Side 篠ノ之 楓
「モデルのバイト?」
「ああ」
10月の第2月曜日の朝、食堂で朝ご飯を食べている時のこと。
朝から仏頂面をした箒姉さんが、不機嫌そうに頷いた。
出し巻き卵をお箸でつまんだ状態のまま、私は不思議そうに首を傾げる。
「・・・箒姉さん、芸能界デビューするの?」
いや、そりゃ箒姉さんはそこらのアイドルに負けないくらい綺麗で可愛いけど。
でも箒姉さんって、そう言うキャピキャピしたのって苦手だったと思うんだけど。
私も束お姉ちゃんの所にいた頃に、くーちゃんさんと雑誌眺めたりしてたことがある程度だけど。
でも、芸能界デビューが凄いってことくらいはわかるよ。
「しない」
「えっとね、楓。箒は・・・と言うか、箒と一夏はね、候補生がやる仕事をしないかって言われてるんだよ」
不機嫌そうな箒姉さんに代わって、何かと面倒見の良いシャルロットさんが説明してくれる。
何でも代表候補生は、その国のイメージアップを兼ねてモデルとかタレント的なこともするんだって。
国家公認アイドル・・・みたいな感じ?
まぁ、候補生って基本的に10代の女の子だしね、見栄えは良いのかもしれない。
国のイメージアップ以外にも、それで開発資金を出してくれるスポンサーを探すこともあるんだって。
ふーん・・・束お姉ちゃんの所にいた頃は、開発費とか全く考えたことも無かったけど。
まぁ、第3世代試作機とかになると開発費が1機で50億ドルとかザラにあるもんね。
・・・そう言えば、束お姉ちゃんってお金とかどうしてるんだろ?
「黛先輩のお姉さんが出版社の人らしくてな、独占取材したいって言ってるらしいんだよ」
「何よ一夏、モデルやったことないわけ?」
「あるわけないだろ、と言うか俺なんて取材しても何も面白く無いだろ・・・」
「そ、そんなことも無いんじゃない?」
「そうかー?」
困惑顔の一夏さんに、鈴さんは若干顔を紅くしながらモデルを控え目に勧めてる。
ふーん・・・黛先輩が持ってきた話なんだ。
「それで・・・具体的には、どう言うことするの?」
「そうですわね・・・ええと、ああ、ちょうど良いですわ。ちょっと特殊ですが、ああ言うことをされる候補生の方もおりますのよ」
「うん?」
反対側に首を傾げながら聞くと、ラウラさんとパスタを食べてたセシリアさんが、ついと食堂備えつけの巨大モニターを指差した。
そこには、どうも外国の有名なアイドルが昨日の夜にやったらしいライブのニュースが流れていて・・・。
◆ ◆ ◆
―――日本時間、12時間前―――
◆ ◆ ◆
イギリス、バーミンガム。
野外に設営されたステージを中心に、人々は興奮の渦中にあった。
『Muito Obrigadoa―――!』
金髪の髪がスポットライトを反射し、ライトブラウンの瞳が観客のライトを映す。
その身に纏うのはアイドルらしいドレスでは無く、黒茶色のIS。
色合いと丸みを帯びたヘッドギアのおかげで、遠目に見るとクマのようにも見える。
母国語でお礼を言いながら、舞台の上で手を振るアイドルの姿に観客は歓声を上げる。
すでに夜遅く、夕方から始まったライブも佳境を過ぎ、終わりへと向かっている。
マイク片手に野外ステージから裏へと引っ込んで行くアイドルの少女の背中には、ファンの歓声がいつまでも届いていた・・・。
「お疲れ様、アルト。今日も良かったわよ」
「ふふふん、まぁねー」
深緑色の制服―――マネージャーと言うよりは軍人に近い―――を纏った妙齢の白人女性にステージ裏のトレーラーで出迎えられて、アルトと呼ばれた少女は黒と茶のISスーツを纏いながら座席のシートに深く腰掛ける。
この2人は、共に欧州・・・ポルトガルの軍関係者であり、アルトに至っては専用機持ちの代表候補生である。
代表候補生は―――特に欧州で顕著だが―――彼女のようにアイドル活動をしたり、あるいはモデル業に携わったりして祖国のイメージアップ・IS開発のスポンサー獲得に従事するのである。
「イギリスのティアーズ社とタイアップした今日のコンサートの成功で、我が国のIS開発資金の目途が立ちそうよ」
「英国人は金持ちだからねー。まぁ、せいぜいウチのISにつぎ込ませて貰えば良いよ」
ファンが聞いたら激怒しそうな会話を交わしつつ、2人は「次」の予定について話し合う。
「それに、イタリアに買収されてからデュノアが元気だからね・・・」
「テンペスタ型の生産を欧州全体で行う体制を整える狙いね。おかげでこっちの仕事は山積み」
「はいはい、親会社には従わないとねー」
デュノア社・・・つまりフランスとイタリアがIS開発において資本・技術提携に入って以降、欧州のIS開発の勢力図は大きく変わった。
仏伊連合と英独連合、この半年で欧州はこの2勢力に投資と技術が集中しつつある。
なお、ポルトガルのIS関連企業は大半が英国国営投資会社の出資下にある。
「ま、そろそろ国がIS開発を支え切れなくなってるからねー・・・」
ISの開発には、膨大な資金がかかる。
そして単独で開発費を賄えるのは巨大な外貨を持つ日中アジア二強と、世界最強の軍事大国アメリカぐらいなものである。
それ以外の国は・・・多かれ少なかれ、似たような事情で無理をしているのだ。
「で、次はどこに行くの? 東欧とか?」
「惜しいわね、極東よ」
全然惜しく無い。
「極東・・・日本へ。アイドル業、そして・・・」
「・・・ふん?」
マネージャーが続けた言葉に、アルトはふんふんと頷く。
頷いて・・・どこか怜悧に、微笑んだ。
「了解、アルト・・・アルトゥール・カスティーヤ・メネセスと『ベルナルディーノ』、「彼女」を殺しに・・・日本へ」
◆ ◆ ◆
―――日本時間、12時間後―――
◆ ◆ ◆
Side セシリア・オルコット
「・・・と言うように、中にはアイドル稼業を兼ねる候補生もいるのですわ」
「へぇ~」
「大体、どこの国にも1人はおりますのよ。もっとも、彼女のように国を超えて有名になる例は珍しいですが・・・って、皆さん、聞いてますの?」
感心したように頷いてくれるのは楓さんだけで、他の方は黙々と食事を続けています・・・失礼しますわ!
