シスコン(ブラコン)じゃない兄弟はいない    作:炭酸ジャンキー

6 / 8
第6話 ショッピングタイム

 

 女の買い物は長い。

 というのはよく聞く話だ。

 実際のところは知らない。というより、女子と買い物に行ったことがない。遊びには行ったことはあるけど、服を買ったり等の、いわゆるウィンドウショッピングはない。

 そりゃもちろん、翼とは買い物に行ったことはある。

 が、それは家族での話。

 というか、今絶賛、家族で買い物に来ているから、こういうことを考えている。家族と言っても、両親は不在。今日も今日とて仕事らしい。休日なのに大変だ。まあ、そのおかげで俺たちが生活できるわけだが。

 よって今日は兄弟水入らずでショッピングである。目的は主に結衣の洋服。

 子どもの成長は早い。それにもうすぐ夏だし、さっさと買っておこうと、近くのショッピングモールに来ていた。

 

 

「いやっふー! モールだー!」

 

「走ると転ぶわよ」

 

 

 ここのショッピングモールは大きい。ここに来ればたいていものは揃うらしい。なので休日のみならず、平日でも多くの人で賑わいをみせる。今はまだ、お店が開店し始めたばかりなので人は少ないが。それでもあまりはしゃぎすぎると、他の人にぶつかったり、迷子になる。

 

 

「おにーちゃん、おねーちゃん、はやぶっ」

 

 

 ほら、いわんこっちゃない。

 早速、結衣が街灯にぶつかっていた。人さまじゃなくて良かった。

 

 

「うっ、おにーちゃーん」

 

「よしよし」

 

 

 涙目で抱き付いてきたので抱え上げる。

 まったく、仕方ないなあ。

 

 

「ぐへへへ、おにーちゃんのにおいがするぜー」

 

 

 まったく、なんでこんな子に育ったのかなあ。

 めっちゃ嗅いでるし。犬かお前。

 結衣は翼に任せよう。貴様もにおいを嗅がれるがよい。

 

 

「翼、パス」

 

「はい」

 

 

 素直に受け取る翼。

 

 

「いや、バックじゃねーよ。結衣だよ、はいパス」

 

「カット。そういうのはおにーちゃんの仕事よ」

 

「頼むよバサ姉」

 

「誰がバサ姉よ。それに結衣はガッチリ、遼を掴んでるじゃない。ホールドしてるじゃない」

 

「うん、首チョー苦しい。ヘルプミー」

 

「助けないわ。貴方が勝手に助かるだけよ」

 

「いいから。アロハのおっさんのセリフはいいから助けて」

 

「助からないわ。貴方はもう死ぬだけよ」

 

「なんで手遅れみたいになったんの!? ねえ結衣ちゃん? マジで苦しいんだけど? ホントにおにーちゃん死んじゃいそうだけど?」

 

「他の女のにおいがする」

 

 

 いや、洗濯したてですけど? さっき、おにーちゃんのにおいがするぜー、って言ってたじゃん。

 

 

「一体誰なの、このメールの相手は!?」

 

「なにその昼ドラ展開!? メール見てないだろ!?」

 

「最近帰りが遅いのはそういうことなのね? そういうことだったのね!?」

 

「違うから! 確かに最近帰るの遅かったけど! 悪かったって! あとでアイスかなんか買ってあげるから離して!」

 

 

 離してくれた。やっぱ子どもだなあ。食べ物には弱い。ちょろいぜ。

 それと結衣ちゃん、悲しいことにおにーちゃん、まだカノジョいないんだぜ。

 

 

「へっ、作戦通り、ちょろいぜ」

 

 

 全然子どもじゃなかった。完全におやつ目当てだった。

 でもやっぱり、寂しかったんだろうなあと思う。いつもよりスキンシップ多いし。そこは甘んじよう。

 

 

「アイスー♪ アイスー♪ アイスの三段重ねー♪」

 

「おい、それ一番高い奴じゃん」

 

「アイスは買い物が終わってからよ」

 

「はーいっ!」

 

「無視かい」

 

 

 けっこう節約してたのになー。さらば俺の貯金の一部。

 

 

「ほら、落ち込んでないで、貴方も結衣の服を選びなさい。貴方、意外とセンスいいんだから」

 

 

 意外は余計だ。

 実は翼と結衣の服は俺が選んだものが多かったりする。別に2人のセンスが悪いというわけではない。結衣はたまに変なの持ってくるが。

 

 

「おにーちゃん、おにーちゃん、これとかどう? 兄 イズ マネー」

 

 

 そうそう、例えばこんな………………

 

 

「ちょっとまてええええええええ!」

 

 

 結衣が持ってきたのはよくある文字のTシャツ。兄 イズ マネーと書かれていた。

 え? なにそれ? センスが悪い以前に言葉が悪いんだけど。なんで売ってんの?

 

 

「あら、それ、もしかしてお父さんがデザインしたものじゃない?」

 

「え? なんでわかんの?」

 

「去年、家で仕事してるときにどっちのデザインがいいか訊かれた時のうちの片方」

 

 

 あのクソ親父ぃ! ちょっとでも感謝した俺に謝れ!

 

 

「ちなみにもう1つは、兄とバカは使いよう」

 

「どっちも最悪だあ! なんでそのデザイン通したの!?」

 

「さあ? そういうコンセプトだったんじゃないの?」

 

 

 どういうコンセプトだ。

 

 

「じゃあ、おにーちゃんが選んでよ」

 

「んー、この水色っぽいやつに、でかい白いリボンが付いたピンクのスカートは?」

 

「着替えてくるー」

 

 

 試着室に入る結衣。その間に他のも探しとくか。

 

 

「じゃーん! どう?」

 

「いいじゃない」

 

「えへへー。それにこれ、リボンは付け替えできるみたい。スカートは気に入ったー」

 

「決まりね。はい次はこれ。チューブトップにスカート」

 

 

 とドンドン試着していく結衣。服買いにきたら、だいたいこんな感じでファッションショーが始まる。

 

 

「白ワンピ!」

 

「それは微妙だな」

 

「ミニデニムとシャツにジャケット!」

 

「帽子も合わせたらいいかもな」

 

「ネコミミパーカー!」

 

「もふもふしたい」

 

「サンタコス、夏バージョン!」

 

「ミニスカにしよう」

 

「りりなの、なのはコス!」

 

「ツインテールにしよう」

 

「SAO アスナコス!」

 

「ちょっとドンキで剣買ってくる」

 

 

 こんな感じで本来の目的を見失うことも多い。

 結局、これを3時間ほど繰り返していた。

 女の買い物は長い。

 本当に長いのか、それとも男が長く感じるのか。

 案外、長引かせているのは男かもしれない。

 

 

 

 




ちなみに作者はセンスなし。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。