PSO2/S.A    作:朎〜Rea〜

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クーナ編最後でございます!

今回はお知らせは特にありませぬ。

それでは、どうぞ!!


Episode4【ベトール編】
【クーナ編】『さよなら』と『これから』


 翌日、クーナのもとを訪れたが、そこには誰もいなかった。

 

 ……嫌な予感がする。

 

「カスラさん。いま、よろしいですか?」

 

 私はカスラに通信をした。正直に、出てくれると思っていなかったから驚いた。

 

『おや、あなたから通信なんて珍しい。どうかしたのですか?』

 

 分かっているくせにタチが悪い。私はそのまま無言で画面を見続けた。

 

『おやおや、怖い顔ですよ。アムドゥスキアの浮遊島に散歩でも行ってみたらどうですか? あそこは、景色もいいですし、リフレッシュ出来ると思いますよ』

 

 教えるなら素直に教えればいいのに、回りくどいというか、陰険というか……

 

 決めた、この人は陰険メガネと呼ぼう。

 

「……そうですね。そうしてみます」

 

 通信を切り、急いでキャンプシップに向かう。途中、チームメンバーから名前を呼ばれた気がしたけど、気のせいだろう。

 

 場所は変わってアムドゥスキア。

 

「この曲……クーナの……」

 

 この前のオラクルの戦闘でもそうだけど、クーナが歌っているのが聞こえてきた。この前は意味があるかもしれないとは思っていたけれど、おそらく、これはハドレッドを呼ぶものだろう。

 

「急がないと……」

 

 クーナの歌声が聞こえる場所は、なんというか神聖なものであった。アムドゥスキアの浮遊石がドーム状に重なれていて、入れるところは1箇所のみ。

 

 

 ドーム内は戦闘によってボロボロになっている。どうやら、相当激しかったらしい。

 

 中では、案の定というか、やはりというか、クーナは動けなくなったクロームドラゴンにトドメを刺そうとしていた。

 

 その一撃は無意味なものとなった。

 

「……っ!? レイ……何のつもりですか……?」

 

 私が止めたからである。

 

「言わないと分からないの? 私は許さない。家族を殺すなんて、私は絶対に許さない!」

 

 クーナの攻撃を跳ね返し、クーナはその反動で後ろに下がる。

 

「レイ、なんでこんなところに……?」

 

 後ろから見ていた傍観者。否、協力者が口を開ける。

 

「そっか、もう1人の協力者ってアッシュのことだったんだ。……そんなことは、どうでもいい。クーナ、考え直す気は無いの?」

 

 私はアッシュを無視し、構えていた双機銃を下ろす。クーナと戦闘なんてしたくない。話し合いで終わるならそれが一番だ。

 

「そんなものはないです。邪魔をするなら貴方も消すまでですよ?」

 

 クーナはダガーを構え直す。どうやら、考え直してくれる気はないようだ。

 

「そう……それなら、仕方がない。クーナにハドレッドは殺させない」

 

 下げた双機銃を構え直し、クーナの初撃を防ぐ。少しクーナが下がったと思うと、無慈悲な乱撃を繰り出してきた。

 

 たしか、フォトンアーツ【オウルケストラー】だったはず。クーナはそれだけ本気だということだろう。

 

「双機銃でダガーを跳ね返すなんて、貴方は一体……」

 

 怯んだクーナの隙を見逃す筈がなかった。私は一気に距離を詰め、背中からの体当たり【鉄山靠】……違った、フォトンアーツ【デッドアプローチ】を決める。

 

 クーナは数メートル吹き飛んだが、受け身をとる。ダメージはほとんどなさそうだ。

 

 ギリギリのところで防がれたか……

 

 クーナは体勢を一瞬で立て直し、私めがけて飛んできた。フォトンアーツ【レイジングワルツ】だ。私が攻撃をガード瞬間、彼女は飛び上がる。

 

 隙が生れた筈だったが、クーナは焦るどころか、そこから攻撃を繋げた。

 

 そのまま、高高度からダガーを叩きつけるフォトンアーツ【フォールノクターン】。攻撃はまだ終わらず、降りたところでサマーソルトの【クイックマーチ】、連撃である【オウルケストラー】に続いた。

 

「……正直、今のを完璧に防がれるとは思ってませんでした。もはや、射撃武器というより、近接武器ですね、それは」

 

 クーナの殺気は消えない。戦っていれば少しは収まるかと思っていたのだけど、それは私の思い過ごし……いや、私の身勝手だったのかもしれない。

 

「クーナっ! いい加減に目を覚ませっ!! 本当にハドレッドを殺したいのっ!?」

 