この私がせっかく説明しておりますのに、まったく。
「詳しいんだね、セシリアさん」
「ふふん、それほどではありませんわ。とは言え私も少々、ポルトガルの事情は存じておりますの」
「そうなの?」
「ええ、ポルトガルは我が英国の古くからの同盟国ですので・・・交流も深いんですの」
先程、テレビに映っていたアルトゥールさんとも、欧州連合の候補生交流などで良く顔を合わせておりましたの。
特にポルトガルとは、大西洋のアゾレス諸島で年に何度かISの共同訓練を実施しておりますし。
アルトゥールさんと初めて出会ったのも、そう言えばアゾレスでしたわね。
「まぁ、そう言うわけで・・・候補生なら、モデルの一つもするわけよ。人によるけどね」
「人の台詞を!?」
「はいはい・・・で、箒、やるの?」
「やらん」
鈴さんが私を宥めながら箒さんの方を向くと、やはり箒さんは不機嫌そうに拒絶の意思を見せましたわ。
まぁ、箒さんの性格からすると難しいでしょうね。
一夏さんも、そこまでやる気があるようには見えませんし。
代表候補生ならいざ知らず、国家に所属していないお2人ではモチベーションも上がらないでしょうし。
「楓はやらないのか?」
「ちょ、バ・・・!」
「んー、私は学園から出れないから」
「あ・・・」
鈴さんが止めようとするのも間に合わず、しかし楓さんは気にした風も無く、さらりと一夏さんの声に答えます。
あんまりにもあっさりと答えられるので、苦労症のシャルロットさんも困っている様子ですわ。
「・・・バカ共が」
「ラ、ラウラも・・・もう!」
「良いよシャルロットさん、本当に気にして無いし、不自由も無いしねー」
・・・まぁ、そこまで砕けられても反応に困りますけど。
「まぁ、ちょっとは興味あるかな。だってISとセットでやるんでしょ?」
「いえ、そう言うわけでは無いのですけど・・・」
まったく無関係では無いですが、基本的には候補生をプッシュする事業ですので。
と言うか、年頃の女性ならもう少し別の点に関心を・・・。
「・・・やる」
「はい?」
「モデル、やっても良い。一夏もだ」
「え、俺も?」
・・・は?
「「「「えええええええぇぇぇ―――――っっ!!」」」」
突然の箒さんの翻意に、私達は驚きの声を上げました。
え、何故ですの?
いったい、今の会話の間に箒さんにどのような心境の変化が・・・!
Side 篠ノ之 楓
いやぁ・・・箒姉さんがまさかモデルをする気になるなんて。
正直、驚いた。
箒姉さん、そう言うの嫌いだと思ってたから。
「それでは、今日の授業は1組と4組の合同で行う」
おっと、千冬姉様の授業を聞いて無いとか死ぬ所だったよ。
千冬姉様の言葉の通り、午前の授業は第3アリーナでの実戦授業。
ちなみに午後はいつもの通り整備の授業、2年生になるまではどっちもやるからね。
そして4組との合同授業と言うわけで、私の隣にはISスーツ姿の簪ちゃんがいる。
黒い生地にオレンジ色のラインが入った、日本製のISスーツ。
ちなみに『打鉄弐式(うちがねにしき)』もちゃんと修理済み、思ったよりも軽い損傷だったしね。
そもそも、コアが傷付かない限りISはどれだけダメージを受けても修理可能だから。
「では、最初の模擬戦だが・・・1組は織斑」
「もしかして、簪ちゃんかな?」
「え・・・・・・・・・うん」
千冬姉様の言葉に、4組の専用機持ちである所の簪ちゃんが相手になるのかなと想像する。
でも簪ちゃん、その長い間は何なんだろう。
ちなみに、私と簪ちゃんは手を繋いでるよ。
食堂での騒動以来、一緒にいる時は何かとスキンシップが増えた気がする。
「・・・な、なぁ、セシリア。女子同士で手を繋ぐのは、その、普通なのか・・・?」
「わ、私に聞かれましても・・・」
でも最近、私が簪ちゃんと仲良くしてると箒姉さんがうろたえるんだよね。
・・・何でだろ?
