地裏、覚えてないのか?」

 

「うん」

 

この通りである、手がかりは少ない……。

六護はもちろん路地裏で待つなんて馬鹿な真似をするような男ではなかった、近くに商店街がある、このあたりに住んでいたのだとしたらそこに行けば少女の事を知っている人がいるかもと考えたのだ。

六護には不安があった、親や知人が警察の呼びかけにも答えないのなら自分が探しても意味が無いんじゃないかと。

ガラガラに空いた席たちを尻目に少女を連れてバスを出ると、少女の口から衝撃的な一言が漏れる

 

「ここ前にも来たかも」

 

「………え?き、記憶……戻ったのか!?」

 

ここに少女が来るのははじめてである、ゆえに知っているわけがないのだ……記憶を失う前を除いて。

しかし少女は首を縦には振らない

 

「うーん……懐かしいっていうのに近いかもしれない」

 

「とりあえずまたフラフラしてみるか、無理にここで思い出す必要は無いさ」

 

この街「よつば」には聞き込み対象の商店街の他にも温泉がある、この少女も口では「疲れていない」と言っているが六護は疲労が溜まってきていることに気づいていた。聞き込みが一旦終わり、落ち着いたら温泉に浸かろうという計画を六護は密かに立てていたのだ。

まぁ聞き込みと言ってもそれは「口実」となる事の方が多い、最初は意気込んでいたもののいつの間にか買い物を楽しんでいたりするのだ

 

「商店街、俺も久しぶりに行くなぁ」

 

「いつもはスーパーで買い物済ませちゃうもんね」

 

「おまけに作れる料理が限られてるから食卓が変わり映えしないんだよな……」

 

そんな会話を混ぜながら歩いていると六護たちはいつの間にか商店街をくぐっていた、まずは一息ついて少女を見る───が、その前に商店街の違和感に気付く

 

「人がいない……?」

 

歩を止めない六護の耳には自らの足音しか入ってこなかった、ほかの人の声も何も聞こえないのだ

 

「商店街、どうしたのかな……?」

 

「休み……って訳じゃなさそうだ」

 

だって店は皆、営業中の看板が建てられている。どこを見てもシャッターが締まっている店は無かった。

 

(これじゃまるで全員ここから避難したみたいだ……でもなぜ?地震のような災害も無かった……何かの事件にしたって誰1人居ないのはおかしい)

 

六護の脳内で問いかけられたその問いに答えたものは

 

「きゃっ!」

 

「っ!?」

 

思考を一瞬でリセットさせる程大きく、高い爆発音だった。

六護は冷静だった、その爆発音が鳴ったのとほぼ同時に少女の手をとって来た道を戻る

 

「逃げるぞ!なんかやばい!」

 

「な、なんかって何!?」

 

「分からない!」

 

流れる景色の中に人間は混じっていなかった、チラリと後ろを振り返ると高く登った煙と、煙めがけて何かが無数に飛んでいくのを確認できる。連続で鳴る轟音と合わせて何が起きているのかを六護は少しだけ理解した

 

「戦車…!?何かが砲弾を撃ってるように見える…!」

 

「六護!前!」

 

「うわっ!?」

 

コンクリートの道に突き刺さったように見えるそれにぶつかる前に自分の足を止める、突き刺さっている物体はカプセルの形をしており中は見えない。

六護は少しの間そのカプセルを見ていたが、繋いだ手を引く少女に気付いてすぐに走り出した

 

「なんだったんだあれ……」

 

「あ、あのカプセル1つだけじゃないよ!」

 

「へ───って痛い!」

 

あちこちに突き刺さったカプセルにぶつかる六護、脳が揺れ、一瞬意識を失うも立て直す。が、痛みで今は走るどころではなさそうだ

 

「大丈夫?」

 

「あぁ、うん……多分大丈夫、血は出てないし」

 

ぶつけた場所を抑えて重い体を持ち上げたその時だった

ひとりでにカプセルが開き、中に入っているものが露になる

 

「なにこれ?」

 

「ベルト……?」

 

そこにあったのは、くぼみがあるベルトの形している物と、「刃物」──スキナーナイフだった

 

「六護、これ欲しい」

 

「だめだ、今はここを離れることだけを考えよう。それに刃物なんて危ないぞ。確かにこのカプセルがなんなのかは気になるけど……」

 

「で、でもかっこいいよ?」

 

(女の子なのにナイフをかっこいいと思うのか……?)

 

しかし、思い返してみると六護は少女に食事以外何も与えていなかったことを思い出す、(欲しがるかどうかは分からないが)おもちゃも、娯楽関連の物を少女は知らないのだ

 

「じゃあ刃物は危ないから俺が預かる、ベルト……これも得体の知れない物だから俺が預かる、触るのは後でな」

 

「うん!」

 

六護は少女の親でも何でもない、ゆえに何をしてあげればいいのか、そもそも娯楽を知らない少女に刃物なんて覚えさせてもいいのかなんてものは何一つとして分からなかった。

まぁ、一番いけないのは不器用すぎるこの男なのだが。

 

「バス停までもう少し、駆け抜けよう」

 

再び足を動かす2人、商店街に向かっていた時もそうだが、人はいない。2人を止める者もいない──と、思われたその時だった

 

「撤退だ!」

 

声が響く、六護と少女のものではない、ほかの誰かものだ

 

「誰かいるのか!?」

 

とっさにそう叫ぶ六護、声の主は路地裏から姿を現した──20人ほど。

 

「生存者だ!」

 

「一般市民……逃げ遅れか?」

 

全員兵士のような格好をしている、銃を片手に持っており負傷している者もいた。

 

「逃げ遅れ?」

 

兵士らは六護のその疑問に答える

 

