私の名前は望月紅葉《もちづきもみじ》。・・・・だったはずだが、気がつけば長瀬楓という人物になっていた。歳は8だ。
世界中がそうなのか、この長瀬家だけなのかは知らないけど8歳の誕生日に独り立ちするらしい。で、今日はその独り立ちした日だ。気が付いたら歩いていたので、実家はわからない。ただ一つわかるのは、長瀬家が甲賀忍者だということだ。
「このような事になるとは・・・」
この身体の持ち主は甲賀のなかでも特に優れていたらしく、もはやある程度の術式を覚えていた。しかし、知識も力も前世の私や他の大人には到底及ばない。
「ん?そういえば、ここは何処だろうか?」
気がつけば見知らぬ場所へと来ていた。考え事に耽りすぎていたようだ。標識には麻帆良と書かれていた。見覚えがないが、学園都市だということはわかる。なぜかというと、見かけるのがたいていこの身体と同い年から高校生くらいまでだからだ。
・・・・そういえば、さっきからずっとついてきている者どもはどうするべきだろうか。この町には結界が張ってあるし、後ろの者どもも只者で無い事は確か。あの者たちはまだ見ているだけだが、普通だったら私はもう死んでいてもおかしくない。油断していたみたいだ。
「仕方がない。乗ってあげるでござる」
そう呟いてから私はこの身体で出せる限界速度で駆けだした。一瞬、見ていた人たちの動きが止まっていたようだが直ぐ動きだした。私はなるべく人目のない所に向かった。
私が着いた場所は、今は使われてないらしい校舎の裏庭だ。
「ふぅ。ここなら人目など気にせんでもいいでござろう?」
ちなみに語尾が変なのは私ではない。この身体だ。言葉を出そうとすると変な言葉が出てくる。・・・察っしてくれ。
「別に人目を気にしていたわけじゃないよ」
そう言いながら出てきたのは白髪に白いコートを着た30代の男。身のこなしから、そこそこの手練れだとわかる。
「ほう。まあ、その辺りはどうでもいいでござるな。・・・何故拙者を追ってきたでござるか?」
「・・・?そのくらい知っているだろう?」
それを知らないから聞いたのだが・・・。だが、裏では聞くまでも無いほどにまでに有名なのだろうか?
「確かにこの町には大規模な結界張ってあり、魔力を持つ者が多数いるでござるが拙者は無知でござる。その辺を詳しく教えてほしいでござるな。場合によってはそちらの味方になってもよいと思っているでござるよ」
「本当に知らないのかい・・・?」
「うむ。つい先刻、里を出たのでな」
さて、どう受け取るだろうか?
「・・・・・もし君が言っている事が本当だったとしてもその証拠がない。だから、一度叩きのめさせてもらうよ」
そう言うと男はポケットに手を入れた。あれがあの男の戦闘方法なんだろう。だが・・・なるほど。
「それなら安心したでござる」
もし、あそこで警戒心を解いて近づいてきたらこの学園都市ごと潰していたところだ。
「・・・・それはどういう意味だい?」
「いやなに、あそこで近づいてくるような愚か者ならばこの町ごと潰すところでござったからな」
「!?」
男の隙をついて縮地で詰める。
「ま、判断は良いでござるが・・・いささか、相手が悪かったでござるな」
そう言ってから私は男の両手を取って投げた。合気道の天地投げという技だ。
「ぐっ!!(反応できない・・・!!)」
「殺しはせぬ。案内してもらわなければいけないでござるし、そこらじゅうにいる者たちが襲いかかってきそうでござるからな」
お、空気が変わった。気づかれてないとでも思ってたんだろうか。それとも男を敷き伏せた私を警戒したのか。
「くっ・・・降参だ。学園長室まで連れて行こう」
「た、高畑先生!何を!!」
「仕方がないだろう。たぶんここに居る全員がかかっても倒せない」
「ぐっ・・・」
流石は私の見込んだ人物だ。実力をわきまえている。学園長に会わせてくれるらしいので拘束をとく。流石に襲ってはこなかった。睨まれはしたが・・・。
「では行こうか」
そう言いながら高畑と呼ばれた男は立ち上がる。どうやらエスコートしてくれるらしい。
そんなこんなで学園長室にたどり着いた。
コンコン「学園長、失礼します」
そう言って学園長室に入る。そこにはとても人間とは思えない形の頭が・・・って、あれは!?