 いい加減に腹が立った。なぜクーナはハドレッドを殺さないといけない? クーナ本人じゃなく、理不尽に腹が立った。もちろん、この分からず屋にも少なからずはご立腹だったけど。

 

「うるさいっ!! 私だって……私だって本当は殺したくない! だけど、これは命令。私だって覚悟を決めてきた。だから、わたしはハドレッドを殺す!!」

 

 クーナはクーナで覚悟が決まっているらしい。その目には迷いはなかった。

 

 だからといって、私が引くわけにはいかなかった。この任務を達成しても、この子には虚無感しか生まれない。私の身勝手な想像かもしれないけれど、クーナがクーナで無くなるかもしれない。そう思った。

 

「……正直、ここまでとは思いませんでした。ですがっ!」

 

 クーナの構えは【ファセットフォリア】だった。

 

 私は思った。

 

 この戦いは無意味だと……

 

 この戦いでは、私の意思は伝わらない……

 

「……甘いよ」

 

 フォトンアーツ【ヒールスタップ】。【ファセットフォリア】の初撃を紙一重で避け、かかと落としでクーナの頭を思いっきり地面に叩きつけた。

 

「トドメは私がさす」

 

 横たわるハドレッドによる。

 

「レイ、なんでだっ!? なぜクーナの邪魔をする!?」

 

 傍観者が口を挟む。

 

「アッシュ……逆に聞くけど、なぜクーナに加勢するの?」

「それは、クーナのためにっ!!」

 

 私はそれがおかしくて仕方がなかった。わたしはアッシュを嘲笑う。

 

「何がおかしいんだよ……」

「欺瞞ね。それが本当にクーナの為になると? 本当にそれでクーナが幸せとで思ってる? あなたの信念はなんなの?」

 

 これまで、アッシュと任務をこなしてきて、これだけは分からなかった。ダーカーを滅ぼすというのは大義名分だ。アッシュの根っこの部分が分からない。

 

「俺は……俺は最善の選択をしてるつもりだ!」

「そう……ただ流されているだけのように見えるけど? それがあなたの信念なの? それなら、随分と甘いんだね」

 

 それが、私から見たアッシュ像で間違いなかった。

 

「どういう、意味だ……」

 

 アッシュは攻撃的な目を私に向ける。

 

「分からない? 貴方は時に身を委ねているだけのように見えるよ? 過去の改竄? 大層な使命ね。でも、笑わせないで。確かにあなたにしかできないかもしれないけど、確たる意思を持ってやってる? 私にはそうは思えない」

 

 アッシュの横には必ず誰かの姿があった。人助け……といえば、聞こえはいいかもしれないけれど、所詮隣の信念を借りているだけに過ぎなかったのではないだろうか。

 

「俺は、俺の意思に従ってやっている。お前に指図される筋合いはないっ!!」

 

 それらしい言葉を並べて、武器を展開するソードを展開するアッシュ。打撃系のフォトンアーツ【ギルティブレイク】で私に突進してくる。

 

「だから、甘いんだよ……」

 

 クーナのためなら私を殺してでも、止めるはずだ。なのに、気絶で済ませようとするなんて、ふざけている。

 

 私は【インフィニティファイア零式】で、アッシュの顎を蹴り、チャージした双機銃でアッシュを撃ち抜いた。

 

「があっ……」

 

 数メートル吹っ飛んだアッシュはそのまま起き上がることは無かった。手加減はしているから、死にはしないだろう。

 

「アンタには芯がないんだよ。失ってからしかわからない? あいつだって頑張ってるのに、失わないとわからない?」

 

 アイツは他人のために一生懸命になっている。自分を犠牲にしてまで……

 

 それなのにこいつは……

 

 そう思うと無性に腹が立って仕方がなかった。

 

「お前……何を言って……」

「いずれ……いずれ分かることだよ……」

 

 そこでアッシュは限界だったのか、気絶した。

 

 思っていたことは言えたし、もう十分だろう。

 

 嫌われたかな……

 

 それも仕方が無いだろう。もし、私の一言でアイツの運命が変わるなら喜んで悪にでもなろう。

 

 今は兎に角。目の前にあることを優先しないといけない。

 

「ハドレッド……ごめんね。貴方は多分クーナに殺されたかったんだろうけど、わたしが許さない。姉が弟に手をかけるなんて絶対にあっちゃいけないんだ……」

 

 私はクーナの弟の眉間に機銃を突きつける。

 

「レイ……やめて……」

 

 クーナはうつ伏せになりながらも、嘆くように言った。

 

 私が悪役になればいい。そうすれば、クーナが傷つくことは無い。もしクーナが弟に手をかけたら、誰に当たればいい? 

