亜嵐の親が消えた理由、そして亜嵐の正体は?
ー翌日ー
この日は俺も亜嵐ちゃんもすぐに起きた。
開店準備にとりかかなければならないからな。
ないとは思うがチラッと外を見る。・・・おや?客のような人が数名並んでいる。
「・・・げっ!?」
「秋山さん・・・?どうしたの?」
「ん?あぁいやぁ?何でもないよ?」
なんとか誤魔化したが顔は引きつってなかっただろうか。
変な汗とかかいてないだろうか。
いや、多少かいてもしょうがないだろう。
なぜなら俺が今ここで一番会いたくない人物、星熊勇儀が
なぜか配った覚えのないチラシを持ってここにいるのだ。
「正直、なんであの人と戦って今生きてるのか不思議で仕方ないんだよなぁ・・・。」
というよりか秋山は勝利とまでは行かないが、勇儀を圧倒した状態で勝負を終わらせたのだ。
まあ先日、秋山が地底を彷徨いていた時に興味を持たれたからなのだが。ある意味自業自得なのかもしれない。
「何も悪いことしてないよ俺は・・・!」
ああやっぱり主人公は地の文が読めちゃうんですか?
勘弁してほんと。
「まあとにかく開店までは時間がある。今は気にせず準備をしよう。」
そう言い聞かせ、作業に戻る。
今、亜嵐は料理の仕込み中だ。亜嵐も勇儀が来ていることに気づいており、まあまあ食うだろうと予測していた。まあ客は勇儀だけじゃなくて、おそらく付き合わされたパルスィや朝飯を食べに来たと思われる地霊殿のみんなも来ていた。・・・ん?
(おや?『あの子』も来ているのか。相も変わらず、さとりちゃんは気づけてないみたいだけど。)
ー開店時間ー
朝・昼の部。現在時刻は朝10時。午前。というか午前でいう太陽が出てる時間は10時から3時まで営業する。そして4時から仕込みを開始し、6時より夜の部だ。この時間帯はモーニングだろう。
メニューを見るとそこまで重くなく、白米に、焼き鮭。そして野菜炒めに味噌汁だった。
しかし気になる。こんな材料どっから集めてるんだろうか。
カランカラン・・・。
「おっ。いらっしゃい。第1号のお客さんだね。・・・っていうか大所帯だけど・・・。勇儀にパルスィにさとりちゃんにおりんにお空に・・・、そして『その子。』2名と4名様だね。」
「おっ、秋山じゃないかい!なんでこんな所で見せやってんだい!さっきチラシで知ったけどさ!」
「それに幼女と経営なんて・・・。妬ましいわ。(パルパル・・・」
あーいつものノリだねえ。
「とりあえず酒!」
「生憎夜専用のメニューなんですよ。」
「なんだい。じゃあ朝食セットを三つ頼むよ。私二つ食うから。」
さすがは鬼。沢山食うね。
「料理の量には余裕がある・・・。それくらいなら構わない(キリッ。」
亜嵐ちゃん。絶対的な自信。
さてと。
「お待たせしました。4名様ですね。」
「気になったんですけど秋山さん。なんで4名?」
「まだ気づいてないの?いるじゃない。『例の子』。こいしちゃんが。」
「え?」
「わー!お姉ちゃんやっと気づいたー!遅いよーもーう!」
毎度毎度こいしちゃんを見るとほんとに姉妹なのかと思ってしまう。
しかしこれはこいしちゃんが心を読むためのサード・アイを自ら閉ざしたのだとか。人の心が見える方にも何かしらの苦痛はあるのだろう。
「わー!こいしさまだぁー!」
「お空ー!」
「と、とりあえず朝食セットを4つお願いします。」
「了解しましたっと。他には?」
メニュー表を出す。先程、勇儀たちにも見せたが、必要ないと断られた。
「お姉ちゃん!プリン食べたい!」
えっ?プリン!?メニューにあったかなぁ・・・。
「こいし。メニュー表にないんだから出るわけ・・・」
亜嵐ちゃんの目つきが鋭くなる。
そして棚を漁ったかと思うと
「安心して・・・。あるわ。」
コトリ。
「あるの!?何その裏メニュー!?」
「亜嵐の料理や食べ物の出現・・・。やはりおかしいわね。おりん。どうおもう?」
「アタイはやはり来る前にさとり様が言っていた能力によるものじゃないかと。そうじゃなきゃあんなに食べ物をなんでも出すことは出来ませんよ。」
・・・。やはりこの娘も幻想郷の特有の能力と呼ばれるものを保有しているのだろうか?
