このチョロイ子に祝福を!   作:隔離場

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32話 チョロイ子の戦闘 4(終)

「【クリエイト・ウォーター】!」

 

 カズマさんの叫びに反応した魔法使いの皆さんが、覚えている水を出せる魔法を一斉に唱え始めました。ベルディアさんはひょいひょいと躱していますが、徐々に逃げ道を塞がれているよう見えます。私は水を出す魔法を覚えていないので、出来る限りの≪支援魔法≫を全員にかけて、攻撃が当たった時の威力が上がるように支援しています。

 

 あ、水で地面が抉れた。

 

 どうやらこの世界の魔法は自分の魔力を籠めれば籠めるほど威力が上がる仕組みなんだそうです。私の世界では威力の上昇とか全くないので、今度から【プロテクション】の魔力量も相手によって調節してみましょうか。

 

 どうやら今回地面を抉った威力を出した攻撃は、冒険初心者の子が焦って魔力を籠める量を間違ったようですね。……まぁ、属性攻撃を覚えているだけめぐみんさんよりもパーティー向きですね。

 

「ねぇ、一体何の騒ぎなの?なんで魔王の幹部と水遊びなんてやってるの?この私が珍しく働いている間に、カズマったらなにを遊んでいるの?バカなの?」

 

 未だに状況を理解できていない人、アクアさんの声が鮮明に聞こえてきました。カズマさんの叫びと、この状況を見て判断できないとか……ちょっと怒っていいですかね?

 

「水だよ水!あいつは水が弱点なんだよ!お前、仮にも一応はかろうじてとはいえ、水の女神なんだろうが!それともやっぱり、お前はなんちゃって女神なの>水の一つの出せないのかよ!」

 

「はぁ!?あんた、そろそろ天罰の一つでも当てるわよ無礼者!一応でもかろうじてでもなんちゃってでもなく、正真正銘の女神ですから!みず?水ですって?あんたの出す水鉄砲みたいな貧弱な物じゃなく、洪水クラスの水だって出せますから!謝って!水の女神をなんちゃって女神って言ったこと謝って!」

 

 ………洪水クラスの水がどのくらいなのかは想像できませんが、アクアさんが水の操作をするとも思えないんですよね。水から冒険者さんたちを逃がす準備でもしてましょうかね。障壁の展開場所は……さっき倒れた子の所でいいかな。

 

「後でいくらでも謝ってやるから、出せるんならとっとと出せよこの駄女神が!」

 

「わあああーっ!今、駄女神って言った!あんた見てなさいよ、女神の本気を見せてやるから!」

 

「あ、そこのめぐみんさんを背負ってる冒険者さん、こっちですよー。他の方々も、なるべく速く移動(避難)してくださーい」 

 

 よし、これでカズマさんとアクアさん以外の冒険者さんは集まりましたね。じゃぁ、冒険者さん全員を囲う感じで障壁でも張りましょうか。

 【アフェクション】はもう使っちゃったので、代わりにひみつ道具その1を使いましょう。

 

「『守護の指輪・発動』」

「【セイクリッド・クリエイト・ウォーター】ー!」

 

 簡単に言うと、【アフェクション】と同等の効果を発揮する指輪です。以上、説明終わり。

冒険者さんと私を光の柱が囲うようにして展開されます。

 

 同時にアクアさんの魔法が発動しました。

 

 洪水クラスの水というのは大迫力ですね。アクアさんの背後から生成された大量の水は、ベルディアさん、カズマさん。そしてなぜか魔法を唱えたアクアさんまでもを巻き込み、流してゆきます。

 後ろからアクアさんに向けた歓声が聞こえてきますが、多分本人はそれどころじゃないんでしょうね。

 

 

 

 

 大量の水はやがて川の流れに乗って引いていきました。この場に残っているのは、水に濡れたせいでぐったりしているベルディアさんに、少し遠くの方まで流されて青筋を立てているカズマさん、自分はやり切ったみたいな顔をしているアクアさん。そして、足元のあまりのぐちょぐちょ具合に顔をしかめている私たちです。

 

 

「何を考えているのだ貴様は………馬鹿なのか?大馬鹿なのか貴様はっ!?」

 

 その意見には同意します。さっきちらっと見えたんですが、アクセルの街の正門のあたりが水の勢いで崩れちゃってるんですよ。…弁償物かなぁ……。

 

 カズマさんはゆっくりと立ち上がり、ベルディアさん立ちはだかります。一応【ホーリーアーマー】と【ヒール】かけときましょうかね。

 

「今度こそ、お前の武器を奪ってやる!」

 

「やってみろ!弱体化したとは言え、駆け出し冒険者のスティールごときで俺の武器は盗らせはせぬわっ!」

 

「『スティール』!!」

 

 カズマさんは所持している魔力のほとんどを【窃盗(スティール)】を炸裂させました。

 

 ベルディアさんの方を確認してみますが、その手には大剣が握られたまま佇んでいます。弱体化しても、レベル差を埋めるのは無理だったかと、周囲から失望の声が上がります。

 

 でも、カズマさんもベルディアさんも動こうとしません。…カズマさんもベルディアさんも、疲労が溜まりすぎて動けないんですかね?

 

 そんなことを考えていると、ベルディアさんの声が聞こえてきました。しかしその声にはずっと漂わせていた威厳はなく、なにより、声が出ている場所がこの勝負の勝敗を決したと確信できる位置です。

 

「あ、あの………」

 

ベルディアさんはか細い声を震わせながら

 

「あの……首………返して貰えませんか?」

 

 そう、カズマさんの手の中に、ベルディアさんの首がありましt………カズマさん!?顔がっ……『いいこと思いついた』って言って強敵が住んでいるっていう城の支柱に爆弾仕掛けるアコールさんみたいな顔になってます!

 

「おいお前ら、サッカーしよーぜ!サッカーってのはなああああぁ!手を使わず、足だけでボールを扱う遊びだよおおおおお!!」

 

 そう言うとカズマさんは、わっるい顔のままベルディアさんの首を冒険者さん達の中に蹴り入れました。

 

 蹴られて転がるベルディアさんの頭は、あっという間にさんざん実力を馬鹿にしていた冒険者さん達の恰好のオモチャにされてしまいます。

 頭を蹴られ続けているデュラハンの体の方は、剣を握ったままうろたえています。

 

 疲れましたね~。こうなれば流石に気を張る必要もないでしょう。

 

「『セイクリッド・ターンアンデッド』!!」

「ちょ、待っ……ぎゃああああああ!」

 

 そんなこんなで、アクアさんの手によって、ベルディアさんの体は浄化されました。騎士の面目丸つぶれですが、まぁいいでしょう。今日はゆっくりと眠れそうです………………。

 

 




ダイス結果をサササッと書いときますね~。
なお、この後ぐっすり寝た模様。
番外編……上げようか。
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