このチョロイ子に祝福を!   作:隔離場

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何気にパーティを組んで初めての単独行動回です。
最初はおなじみのシーンがありますが。


18話 チョロイ子とお買い物

 キャベツ討伐の報酬配布の次の日、いつも通りギルドの一角にパーティメンバーが集まっています。

 アクアさん以外の皆はすでに報酬を受け取っており、それぞれが思い思いの使い方をしています。ちなみに、私は貯金することにしました。今後必要になるかもしれませんし。

 

 アクアさんは今日受け取ることにしたようで、今もなお酷く混雑しているギルド受付に走っていきました。

 

「カズマ、クレール、見てくれ。報酬が良かったから、修理を頼んでいた鎧を少し強化してみた。……どう思う?」

 

 話しかけてきたのはダクネスさん。彼女はキャベツ達の体当たりによって壊されてしまった鎧の修理に報酬を使ったようです。

 

「よく似合ってると思いますよ。黄色と白を基調とした、いかにも聖騎士という感じが出ていて」

「なんか、成金趣味の貴族のボンボンが着けてる鎧みたい」

 

「あ、ありがとう。……クレールに褒められるとなんだか照れくさいな。それに比べて、カズマはどんな時でも容赦しないな……。私だって素直に褒めてもらいたい時があるんだぞ?」

 

 カズマさん、最近ダクネスさんたちへの当たりが強くなっているような気がしますが、一番被害を受けているのはアクアさんなんです。カズマさんに起こられるのは自業自得なので特に何もフォロー出来ないんですよね。すぐに怒られたことを忘れてしまうのでさらに手の施しようがないですし。

 

「今はお前より酷いのがいるから、構ってやれる余裕はないぞ。お前を超えそうな勢いの底の変態をどうにかしろよ。クレールも、よくそんな奴らに構ってられるな。疲れないのか?」

 

「大丈夫です。この状況よりも酷いパーティーで支援役として働いたこともありますので」

 

 先ほどカズマさんが言った『変態』というのは、そこで新しく強化した杖を抱きかかえて頬ずりしているめぐみんさんのことでしょうか?

 それにしても凄いですね、あの金属。マナタイトでしたっけ?魔力をかなりの量蓄えています。めぐみんさんは爆裂魔法を強化するために購入したそうですが、普通に魔法使った方がよさそう気がします。

 

 それはそうと、キャベツの報酬は均等に全員に配るのではなく、それぞれが稼いだお金はそれぞれの物にすることになりました。特に問題はないので、OKを出しておきました。

 

 

「……あ、楽器…」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「ぁ、はい。少し前に楽器があれば使えるスキルがあるって言ったじゃないですか」

 

「めぐみんの爆裂魔法が二回打てるかもってやつか?」

 

「それです。あれ実は別の回復系の呪文も同時に使えるんです」

 

「へー、そんな便利なスキルなのか。……アクアがもはやいらないレベルになってきたな」

 

「い、いえ流石に本職のアークプリーストの使う回復量には間に合わないかと……」

 

 とりあえず、久しぶりに楽器に触れてみたいですし、買いに行きましょうか。

 

「カズマさん、私ちょっと買い物してきます」

 

「そうか。気を付けてな」

 

「はい」

 

 冒険者ギルドを出て少し伸びをします。

 

「…さて、行きますかぁ~」

 

 実は、楽器を売っている店自体は少し前に見つけていたので、そこにゆっくりと向かうことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 冒険者ギルドから歩いて約3分。結構近場ですね。『タシターン音楽店』、間違いありません。ここですね。

 

 街の情報に詳しいとある吟遊詩人さんによると、ここの店主はかなりいいものを仕入れる腕利きだが、あまり人と話をしたがらないそうです。あと、たまにとんでもないものが平然と置いてあるとか。

 

 外に設置してある楽器埋まって開けにくい店の扉を開くと、外と同じようにい所狭しと並べられた楽器が一番に目に入ります。

 

「………らっしゃい」

 

 一応言っておくか、という感じで声をかけてくださった体格のいい男性。おそらくこの方が店主のタシターンさんですね。あまり見ていても迷惑になるでしょうし、手早く目的の物を見つけましょう。

 

 私がよく使う楽器は笛。特にフルートですね。まるで目印代わりのように私の身長くらいある笛が置いてあるので、おそらくここに笛があるんでしょうね。…この笛、誰が吹くんでしょう?

 

 さて、笛が丁寧に並べてある棚を吟味しているわけですが、なかなか良さそうなのが見つかりませんね。個人的には金属の物が好ましいんですが……ん?

 

「…石笛(いわぶえ)?」

 

 私が手に取ったのは石笛(いわぶえ)という、文字通り石で作られた笛なんですが、なんというか、吟遊詩人さんが言っていたことがすぐに分かる商品がもう出てきちゃいましたよ。なんていうか、禍々しい魔力が宿ってます。絶対に吹きたくない笛ですね。そっと置いておきましょう。

 

「……あった。これかな」

 

 石笛(いわぶえ)を置いてからふと他の場所を見ると、近くにほんの少し魔力の宿ったフルートを見つけました。狙い通り!

 

 タシターンさんにフルートのお会計をお願いして、お店を出ます。2万エリス…魔力が宿っている笛だし、妥当な値段なんでしょうね。

 

 ………買って帰りますか。

 

 

 

 

「お、クレール。帰ってきたか」

 

 冒険者ギルドに帰ってくると、カズマさんたちが席に着いていました。

 

「あれ?クエストに行かなかったんですか?」

 

「あぁ、実は―――」

 

 カズマさんから『魔王軍の幹部らしきもの』がこのあたりに住み着き、『弱いモンスターが隠れてしまった』ため、『高難度の仕事』しか受けられないことを教えてもらいました。

 

 …………さて、どうしましょうか…。




石笛(いわぶえ)については少し後に活動報告に。
リクエストとかもお待ちしてます!
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