というわけで、ハギト編最終回!!
遅くなってすみません。結構書くのに時間かかりました(;Д;)(;Д;)
これ、明日も更新間に合わないな……
と、とりあえず、どうぞ!!
裏・解き放たれし鋼鉄の威信
アッシュがヒツギちゃんを助けてから数日。ヒツギちゃんは学校を休んでいた。おそらく、アルという少年とともにオラクルにいるのだろう。
私はというと、次期生徒会長がいない生徒会と共に文化祭の準備を進めていた。この口実がないと、この学園に出入りするのは難しいから仕方が無いのだけれど。
あれから、シエラからは色々と説明を受けた。オラクル戦艦の一つはこの地球と同じ世界に来ているということ。そして、それはフォトンによって地球からは見えなくなっていること。などなど。
エンガは心配していないような素振りをしているが、度々私にヒツギちゃんの様子を聞いてくる。
ニヤニヤが止まりません。
ヒツギちゃんのことはシエラから定期的に連絡を入れてもらっているから、それを渡せる範囲で流している。
「……にしても、ほんと分かんねーな。あのアルってやつ。マザーは何故あの子を欲する……? 大体あいつは何者なんだ……?」
天星学園生徒会との仕事を終えた私は今日も今日とてエンガと会議。相も変わらず何も分からない。分かったことといえば、亜贄ハギトはマザークラスタの幹部。使徒と呼ばれるメンバーの一員ということだけだった。
アルくんについてはまだ何もわからないでいる。ただ分かっているのは、あの子の姿はヒツギちゃんが使っていたアバターそのものということだけ。それが、なにか意味するのだろうか。
不意にデバイスが鳴った。
「通信か? この時間は定時連絡の時間じゃないだろ?」
「うん。そのはずなんだけど……」
それを起動させる。
『レイさん! 至急オラクルに戻ってください!!』
何やら慌てているシエラ。何かあったのだろうか。
「シエラ、落ち着いて。どうしたの?」
『とにかく大変なんですっ!!』
もはや会話にならない。詳細を聞きたいけど、これだけ取り乱していては無理だろう。オラクルに戻って直に確認した方が早い。
「……分かった。すぐに戻る」
デバイスを切って、支度をする。
「呼び出しか?」
「そんなところ。それじゃ、行ってくるね」
「ああ。ヒツギを頼む」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
オラクルに戻った私が最初に耳にしたのはアークスシップ内に響く警報だった。
『緊急警報発令。地球にて、超巨大反応の発生予兆を確認。現在、作戦準備中です』
「緊急警報……?」
しかも、対象は地球だ。一体何が起きているの……?
これが、シエラが私を呼んだ理由かもしれない。私は急いで艦橋に向う。
「シエラ、一体何があったの?」
艦橋にはシエラだけでなく、アッシュとヒツギちゃん。そして、アルくんがいた。
「レイさん! お待ちしておりました! 現在、惑星・地球の日本近海において巨大な幻創種の反応を確認しました。幻創種都市部へと侵攻を開始しており、このまま放置すれば、隔離領域では抑えきることができず、現実の世界にも大きな被害が出ることが予測されちゃいます!」
戻ってくるなり、無茶苦茶だ。何でそんなことが起きているのだろうか……
「ななな、なんなのよそれっ! あの亜贄ハギトってやつのせいなのっ!?」
「お姉ちゃん、落ち着いて」
声を荒らげるヒツギちゃんをアルくんは宥めようとする。
「かもしれないです。あの亜贄ハギトってひと、見た感じ自尊心の塊のような方でしたし、アッシュさんにやられて、自暴自棄になったんでしょうね」
「俺のせいなのか……?」
確かに、自尊心の強い人間ならこれくらいの事はやりそうだ。ただ、巨大な幻想種といわれてもあまり想像出来ない。
【巨躯】くらいかな……?