「・・・あれ? そう言えば・・・」
右手は簪ちゃん、そして左手は・・・と言う所で、ふと気付く。
左手が空いてることに不審を覚えた私は、きょろきょろと周りを見渡す。
・・・いない?
「簪ちゃん、本音ちゃん知らない?」
「え、と・・・」
「そこの百合少女共、私の授業で私語とは良い度胸だな。よほど舌がいらないと見える」
はい、静かにします。
私と簪ちゃん(8割は私だけど)が静かになるのを確認すると、千冬姉様は今度は腕時計を確認した。
それから、ピットの方を見て・・・。
「お、お待たせしました~」
「山田先生、彼女の準備は?」
「い、一応・・・でも、大丈夫なんですか?」
「ええ、先方の許可は取っていますから」
・・・?
何の話をしてるんだろう、と思って、アリーナのBピットからやってきた山田先生の後ろを何となく見る。
・・・あれ? あのピットから出て来たのって、え、もしかして・・・。
・・・そう言えば、千冬姉様にタッグマッチトーナメントに強制参加させられた時。
その時、傍にいたって理由で私とタッグを組むことになってたけど・・・実際の所。
「お、おお・・・おお~?」
「早くしろ、時間が無いんだ」
「は、はぁ~い~」
実際の所、初めてかもしれない。
「千冬ね・・・じゃない、織斑先生、もしかして俺の相手って・・・」
「見ての通りだ、織斑・・・今日のお前の模擬戦の相手は」
使用機体は、『打鉄(うちがね)』。
どこかヨタヨタと頼りなくISを動かす姿は・・・いつもと違って、袖の無いISスーツ。
意外とスタイルの良い身体が、今は無骨な鎧武者を思わせるISの装甲に覆われている。
「・・・布仏妹だ」
実際の所、本音ちゃんがISをちゃんと動かす所って、見たことが無いんだよね。
あと千冬姉様、姉妹の呼称方法が同じだよ。
Side 篠ノ之 箒
・・・布仏、本音。
我が1年1組の中で最ものんびり屋で、マイペースで、あと・・・何だ、ゆっくりな女子だ。
寮でも教室でも袖の長い服を着て、お菓子片手にぼんやりと歩いているのがイメージだ。
プロフィールの細部をさらに詰めれば、生徒会役員であり同じく役員である布仏虚と言う姉がいる。
そして楓と簪の親友で、最近は良く手を繋いで一緒にいる所を見かける。
何でも、生徒会長の家に古くから仕える家柄だとか何とか、聞いたことがあるような。
「の・・・のほほんさん?」
「わぁ~、おりむーだ~」
「え・・・いや、マジでのほほんさん!?」
一夏が驚愕の声を上げているが、実はクラス全員が驚い・・・と言うより、引いている。
ISを含め、体育系の教科で常に最下位を独走する女子、それが布仏本音だからだ。
それは本人の努力がどうと言うよりも、性格的な問題だと思われる。
いや、とにかく・・・。
「え・・・ちょ、千冬姉、冗談だろ?」
「織斑先生と呼べ。そして、冗談では無く本気だ。今日のお前の相手は専用機体持ちでは無く、量産機の布仏妹だ」
「いや、え・・・でも、ええ? マジでぇ!?」
・・・千冬さんは、本気のようだった。
ザワザワと騒がしくなる女子の集団の中で、私は本音と同じ生徒会役員のシャルロットを探した。
「し・・・シャルロット、シャルロットは、その・・・見たことがあるのか?」
「いや、無い・・・けど」
流石のシャルロットも歯切れが悪い、それはそうだろう。
本音は・・・普通のIS授業でも、そこまで凄い操縦をした所を見たことが無い。
と言うか、ISでコケるのを見た覚えがある。
あれは、未知の体験だった・・・じゃなくて。
「でも、何で布仏さん・・・?」
「織斑くんも専用機持ちになって半年経ってるし、流石に・・・」
「いつもセシリアさん達と模擬戦してるもんね・・・」
「うるさいぞ小娘共! 黙って見てろ!」
小声で囁く女子達を、千冬さんが黙らせる。
私はその中には加わるつもりは無いが・・・おそらく、ほとんどの者が同じ思いを抱いていたはずだ。
一夏が全戦全敗とは言っても、それは専用機持ちを相手にした場合だ。
まして一夏はこの半年、代表候補生のラウラやセシリア、鈴やシャルロットを相手に毎日のように模擬戦をし、最近では会長の手ほどきも受けている。
その凄まじさは、もはや私が一夏の世話を焼けなくなってしまう程で・・・いやいや。
とにかく、いくらなんでも。
「どうする、織斑。自信が無いならやめても良いが」
「自信って・・・いや、でもさ」
「図に乗るなよ織斑、いつから相手を見下せる立場になったんだ?」
・・・私も一夏も、専用機持ちの中では最弱の部類に入る。
だがそれでも、それでもだ。
第4世代機の機体性能は、それを補って余りある。
それが・・・あの人の作った機体なら、なおさら。
「賭けても良い、お前は負けるよ」
「・・・わかった、やるよ」
千冬さんのあからさまな挑発に、一夏は乗る。
一夏は他の誰に何を言われても平気かもしれないが、千冬さんだけは別だ。