「イレギュラーがここを襲ってきた、この街ももう長くは持たんぞ」

 

「さぁ早くこっちへ、我々が保護する」

 

「まっ……待ってください、イレギュラーってなんですか?俺らはバスに乗ってここに来ただけで……」

 

その発言で場が凍りつき、数秒して兵士たちはざわざわと騒ぎ始める。

何かのドッキリだとも考えただろう、しかし、それにしては地面にカプセルを突き刺したり煙が上がったりなどと手が込みすぎている

 

「君」

 

「なんですか」

 

「ここのバスは10年前に無くなった」

 

次に口を開いたのは少女だ

 

「そんなことないよ、だって私達ほんの10分前にここに来たんだし……」

 

「嬢ちゃんと兄ちゃん、君らは錯乱しているみたいだ、ともかく安全なところまで来てくれ、頼む」

 

「……わかりました」

 

「六護」

 

「大丈夫」

 

根拠は無かった、ただ銃を持った相手が怖いから逆らえなかっただけだ。「情けない」という感情が彼の中を暴れる一方で、安堵の気持ちも同時に彼を惑わせていた

 

 

~~~

 

 

ヘリに揺られ、連れてこられたのは一つのビルだった、ただのビルではなく、とてつもなく大きなビルだ。

立て札に名前も書いてあるのだが、擦れて読む事はできない

 

「どこですか、ここ?」

 

「避難所とでも思ってくれ、利用者は君ら2人だけだが」

 

「他の人はどこに行ったんですか?」

 

「全員死んだ、グロケス適合試験に成功した者は誰もいなかったのさ」

 

「その……何度も申し訳ありませんが、グロケス適合試験とは一体?」

 

「やりゃわかる、どうせ適合しなければイレギュラーにやられて終わりなんだからさっさと中に入って試験を受けることだ」

 

背中を押されてなるがままビルの中に足を踏み入れる2人、「適合試験に成功しなかったら死ぬ」、その言葉の意味を2人は理解していない、いや、情報量の少なさからできなかったのだ

 

「ひろーい……」

 

「広いけど何も無いな」

 

受け付けに出迎えてくれる姉さんはいないし疲れた顔のおじさんも歩いていない、なぜか白衣の人間が数人待ち構えていたくらいだ

 

「若いな」

 

白衣の人間がそう言った

 

「適合は若ければ若いほど成功しやすい、まずはこの少女からか」

 

「まっ、待ってくれ」

 

六護は提案する

 

「まず俺にしてくれ、それで危なそうだったらこの子には何もしないでほしい」

 

が、

 

「ダメだ」

 

あっさりと拒否されてしまう

 

「こちらだってもうグロケスは多くない、それにこの少女が戦えるとは思えないんだ分かってくれ、……早くベルトとナイフを、カプセルから持ってきたんだろう?」

 

完全に言われるがままである、スキナーナイフとベルトを白衣の者に渡す六護、少女の方に目を向けるが、怖がった様子はこれっぽっちも伝わってこなかった

 

「では始める、すぐに終わるからここでやるぞ」

 

数人が少女を抑える、それはもうガッチリと動かないように

 

「ちょっと離せ!乱暴すぎる!」

 

少女も抵抗しようと口を開けて叫ぼうとしていた。

しかしその叫び声が聞こえることは無い、代わりに小さな声で「痛い」という言葉を何度も繰り返している

 

「終わった」

 

「おいっ!大丈夫か!?」

 

小さな声がさらに小さくなっていき、ついには聞こえなくなる、少女を抑えていた手はパッと離され、支えを失う少女の体は重力に逆らわずに膝から崩れていった

 

「何したんだ!?」

 

「私もやりたくてやっているわけではないんだ、すまない」

 

少女を抱き抱えた六護は気付く

──少女の胸にはベルトと一緒に渡したスキナーナイフが深々と刺さっているのだ

 

「謝って許されるかよぉ!?ひ……人殺してんだぞお前!」

 

「すまない、非人道的ではあるがこれしかイレギュラーへの対抗手段は無いのだ、より多くの人々が救われる道はこれ以外にはありえない」

 

「イレギュラーが何かは知らない!でも殺して、殺されて救われる人間がいるわけないだろうが!」

 

六護が激しく散らしているのは少女に対する悲しさではなく、ただそこにある死を受け入れた者に対する怒りのみであった、しかし白衣の者達はいたって冷静だった

 

「結果が出たようだ、少年」

 

「結果…?」

 

「生きているよその子は」

 

瞬間、無機質な金属音が耳に入る。……スキナーナイフが落ちた音だった。

少女の胸からナイフは落ちており、苦しそうな表情をうかべながらであるが寝息を立てている

 

「……!」

 

「試験成功だ、おめでとう」

 

安堵する六護とその光景を目にしても動じない白衣の者、不思議なことだが、この場にいる全員がデジャヴを感じていた

 

 

 

~~~~

 

「うっ……!?」

 

胸に鈍い衝撃、六護は何事かと飛び跳ねるように体を起こす。

 

「六護、そろそろ目的地だよ」

 

少女がバシバシと胸を叩いて起こしてくれたようだった

 

「え?あ……」

 

「どうしたの?」

 

「いや………」

 

外は快晴、バスの中は相変わらずガラガラだが窓の外を見てみると人で賑わっており、妙な安心感があった

 

「降りるか」

 

「うんっ」

 

空いた席を尻目にバスを出ると、少女の口から漏れるように言葉が出てくる

 

「ここ、前にも来たことあるかも」

 

「それ前にも聞いたぞ」

 

「そうだっけ?」

 

「そうだよ」

 

そんな話を織り交ぜながら足を動かす2人。

 

商店街は六護の予想通りに賑わっていた

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