生憎俺はあまり能力に関してわからないからな。
さとりちゃんが心を読めるというのはわかるが。嫌でもわからされる。
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一先ず、料理をすべて配り終えた。
朝ごはんに俺も食ったが、やはり美味かった。
こんな小さい子が・・・と最初は思ったけど遥ちゃんとかこのくらい小さい時から桐生さんのご飯とか作ってたんだっけか。
あのふたりはもう親子だよなぁ・・・。親子と言っていいものか。
親子では言いきれないけど恋人でもない特別な関係なんだよなぁ、あのふたり。
お客さんの声を聞いてみると、まあまあ上出来と言ったところか。
朝食はこのセットで750円。モーニングにしては少し高いが、ボリュームや使われている食材の手に入れにくさを考えたらまあ妥当だろう。
さとりちゃんが話しかけてくる。
「まさかここまでの味とは。亜嵐の食事はとても美味しいです。」
「亜嵐っていうの?ねえアタイの妹にならない?」
「おりんやめなさい。」
「・・・。秋山がいい。」
亜嵐ちゃん。一蹴。俺の服の袖を引っ張られても困る。
借金取りから助けて以来、かなり懐かれたようだ。
おりんちゃんは灰みたいになってる。こりゃ相当ダメージ受けてんな。
そして、さとりちゃん達はまだ仕事があると言って地霊殿へ帰り、パルスィと勇儀もお代を払い、帰っていった。
その後まあまあの客足だった。
しかし、あのチラシは誰だろうか。さとりちゃんかな?
聞きそびれたし、また来た時に聞こう。
ー日中の部で以下の売上を出しました。ー
総客:130人
総売上:97,500円
返済額:39,024円
今回営業時の従業員:亜嵐、秋山
秋山の取り分:29,238円
ー所持金が29,238円増えた!ー
今回は亜嵐ちゃんと俺しかいなかったので
返済額を差し引いた額を折半した。
「今日途中大変だったね。」
「うん。こんなに来るとは思わなかった。」
透き通った目で表情を変えず、亜嵐は話す。
「多分だけどさとりちゃんのお陰だね。あの子、恐らくだけどチラシ作ってくれてたよ。」
「さとりおねえちゃんが?嬉しい・・・。」
今この場に本人がいたら大変なことになってただろうな。
さて、まだ早計かもしれんがこの調子ならうまくやってけるだろう。
そろそろ自分のことも考えなくちゃあね。
一先ず・・・、さとりちゃんが言うにはここは『地底』。
まずは地上に出なきゃ、帰ることは不可能だろう。
ぽふっ。
っと?・・・あぁ。どうやら、予想外のお客さんの多さに接客やら、調理やらで疲れてしまったんだろう。
亜嵐ちゃん、ぐっすり寝ちゃってるね。
「・・・ま、夜の部までまだ時間あるし、おれも少し休みますか。」
ー夜ー
「秋山・・・、出掛けるぞ。」
「へ?」
亜嵐はさっき起きたがとんでもないことを今言った気がする。
暫くしたらもう開店時間だ。
「これから出来なくなるかもしれないから。早速すぎるかもしれないけど。」
過ぎるよ。うちの知り合いにもそんなフリーダムな人はいないよ。
常識から桁外れで強え人はめっちゃいるけど。
ー幻想郷のどこかー
「「へくしっ!」」
桐生と真島が同時にくしゃみをする。
谷村が
「どうしたんです?風邪ですか?」
「だあほ!ンなわけあるかい!誰かわしらの噂でもしてんのやろ。」
「その可能性は薄いんじゃないかしら・・・。」
霊夢は呟いた。
ー地底 旧都ー
取り敢えず、扉に『本日、夜の部は営業いたしません』とだけ貼り紙を貼り、旧都に出た。
ま、いい時間だし、なにか晩御飯でも食べますか。
「亜嵐ちゃん。食べたいものある?」
「希望はない・・・。美味しいものなら・・・。」
任せられた。うーん。じゃあどうしようか・・・。
赤牛丸か。まー、女性、それにこんな小さな女の子と赤牛丸は流石に・・・。
ん?『赤牛丸』?