千冬さんだけが、一夏の心を抉ることができる。
場違いとはわかっていても、少しだけ嫉妬してしまう。
それは、私にはできないことだから。
「と言うわけで・・・のほほんさん、悪いけど」
「ほいほい~、限定ケーキのために頑張るよ~」
「そんなモンで買収されたの!?」
アリーナの中央―――本音が飛ばないので、『白式(びゃくしき)』を展開した一夏もそれに合わせて地上で―――2人が向かい合う。
ただ中央に向かうだけで、本音は二度ほど転びそうになっていたが。
「それでは―――・・・」
千冬さんの声に、一夏が『雪片』を構える。
ただ『雪羅』は展開せず、近接ブレードの状態で・・・一夏の本音への遠慮が見て取れた。
場が静まりかえる中で、2人が真剣に・・・いや、本音はやはりのほほんとしているが。
「・・・始め!」
「でやああああああぁぁぁっ!!」
千冬さんの開始の合図と同時に、一夏が一気に飛び出した。
近接ブレードを振り上げ、ぼんやりと立っている本音に迫る。
一方、本音はそれに・・・。
「おお~、速いね~」
酷く・・・酷くのんびりと反応を返した後、後ろに一歩下がろうとして。
グギッ。
何故か、その一歩を踏み外した。
人間で言う「足首を捻った」ような状態になって、地面に仰向けに倒れ・・・いや、コケた。
鈍い金属音を立ててコケた本音の上を、一夏が通り過ぎる。
振り抜いた近接ブレードが、虚しく空を切った・・・。
Side 更識 簪
本音は・・・のんびり屋さん。
普段もそうだし、いつだって・・・そう。
のんびり、ぽややんとしてて・・・昔から、虚さんがしっかりしてて。
優秀な虚さんの陰に隠れて、本音はいつものんびりしてた。
皆からは誤解されてるけど・・・虚さんは、本音を甘やかす人。
いつも自分が頑張って・・・本音には、仕事を回さない人。
そして、本音は・・・。
「の、のほほんさん、大丈夫か?」
「あはは~、大丈夫大丈夫~」
楓と手を繋いだまま・・・本音の模擬戦を、見てる。
本音が試合をするの、凄く久しぶりかも・・・。
「そう言えば、私も本音ちゃんがちゃんと試合するのを見るの、初めてかも」
「楓は・・・そうかも」
「簪ちゃんは・・・あ、そうか、幼馴染だもんね」
「うん・・・」
アリーナの中心で起き上がった本音は、今度はちゃんと構える。
腰を低くして、両手も下げて・・・『打鉄(うちがね)』を、止める。
待ちの、姿勢。
焦れた織斑くんが、迷いながらも攻撃に入る。
近接ブレードを振り下ろして・・・本音が驚いて、慌てて横に動く。
・・・また、コケた。
「本音ちゃんって、強いの?」
「えっと、ね・・・本音の家はね、昔から・・・更識の従者の家系で・・・」
でも、本音は8歳の頃から・・・日本製第一世代IS『鉄(くろがね)』の時代から、ISに乗ってるから。
虚さんと一緒に、布仏の家で・・・ずっと、鍛えられてるから。
対暗部用暗部、更識家・・・守護、布仏家。
その存在理由は、更識を守ること。
そして・・・更識の、忠実な「影」であること。
織斑くんの攻撃を・・・本音はかわし続ける。
コケて、ヨロめいて・・・「はにゃ~」とか言いながら、でも。
攻撃は、当たらない。
「くっ・・・このっ!」
最初は困惑してた織斑くん、でも今は・・・ちょっと、焦ってる。
本音は最初の位置から動かないし、飛ばない。
だから織斑くんがいくら高速で飛べても・・・意味が、無い。
「本音は、ね・・・」
私の、影。
虚さんが楯無姉さんの影であるように・・・本音は、私の影役。
主人より目立たず、そして主人と同じ目線で物事を判断できるように。
いつも一緒に・・・寄り添って、守る。
私の・・・幼馴染(しんゆう)。
「本音は、本当は・・・」
「うおおおおおおおぉぉっ!!」
織斑くんが、『雪片(ゆきひら)』を振り下ろす。
『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』、コケる暇も無い速度。
他の人にどう見えたのかは、わからない、けど。
私の目には、普段は細くて見えない本音の目が・・・一瞬だけ、開いて見えた。
本音の瞳が、見えて。
それから本音が、しゃがむ・・・コケるんじゃなく、屈む。
本音の上半身があった部分を、『雪片』の刃が通過する。
風切り音・・・そして、その向こうの地面が風圧で削れる、凄く強い一撃だったことがわかる。
「本音は、本当は・・・私より」
本音が地面に両手をついて、逆立ち。
足で輪を作るようにして・・・そこ輪の中に、直線的に飛び込んできた織斑くんの身体を挟む。
『打鉄(うちがね)』の足が、器用に『白式(びゃくしき)』の首を極める。
それから・・・。
『白式(びゃくしき)』の機体にかかる加速の慣性を利用して、落とす。
何て言うのかな、アレ・・・ふらんけん、しゅたいなー?
