4人がまだ現世に帰ってはならない理由とは・・・。
〜博麗神社 居住スペース 客間〜
「はあ・・・、やっと落ち着いて話せるわね・・・。」
霊夢を含め、ため息をつきつつお茶を飲んだりしながらくつろぐ。
そして桐生が霊夢を見て、
「あんたが例の『博麗の巫女』か?」
と問う。
霊夢は頷く。
「ええ。博麗霊夢。適当に呼んでちょうだい。あなたは?」
「俺は桐生一馬だ。桐生とでも呼んでくれ。」
「ワシは真島吾郎や。わしも苗字でええで。」
残りのメンバーの自己紹介が済んだところで本題へ。
「もうこれで全員かしら?」
霊夢が谷村の方を向き聞く。
「ああ。これで全員だ。」
「そう。じゃ、準備するから暫く待ってて・・・」
霊夢が待機を頼もうとした時、
妖艶な女性の声が部屋に響く。
「待ちなさい。・・・まだ貴方達に帰られては困るのよ。」
「・・・紫ね。どうしたの一体。」
「どうもこうも無いわ。・・・外来人たちに用があるだけよ。」
谷村はこの女性を見たことがないが、雰囲気だけは感じたことがある。このリボルバーを拾った時、悪寒がした・・・。
それと同じ雰囲気だ。
「ほぉー。こりゃまたべっぴんさんが出てきたのう。・・・せやけど、ここに連れてきたん、あんさんが原因やな?」
真島が言う。
女は答える。
「ええその通り。・・・私は八雲紫。ま、一番上の立場に近い妖怪かしら。あなた達を連れてきた張本人でもあるわ。」
真島が気づいた理由。それは紫の出現している場所。
無数の目がある空間から出てきている。これは他でもない、桐生たちを飲み込んだアレだ。
すると気になっていたことを遥が紫に聞く。
「・・・なんで私たちに帰られて困るんですか?私たちは何もしてませんよ。」
(いや何もしてないことはないと思う。)
心の中で魔理沙が突っ込む。
すると霊夢が苦い顔をする。
「まさかアンタ・・・。今回の異変を『外来人に頼ろうと』してないわよね!?」
「私だってこんなことはしたくないわよ!」
紫が怒鳴る。
おいてけぼりの桐生たちに聖から説明が入る。
「幻想郷では外来人とはあまり干渉してはいけないんですよ。あくまでも忘れ去られたモノが来る世界ですから。・・・ですが例外もあります。しかし例外を作るのは・・・。」
「あまり好ましくないってことか。」
谷村が言う。
聖はそれに頷く。
「うーん。ま、二人共。まず俺たちに話してよ。二人だけで話されても俺らおいてけぼりだよ。」
谷村は霊夢と紫に促す。
「そ、そうね。」
・・・
紫が説明を始める。
「貴方達がさっき戦った『アレ』は元々幻想郷にはいなかったのよ。」
「いなかった・・・?」
アレはフランの形をした何か。ただ殺戮だけを目的とし、ただの操り人形なのか正体は謎。ただ、名称がないので血人形と呼ぶ。
そして、ここからが桐生たちに帰られては困る理由だったのだ。
「あなた達の持つ力。それが数少ない対抗策よ。正直言うと今、幻想郷に奴に敵うのは霊夢、魔理沙、聖、私、山の神、霊界の主、月の医者。これくらいね。だから貴方達には変えられては困るのよ。」
谷村がここまで聞いて、ため息をつく。
「自分たちのことは自分でしなさいよ、と言いたいとこなんだけど。一ついい?なんで遥ちゃんもなの?この娘は弾幕も使えない、霊力のある見込みは?」
「・・・彼女は元凶を潰すだけの強大な力を秘めているわ。それこそ、幻想郷に必要不可欠な事よ。お願い、皆さん、協力してくれないかしら?」
紫が4人に懇願する。
真島は頭を悩ませる。
「んな事言われたかて、わしらにもわしらの事情があるんや。」
桐生が頷く。
「ああ。それに、確かに俺たちはあいつに通用する力を持ってるのかもしれねえが、遥を巻き込むのなら話は別だ。そんな危険とわかっていることに、巻き込みたくはない。」
谷村も頷く。
「そうですね。もっといえば、僕達にメリットはあるんですか?・・・って言っても無駄か。端から承諾する気まで帰す気はないんだろあんた。」
紫が驚く。
周りの人間も目を見開く。
すると妖艶な笑いを見せ、
「あら鋭い。・・・でも本当に嫌なのならば帰す。でも遥ちゃんは絶対に弾幕を撃てるようにならなければならない理由があるの。」
「よそもんをここのルールに無理やり従わせようとすんなや。そこまで言うからにはよほどの理由があるんやろ?」
真島が問う。
「ええもちろんよ。・・・私のさっきのように空間を作り出す能力。アレは弾幕を撃てる者が身につけることが出来る能力よ。人によってこれは違う。」
「まさか、遥がその能力とやらを持っているというのか?」
「ええ。・・・今回の異変で出現したアイツらは通常の弾幕は効かない。そして倒したとしても血だまりになって消えるわけじゃなくあれは幻想郷のどこかにワープしただけ。・・・遥ちゃんの能力はそれすらもできないくらいに倒す。『血人形を抹消する程度の能力』。・・・お願いよ。私達の・・・、幻想郷を救って・・・!」