 

 そんなの、どうしようもなく辛いじゃないか。

 

 それなら、私が標的になればいい。

 

 ……まったく、なんていう自己犠牲。偽善なのだろう……

 

「……っ!?」

 

 引き金に指をかけた瞬間、ハドレッドは悶え苦しみ始めた。

 

 痛みで悶えているようには見えない。もっと何かほかに……

 

「身体が……黒く……?」

 

 みるみるうちに、ハドレッドの身体は黒くなっていく。傷は最初からなかったかのように消え、ハドレッドは立ち上がった。

 

《グオオオォォォォォッ!! 》

 

 ハドレッドの咆哮。それは、威嚇などではなく、苦しみのようだった。

 

「なっ!?」

 

 ハドレッドは飛び上がり、宙に浮いた。そのまま、周りには禍々しい塊が浮いていた。数は8。

 

 その矛先はこちらに向いた。

 

「やば……」

 

 その塊は勢いよく私の方に飛んでくる。それを全部発射すると、ハドレッドは地に降りた。

 

 どうにか回避はしたが、最後の一つが右肩を掠めた。だけど、そんなことで後退する暇はない。

 

 地に降りたハドレッドは両手を地につき、悶え苦しんでいる。おそらく、ダーカー因子が身体中を巡っているのだろう。身体が黒くなったのはそのため。私を攻撃してきたのは、錯乱しているためか。

 

「ここで安らかに眠れ……っ!?」

 

 これ以上、ハドレッドを苦しめるわけにはいかない。私は再び銃口を向けたが、ハドレッドは私に向かって突進してきた。

 

 不意の攻撃に私は吹っ飛ばされた。受け身をとったところで、ハドレッドみると、目の前でもう腕を振りかぶっていた。

 

「まず……」

 

 避けられない。このままでは直撃してしまう…… 

 

「ごめんね、ハドレッド。私の弟……」

 

 いつ立ち上がったのか、クーナはハドレッドのうなじを切り裂いた。ハドレッドは悲鳴をあげ、倒れた。黒くなっていた身体は、もとの白に戻っていく。

 

「…………」

 

 倒れたハドレッドは何かを話そうとしている。

 

「クーナ……ハドレッドが……」

「……何?何を伝えたいの、ハドレッド?」

 

 クーナは泣きそうになりながら、ハドレッドに近寄る。

 

「……もう一度、あの歌を」

 

 龍が人の言葉を話した。

 

 そっか……きっとハドレッドはクーナとお話をしたかったんだ……

 

「やっと、覚えた言葉が……それなの? ……ばか。ばかだよ、あんたは。本当に……本当に……っ!」

 

 クーナは大きく深呼吸をした。

 

「ああ、いいともさ! 一曲と言わず、いくらでも歌ってあげる! 観客はレイ、それにハドレッドの二人だけ! ……アッシュは寝ちゃってるからね。だけど、だけど、だからこそっ……! いい、ハドレッド! きちんと聞いてなさい! まだ、寝ちゃダメよ! この歌は、この歌だけは、あなただけのために……!」

 

 クーナの弟はクーナの歌を聴きながら、天に召されていった……

 

「クーナ、ごめん……ごめんね……私……」

 

 家族を失う辛さは分かっている。だけど、クーナはただ失っただけじゃない。 

 

「なんで、貴方がそんなに悲しそうな顔をしているんですか? 貴方はわたしのために……」

「ううん。私のせいで家族を……」

 

 殺させた。大切な弟を……

 

「別にレイのせいじゃないでしょ? いいの。これが私の望んだ形。あなたは何も悪くない。なのに、なんであなたが泣いているの……? 私は……っ!?」

 

 どうやら、私の頬に涙が伝っていたらしい。そんなことはどうだっていい。

 

「無理、しないでいいんだよ……」

 

 私はクーナを抱きしめた。誰より辛いのはクーナのはずだ。なのに、そのクーナが泣いてない。そんなのって……

 

「レイ……? うわぁぁあああああ」

 

 クーナは泣いた。その声はドームの中に響き渡った。

 

 クーナはどれだけ泣いたのだろう。泣き声はゆっくりと、小さくなっていった。

 

「ふう、泣いたらスッキリした。ありがと、レイ」

 

 クーナは私から離れる。顔がぐしゃぐしゃだ。

 

「もう、いいの?」

「うん。いつまでも泣いてたらアイツに心配されちゃう。こんなんじゃ、お姉ちゃんとして、恥ずかしいからね」

 