・・・鈍い音を立てて、織斑くんの頭が地面にめり込んだ。
「本音は、本当は私より・・・強いんだよ」
更識家守護・・・布仏流古武術、免許皆伝。
柔拳士、布仏本音。
その場の空気が、騒然としてた・・・。
Side 篠ノ之 楓
何と言うか、本音ちゃんの戦い方は独特だった。
こう、直接攻撃はしないんだけど・・・。
一夏さんの攻撃を、本音ちゃんは「コケる」と言う画期的な方法で避け続ける。
いや、正確には避けようとしてコケてるわけから、結果として避けてるんだけど。
本音ちゃんは地表から動かない、それで一夏さんは高速機動能力を活かせない。
本音ちゃんは攻撃しない、だから『雪羅(せつら)』の盾も意味が無い。
そして・・・。
「一夏さんが無駄に動けば動く程、エネルギーが消費されていく・・・」
「うん・・・」
一夏さんの『白式(びゃくしき)』は、『紅椿(あかつばき)』からのエネルギー補給が無ければエネルギーが絶えず減り続ける機体。
だから・・・最悪、勝とうと思えば避け続ければ良い、逃げ続ければ良い。
事実、実弾武装を持たないセシリアさんはそれで模擬戦で一夏さんに勝ってる。
本音ちゃんが今やってることは、その極限の形態なだけで。
「そうだ、『白式(びゃくしき)』の・・・と言うより、織斑一夏の打倒方法を知らないIS乗りは、もういない」
「ラウラさん」
「ここにいない連中も、映像などを通じて織斑一夏を見ている。だからもう、今のままでは一夏は誰にも勝利できない」
・・・箒姉さんとタッグを組めば、それもまた変わると思うけどね。
そもそも、これは私見だけど。
一夏さんや千冬姉様は、『白式(びゃくしき)』と『紅椿(あかつばき)』は共同運用が前提って言ってたけど・・・私の見解は少し違うんだよね。
たぶんあの2機は、元々一つの機体だったんだと思う。
・・・変な言い方になるけど、そんな気がするんだ。
「くっそ、おおおおおおぉっっ!!」
「おお~、おりむー、本気だね~?」
いつの間にか・・・一夏さんは、必死になっていて。
対する本音ちゃんは、いつも通り、のんびりのほほんとしていて。
それは、『零落白夜』を発動した一夏さんを前にしても変わらない。
シールド無視の斬撃・・・でも。
当たらなければ、意味が無い。
気が付いてみれば、あれだけコケてたのに本音ちゃんは最初の位置から本当に動いていなくて。
白い光の剣で突いて来た一夏さんの一撃を、本音ちゃんは身体を回すようにかわす。
「あ・・・」
誰かが声を漏らす。
その間に、身体を回して一夏さんの攻撃をかわした本音ちゃんは、そのままヨロめくようにコケる。
けどその際、一夏さんの『雪片』を持つ手を片手と片膝でちょっと叩いた。
それは本当に、絶妙な叩き方で。
コアから腕部へとエネルギーを供給するポイントを、的確に叩いて・・・半瞬だけ、手先へのエネルギーが途切れて、一夏さんが『雪片』を取り落とす。
そのままコケた本音ちゃんは、片手を地面について・・・ぐりんっ、と身体を回す。
『打鉄(うちがね)』の脚部が、一夏さんの足を打つ。
それも、脚部へのエネルギー供給を乱す一撃。
カクンッ、と『白式(びゃくしき)』が崩れ落ちる。
「ぅえっ?」
一夏さんのすっとんきょうな声が、嫌に響いた。
そしてその時には、いつの間に展開したのか・・・。
ショート・ナイフを一夏さんの首筋に当てた本音ちゃんが、のほほんと笑ってた―――――。
Side 織斑 千冬
子供の頃からISに乗っていた布仏妹と、6カ月ほどしか乗っていない一夏。
上級者との戦い方しか知らない一夏と、下位の人間との戦い方も熟知していた布仏妹。
一夏を侮らなかった布仏妹と、布仏妹を侮った一夏。
荷電粒子砲などの遠距離攻撃を活用できなかった一夏と、相手の土俵に最後まで立たなかった布仏妹。
勝敗は、おのずから決まっていたな。
機体性能だけで勝敗は決まらない、その明確な証左と言えるだろう。
「一夏くん、落ち込んでましたねー」
「本人にとっても良い勉強になったでしょう、織斑に足りないのは機体では無く経験だ」
「厳しいですねぇ」
「私達の時代の方が、もっと厳しかっただろう」
夕方、職員室で山田先生とそんな会話を交わす。
山田先生は一夏を心配しているようだが、私はそこまで優しくはなれない。
機体性能を考えれば、一夏が負けるなどあり得ない。
だが負けた、それは別に布仏妹が極端に強かったからでは無い。
単純に、一夏が弱過ぎただけだ。
・・・・・・。
「あれ? 織斑先生、どちらへ?」
「今日は寮の方でも仕事がある」
「・・・へぇ・・・」
「・・・何だ、その顔は」
山田先生が何故かニヤニヤした顔で私を見ているが、まるで覚えが無い。
