薪の王は機械の世界で何を見る   作:氷那

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あばばばばっばっばばっばばばばっばばばばばb

遅れてすいませんでした。
言い訳はしません、すべては私の落ち度なので。

すいませんでした。


王は、衝撃の真実を知り覚悟を決める。

あれから頑なに顔を上げようとしないウサギ女を無理やり担ぎ上げ、元の野宿用のキャンプに帰ってきた。

食事を必要としない私は特に気にしなかったのだが、ウサギ女から小さなかわいらしい音が響く。

顔を深紅に染めてうつむく姿は、先ほど『天災』と自らを呼んだ時の姿とはかけ離れていた。

 

もともと食事をしない私にはあてはなかったが、試しにエストを飲ませてみることにした。

私達不死人にとってエストとは、生命力を高める心の安寧であり、加えてライバルや強敵と戦う時の必需品である。

ウサギ女の輝くソウルは、眩いほどの輝きを放ちながらもどこか儚げに揺れ動いている。

昔からの経験で、こういう時は何かしらが心に影響をあたえているものだ。

大小さまざまな悩みが、そのソウルの輝きに陰を作るのである。

 

結局、ウサギ女はエストをのんだ。

因みに、ウサギ女にエストを飲ませたときの様子の変わりようはとてもすごいものだった。

 

最初は怪しいものでも見ているかのような目つきだったが、覚悟を決めたようで一気に煽った。

すると、みるみるうちに目の隈はきえて、肌のつやはより滑らかにハリを増したようにも見えた。

ソウルは薪を得た火のように燃え盛り、白と黒のヒトガタはどこか嬉しそうに見える。

 

「なになになんなのこれ!?お肌はつるつるすべすべ、肉体疲労どころか、頭痛も肩こりも綺麗にきえた?なにこれなにこれ!?」

 

なにこれといわれても、ソウルそのものとしかいえんだろう。

お前に足りなかったソウルの器に、エストでソウルを注いで満たしたのだ。

疲労が消し飛んでしまったせいなのか、ウサギ女は不躾にも私が休むはずだったベットで寝てしまった。

起こそうにも、安らかな寝顔を見せられてどうにもその眠りを妨げることが躊躇われた。

 

 

 

私が、周辺警戒のために休むことが出来なかったのは、言うまでもないだろう。

 

 

 

次の日、寝起きに私の姿を確認したウサギ女は、普通の人間とは思えない速度の平手を、私の顔めがけて繰り出してきた。

しかしあっさりと見きってかわすと、不機嫌そうに顔をゆがめて抗議してきた。

 

「なんで避けるのさ!ぐっすり寝ていた幼気な少女に乱暴したくせに!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!!」

 

エロ......同...人?はて、エロ同人とはなんなのだろうか。

声の様子から鑑みると、恐らく書物なのだろう。新しい...いや、この世界特有の魔術・呪術書、聖典なのだろうか。

気になる、とても気になる。もしそうなら、あらたな呪文が使えるようになるかもしれないからだ。

じつに素晴らしいことではないか!恐らく私に言えるということは内容を理解してるのであろう。

ならば、話は早い。もしかして、このウサギ女......聖女でもあるのだろうか?

キノコ人の同類(と思われる)このウサギ女は、実はものすごい万能なのだろう。

 

貴公、そのなんとか同人とやらについて教えてほしい。

どうかわたしに、その書物について詳しく教えてくれないだろうか?

 

「へ?内容について教えろってこと?」

 

その通りだが?私にはさっぱり分からないが、しかし、お前にはわかるのだろう?

