今回は動物の王を誰か出そうかな?レッツダイスロール!
街から少し離れた地点にある少し大き目の湖。
この湖からは小さな川がいくつも流れており、アクセルの水源として利用されているようです。私が何週間か前にガウルさんと会った川はここから出ているものみたいです。……ガウルさん元気にやってますかねぇ?
さて、今回受けた依頼はこの湖の水質悪化をどうにかしてほしいというものでした。確かに、この湖の水は濁り、淀んでいます。一応私も≪浄化魔法≫を使用してみるつもりではありますが、水に効果があればよいのですが……。というか効果があってほしいんですよね。
「……ねぇ……。ほんとにやるの?」
私たちの後ろから、凄く不安そうなアクアさんの声が聞こえてきます。
「言ったろ?クレールの≪浄化魔法≫の効果で水が浄化されなければお前の出番だって」
アクアさんは水の女神ということもあり、水に触れているだけでも浄化は可能とのこと。でも浄化中は濁った水に生息するモンスターに襲われるかもしれない。浄化にはかなり時間がかかる。と聞いたカズマさんが考えた作戦が、『アクアさんを強固な檻の中に入れ、湖に浸す』というものでした。
私とめぐみんさんがカズマさんを説得した結果、とりあえず一度だけ私の≪浄化魔法≫をかけて、効果がなかったらこの作戦を実行することになりました。
「……私、これから売られていく、捕まった希少モンスターの気分なんですけど」
アクアさんの何とも悲しい感想を聞きながら、私は湖の前に立ちました。うまくいきますように……!
「【カタルシス】!」
湖の半分ほどを範囲に入れてみたのですが、あまり手ごたえはありませんね。水が綺麗になったようにも見えませんね。
「おーい、クレール!戻ってきていいぞー!」
「……はーい!」
アクアさん……頑張れっ!
◇
「私、出汁を取られてる紅茶のティーバッグの気分なんですけど……」
檻の中に入っているアクアさんは三角座りをしながらポツリと呟きます。
私たちは二十メートルほど離れた場所にある木陰に待機しています。
そうだ。今のうちにレベルアップの確認しときましょうか。実はあのデュラハンさんの乗ってきた馬を浄化したときにレベルが上がったんですよね。
えっと、レベルが8になってますね。あの馬そんなに強かったんでしょうか?スキルポイントは一気に25増えて、107ポイントになりました。…まだ初級魔法すら覚えられないなんて…。
「クレール?どうしたんですか?そんなしかめっ面して」
「あ、めぐみんさん。いえ、レベルが上がってスキルポイントが増えたんですけど、まだ初級魔法すら習得できなくて……」
「………ちなみに、今のスキルポイントは?」
「107ですね」
「今すぐ別のスキルを取ることをおススメしますよ?」
めぐみんさん……聞いてから意見出るまでがすごい速い…。
「それもそうですね。では何か別のスキルを取ってみます」
あ、これいいですね。≪楽器演奏≫から【ファラウェイ】と【ジョイフルジョイフル】。攻撃系じゃないので消費も少なめの18と13。取っちゃいましょうか。
冒険者カードに浮かんでいる文字を指でなぞって、私によく似ている、というか私の横顔が描かれている場所をタッチします。すると、冒険者カードから優しい光が出てきて、私を包みます。この光、数秒で消えますけどほんと何なんでしょうね。便利でいいですけど。
「おっ、クレール。スキル覚えたのか?」
「はい。先程めぐみんさんにほかのスキルを覚えた方がいいと言われたので」
「そっか。ちなみにどんなスキルを覚えたんだ?」
「【ファラウェイ】と【ジョイフルジョイフル】ですね。音楽関係のスキルです。効果は音を遠くまで運ぶのと、もう一度行動する活力を得ることができるものです」
「そりゃまた便利そうなのを取ったな。……なぁ、クレール。お願いがあるんだが」
「カズマさんがお願いをするのは珍しいですね。どうしました?」
「その、敬語どうにかならないか?もう結構一緒に行動してるしさ「無理ですね」…速いな。否定が」
「すいません。もう癖なんですよ、なっかなか取れなくて」
「そうか。それならいいや。…じゃぁ、この前言ってた"動物の王"に会わせてくれないか」
「あ、そのことなんですが」
「どうした?もしかして無理になったか?」
「いえ、実は、"動物の王"の皆さんに限らず、動物と会話するならとあるスキルが必要でして……」
「【アニマルエンパシー】だったけ?この前言ったヤツ」
「はい、私は話がしたいと思ってたらいつの間にか手に入れてたので、伝えるのすっかり忘れてました」
そう、"動物の王"に関わらず、ある程度の知能を持つ動物たちと会話しようと思ったら【アニマルエンパシー】というスキルが必要なのです。分類は≪常時発動≫スキルなのでカズマさんの冒険者カードに出てくるかどうか…
「またさらっと凄いことを…あ、大丈夫だ。こっちの冒険者カードに出てる。しかもコスト安い!2ポイントって!習得習得っと」
カズマさん、ポイントに余りがあるんですね。よかったです。
「あ、そういえば誰に会いたいか聞きましたっけ?」
「いや、まだ言ってないな。俺が会いたいのはフェンリルだ」
「あぁ…ちなみに理由は?」
「響きがかっこいいから。…あと、この世界にはファンタジー要素がもっとあってもいいはず」
「この世界とか、ファンタジーとか、さっきからカズマは何を言っているんだ?」
「あ、いや・・・」
「少し前まで魔法に頼らない生活をしていたカズマさんから見ると、ここは別世界のようだってことじゃないですか?」
ダクネスさんがカズマさんの声を聞いて不審に思ったようなので、適当な嘘でごまかしておきました。二ホンには魔法がないそうなので、大体合っているはずです。
「では、行きますよ~。準備はいいですか?」
「いざ会うとなると緊張するな」
「なんだ?なにか呼ぶのか?」
「"動物の王"…実力拝見です!」
「【フォーアラードゥング・フェンリル】!」
魔方陣を足元に展開し、フェンリルさんを呼びます。するとすぐ近くに光の粒子が集まり始め、だんだんと狼の形になります。
全長約5m。白銀でサラサラの毛並み。足元には眷属の狼さんたち。間違いありません。"陸上最強の動物の王"フェンリルのヴォルフさんです。
『……これはまた、面白そうな仲間と一緒にいるじゃないか。クレール』
続きは今日か明日に。最近、旧支配者達のキャロルという曲にハマっています
誤字あったら報告してくだしゃぁ。