「なんでこんな所にあんの!?」
「秋山、ここはどんな店なの?」
「んー、ここは牛丼屋だよ。安いけども肉とご飯を一緒に食べれる店なんだよ。」
亜嵐ちゃんは少し悩むと赤牛丸の扉に貼られている広告を見た。
「・・・!!!(キラキラ」
どうやら興味を持ったようだ。
「ここでいいの?」
「うん。」
ガー・・・
ー赤牛丸 旧都店ー
俺はひとまず大を頼み、亜嵐ちゃんはサイズに悩んでいたが、並を選んだようだ。
「ところで、なんでまた赤牛丸に興味持ったの?」
「この牛丼からなにかヒントを得られそうだったから。ご飯に合う川魚で蒲焼丼とかいいかも。」
それうな丼でいいんじゃないかなァ・・・。
「お!秋山じゃないか!」
おおっとこの声・・・。よりによって今日だけで二回も会うのか・・・。
地底は狭いなぁ・・・。
「何のようですか、勇儀さん。」
「そんな邪険にしないでくれよ!そこの店主に用があってね。あたしからの差し入れとお詫びさ。ほれ、差し入れのうなぎ。」
お、ラッキーじゃん。
「・・・試作品、帰って作らねば・・・!」
口調まで変わるくらいに亜嵐ちゃんのテンションが上がる。
「・・・ん?お詫びだって?」
まさか・・・
「まー・・・、そのなんだ、昨日亜嵐のとこに取り立てに行った3人組の鬼いたろ・・・?アイツら遠いけど私の部下でな。あれほどこっぴどく言ったんだがまたやらかしちまって・・・。」
「それで俺のあの仕打ちと。」
「ああ。確かに、亜嵐の親は鬼の陣営に金を借りた。あと、秋山。お前に話すことがある。」
「・・・?」
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一先ず、取り立てが来ないことが分かったので亜嵐を家に帰させる。
「それで?話すことってのは?」
「亜嵐の事だがな。アイツは一種の座敷童子だ。」
「座敷童子って、見たものに幸運をもたらす?」
「そうだ。でもあいつは少し特殊でな。自分が恩義を感じている奴にその人の助けになることや、幸福を感じれるような物を与えるんだ。」
・・・なるほど。少し謎が解けてきたぞ。
こいしちゃんがプリンを欲しがった時、俺はメニューに無くて困っていたが、亜嵐ちゃんは出した。つまり俺の助けになるから出せたんだ。料理の材料も、料理を作って俺と金を稼いで返済することに俺の幸せを見出したから出来ることなんだろうな。返済って楽しい事じゃないんだけど。
「ただ、ひとつまずい事がある。亜嵐は珍しいタイプで恩義を感じる人を見つけなければ何もモノを出すことは出来ない。だが、出せるようになったらそれ以降妖術とかなんかで簡単に催眠をかけて思い通りに出来てしまうんだ。」
「・・・どういう事だ・・・?」
「亜嵐の親は・・・、まだ近くにいる。亜嵐の親は捨てたのように見せかけたんだ。わざわざ、連帯保証人を亜嵐にして逃げて。」
「それで取り立てから俺のようなお節介さんが亜嵐ちゃんを助けて・・・。」
「恩義を感じて能力に目覚める。親はそれが狙いだ。取り立ても控えろと言ったのにやった理由。・・・怪しいと思い吐き出させたら親にそう指示されたと言っていた。」
・・・まさかあの能力で金を稼いで返済しようと・・・!?
しかも勇儀さんは今、近くにいると言ったな・・・!
「・・・おそらくまずいことが起こる。」
「・・・勇儀さん、俺、行ってくる。」
「ああ、私も後で追いつく!」
トトトトトトトトト・・・
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〜御食事処 ああら〜
「試作品第一号・・・!秋山に食べてもらおう・・・!」
カランカラン・・・
「!秋山!・・・!?・・・おかあ・・・さん・・・!?」
「・・・ごめんね。亜嵐。あなたを置いてどこかへ行ったりして・・・。」
「・・・。」
「でも安心して・・・。これからは一緒に暮らしましょう。お父さんもいるわ。さあ、お母さんの所へ来なさい・・・。」
亜嵐の母親が手を出そうとする。
「・・・いや!・・・来ないで・・・!」
「・・・何で・・・?お母さんの言うことが聞けないの?」
「・・・何も返せて無いでしょ・・・!借金を残したままでこの家を去ってもなんの意味も無い!」
「・・・ガキが偉そうに言うんじゃないわよ!」
「・・・!?お母さん・・・!?」
「いいから来なさい!」
母親が亜嵐の腕を引っ張る。
「いや!」
バァンッ!