だが何となくイラッとしたので、明日にしようかと思っていた書類の束をプレゼントしてやった。
涙目になった山田先生を職員室に残して、寮へ・・・向かわずに、屋上へ。
廊下をいくつか曲がり、階段を上がり・・・屋上へ続くドアへ。
するとそこに、壁に寄りかかるようにしてラウラが立っていた。
「ご苦労様です、教官」
「ああ、良い。私は教官じゃない・・・お前こそ、ご苦労なことだな」
「いえ、彼を守るのが任務ですので」
私を見るなり敬礼してきたラウラは、任務と言った。
そしてここで言う「彼」とは、1人しかいない。
あえてそれ以上は何も言わずに、ラウラの横を通り過ぎて屋上へ出る。
屋上には、誰もいなかった。
人影も無く・・・しかし私もそれ以上は歩かずに、閉じた扉に背中を預ける。
そのままの体勢で空を見上げれば・・・綺麗な茜色の空が、広がっている。
「・・・・・・そんなに、悔しいのなら」
ぽつり、と。
私にしては小さい音量で、呟く。
問題は無い・・・聞こえているだろうから。
「強くなって見せろ、一夏」
「・・・・・・ああ」
「強く・・・誰よりも強くなったお前を、いつか私に見せてみろ」
「・・・・・・・・・ああ!」
私よりもさらに上・・・給水塔の傍から。
鼻声のような・・・鼻を啜るような声で、返答がある。
私はそれに・・・ふ、と口元を緩めた・・・。
教師としてでは無く、家族として。
「・・・今夜は、寮長室に来い。進路指導くらい、朝まででも付き合ってやるさ」
「・・・ん」
・・・いつまでも。
いつまでも、束の依怙贔屓で立ち続けるわけにはいかないだろう。
なぁ、一夏・・・。
Side シャルロット・D・コルデ
「本音さんに模擬戦をやらせたのは、会長の考えなんですか?」
「うん? うふふ、さぁ、どうかしらね」
片手に「疑惑」と書かれた扇子を持ちながら、楯無会長が艶っぽい笑みを浮かべる。
いえ、疑惑をかけられてるのは貴女なんですけど・・・。
「うふふ、そんな顔しない。ちゃんと答えてあげるから」
「はぁ・・・」
か、敵わないなぁ・・・本当に。
「今日の模擬戦は、私の発案じゃ無いわ。織斑先生の方から打診があったのよ、一夏くんを量産機でボコボコにしたいから、私の方で手を回してくれないかって」
「それで・・・本音さんですか」
「うん。1年の他のクラスには本音ちゃんを下に見る娘達もいるから、その対策も兼ねて・・・ね」
・・・後半については、難しい問題だから置いておくとして。
前半については、ちょっと意外だったかもしれない。
織斑先生は確かに、一夏のことを大事にしてるんだなぁってことはわかってるつもりだったけど。
厳しさは、愛情の裏返しだから。
織斑先生が特に一夏に厳しいのは、一夏を心から想っているからだから。
潰されないように、死なないように、殺されないように。
そして、誰かの思い通りにされないように。
「織斑先生って、ブラコンだから」
「それ、本人に言ったら殺されますよ・・・?」
「そうね、怖いから二度と言わないわ」
そう言って、いつの間にか「妹愛」と書かれた扇子に入れ替わってるし。
と言うかリアルで笑えませんよ、会長・・・。
「お嬢様」
「やん、お嬢様はやめてってば」
「失礼、つい癖で」
いつものやり取りをして、楯無会長が虚さんから書類を受け取る。
それは何と言うか絵になっていて、つい見惚れてしまうんだけど・・・。
不意に、楯無会長が眉を寄せた。
困惑と言うよりは意外と言うのが正しい、そんな表情。
「どうかしたんですか?」
「うん? うーん、何と言うか・・・私じゃなくて轡木さんが苦労してそうな・・・」
「え?」
「あ、ううん。こっちの話だから」
「は、はぁ・・・」
経験上、こう言う時の会長は何を聞いても教えてくれない。
虚さんを見ると、片目を閉じて人差し指を唇に当ててた。
「うーんと、そうだ、シャルロットちゃん。仕事欲しいでしょ?」
「え、いや別に・・・・・・いえ、欲しいです、はい」
「そう? じゃあ、お願いしちゃおうかな」
そう言って、楯無会長は虚さんから渡された書類を僕に見せて来た。
虚さんが頷くのを見て、書類を見る。
えーと、Proliferation Security・・・って、英語か。
「・・・拡散に対する安全保障構想海上阻止訓練要綱・・・?」
「今度、東京でIS委員会の首脳会合があるのは知ってるでしょう?」
「ああ、はい、ニュースで見ましたけど・・・」
拡散に対する安全保障構想、略称「PSI」。
元々は大量破壊兵器の拡散を防止するために、アメリカを中心とした有志連合が集まって作った国際組織だったけど・・・ISが登場してからは、ISの密輸を防止すると言う活動目的も付与されてる。
それが、どうして・・・?
