地上ではまた変わった出会いがあるそうで・・・。
母親を撃退後、ひとまず店を開くことにした。
どうやら、あのチラシは地底中に回っているらしく、地底の殆どの人が来てくれた。
「これもさとりちゃんのお陰だね。」
「いえ、私は何も・・・。あんな質素なチラシで来てくれて運がいい限りです。」
「またまたご謙遜を。」
だが、そろそろ出発しないとな。
俺もここでずっといる訳にはいかない。
花ちゃんも怖いしね。
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「地上へ出たい・・・?」
さとりちゃんに話す。
取り敢えずこれで何とかなるだろう。
「ええ、分かりました。おりんに手配はしておきます。その間に秋山さんは挨拶を済ませてきてくださいね。」
「ああ。ありがとう。」
ー旧都ー
・・・ひとまず、勇儀さんかな。
ま、今回だけは受けてあげますか。
「お、秋山じゃないか!珍しいじゃないか、お前から来るなんて。」
「いえ、今日は挨拶ですよ。地上に出るんです。」
「・・・やはりそうかい。お前は外来人だからな、いずれは帰らなくちゃならん運命だ。亜嵐には言ったのかい?」
「いいや、まだですよ。・・・あの子には最後に言おうと思いまして。」
「ま、それがいいだろね。あと、女の勘は舐めちゃいけないよ?」
「?」
「あの子もそこまで鈍感じゃないってことさ。・・・ところで秋山・・・。まだ時間はあるかい?」
来た。
回復薬とかはかなり買ってきた。
準備は出来ている。
「ええ。まだ余裕はあります。」
「そうかい。なら、『地底での』最後の喧嘩やろうじゃないか!」
「・・・変わりませんね最後まで。いいでしょう。受けて立ちますよ!」
_人人人人人人人人_
> VS 星熊勇儀 <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
「いくぜ秋山ァ!」
ドヒュンッ!!!!!
足を踏み込んだ瞬間に近付いてくる。
やはり勇儀は相手にするだけで怖い。
「くっ!」
秋山は緊急にガードで対応するが弾かれる。
「どうした動きが鈍いぞ!」
すぐさまパンチが飛んでくるが、どうにか避ける。
大振りなため多かれ少なかれスキができる。
「くらえっ!」
スウェイを入れながらキックをかまそうとするが、あまりダメージにはならなさそうだ。
「甘い!」
後ろに回し蹴りが飛ぶ。
ズゴッ
もろにくらった訳では無いがやはり応える。
「くぅっ!とんでもないキック力だ相変わらず・・・!」
秋山は全力で勇儀に向かって走る。
「うおおおお!」
「どうした!血迷ったか!?」
「そんな訳ないでしょう!」
そしてそのまま飛び蹴り!
「だろう!?見えて・・・!?」
「なんちゃって。」
とはいかず、そのままスライディングで背後に回り、コンボを食らわせた!
「ぐがぁ!?やはりやるねえ!戦う間でもところ構わず奔走するスタイル!嫌いじゃないよ!」
「まだまだ!」
振り向いた所に蹴りを入れる。
が、ガードされる。しかし、勢いは強く、勇儀のガードは崩れる。
「甘い!たぁッ!」
「ぐあっ!?」
逆境の極みを決められてしまった!
くうっ!受け身をとりたいが・・・!
「これからだ!」
ドヒュンッ!
「ホーミングッ!?」
・・・ッ!閃いた!
本能的に秋山は足に地面を付け、勇儀の手を掴み、勇儀のダッシュに勢いを利用し、後ろに流して逆サマソで蹴りを入れた!
「うごおッ!?さっすが秋山。飽きがこないねえ。」
「秋だけに?」
「やかましい。」
ー 窮地の極み を習得しましたー
「さあ、来ないんですか?」
「いいだろう。喧嘩はまだこれからだっ!」
ドドドドドッ!