「別にアッシュさんのせいというわけではないでしょうが、これはまずいですよ。現在、アークス各員に呼びかけは行っていますが、正直あれを止めることができるかどうか……」
「それだけ凄いものなの……? シエラ、映像ある?」
「はい! 映像、でます!」
モニターに映ったのは、船だった。その大きさは【巨躯】をも凌駕している。
「これは……船か?」
アッシュも驚いているようだ。
「ええっと、地球でいうところの戦艦らしいですね。調べてみたところ、大和型戦艦一番艦大和と形状が一致しています」
「大和……? たしか、亜贄ハギトの経営しているYMTコーポレーションは大和って意味ってテレビで言ってた気がする」
ヒツギちゃんの情報が正しければ、この件は十中八九亜贄ハギトが絡んでいる。
「それじゃあ、今回の件は亜贄ハギトの仕業ということで決まりですね!」
早急すぎるかもしれないけど、シエラも私と同じ意見らしい。それなら、私のやることは必然的に決まってくる。
「それで、あれの対処はどうするの?」
あれだけ大きなものだ。しかも、海の上となると、生身で攻撃するのは難しいだろう。
「それはですね、A.I.Sを使っちゃいます!」
A.I.SとはArks Interception Silhouetteの略であり、アークスが駆使するロボットスーツのことである。戦闘力はフォトンで強化した生身の遙上をいく。最近、新しい武装を積んだとかなんとか、技術班が言っていたような気がする。
「作戦としては、AISを駆使し、冷凍ミサイルを大和付近の海に撃ち込みます。そうすれば、大和の足は止まるので、そこを叩きます。準備は出来ています、お二人はシップの方に移動をお願いします」
それは、私とアッシュに向けられたものだった。
「えっと、私は……?」
ヒツギちゃんは困った顔をしている。
「今のヒツギさんはあくまでお客様です。アークスでない方に任さるわけには行きません。ここは、アッシュさんとレイさん。そして、他のアークスに任せてください」
シエラの言うことは正論で、今回はヒツギちゃんが手伝える限度を超えている。ヒツギちゃんの気持ちもわかるけれど、今回はここで見学してもらうしかないだろう。
それと……
「その事なんだけど、私はパスするよ」
「……は?」
その素っ頓狂な単語は、アッシュ、シエラ、ヒツギちゃんからほぼ同時に発せられた。
「お前、こんな時に何言ってんだ!!」
「そうですよ! どういうつもりなんですか? 任務に関して私が口出し出来ることではありませんが、納得出来ないです!」
アッシュとシエラは私に理由を聞いてくるが、そんなの話せるはずがなかった。
「ごめん。とにかく、私は今回の任務には参加しないから……」
私にははぐらかすことしか出来ない。
「ちょっ!? レイさん!!」
私はそれ以上は何も言わずに、艦橋を出た。あとは、こちらで立ち回るだけのはずだったのだけれど、アッシュが私を追ってきた。
「おい、どういうつもりだ? ふざけてるのか?」
「別に……」
私はそれをあしらう。
「私に説明する義務はないし、緊急任務はアークスの義務じゃない。そりゃ、義務に近いものだけど、それならアビスを使えばいい。そうじゃないってことは、拒否権は存在するってことでしょ?」
そう。緊急任務は絶対に出撃しないといけない訳では無い。絶対に出撃しないといけないなら、絶対令を使えばいい。そうまでしないということは、これは絶対ではないということになる。
「そんなの関係ないだろ。地球の人たちが危険なんだ。分かるだろ?」
「地球……ね。オラクルに攻撃が来るなら私だって出てたでしょうね」
なんて、皮肉っぽく言ってみる。
「レイ……お前……」
もしも、私が男ならアッシュは胸ぐらを掴んで殴っていたことだろう。だけど、アッシュはそれをしなかった。私が女だから? それとも、殴る価値さえ見いだせなかったのか。
「もういい。お前も俺と同じ気持ちだと思っていた俺が馬鹿だった。見損なったよ」
そう言い残して、アッシュは艦橋に戻っていった。私はマイルームに戻って、デバイスを起動させる。
『おや、どうしたんですか? あなたから直に連絡とは珍しい。シエラさんを通さなくてよかったのですか?』
通信の相手はカスラだ。
「ええ、聞かれたくないこともありますから。少しお願いがあるのだけれど、いいでしょうか?」
私がシエラを通してカスラと通信をしているのは、表沙汰になるようにするためである。シエラやアッシュに聞かれたくないことならこうやって直に通信をとる必要がある。
『内容にはよりますが、承ります。それにしえも、レイさん。顔がやつれているように見えますが、何かありましたか?』
「気のせいですよ」
私は笑って誤魔化した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
私の地球への転送場所はアイカの部屋となっている。転送が終わると、私は清雅学園の生徒会室に顔を出す。相変わらず、イツキくんとアイカ以外は出払っている。
「おかえりなさい。天星学園との文化祭の打ち合わせは終わったんですか?」
「うん、滞りなく。それと、これは警告。多分大丈夫だろうけど、近くに巨大な幻想種が現れてる。もしも何かあった時は、お願いね」
あっちはアッシュが何とかしてくれるだろう。だけど、万が一のことがある。
「巨大な幻想種……ですか? その討伐は?」
「今、オラクルで討伐隊を結成しているところ」
アイカの質問に答える。
「なら、俺達も!」
「ダーメ。適材適所だよ。イツキくんたちはこの学園を守って」
イツキくんは最近やる気に満ちているらしい。生徒会長になったのが原因なのかな?