「最近、亡国機業の活動が活発だから・・・今年のPSI実働訓練にIS学園の生徒を参加させたいそうよ」
「はぁ・・・って、ええ!?」
「もちろん、軍艦に乗り込むわけじゃ無くて・・・学園でモニタリングするってこと」
「あ、ああ、なるほど」
「幸い、10月はこれと言ってイベントも無いしねー」
「・・・期末試験以外は」
虚さんがさらりと重要なことを言ったけど、楯無会長は「文武両道」と書かれた扇子を・・・って、本当にいつ入れ替えてるんだろう。
「元々、委員会の首脳会合に合わせて日米欧の軍隊―――あ、日本は違うけど―――で合同訓練しようって話はあってね。ちょうどPSIの訓練の時期だったから、去年の今頃に日本でやろうってことになって」
「それで、IS学園の生徒を・・・」
「将来の就職先を見ておくのも、悪く無いでしょう」
将来の就職先・・・日本はともかく、外国から来ている生徒の大半は軍関係の企業に就職する。
ISは、兵器だから・・・。
兵器、嫌な言葉だ。
だってそれは、操縦者も含めてのことだから。
「それで・・・どうして僕が?」
「うん? それはね、学園に説明役として派遣されてくるのが、フランスの新しい代表候補生でね・・・」
会長から示されるままに、手元の書類に目を落とすと。
そこには、ある意味で今一番会いたくない相手の名前が―――。
◆ ◆ ◆
フランス、ニース―――――サン・ジャン・カップ・フェラ。
フランス有数の別荘地として有名なこの場所は、夏には多くの海水浴客で賑わう観光地でもある。
しかしシーズンから外れた今では、喧騒も無く静かな土地となっている。
そんな別荘地・・・富裕層専用の高級住宅街の、うららかな昼下がり。
その中の一つ、白亜の別荘の外に面したテラスで・・・優雅にお茶の時間を楽しむ少女がいる。
腰まで伸びたオレンジの艶やかな髪に、エメラルドグリーンの瞳・・・どこか上流階級を思わせる、お姫様然とした雰囲気。
レースがあしらわれた白いワンピースに包まれた身体は、あどけない顔立ちに似合わずすでに女性として完成しつつあった。
少女の膝には、アルバムがあり・・・どうやら少女は、それを眺めていたようだった。
開いたページには、少女とは別の少女が映っている。
長い金髪を首の後ろで縛った、その少女は・・・。
「・・・シャルロット・・・」
金色の髪の少女が映る写真を指先で撫でて、小さな唇が名前を紡ぐ。
オレンジの髪の少女は、そっと目を閉じた・・・。
◆ ◆ ◆
Side 篠ノ之 楓
正直、IS同士の戦いの結果に興味は無いけど。
でも、どうしてだろうね。
ちょっとだけ・・・「悔しい」って、思うよ。
『白式(びゃくしき)』は束お姉ちゃんが手を加えた機体で、私が整備してる機体。
それがああも、あっさりと負けてしまうって言うのは。
流石に、こう・・・イラッ、とするよ。
戦いとか、嫌なはずなのに・・・変なこと、言ってるよね。
「契約金は姉妹2人で5000万オーストラリア・ドル、ちなみに姉が2000万で妹が3000万だ。これに2人で年間800万オーストラリア・ドルの報酬がつく、姉が300万で妹が500万。他にも・・・」
・・・まぁ、それはそれとして。
『キャノンボール・ファスト』以降、私や箒姉さん、一夏さんへの勧誘はちょっと形式が変わったんだ。
前は文書とかメールだったのが、今では直接交渉になってるんだよね。
・・・笑えない、かも。
特に、豪州代表の人がドラマでしか見たこと無いようなジュラルミンケースに自国の札束詰めて持って来た時とか、対応に困るよ。
そんなわけで、職員室近くの応接室で豪州のアイシャさんから正式に「勧誘」を受けてる私と箒姉さん。
本当は一夏さんも来るはずだったんだけど、今どこにいるのかな・・・。
箒姉さん、目の前の札束より一夏さんのこと心配してるし。
「まぁ、私もお金はいらないんだけどね・・・」
「え、何だよ。オーストラリア・ドルよりアメリカ・ドルの方が良いのか?」
「え、あー・・・「申し訳ありませんが、学生の身分には過ぎた金額なので」・・・」
「何でも言ってくれよ。円でもユーロでも、言い値で用意するからよ」
うん、私もそう言いたかったんだよ、箒姉さん。
革張りの高級そうなソファに座りながら、私は交渉の全部を基本的に箒姉さんに一任してる。
まぁ、箒姉さんが行く所に行けば良いかなぁ、とか思ったり。
そして、アイシャさんが不揃いな緑の髪を掻きながら言うセリフが怖い。