「二人共なにやってるの?」
ピタァッ
「・・・やあ、亜嵐ちゃん。(ニッコリ」
「・・・やあ、亜嵐。(ニッコリ」
視線が痛い。まあこっちは収穫があったからよかったけど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やはり鬼も子供には弱いんですね。」
「年端もいかない子供の願いだとな。・・・秋山。負けたよ。」
「え?いやいや・・・、」
「いや、私がガードを崩された後、あの切り返しからの追撃で完璧に決まると思っていた。だがお前はさらにその状態から私に反撃、それもかなりの強めのをしてきたからな。技で負けたよ。」
鬼に認められてしまった。
グイグイ
「ん?どうしたの亜嵐ちゃん?」
「・・・秋山、今日様子が変。勇儀を避けてたのに楽しそうに戦ってた。別れを惜しむかのよう。・・・もしかして、・・・地上に出るの・・・?」
・・・女の勘は鋭いってそういう事か。
「ああ。・・・俺も外来人だ。いつかは帰らなくちゃあね。」
「・・・そう。・・・でも、帰る途中に寂しくなったらいつでも、いつでも来てね。」
「・・・ああ。」
ザッザッ・・・
「さとりちゃん。・・・みんなも。」
「秋山さん。・・・あなたの居場所は幻想郷にもあります。いつでもいいので、この地底に戻ってきてくださいね。」
「・・・ああ。でも、これが最後になるかもね。」
「スーツのおじさん!」
「お空ちゃん。」
「私、みんなからバカって言われるけど、あなたのことは忘れないよ!だって・・・。地底に新しい友達を作ってくれたから!」
そのとき、亜嵐の目にはさざ波のような輝きがあった。
「・・・うん。亜嵐ちゃんと仲良くね。」
「うん!」
「さ、秋山さん。行こうか。アタイについて来て。」
「ああ。お燐ちゃん。頼むよ。・・・それじゃみんな。お世話なったね。・・・これが最後になるかも知んないけど。またね。」
ザッザッザッ・・・
「あーぁ。年甲斐にもなく泣いちゃいそうだよ。」
「イイトコでしょ地底。秋山さん。また来る気は無いのかい?」
「ま、地上に出たあと幻想郷を去るのが予定だからね。」
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「秋山さん・・・。(・・・これが最後になるかもって・・・嘘つき。『また来るよ』って・・・。心では思ってるじゃないですか・・・。)」
「・・・さとり。なぁに泣いてんだ。珍しい。」
「むぅ~・・・。」
「あっはっはっ!たしかにあいつは・・・、人間にしては出来たやつだったね。な。亜嵐。・・・あれ?」
「亜嵐ちゃんならさっき走ってったよ?」
「え!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここが出口の大穴・・・。確かに飛べなきゃ出れないね。」
「さっ、これに乗って。」
出されたのは手押し車。しかしお燐は地獄猫なので・・・
「前々から聞こうと思ってたんだけど、これ霊柩車?」
「これしかないんだからわがまま言わないの。」
「死ぬ前に乗りたくなかったなぁ・・・。」
「秋山!」
後ろから聞き覚えのある可愛らしい声で呼ばれる。
「亜嵐ちゃん・・・!?」
「・・・これ・・・。あげる・・・。」
渡されたのは、まるで、亜嵐の瞳のように、さざ波が揺れ動くようにも見える透き通った綺麗な石のネックレスだった。
「・・・ありがとう。大切にするよ。」
「・・・!ありがとうっ・・・!」
「じゃあね。・・・亜嵐ちゃん・・・。」
「・・・うん。また、会えるよね。秋山。」
「・・・ああ。きっとね。」
「・・・さ、しっかり乗ったね。出発するよ。」
フワッ・・・
お燐の霊柩車にのせた、一人の心優しい外来人は地底を抜け、地上へと帰っていった。
ある1人の座敷童子はありがとう、ありがとうと言いながら、涙を流し見上げることしか出来なかった。
「いい娘さんだね。」
「冗談はやめて欲しいねお燐ちゃん。俺は独身だよ。」
「嘘でしょ!?・・・でも、綺麗だね。その石。」
「ああ。・・・これはどんな女性からのプレゼントよりも忘れられない物になるかもな。」
「・・・さ。秋山さん。そろそろ地上だよ。・・・ここでアタイからもプレゼント。」
ちりりーん・・・
「・・・鈴?」
「これを地上の大穴の前で鳴らすと私が出てくるよ。降りたい時に鳴らしてね!・・・て言ってもまあ、秋山さんには必要ないかな・・・?」
「いや、ありがとう。」
「あともう1個。・・・これは注意なんだけど、最近地上に『悪魔の妹』っていうバケモノが幻想郷各地で出没してるんだって。幸い地底にはまだいないけど、地上を出歩くから、気を付けてね。さ。地上についたよ。」
「ああ。忠告ありがとう。」
ストッ。
「ん。久々に、太陽を見た気がするな。」
「アタイも。・・・ここを真っ直ぐ行けば妖怪の山っていう場所の陣営に入らずに人里に出れるよ。これ、幻想郷の地図だから。参考程度に。その人里で聞けば、その博麗神社にたどり着けるから。」
「ありがとう。世話んなったね。」
「うん。じゃあね、秋山さん。」
にゃーん
「・・・相変わらず去る時は変な効果音だな。」
さ。ここをまっすぐ行くと人里だと言っていたな。
少しばかり歩いてみよう。
ー人里ー
「・・・本当だな。かなり発展している。」
電気もあり江戸時代よりは発展しているしよく分からないな。幻想郷は。
「寺子屋・・・か。たしか、今で言う学校だったかな?」
「寺子屋に何か用かな?」
女性に突然話しかけられる。
「ああすみません。」
「いや、驚かせてしまったようで悪かった。私は上白沢慧音。ここの教師だ。」
先生か。・・・。
「俺は、秋山駿です。いま、博麗神社を目指してましてね。」
「・・・その格好・・・博麗神社・・・。貴方もしかして外来人かな?」
「ええ、まあそんなところです。」
「ならちょうど良かった!今寺子屋に講師としているけど外来人の男がいてね。君もここまで歩いてきて疲れただろう。彼も私の家にいるし、休むといい。その男も紹介するよ、」
ー慧音の家ー
「お邪魔しまーす。」
「今帰ったぞ。『サエジマ』。」
・・・ん?サエジマ?・・・いやいや、そんな事は無いだろう。
・・・いや、有り得るのか・・・?