 クーナは笑った。その笑顔は今まで見た中で一番だった。

 

「……私さ、冷静じゃなかった。命令だとかさ、こじつけじゃなくて、ちゃんと自分で考えて動くべきだった。多分、結果的にはこうなったんだろうけどさ、やっぱりなにか違ったのかなって……」

 

 結果は変えることは出来ない。やろうとおもえば、過去の改竄もできるかもしれない。だけど、こうやって考えるというのも大切なことだと私は思う。

 

 過程も大切だけれど、結果よければすべてよし。クーナは悩んで悩んで、決断したんだ。私が邪魔しちゃったけれど、クーナは私がでしゃばらなくても自分で上手くやったのかもしれない。

 

「そんなこと考えるなんて、クーナらしくないね」

 

 クーナもそんなこと考えるというのは少し面白い。私は悪戯な目をクーナに向ける。

 

「なっ!? ヒドイ!! あたしだって考えるんだからっ!!」

「キャラブレブレじゃない?」

 

 これでは、どっちがどっちなのか分からない。でも、どっちもクーナだからね。

 

「う……あたし、これからどうなるのかな。始末屋としての仕事は終わり。アイドルとしての仕事は楽しかったけど、裏の仕事だったからもうやることは無いんだろうな……」

 

 それは、私も考えた。もともと、クーナがいた機関は無くなった。おそらく、始末屋としての仕事は最後だったのだろう。

 

 それなら……

 

「アイドルを表の仕事にしちゃえばいいじゃん」

「……それだ!! うん、難しいと思うけど、やってみる価値はありそう!!」

 

 

 

 それから数日後。オラクルライブ会場。

 

『アークスのみんなー!! 元気してたー!? ライブに来てくれてありがとーっ!! 最後まで楽しんでいってね!! まずはこの曲、Our Fighting!!』

 

 2曲目は永遠のencoreだった。あの場で、クーナが彼女の弟を送った歌。

 

 きっと、ハドレッドにも届いていることだろう……

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 そして、現在。

 

「懐かしいねー。あの時、私本気でレイを殺しにかかったんだけどね。見事に返り討ち。あなたってほんと不思議だよねー」

 

 クーナは笑ってはいるが、その目は訝しむように私を見ていた。

 

「そうでもないよ。あのときはクーナが冷静じゃなかっただけ。多分、通常状態なら私、死んでたと思うよ?」

 

 私は苦笑しながら、弁解してみる。

 

「ま、今回の地球のこと、アッシュは気づくと思うんだけどね。それにしても、あの時はアッシュのことタコ殴りだったよねー。まさに鬼だったよ」

「あう……あの時は少しイライラしてて……」

 

 もう、アッシュは自分だけの信念を持っている。それは、マトイとアイツのお陰なのだろう。

 

「結局なんのことかわからなかったけどさ。きっと意味のあることだったんだよ。コールドスリープのちょっと前のアッシュって別人のようだったし」

「それなら良かった……のかな? 一時期、毛嫌いされてたけど……」

 

 あの時の嫌われようは凄かったな……親の敵でも見ているようかの目で見られてたし……

 

「まあまあ、皆がレイを敵に回しても、私はあなたの味方だから、それだけは覚えといてよ?」

 

 なんだか、むず痒い。

 

「なんか、クーナがそういうこと言うのって気持ちが悪いね」

「な、なにおうっ!!?」

 

 クーナは私にとって心強い味方です。

 




6200字も書いてたし∑(・ω・ノ)ノ

さてさて、クーナ編終わりましたー!
次回、エンガ爆発編です!(笑)

クーナの使ってるPAのコンボは私が使っているものです。割と使いやすいので、ダガー使っている人は使ってみてください!!

今回は、本編で主人公が殆ど自分から動いてなかったのを間接的に指摘させてもらいました(笑)
なすがままにでしたからねー(・∀・)

ところで、レイの言っていたアイツとは誰のことでしょうね。まあ、マトイラブなアイツなんですけどね!!

それにしても、レイさんすこし押し付けすぎな気もしますけど、気にしない。

最後はこじつけ感半端ないですが、割りと私好みにまとめてみました。いかがでしょう?

レイにとって家族とは? それは、いずれ。

それにしても、なんか、クーナがヒロインっぽくなってしまってるじゃん。どうせ、本編のヒロインは殆どマトイだしいいかな。アッシュとマトイは引っ付けようかな……

ということで、感想・指摘受け付けてます!!
感想下さい。マジで(切実)
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