 

「わ、わかるけど...はっ...まさか、この束さんに言えっての!?」

 

ふむ、やはりただでは教えてはくれぬか。何かしらの対価が必要だな....ソウル......ではわからぬか.....言ってくれ。もともと手持ちは少ないが、今手元にあるものなら可能な限り渡そう。

 

「どんだけこの束さんに言わせたいのよ!言うわけないでしょ!?この変態!鬼畜!鬼!悪魔!」

 

そ、そうか......残念だ......。

 

「ちょっ、そんなに落ち込まないでよ....こっちが悪いことしたみたいじゃん!」

 

すまない......今の話は無かったことにしてくれると助かる。

 

ここまで拒否されてはさすがに強く出ることはできない。

私の推論だが、とても高価なものなのであろう。高価なものを容易く他人に渡すものなどそうそうない。

 

「ふふ...ふふふふふふ........こんな変態なんかにぃ......変態なんかにぃ...!」

 

一人で納得していれば、若干空気が冷えてきたような気がする。

ふと、背後から一種の呪詛のようなものが聞こえてきた。

恐る恐る振り帰ってみれば、うさぎ女の様子が何だかおかしくなっていた。

顔を伏せて、拳を強く握り、力んだ体を断続的に幽かに震わせて、何事かを呟いている。

 

「この束さんが出し抜かれたなんてぇぇぇ........」

 

全身にほとばしる『 下 注意 』の警告。

気付けば大地は大きく揺れ、私を中心に罅が広がっている。

これはマズイと足に力を入れるも、どうやら一足遅かったらしい。

 

「絶ぇぇぇっ対!認めないんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁあ!!!」

 

いとも簡単に崩れ去った大地は、私の体をその底のない闇の中へと引きずり込んでいった。

上へと流れていく景色の中で、私は、しっかりと熟されたリンゴのような顔を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠方から見ても年代物とわかる城へと続く、大きな橋の上で目が覚めた。

どうやら私は落下の途中で気を失っていたらしい。情けないことだ。

周りを見渡せば、いとなつかしき亡者の群れ。

 

やはりこの世界にも存在していたか......。

多少姿が違うが、やはり世界の違いが変化をもたらしているのだろうか?

とはいえ、この数は相当なものだと理解できる。数百、数千にも届こうかという数。

私の人生で倒した数に比べればどうということはないが、さすがに一度でこの数と交戦したことはない。

 

城を背に無意識に武器を構えれば、私から流れ出す闘気に気付いた亡者が雪崩のように襲ってくる。

武術の型式もなく、ただひたすらに数で押し寄せる亡者達。

紙一重で武器を躱し、薙ぎ払い、断ち切り、へし折り、燃やし、ソウルへとその身を変えながらも、一向に数の減らない敵。

 

幾ら私といえども、疲労はする。

徐々に動きの鈍っていく私の体に、遂に剣が届いた。

着々と削れていく私の体力とは裏腹に、亡者は一向に衰えを見せない。

それどころか、後ろに月の魔物だのデーモンだのガーゴイルだのによく似たナニカがみえているんだが........。

どうやら、この進撃はいまだ終わりを見せないらしい。

残り少ないエストを眺め、全力疾走してくる敵を尻目に、とても長いため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、もうどれくらいの時が経ったのだろうか。

私の持つ主要な武器は皆、耐久力が危険域に入りこれ以上駆使すると壊れてしまいそうなほどになってしまった。

他の武器と言ったら、もはや存在がネタとしかいいようがない物しか残っていない。

あと数撃入れれば壊れてしまいそうな黒竜の大剣を握りしめる。

突っ込んできた亡者を上段から叩ききり、その勢いのまま囲むように切りかかってきた数人を強攻撃で薙ぎ払う。

どうやら、遂に黒竜の大剣が危険域に到達したらしい。

私の手から、これ以上はマズイと何者かからの意思が伝わってくる。

 

咄嗟に持ち替えた月光蝶の角で目の前の敵を貫くと、途端に敵の進行が止まった。

背後にあれ何かしらが潜んでいるのかと警戒するが、亡者の群れは足も動かさずに撤退していく。

同時に、私自身の視界も歪んでいくことに気が付いた。

視界の中心に吸い込まれるようにして、私の意識も飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

とじた目に光を感じ、跳ねるようにして体を起こす。

が、そこは先ほど見た景色とは違っていた。

白い壁に、よくわからない器具、光る白い筒が天井に着いている。

また新たな罠かと考え、もしここに敵がなだれ込んで来たらどう対処しようかと考える。

すると、自分しかいないこの空間にどこぞで聞いた女の声がする。

 

「お?ようやく起きたんだねこの寝坊助さん。この束さんを無視して自分は熟睡とか許さないぞぉー!」

 

はて、この女は何を言ってるのだろうか。

私が寝ていた?さきほどまで、地獄のような戦闘を繰り広げていた私が、熟睡していた?

