没に没を重ねたら、なんかよくわかんないのができました。
現状はこれが精いっぱいでござる......。
注意!深刻なキャラ崩壊らしき何かが含まれています。
性格の一端が私によって改変されて、原作とは違ったキャラになっております。
苦手な方は、BBを連打して、ダクソをしてから熟睡しましょう。
まずいことになった。想定外にもほどがあるだろう。
まさかこのような晴天に蜘蛛の女に会うとは。
彼女も私も何も言わない無言の空間が出来上がった。
今思えば、なぜ彼女は『鎧の男』が私だと気が付いたのだろうか。今の私は、鎧を脱いで顔を見せている状態だ。
ああ、安心してほしい。以前は亡者顔どころか全裸大剣で疾走する輩が蔓延っていたが、この世界に来てからは人間性を捧げるか、とある指輪で生者の外見を模している。
だから、深夜に亡者顔の私に遭遇してその場で奇声を上げて失神したウサギ耳のようなことにはならないはずだ。たぶん。
生者としての顔はウサギ耳や蜘蛛姫たちからお墨付きをもらったため、影響はないと思われる。
本題に戻ろう。私の正体についてだが、最初は私の聞き違いだと思った、が、確かに彼女はあの時の!と口にした。
ならば私が『あの時の鎧の男』だということは看破されていると考えてもいいだろう。
鎌をかけているという可能性も否定できないが、彼女のソウルの揺らぎの無さから、そういった類の―――心理戦や頭脳戦など―――ことは苦手なのだろう。
彼女は目元をわずかにヒクつかさせながら口を開いた。
「お前...何しに来た」
――何とは...このような快晴で散歩をする以外の選択肢があるのか?
「余生を過ごす爺かてめぇは!あぁ、クソッ!てめぇと話してると頭がおかしくなりそうだ」
――どうした、エーエムエスから光でも逆流してきたのか?
「なんだそりゃ......ついてこい、町を案内してやる」
――......いいのか?
「私が用事あんのは町だからな。そのついでにお前も連れて行ってやるだけだ。勘違いするなよ」
――どう勘違いするのかは分からんが助かる。この町は初めてでな、道筋がよくわからなんだ。
「......ついでに服も買っておけ。そんな愚にもつかん姿じゃ私の格が疑われる」
――ふむ.......では服屋まで私は透明化しているとしよう。なに心配はいらん、姿は見えんがそばにはいる。
どうやら、彼女が用のついでに私を町に案内してくれるようだ。しかもその町の案内まで。
もしや根は普通に常識人なのかと考えれば、見えないはずの私をその眼でしっかりと捉えて睨んでくる。
それを華麗に流せば、彼女は盛大にため息をついて歩き出す。
私は、この場においていかれないように背に寄った。
今現在、何かしらの呪術によって時を止められている。
もしや、私の姿は何かしらの禁忌に触れているのだろうか。
私に服を持ってきて、姿を確認してから動かない蜘蛛の彼女も、一人で男性用の服を選ぶ彼女を怪しげな顔で見ていた店員も、野次馬根性でそれらを見守っていた他の客たちも。
誰もがその動きを止めていた。正確には私を見たまま止まっていた。
謎の空気に飲まれないよう蜘蛛の彼女に声をかけるも、目を見開いた状態のまま微動だにしない。
――蜘蛛の......蜘蛛の...どうしたのだ。
「....お...おまっ........」
――む?私がどうしたのだ?
「お前...どこかの王族とかじゃぁ....ねぇよな?」
――生まれも育ちも普通なはずだが?
『王族』か、と聞かれたら否だが、王ではある。
しかし、単一の存在である薪の王は直系の子孫など存在しない。
そもそも不死人や火の無い灰たちに生殖機能があるかどうかはまったくもって未知である。
それが一体どうした、もしや今の姿が絶望的に似合わないということだろうか。
そういえば持ってきてくれた服たちはどれも薄くて防具としては役に立たない。
はて、服屋とは、この世界での防具屋では無かったのか。
結局、あの服装のまま服屋をでた。
あの騒動の後、蜘蛛の彼女が絵の描かれた紙を店員に渡そうとするが、店員はそれを受け取らない。
聞いた限りだと、一生ものを見せてくれたお礼だと言っていた。
それなら...と言って蜘蛛の彼女は引くが、代わりに写真とやらを撮らせてほしいと、店員は条件を示す。
何のことか分からなかった私は蜘蛛の彼女に選択を委ねれば速攻で許可を出してしまう。
新手の呪術かと警戒するが、蜘蛛の曰くその姿を紙に写し取るものだという。
ならばと妥協したのが運のつきだったのかもしれない。
撮られた、それはもう数えきれないほどに。
何度も服装を変えて、立ち方を変えて、場所を変えて。
写真を撮られるたびに、カメラマンと呼ばれる女性の息が荒くなる。
そんなことがいつまでも続くかと思われたが、太陽が地平線に隠れたことに気が付いた店員が解放してくれた。
ところで、半裸で写真を撮るのは何か意味があるのだろうか。
町から出たときには、もうくたくただった。ここまで体力を消費したのはグウィンと戦った時以来だろう。
蜘蛛の彼女も、心なしか申し訳なさそうな顔をしている。
具体的には何らかの仕返しはしたかったがこれは愉悦を通り越えて可哀そうだと。だが思いのほか自分が楽しんでしまってかける言葉が見つからないと。
「あー....ゴホン、なんか......すまなかったな」
――いや、構わん。あの魔の手を完全に捌ききれなかった私の落ち度だ。貴公があやまる必要はない。
「でも、さすがに今回はこっちが....!」
――謝罪はいつか私を殺すということでどうか。あの時地に臥せていた貴公は私をいつか必ず殺すと声にした。貴公も戦士ならば二言はあるまいな?