「その子の腕を離せ!」
「・・・誰かしら?」
「秋山・・・!」
亜嵐が目を輝かせる。
「ごめんね亜嵐ちゃん。怖い思いさせちゃったね。」
「貴方、どちら様で?人の家の扉をぶち破るなんて・・・。」
「俺はここの飲食店、ああらの従業員、そして、亜嵐ちゃんの『現・保護者』の秋山という者です。」
「あらあら・・・、突然現れて何を言い出すかと思えば・・・。実の親の前で何をおっしゃっているのですか?それよりも、今まであなたがやっていたことは誘拐と同じですよ?親として当然の措置を・・・」
「親として娘を売りに出すのか?」
「・・・。」
「話はすべて知っている。亜嵐ちゃんは座敷童子の中でも珍しい座敷童子だそうだね、座敷童子としての力に目覚めるまで放っておいて、目覚めたら目覚めたで親としての責務も果たせてないくせに娘を売り出すなんて・・・。親失格だな。」
「・・・フン。何を証拠に。」
「証拠はないさ。・・・でもアンタ、今ここで亜嵐ちゃんが能力に開花して、店を経営していることは知っているだろ?なぜそんな都合のいいタイミングで姿を現したんだ?」
「・・・そんな、偶然に決まって、」
「能力に目覚めるまでずっと見てたんでしょ?偶然にしては都合が良すぎる。」
「それだけで証拠になると思いまして?」
すると後ろから人が続々と入ってきた。
「・・・お母さん。悪いね。証拠人は俺だけじゃないんだ。」
「どうも亜嵐の母親。星熊勇儀というもんだ。あんたが娘を嵌めるよう支持したあの三匹の鬼の上司だ。そいつ等もいまここにいるぜ。」
「クライアントのことは秘密にすると言ったがすまねぇ!緊急事態だったんだ!」
「なっ!?あなた達・・・!」
バッ!
一瞬のスキをつき亜嵐が腕を振りほどき、秋山の元へ駆け抜けた。
「あ!亜嵐・・・!こっちへ戻ってらっしゃい!」
「うるさい!・・・アンタなんか・・・!親でもなんでもない!クズだ!」
「ッ!!!!!」
「あーあ。言われちゃったね。そりゃ都合が良すぎますよ。しかも自分を売りに出されようとしたらこう言われますって。」
「・・・嵌めたわね・・・!アンタ達・・・!」
すると、あまり声を荒らげない秋山が、
「いい加減にしろ!」
「!!!!!」
怒気のこもった声にその場にいたものがたじろぐ。
「さっきから聞いてたら何アンタが被害者ヅラしてんだ。今回の一連の事件、どう考えても嵌められてんのは亜嵐ちゃんに決まってんだろ!・・・アンタ、金貸しを舐めたら怖いって聞かない?金貸し同士ってのは意外に繋がってるもんだ。こいつら3人も勇儀さんが聞いたらすぐに吐いたってさ。アンタが亜嵐ちゃんを使って金稼いで、亜嵐ちゃんに借金丸投げして稼いだ金を持ち逃げするっつう計画を!」
「ぐううっ・・・!・・・いいわ。そこまで知っているのなら仕方ないわね。貴方達には・・・、ここで消えてもらうしかないわ。丁度いいわね。あなた達を殺したら、ここを売り払いましょうか。」
「・・・!!!!!やめろ!このクズ!」
「なんとでも言うがいいわ!このガキ!親の言うこともろくに聞けない娘なんて無用よ!」
そう話している間に屈強そうな妖怪達がぞろぞろと入り込んできた。
「・・・秋山。共闘と行こうか。」
「ええ勇儀さん。・・・キミ達。逃げ出すなら今のうちだよ。」
「脅しかしら?私達を嵌めようとした罪。どれだけ思いが知るといいわ!」
VS 亜嵐の母親の手下
「さっ。誰からでもいいぜ。来なよ。」
「フンッ。バカにしおって。まあいい。己の愚かさ、身をもって知るといい!」
3人が束になってかかる。
「そんな一気にくると、どこに来るかわかり易いね。」
あっさり攻撃を避ける。
「さてと。さっさとバカ親を説教したいし、君たちは早々に片付けさせてもらよ。」
そういうと、秋山は三人を一気に蹴りあげ、空中に滞空しつつ蹴りを何発も打ち込んだ!
「フンッハッ!せいっ!」
そして、そのまま三人を一気に扉を突き破るように蹴り飛ばし、店の前の川までぶっ飛ばすように蹴飛ばした!
「これで頭冷やしてきなぁ!!!」
ズゴァッ!!!!!
バギィ!!!!!
「「「ぎゃあああああああ!?」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「アンタら・・・、鬼を怒らせたらどうなるか・・・分かってんだろねぇ・・・。」
「・・・。お。地獄絵図が始まる。」
亜嵐ちゃんは察したようだ。
「・・・お前が手頃そうだ!」
ガシッ
「へ!?」
近くにいた大柄の男を掴み、それをまるで大木のように扱い取巻きをボコボコとぶっ飛ばして行った!