「なんだ、お前でこざるか」
ついつい声に出てしまう。まさか学園長やってるとは思わなかった。
「はて、その子は・・・?」
あっちは気づいてないらしい。
「それが、先程不法侵入した子供です。ただ、実力が桁外れで私もついさっき負けました」
「な、なんじゃと!?タカミチ君が負けた!?」
「はい。ですが抵抗する気は無いようで、ここまで来る間も黙って着いてきてくれましたけどね」
「ううむ・・・。わかった。タカミチ君は下がってよいぞ」
そう言うと高畑は部屋から出ていった。
「そこそこ実力のある者に下がってよいぞ、とは。随分と偉くなったでござるな。近右衛門?」
高畑が部屋から出ていったのを確認すると私はそう言った。
「・・・お主は何者じゃ?」
「おや、まだわからないとは。っと、そういえば今は容姿が違ったでござるな」
悪い悪い、と付け足す。それならばわからないのも仕方がないか。
「この体の名前は長瀬楓。そして中身は望月紅葉でござる」
そういうとやはり、疑問から驚き、そして青ざめた顔へと変化する。
「そ、それは、本当かの?じゃ、じゃがワシは元の世界に・・・」
「もしや、あれごときで逃げれたなどとは思っておらんでござろう?近(キン)よ」
近と言うのは昔、私が使っていた近右衛門のあだ名だ。私以外は使ってなかったからすぐわかるはずだ。
「じゃ、じゃがまだ証拠が・・・」
しぶとい奴め。まだ認めんとは。仕方がない。
「こうなったらお前の思い出したくない出来事すべて言うしかn「それだけはよすのじゃ!」・・・ならば認めるでこざるか?」
「認める!認めるから言わんどくれ!」
「わかったでござる。近が中学生まで拙者と同じ布団で寝ていた事は伏せておくでござるよ」
私がそういうと近が崩れ落ちる。罰としか言いようがない(笑)。
「ゴホン。で、どうして師匠がこの世界にいるのじゃ?」
気を取り直した近が質問してくる。ちなみに近は私の弟子だ。だから本音をぶつけられる。
「知らぬ」
「は?」
聞こえなかったんだろうか。
「だから知らぬ。気がついたらこの体に宿っていたでござる。死んで転生したのか、憑依したのか、そもそも此処がどこなのかさえわからないでござる」
元の世界に逃げた近がいるから異世界ではあるらしいがな。
「師匠が死ぬはずは無いのでなんとも言えんのう。で、師匠はどうしたいのじゃ?」
「別に元の世界に戻りたいとは思っておらぬ。ただ、この世界の最強と戦っては見たいでござるな。・・・もしやお前が最強、何て言わぬでござるな?」
ま、それはないか。こいつ弱いし。
「ふぉっふぉ、わしが最強じゃったら今頃世界征服をしてますぞ」
そういえば将来の夢は世界征服とか言ってたな。
「一通り昔話を話したところで本題に入ろうかの」
一通り談笑したところで近が本題に入る。
「そうでござるな。じゃあ先ずは衣食住を用意してもらいたいでござる」
「ふむ、そうなると師匠には学校に通って貰う事になるんじゃが・・・」
「教師というのは駄目でござるか?」
「師匠の腕なら立派な子供を育てる事も出来るじゃろう。しかし、教師の80%が魔法教師。突然魔力の持った一般教師が現れればいくら私でも隠し通せませぬ」
流石は弟子だ。私が極力魔法を知っている事を知られたくないのを知っている。
「なので、中学生になってもらいたいのじゃ」
「・・・何故、中学生に?」
中学生というのも不思議な話だ。まあ、姿かたちは魔符でどうにでもなるが。
「実はもうすぐ魔法学校と言うところから新卒の魔法使いが派遣されるのじゃ。名前はネギ・スプリングフィールド。この世界では有名な英雄の息子じゃ」
英雄の息子、か。さぞちやほやされて育ったに違いない。
「歳は?」
「それがまだ9歳になったばかりの子供じゃ」
おっと、これは予想外だ。
「わしもまだしっかりと学ばせるべきだと言ったんじゃが魔法世界の幹部達がうるさくての・・・」
「仕方なしに卒業、そしてその修行場をこの学校の教師にしたわけでござるか」
「その通りじゃ。なので師匠にはその見守り役・・・つまりは一生徒として見守ってほしいのじゃ。実はもう一人見守るはずの者がおるのじゃが、サボり気味での」
なるほど。学園長ともなれば仕事があり、いつも見守っているなんて事は不可能というわけか。
「それは良いが、間違ってる事は直させて貰うでござるよ?」
あわよくば、私好みの魔法使いに・・・。
「うむ。ネギ君にとってもそれがいいじゃろう。さて、気難しい話はここまでじゃ。師匠の事は他の中学から転校してきたという事にして部屋も用意するので今日は飲みましょうぞ」
弟子からの誘いとくれば受け付けないわけにはいかない。一応は魔法で成人になっておいて学園長室で朝まで飲み語った。
主人公が8歳だから原作前の話がたくさんあると思いましたか?残念ながらそんな事はありません。楓は魔法で隠してますが15歳ではなくネギより下です(笑)
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