ホグワーツに入学して大分たちましたが、今ではもう、ほとんどの一年生がホグワーツでの生活に慣れてきました。グリフィンドール生達からの私への評価は、一部の人達からの評価を除き、とても良いようです。その理由としては、ホグワーツ始まって以来の秀才であり、その上お姫様のような雰囲気を出しているから、だそうです。
ウィーズリー家の双子のフレッド、ジョージを始め、既に何人かの生徒からは『グリフィンドールのお姫様』と呼ばれているそうです。
まぁ、それでもロンのように、私がドラコ達スリザリンの生徒と仲が良いから、という理由で敵対視してくる生徒もいるようですが…
それにしても、まったく、誰が『グリフィンドールのお姫様』なのでしょうか…
私のご祖先様は、あの高貴なる、サラザール・スリザリン様なのですが…
寮の部屋は、ハーマイオニー、パーバティ、ラベンダーの三人と同室になりました。
部屋では、ハーマイオニーは一人で夜遅くまで教科書や参考書を読み漁り、パーバティとラベンダーの二人は早くも打ち解けたのでしょうか、好みの男の子のタイプなどについて話し合っているようです。
私にとって、寝るときに他の誰かが私と同じ部屋にいるという状況は初めてでしたので、最初はあまり眠れませんでしたが、最近はようやく眠れるようになってきました。
今日は、グリフィンドールとスリザリンによる合同の飛行訓練が行われます。
今日は既に、ハリーとドラコがネビルの『思いだし玉』をめぐって、喧嘩をしかけていたので、何も起こらないことを祈っておきましょう。
飛行訓練のお知らせが有ってからというもの、色んな生徒達の自慢話が飛び交いました。まぁ、ハリーやマグル生まれの人達、それと彼のお祖母さんに箒で飛ぶことを禁止されていたネビルは、不安そうに過ごしていましたが。
そんな私も、恥ずかしながら実は箒に乗ったことがありません。
私は高所恐怖症というわけでもありません。
ならば、なぜ私が箒に乗ったことがないかというと…
私のお城には唯一箒だけは無いからなのです。
ルシウス叔父様曰く、私の一才の誕生日祝いのパーティーの席でルシウス叔父様を始めとした、死喰い人達からおもちゃの箒が贈られたらしいのですが、その時、御父様がその箒を焼き尽くしてしまったそうです。
なんでも御父様は、
「この俺様の可愛い、可愛い、サラが箒から落ちてしまうなど、有り得ぬことだ。だが、もし万が一にもサラが飛行中に落ちてしまったらどうするつもりだ。今後、俺様のサラに対する贈り物はよく考えてから選ぶのだ。俺様は、サラにたとえどんなに小さな傷であったとしても、間接的にだったとしても、怪我を負わせた者がおれば、その者を決して許しはせぬぞ。もちろん、サラに手を出そうとした者が現れれば… その時は分かっておろうな…」
と、ルシウス叔父様が見た御父様の過去最大級の威圧感を出した状態で、このように仰せだったそうです。
こういうことですので、私への贈り物は大抵ぬいぐるみか、ドレスなどのお洋服、と決まっているのです。どんなにお願いしても、結局、誰からも箒は貰えませんでした。
私がドラコ達と共に飛行訓練が行われる場所に向かうと、何十本もの箒が地面に整然と並べられていました。しばらくすると、ハリー達グリフィンドール生達も、マダム・フーチ先生がいらっしゃる少し前にやって来ました。
「何をぼやぼやしているのですか!みんな、箒のそばに立って。さぁ、早く!」
最初からお説教モードのようです。
私は、ドラコと正反対の箒の所へと向かいました。私の箒は、とても古いようで、小枝が少し抜けているようです。
「右手を箒の上に突き出して。そして、『上がれ!』と言う。」
皆が一斉に、マダム・フーチ先生の言葉を実行しました。
すると、私、ドラコ、ハリーの箒はすぐに、それぞれの乗り手の手へと収まりました。
けっこう、嬉しかったりしてます。
ドラコやハリーも得意気なようで、私に笑顔をくれました。
一方、ハーマイオニー、ネビルの箒はいつまで経っても中々上がりませんでした。
先生は、次に箒の乗り方についての説明をなされて、その後、一人一人箒の握り方のチェックをされました。
ドラコは、先生に間違いを指摘されて、悔しそうでしたが、ハリーはそんなドラコを見て嬉しそうでした。
「さぁ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴って二メートルほど上昇してください。その後、前屈みになって降りてきてください。行きますよ。一、二のーー」
その時、ネビルがフライングをしてしまいました。
その上、先生の制止の声を聞かずに、いえ、聞けずに、どんどんと上昇していっています。
あの高さから落ちれば、目も当てられないことになるのではないでしょうか?
ここは、助けてあげた方が良いでしょう。
私が杖を取り出した瞬間、ネビルは一気に下に加速しながら落ちてきました。
「アレスト・モメンタム! 動きよ、止まれ!」
私が杖を振ると、ネビルは地面にぶつかる直前に減速をして、トン、と柔らかい音を立てて、地面にぶつかりました。
皆、急いでネビルの元へと駆け寄ると、どうやら、気絶しているようでした。
マダム・フーチ先生は、すぐにネビルの体を調べ始めました。
「はぁ、どうなることかと思いましたが、助かりました。幸いこの子は大きな怪我を負ってはいないようです。ゴーント、貴女のその機転と、魔法に対し、グリフィンドールに二十点あげましょう。」
「ありがとうございます、マダム・フーチ先生。ネビルは気絶しているようですが、保健室にでも運びましょうか?」
「そうですね。そうしてもらえると、助かりますね。私はネビルを保健室につれていった後は、ダンブルドア先生に報告しなければなりませんし、貴女がマダム・ポンフリーに何があったのか説明してくれると助かりますよ。」
マダム・フーチ先生は私に微笑みながら、そう答えて下さりました。
「私がここに戻ってくるまで、誰も箒に乗って遊ばないように。さもないと、クィディッチの『ク』を言う前にホグワーツからでていってもらいますよ。さぁ、行きましょう。」
「はい、分かりました。モビリコーパス! 体よ動け!」
私がネビルに向けて再び杖を振ると、今度はネビルは操り人形のように立ち上がり、私の後をついてきました。
保健室に着いた時に、マダム・フーチ先生から改めて感謝されて、マダム・ポンフリー先生からもとても感謝されました。
そして、どうやら私はこの二人の先生に気に入られたようでした。
マダム・ポンフリー先生からは、「貴女に差し上げましょう」と言われて、魔法の治療に関する本まで頂きました。