「どうだい!鬼の妖怪を武器にするスタイル!」
「初めて聴いたよそれ。勇儀さん。」
秋山陣営は恐ろしく早く、刺客を倒していったのだ。
「・・・さあ。まだやるかい?クズ親さん。」
部屋の隅でうずくまってる母親に秋山は問う。
「フン・・・!今は見逃してあげるわ!でも今に見てなさい!亜嵐は必ず・・・!」
すると亜嵐は近づいていき、口を開いた。
「・・・お母さん言ってくれたよね。助けてくれた人には恩を返しなさいって。・・・私、お店を経営して借金を返すことが恩返しになるって秋山さんは言ってくれたけど、今私、恩返しができると思うの。お母さんのおかげで。」
「・・・何を言ってるの・・・?」
「!!亜嵐ちゃん!その手にある包丁でまさか!」
「・・・秋山さん。恩返し一つ目。そして、私にとっての第1歩・・・。」
「・・・っ!?きゃあああ!?」
グアアッ
・・・・・・
ところがいつまで経っても包丁は降りてこなかった。
母親が恐る恐る目を開ける。すると、包丁は間一髪、自分の顔のすぐ横に刺さっていたのだ。
「・・・!秋山!どうして止めるの!?」
「亜嵐ちゃん!君はバカか!!そんな事をしても、俺に恩返しにもならないし、君のためにもならない!」
「でもコイツは・・・!コイツは!!!!!」
「言いたい事はわかる!そうしたい気持ちもわかる!でも君がやっちゃダメだ!」
フフ・・・。
「いいわよ、亜嵐。殺しなさい私を。そうすればあなたは救われるわ!」
「黙れ!いいから亜嵐ちゃん!今すぐ包丁を下ろすんだ!」
「・・・秋山・・・。じゃあ・・・!じゃあどうすればいいの!?コイツは秋山にひどいことを言った!今までの行動に反省も後悔もしてない!こんな悪の塊をどうしろって・・・!」
「いいんだ。ここは俺に任せて。・・・いいかな、お母さん。」
「・・・何よ。諦めないわよ。私は。」
その言葉を聞き、秋山はにこりと笑う。
「ええ。構いません。ですが、この子は地底の者全員で保護します。それは地霊殿の古明地さとりにも了承を得ていることです。もし、あなたが再び亜嵐ちゃんに危害を与えるようなことをするのならば・・・。こちらも地底の総力を挙げて、対応致します。その際命の保証は・・・、致しませんので・・・。」
その瞬間、母親を除いた秋山を含む、地底全体が母親に対する殺気になった。亜嵐の母親はそれに耐えきれなくなり、そのまま腰を抜かしてしまった。
コツコツ・・・
「・・・あ。さとりちゃん。」
「彼女は大罪人として地霊殿にある牢に収監するわ。何か問題を起こそうものなら私の能力で想起させますので。」
「そうか・・・。任せたよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母親が連行されていく。
その間も目は虚ろのままだった。無理もないか。何せここにいる奴だけじゃなく地底全体から自分に殺気を向けられたんだから。
・・・さて。
「亜嵐ちゃん。」
「・・・何で・・・、あいつを殺さなかったの。」
「・・・亜嵐ちゃん。」
「あいつは死んで当然だ!殺したっていいじゃない!」
亜嵐が声を荒らげる。
しかし秋山も
「馬鹿なことを言うんじゃない!君は死ぬよりもひどい仕打ちを受けていたんだ!だったら彼女にはそれ相応の対応が必要だろ?」
「・・・でも!きっとあいつはやって来る!しつこく!ずっと!」
「・・・その為にみんないるんだよ。さっきも言っただろう?地底の総力をあげて君を守るって。安心して。嘘じゃない。僕は外来人だからずっとは無理だけど、ここにいる者全員、君のことを守ってくれる。」
「本当・・・だよね・・・?」
「ああ。約束する。」
「・・・うん。ありがとう!秋山!」
亜嵐ちゃんは笑って見せた。目に涙は浮かんでいたが、それは悲しみの涙じゃない。そして最初会った時よりも確実に目に輝きが戻っていた。
「さ!もうこんな時間だ!」
気づけばもう朝近い。みんなもう目が冴えちゃっている。
「開店準備。する?」
「・・・秋山。開店準備!」
「ああ!」
そうして、御食事処ああらは旧都の名所となっていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
亜嵐との絆ゲージがMAXになりました。
この状態で御食事処ああらに行くと何かいいことが・・・!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
to be continued…
さて、次回は地底編から地上編へと移ります。