紫が頭を下げる。
すると聖も
「私からもお願いします。・・・この幻想郷がなくなるという最悪の事態になってしまうと外の世界にも何らかの影響が出るかも知れません。ですから、・・・お願いです!」
気付けば、魔理沙も霊夢も頭を下げ、懇願していた。
聖と霊夢は涙を流す。
「・・・おじさん!・・・私達協力してあげよう!」
遥が叫ぶ。
谷村も賛同した。
「ま、聖さんにお願いされちゃあね・・・。命の恩人の願いを蔑ろにはできないね。」
桐生は一応忠告を入れる。
「・・・はぁ。遥。・・・協力するとなったら、とても危ない目に遭うかもしれない。しかし、今回お前は共に戦う立場となる。もしかしたら自分の身を自分で守る。ということもあるかもしれない。そんな状況にはさせないが、そのあたりをわかって、」
遥が右手の手のひらを突き出し、静止させる。
「おじさん。分かってる。心配しないで。・・・どれだけ危険なことがわかってるから。」
真島は少し笑いながら、頭を下げる四人に近づく。
「いーつまでそうやっとんや。ほれ、頭挙げんかい。・・・女の涙はせこいのう・・・。そんな深刻そうな顔をべっぴんさんにやられたらせっかくのええ顔が台無しやで?ほれ!異変のことは協力したるから、その涙はホンマかは知らんけど、信じたる!せやから安心せい!」
二人の頭に手をポンと置く。
そしてぐしぐしとかきまわす。
「むぅ〜・・・!」
「きゃあ!?」
霊夢は気に食わない様子だ。
紫は突然の行動に声を上げる。
でもすぐに声を戻し、
「ありがとう・・・!」
と言った。
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落ち着いて、日も暮れたあと。
霊夢が谷村を見て、ギョッとする。
「谷村さん、あなたどれだけの量の霊力を!?」
「え?」
谷村はなんのこっちゃだ。
すると聖が
「霊力は個人差があるんですよ。極端に少ない人もいますし、とても多い人もいますけど・・・。谷村さんはとてつもないですね・・・。」
「そうね、比べるとしたら、・・・」
すると魔理沙が
「さっきチラッと見たけどこの神社の賽銭の量と谷村さんの財布の内容くらいの差じゃないのか?」
ボゴオッ
鈍い音が鳴った。
魔理沙が言ったことは割と的確なたとえ。
聖は不思議と納得していた。
【博麗神社 本日の賽銭】58円。
【谷村の所持金】580万円。
谷村の金はだいたいブラック。
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桐生が紫に話を聞く。
「・・・明日からどうなるんだ?俺たちは。」
「早速だけどあなた達にはまず迷いの竹林という場所にある、永遠亭に行ってもらうわ。そこで、月の医者の協力を得て来て。ちなみに遥ちゃんは神社に残って私とあと誰かひとりと一緒に修行よ。」
「まだ戦力確保するのか。確実にだな。遥もやる気に溢れてるから本気でぶつかってやってくれ。」
そういうとタバコに火をつけた。
「ええ。・・・ところですまなかったわね。私たちのこんなことに巻き込ませて。」
「・・・気にするな。一度乗りかかった船だ。結果まで見ようじゃないか。」
「・・・そうね。」
ー翌日ー
霊夢、桐生、真島、谷村は神社の前で一度集まり永遠亭へ出発する直前だった。魔理沙は一旦帰宅した。
「遥。危なくなったらすぐに中断するんだぞ。」
「うん。わかったよおじさん。」
紫が桐生たちに言う。
「・・・生きて帰ること。これは最優先事項よ。」
「ああ。」
一つだけ伝える。
それを聞き、4人は出発した。
・・・・・・・・・あ。
「どうしたんです紫さん。」
聖が聞く。遥も気になっている様子だ。
「いえ、あなた達の他にも、外来人がいるということを言おうと思ってたのだけど・・・。ま、いいか。」
(スキマ使って伝えに行かないんだ・・・。)
遥ちゃんは口に出さなかった。
ー地底 地霊殿ー
「幻想郷とやらに来てはや2日・・・。これは会社を二日も開けたからなぁ〜。花ちゃんカンッカンッだろうなぁ。ね。どうしようか、さとりちゃん。」
ワインレッドのスーツの男は地霊殿のリビングのソファーの上にぐでっと座りながら主人席にいる、少女に言う。
「・・・まったく、あなたは慌ててるのか呑気なのかわかりませんね。考えは読めても感情がゴチャゴチャです。・・・人の家に勝手に上がって何言ってんだか。」
「だぁかぁらぁ!これまで何度も言ってるじゃん!俺は気づいたらここにいたって!こりゃ後でほんとに大落雷だよぉー。」
地霊殿の主、古明地さとりはため息をついた。
「まったく、よくわからない人ですねぇ・・・。『秋山駿』さん。」
ー次回、秋山編ー
to be continued…
桐生&真島編、谷村&遥編。一旦一区切りです。
そして次回からはスピードスター、秋山駿編となります!