「遅かったやないか。補習か?」
「いやそういう訳でもないんだが・・・。あ、そうそう、君に紹介したい客人がいる。」
「俺にか?」
「・・・どーもー・・・。やはりそうでしたか・・・。冴島さん・・・。」
目の前にいる男。冴島大河。
俺の知る限り、桐生さんと同格、もしくはそれ以上の力を持つ常識破りな人。まあ基本的に優しい人だが。
「っ!?秋山やないか!お前もここに来とったんか!」
「やはり知り合いか!」
ーおっさん同士説明中ー
「ほなら、秋山はその地底っちゅうとこに目が覚めたらおった訳か。」
「ええ。それで、冴島さんはどこで?」
「・・・それが、覚えとらんのや。気が付いたら寺子屋におってな。」
「冴島は私の家の前で倒れていたよ。重くて運び込むのが大変だったさ。」
ご苦労さまです。
・・・ん?でも冴島さんって・・・。
「今、ムショにいたんじゃ・・・。」
「ムショには入ったが、かなり短なった。今は仮釈放中や。月見野についたん瞬間気ぃ失ったんは覚えとる。ま、失ったというか何かに飲み込まれた感じやな。」
「俺もです。あの異様な空間に飲み込まれた感じ。」
あの時の気分の悪さと言ったら。
「そういえば、冴島。明日、出発日だろう?」
「ああ、せやな。午前まで寺子屋を手伝って、午後に出るんやったな。夜には着くんやったか?」
「少し予定変更だ。・・・一度、迷いの竹林に向かう。」
迷いの竹林・・・。あ、地図でいうここか。
「そこに何か・・・?」
「いや、何かある訳では無いが、人に会っておきたいんだ。」
「ああ、妹紅の事やな。アイツには帰る前に一言残しとかなアカンな。」
冴島さん、ホントいい人。
「それに、寺子屋もあの『悪魔の妹』のせいで、明日から休校をせざるを得なくなってな。私も私で暇なんだ。朝から出発に変更で構わないか?」
「ああ。はよ帰れた方がええやろ。」
「秋山さんも泊まっていくといい。今日はもう遅いからな。君も地底から出たばかりで疲れただろう。」
「あ、そうですか。ありがとうございます。」
「・・・あ。そういえば妹紅の所にも外来人がいるって言ってたな。」
え?
「最近は外来人が多い。幻想郷の結界は大丈夫なのか・・・?」
「・・・ん?なんか言ったか?」
「いいや、気にしないでくれ。」
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ー迷いの竹林 妹紅宅付近ー
「おっ!あったあった!これは大きい筍だ!」
「なんか・・・、お前上手くなってないか?筍掘り。」
「そりゃ、3日もやってたらね!上手くなるよ!」
「というよりこの3日間あんたが外の世界の如何わしい店の情報誌を書いてるってことに驚いてんだが・・・。」
妹紅の目の前に立つ男。そして、妹紅が言った如何わしい店の情報誌を書く。いわば風俗ライター。
だが、その男は風俗ライターの仕事には不相応な体格をしていた。
「ま、明日客人が来るから。沢山とっといてくれ。品田。」
「ああ、わかったよ妹紅ちゃん。」
「ちゃん付けやめ。」
「もこたん。」
「燃やすぞ。」
「サーセン。」
to be continued…
という訳で、次回から第二部中編『剛柔』秋山&冴島編です。
品田の出番はチラチラとありますが、主となって動くのはまだ先です。