「........ふん、あんたがそういうならそれでいいよ。アタシに殺されたって文句は言わないでよね」
――少なくとも今は、確実に無理そうよな。
私はそういって高速で近づき、彼女の頭に手をのせる。
「ふにゃ!?な、な、なっ何を......!?」
そのまま優しく撫でていれば、やっと頭が回り出したのか今の状況を把握した彼女は、顔どころか首や耳まで真っ赤になって私の手を払う。
「なにすんだてめぇ!男風情がアタシの髪に触れんじゃねぇ!!」
声に含まれる覇気は本物だが、若干目が潤んでいるせいかなんとも迫力に欠けている。
――私に頭を触られているということは既に貴公は三回ほど殺されている。油断は禁物だ。
「アタシの全てはスコールのものだ、テメェにとられる命なんざねぇよ」
――ほぉ、あの時の救援者はスコールというのか。
「あっ、やべっ!.........んんっ、こっからだ。こっからが本番だ。だからさっきのはノーカンだ、いいな?」
人差し指を口の前で交差させて口止めを迫る蜘蛛の彼女。
――失敗は隠ぺいして事実を知るものに閉口を強要する、まるで大きい子供よな。なんともかわいいものだ。
「か、かわっ.....クソがッ!....もう帰る!」
楽しい、実に愉しい。なるほど、これが『愉悦』......他人を弄るとはこんなにも楽しいのか。
私は不死者だ。数えきれぬほど生きながらえた今までの渇きを癒すために、もう少しだけ楽しんでも文句はあるまいよな?
――まて、蜘蛛の。
「......なんだよ、もう帰らせろよ」
眉を歪めてこちらにふり返った。
――ひとつ言い忘れてな。貴公のその精神の強さはまさに頑強。我らに勝るとも劣らない輝きを秘めたものよ。
「......は?つまり何が言いたいわけ?」
――自分の痴態を衆目に晒しているのにもかかわらず、平然としている貴公は、かのミルドレッドにも劣らぬ心の強さよな。
彼女の顔が紅くなる。先ほどとは比にならないほどの紅だ。顔どころか全身が紅くなり、幻覚かもしれないが頭から湯気がでているような気がする。
弾かれたボールように自分の姿を確認する彼女は、実に弄りがいがある人物だ。ところが先ほどまであわただしく自分を確認していた彼女の動きが止まる。
どうやら自分がおちょくられていることに、遅まきながら気が付いたようだ。
「~~~~~~~ッッ!!!~~~~~~ッ!!」
――愉悦、実に愉悦。いいものだな、これは。
顔を伏せて体を震わせている彼女。握りしめた拳は、紅蓮の炎が幻視出来るほど。
そんな彼女が、ゆっくりと顔を上げてつぶやいた。
「.........コロス....ころす....殺す....ぶっ殺す!!!」
言うのがはやいか、ほれぼれするほどの右ストレートを放つ彼女。
空気を貫くかのような鋭い突きは、しかし、わずかに私の体を擦るほどで決定打を与えられない。
原因は一目瞭然。威力は申し分ないだろうが、比較して圧倒的に速度が足らない。
――威勢がいいのは素晴らしい、それに威力・衝撃共に及第点。だが当たらなければどうということはない。
「死ね!死ね!!死ねぇ!!!このオータム様をなめんじゃねぇ!だからっ、さっさと、当たれっての!!」
――技量不足だ。加えて右腕の挙動が左腕に比べてわずかに遅い。原因など知らぬが肉体は大事にしないと殺され尽くされるだけだ。
「余計なお世話だね!どっかの誰かさんが問答無用で長物叩きつけたせいだけどなぁ!」
――戦場にて男も女も等しく戦士。たかが性別で優劣を語ればすぐさま首を刎ねられよう。ここでは女尊男卑なのだったか。確かにISとやらを持つ者は選ばれし者なのだろうが、ISとはつまり私で言える鎧のようなもの。瞬間的に装着できるようだが、それを上回る速度で心の臓を貫けばいいだけのこと。いくら鎧の性能が高かろうと中身がナメクジにすら劣る弱者では話にならん。町でいくらか絡まれたが口だけ達者な者ばかり。実に詰まらん。
「そいつは、確かにっ、思う、けどなぁ!」
――他者より上に立ちたければ殺せばいい。単純明快にして直截簡明。そういえば、戦場を分かりやすく表現した言葉があったな。確か.......『弱肉殲滅』.....だったか。
「『弱肉強食』だ!んな殺伐としたバイオレンスな言葉じゃねぇよ!?」
――まぁいい.....敢闘賞だ。受け取れ。
私と会話しながらもひたすらに両の拳を振り続けた蜘蛛の彼女......いや、オータムに贈り物をしようと思う。私の世界では溢れていたものだ。ここで渡してしまっても構わんのだろう?