でも実際、束お姉ちゃんの黒カードがあればお金とかいらないしなぁ・・・。
「頼むよ、こっちも必死なんだ。お前の技術を、オーストラリアのために役立ててくれないか?」
「う、うーん・・・」
「ISの開発には金がかかる・・・だけど豪ドル高の今、オーストラリアの製造業はISも含めて厳しい。競争に勝つためには技術がいる、ぜひ助けて欲しい」
「・・・でも結局、ISを兵器として開発させられるんでしょ?」
そんなのヤダ、関わりたくない。
それにそれやると、束お姉ちゃんに怒られちゃうし。
「・・・なら・・・」
「・・・?」
その時、それまで勧誘交渉をアイシャさんに任せてたソフィーさんが、ニコリと微笑みながら口を開く。
ウェーブのかかった長い金髪が、照明の光でキラキラして見えるよ。
まぁ、箒姉さんの方が美人だけど。
「なら、民需としての開発なら構わないと言うことかしら?」
「へ?」
「そう言うことなら貴女の技術は一切、軍需に回さない。この条件でなら、オーストラリアに来て貰えると受け取っても良いのかしら?」
「う、う・・・?」
そ、そんなこと一言も言って無いんだけど・・・。
そう視線に込めて抗議してみるけど、ソフィーさんはそれだけ言うと黙った。
黙って、手元の紅茶とか飲み始める。
・・・あれ? でも私、そうなのかな?
元々ISは宇宙に行くためのモノだから、民需と言えば民需だよね。
じゃあ兵器扱いさえされなきゃやっても良いってことになるのかな・・・かな?
するとどうなんだろう、別に国家所属とかになっても良い・・・とか?
研究資金は無尽蔵で、最新鋭設備も使い放題・・・・・・。
「申し訳ありませんが、私達はまだ学生です。今の所はどこかの国や企業に所属する気はありません」
・・・だよね! わかってたよ箒姉さん!
うん、私もズバッと断るつもりだったとも・・・!
「あー・・・まぁ、まだ16だしな。じゃあ、またの機会にな」
すると思いの他あっさりと、アイシャさん達が退く。
まぁ、粘られても困るけどさ・・・。
今日は、それで終わり。
ちなみに昨日はレディアさんで、一昨日はエリスさんだった。
何か、ジーナさんとアデリタさんは本国に召還されちゃったんだって・・・。
「はぁ・・・楓、お前、最後ちょっと揺れただろ」
「ぎくっ、そ、そそそ、そんなこと無いよ・・・?」
「どうだかな」
ぽんぽんと箒姉さんに頭をなでられながら、ドギマギする。
実際、学園の設備で十分だしねー。
「私はともかく・・・箒姉さんは、どこかに所属したりとかしないの?」
「私は・・・基本的に、国と言う物を信用していない。無理矢理ここに押し込められたし・・・神社にも帰れない、それに」
頭を撫でていた手を後頭部に回して、箒姉さんが私をぎゅっとする。
最近、スキンシップが増えてる気がするけど・・・。
箒姉さんの腕の中は、凄く安心できるから。
私は、そっと目を閉じる。
「それに、お前と引き離されるのは・・・もう嫌だ」
「・・・・・・うん」
アイシャさん達は一緒にって言ってるけど、どうなるかは結局、わからない。
昔・・・政府の保護プログラムで篠ノ之神社から連れ出された時も、箒姉さんとは引き離された。
だから・・・どこにも所属、したくない。
このまま、箒姉さんと一緒にいられれば良い。
ずっと・・・ずっと。
「・・・そう言えば姉さん、一夏さんのことは良いの?」
「・・・・・・はっ」
―――――ズット、イッショダヨ―――――
新登場キャラクター:
アルトゥール・カスティーヤ・メネセス(ポルトガル候補生)。
・・・φ様提案、ありがとうございます。
シャルロット・D・デュノア:
えーと・・・シャルロットです、今日も読んでくれてありがとう。
篠ノ之 楓:
ありがとー!(どんどんぱふぱふー)。
シャルロット・D・コルデ:
あ、あはは・・・(テンション高いなぁ)。
篠ノ之 楓:
あのねシャルロットさん、実は私、憧れてることがあるんだよ。
シャルロット・D・コルデ:
うん、何?
篠ノ之 楓:
スーパーの試食コーナーを食べ歩きたい! 女子高生っぽくない?
シャルロット・D・コルデ:
えーと、実は前から思ってたんだけど・・・楓は、女子高生になりたいの? 女子高生っぽいことをしたいの?
篠ノ之 楓:
・・・・・・え?
シャルロット・D・コルデ:
え・・・?
楓&シャルロット:
(互いに見つめ合い、首を傾げて曖昧に笑う)。