「副代表はどうされるんですか? こちらに戻っているということは、討伐はされないのでしょう?」
やはり、アイカにはバレているらしい。
「うん。少しやることがあってね」
「そう、ですか。無理はなさらないでください」
それ以上アイカは何も聞いてこなかった。
「ありがと……それじゃ、行ってくるね」
私は清雅学園から出て、街に急いだ。
ビルの屋上を駆け回っていると、そいつはいた。何やら電話をしていたようだけれど、終わったようだ。
私はそいつに近づくと、私に気づいたようだ。
「やあ、君は確かあの会場にいた……」
「ええ、こんにちは。亜贄ハギトさん」
私は軽くお辞儀をしてみる。幻想種を生み出して攻撃してくると思っていたのだけれど、そんなことは無かった。
先程の電話でエメラルド・タブレットが自分の手から離れたと言っていた気がする。おそらく、それが、あの巨大な幻想種とも、今幻想種を出せないこととも関係があるのだろう。
「それで、僕に何用かな? サインが欲しい、という訳では無いのだろう?」
「そうですね。貴方にはここで尽きてもらいます」
そう。今回の私の目的は亜贄ハギトの死そのものだった。私は殺意を顕にする。
「なっ!? どういうことだマザー!!」
ハギトは声を荒らげる。何に話しているのだろうか。虚空に向かって話しかけている。
「き、君はアークスだろう? アークスは人を殺していいのかい?」
「そうね。今までは必要がなかったから殺さなさっただけ。それに、今までエネミーやダークファルスと戦って、私達はそれを殺してきた。対象が人間になるだけ」
私はハギトに銃口を向ける。
「そ、そうか。金か? 金ならいくらでも払う。だから見逃してくれないだろうか?」
「お金、ね。残念だけど、私はそれに飛びつくほど甘くはない」
引き金に指を掛ける。
「くっ……君はそんな簡単に人を殺せるのか……?」
「くどい。あなたは私の家族を襲ったんだ。今だって、あの人たちを危険に晒している。それは、あなたを殺すのには十分すぎる」
「ひっ……うぁぁぁあああっ」
私は逃げようとするハギトの頭を撃ち抜いた。
「カスラさん。遺体の処理、お願いします」
デバイスを起動させ、カスラに連絡を繋いだ。座標も一緒に送信する。
『分かりました。それにしても、よくその場所がわかりましたね』
「ええ。自分の一番好きなものが暴れるんです。見たくないわけがないでしょう? あの戦艦がしっかりと見える場所を虱潰しに探せばすぐに見つかります」
とはいえ、割と数があるから大変ではあったけれど。
『さすが、情報部の次席。いえ、副代表ですね。今のレイさんは始末屋より始末屋らしい』
「えっ?」
カスラの思わぬ発言に声を出してしまう。
『すみません、忘れてください。どうやら、私もルーサーと同じで思ったことを口にしてしまうようでして。すぐ、人員を送ります』
「ありがとう、ございます」
静かに礼を言った。この陰険メガネにお礼を言う日が来るなんて思いもしなかった。
『それにても、よろしかったのですか? いくら、亜贄ハギトを始末するためとはいえ、ほとんど無理矢理そちらに向かったのでしょう? アッシュさんとシエラさんは困惑しているようでしたよ?』
「いいんです。アッシュたちはどこかで甘えがでるから多分、他の方法を考えていたと思います。でもそれじゃ、地球の人たちにさらに被害が及ぶ可能性がある。私ひとりが悪人になればおさまるのだから儲けものでしょ? それに、私のこんな姿、みんなに見られたくないですし……」
自己犠牲か……本当に、こんな自分が嫌いになる。まるで、私はアイツみたい……
『それもそうです。二人に変わって、私がお礼をしておきましょう。ありがとうございます』
私は通信を切って、清雅学園に戻った。
巨大な幻想種の討伐は成功したらしい。特に甚大な損失はなしとのこと。
これはあとから分かったことなのだけれど、処理班が私の送った座標に到着した時にはすでに亜贄ハギトの遺体は無くなっていたらしい。
さてさて、ハギト編終了です!!
レイさん、最後の最後にヘイト集めすぎな気がするけど気にしない。多分、レイさんの言ったことヒツギにも伝わってるから、次書く時はヘイトたっぷりに書かないといけないなぁなんて(笑)
遺体がなくなってた件は一応マザークラスタが回収しておいたという設定です。本編では、ここでいなくなるので殺しても大丈夫かなと思ったのですけど、また出てこないわけではなさそうですから、保険にね!! 殺してしまってはいるけど、生き返るでしょ!!(テキトー)
ツジツマアワセ☆
次回からは過去編でクーナ編でも挟もうかなと
このまま、EP4突っ走ってたら追いついてしまうし、裏の行動が難しい……
それでは、感想・指摘お待ちしておりますん!!