何時になるかは不明だが、私を殺してもらう以上万全の状態で殺し愛をしたい。もう蘇れないとしても、後悔なきよう命の灯が消える瞬間まで剣を持って立ち向かうために。
「なんだこりゃ?金の指輪と.....金の瓶か?てかこれさっきどっから出した?」
――寵愛の指輪と言ってな。一度つければ外した次の瞬間には崩れ去る極端なものだが、性能は優秀だ。瓶の方は女神の祝福というものだ。口にすればたちまちあらゆる傷や弱体を回復する優れもの。
「おいこらスルーかよ.....。なんでアタシにそんな高価な物を送るの?あの時に会って殺し合いしただけでしょ。施しなら断固拒否するわよ」
――誰がそのようなことをするものか。貴公は一度死んだとして蘇れるか分からぬからな。貴公が死ねるのは私を殺した後のみだ。それまでにどこぞでくたばってもらっては困る。
「いや普通一回しか死ねないから。何度も蘇ったらそれただのホラーだから......まったく、随分と厄介なストーカーに目をつけられたものね」
――何を言うか、仕掛けてきたのはもとより貴公らであろうに。さらばだオータム。次会う時はもう少し練度をあげるのだな。
「ちょっ、アタシ受け取るとはいってn......って、燃えてる!?あああああしょ、消火器!いや、それよりもどこでアタシの名前を....へっ!?か、体がどんどん薄くなって.....はっ、まさか逃げる気か!!待てこら!勝ち逃げなんざ卑怯だぞー!」
おそらく私は今、不気味な笑みを浮かべていることだろう。
もう何も聞こえないが、私を指さしてなにかを捲し立てているオータムを見て、次あった時にはそれなりの強さになっていることを願ってこの場を去った。
「んー?王様随分と機嫌がいいじゃん。どしたの?なにかいいことあった?」
――なに、強者の原石に会ってな。あれは基礎が失しっかりと定着している故、上達も早いだろう。単純な武力ではウサギ耳以上になるぞ、あれは。
「なにそれ!?この束さんに内緒で王様と会うなんて!もし今後あったら男女関係なくただじゃおかないかんね.......」
顔に出るほど昂ぶっていたのだろうか。出会いがしらにウサギ耳に指摘されてしまった。
爛々と目を輝かせるウサギ耳に今日のことを聞かせてやると、自分より強くなるというところより、自分の知らぬ間に私が誰かに会っていたことに憤慨した。
まったくもって不可解だが、ウサギ耳にも何かしら思うことがあるのだろう。
死んだ目のまま時々人に聞かせてはならない物騒な単語を呟きつつ、自分の研究室にはいっていった。
リビングに戻れば、蜘蛛姫は料理を、クラーグはソファーでゆったりとくつろいでいた。
二人とも私を純粋に心配してくれていたようで、蜘蛛姫など料理途中だというのに放り出して飛び込んできたほどだ。
大げさな......と思わなくもなかったが、心配をしてもらえるということはそれなりに好意を持ってもらえているということに他ならない。
多少擽ったい気分になりながらも、なんとか落ち着かせた。
夕食も、風呂も、一日に終えるべき全てを終了させた私は、シミ一つない柔らかなベッドにもぐりこんだ。
オータムと戦闘中に、大いなる大地のソウルが、歪に動き出すのを感じた。
どうやら、私の元いた世界が巨大な癌となって出現したのだろう。
恐らく、ここにいる全員がそれを感じたはずだ。明日は面倒な日になりそうよな。
それもただ面倒なだけではなく、今まで以上に私の知る固定概念が崩れ去るような、言葉で言い表せない不思議な感覚。
背を這い上がってくる謎の悪寒を無視して、強引に瞼を閉じた。
かなりの時間がかかったのにこんなのしかできなくてごめんなさい。
だんだんとリアルが忙しくなって、手をつけられない日々が増えてきました。
おそらく、これからも投稿頻度は遅いままだと思いますが、どうぞよろしくお願いします。