一体どういいうことだろうか。

 

_____ウサギ耳、私はこの状態だったときに、何回ほど日が沈んだ?

 

「何日たったってこと?まためんどくさい言い方を......七日だよ七日。どんだけ寝てんのよ」

 

そんなにこの横になっていた状態でいたのか。

通りでこんなに体の動きが悪いと.........。

 

「そんなことより束さんの質問に答えてもらうよ」

 

_____..........なんだろうか。

 

「さっきの景色のこと、ひとつ残らず吐いてもらうんだから」

 

_____さっきの景色?あの荒れ果てた城のことだろうか。

 

「そうだよ、束さんも人間だからね。寝はするさ...でもね、あんたが寝たきりの間ずっとさっきの城での戦闘を夢で見てた。城の一番上で、あんたともう一人が城に攻め込む軍に対して闘ってるのを見てたんだよ」

 

_____もう一人?私は一人だったはずだが?

 

「あんたとは反対方向で変な人が戦ってたんだよ。もっとも、その人は敵を倒しきったら『太陽万歳ッ!!』ってへんなポーズをしたあとにいなくなっちゃったけど」

 

太陽万歳?その言葉は紛れもなく我が友、ソラールの物のはずだ。

そうか、ソラールが.........。

できるならば、もう一度会いたかった。

 

「変な人もあんたのと似たような技使ってたけど、あんたはそれ以上だった。いろんな武器を一瞬で持ち替えて戦ってるし、ビームみたいのだしてるし、敵がばっさばっさ倒れていくし。この際、あんたが神話上の『薪の王』だと仮定して、なに?さっきの景色と敵はあんたの世界のものなの?」

 

_____景色については何とも言えないが、敵ならば確かに私の元いたところに生息していた。

 

「そう.........。あいつらが私にっていうよりは城に近づくほどに、なんか魂っぽいのが抜き取られるような感覚になった。城がだんだん崩れて行って、最後に潰れそうになってた時に、あんたともう一人が火を纏って出てきて、気付いたらそのまま戦闘してた。そのうちになんか変な白黒の人っぽい何かが見えてきたんだ。あんたと変な人は、攻めて来てるどんな存在より、はっきりと見えたし大きかった。特にあんたのは巨人かと思うくらい大きかった」

 

城はウサギ耳のソウルの具現で、亡者どもがそれを狙って押し寄せたということか?

吸い取られるという過程で、何かしらの変化が起きて、私とソラールを召喚した。

しかし、白黒のヒトガタということはソウルが見えたというのか?生身の人間に?

 

可能性としては、これほどのおおきなソウルをもつウサギ耳に真実が見えた、ということか、そもそもウサギ耳自身が、私たちと同じような不死人と化したか。

このどちらかだろう。

 

できることなら二つ目は信じたくないが、確かめるほかないだろう。

私は、この目で見たことを真実として信じたい。

憶測など、所詮は予想でしかないのだ。

 

私は、この世界もあの場所のような惨劇を繰り返すのかと、考えたくもない未来を想像して、それをかき消した。

 

_____ウサギ耳、今すぐこちらにこい。確かめたいことがある。

 

「え?え、あ、うん、わかった.......」

 

体から見られている感覚が消え去った。

恐らく、ウサギ耳が移動を開始したのだろう。

知らず知らずのうちに強く握っていた手を緩め、目を閉じる。

 

今度は、私が守るのだと......そう誓いながら。




まさかの超展開。
こうしないと今後のもろもろでめんどくさいことになるので、こういうことになりました。
違う展開を考えていた人はすいません。

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