第四クトゥルフ神話『名前に癖のある探索者達の観光バス』 作:カロライナ
「やくもーバスツアーはこれでお終いだっけ?」
「待ちなさい。今、申し込みチラシ見るから。」
「次は海ほたるだろ。・・・ここ東京湾アクアラインの有料道路じゃねぇか。」
観光バスの奥の座席。褐色肌にオールバックに髪を固めた男が、隣の焦げ茶色の髪色をしたガウシカテール似の髪形にやや鋭い眼光を持った女性に向けて、疲れた様子で力なく尋ねた。
八雲と呼ばれたその女性は、肩にかけていたショルダーバックの中身をゴソゴソと漁り始めた。そして一枚の紙を取り出す前に、窓際に座っていた気怠そうにした男が次の目的地についてボソリと呟く。この男は、左目に黒の海賊のような眼帯を付け、髪はロングヘアの根元は紫、毛先は橙色に染めた特殊な髪色をしていた。
「・・・そうね。今、青大が言った通り次は海ほたるに着くわ。バスの中で早めの夕食を取って、その後海ほたるを見学。適度にお土産や観光写真を撮って今朝の集合地であった新宿へ、と言ったところかしら。」
「海ほたるか。どんな所なんだろうな!」
「ただの海上パーキングエリアだよ。まぁ、その規模はかなり大きい部類に入るんじゃないか?」
図書館
青大80→57【成功】
「おおー。」
「ほら、現にホームページも持っているみたいだし、4階にはガラス張りの大回廊にて海を眺めながらのショッピングや、5階じゃレストランフロアでは海を見ながらの食事なんかも楽しめるみたいだぞ。ま、俺等は足高が言った通りバスで夕食を取るからな。レストランでの食事なんてできないけどな。ハハハ・・・。」
足高,八雲と呼ばれた女性は眼帯を付けている青大に今後の予定を言われてしまい、一瞬ショルダーバッグを漁るのを止めたが、再度漁り直すと中から予定が書かれた事前申し込み書のチラシを取り出し海ほたるで出来そうなことを一通り述べると、隣の黒髪オールバックの家守 源にそのチラシを渡した。渡されたチラシを見ながら家守は子供のように目をキラキラさせながら、とても楽しそうに待ち遠しそうな声をだした。
そんな中、宥めるように青大は落ち着いた口調で海ほたるとは何か、窓の外の海の景色を眺めながら話し始める。そして自分の携帯をズボンのポケットから取り出し、インターネットを開くと『東京湾アクアライン 海ほたる』と書かれたお気に入りブックマークを開くと隣に座っている足高を通り越して、その奥に座っている家守に渡す。
驚きの声を出しながら画面をフリックしている家守に対し、青大は何かレポート用紙を読み上げている訳でも無いのにスラスラと途中で詰まることも無く海ほたるのピックアップすべき内容を話し始めた。
「いいじゃない別にバスの中でも。確かに眺めの良い景色で、幼馴染3人そろって昔みたいに夕食を取れない事はとても残念なことだけど、また来ればいいだけの話でしょ? そんなに落ち込むほどじゃないわよ。」
「そうだけどさ・・・。」
「おおおおーっ。凄い! 将が言ったことがトップページにそのまま書かれてる!! 八雲、将が凄い! 丸暗記してる!!」
「いや、驚くほどじゃないからな家守。さっきバスガイドも同じこと言ってただろ。それと一緒だ。」
夕食はバス内の弁当を食べることに対して、落ち込んだ様な声のトーンになっていたが、その様子をすかさず足高がフォローを入れる。青大は瞼を少し細めて前座席についている網の袋を見つめた。そんな様子を他所に足高の隣に座っている家守は青大の携帯で様々な個所をタップし海ほたるについて着々と内容を調べ上げている様子だった。そして褒められたことに対し気を取り戻したのか、顔を上げ照れ隠しをするような素振を見せる。
3人が和気藹々しながら、その後も海ほたるや木更津方面で楽しんだ果物狩りや牧場巡り、食べた海の幸について話し合っているとバスガイドが全員に夕食としてお茶とおしぼり、弁当を配り始めた。パッケージが描かれた紙には、大きく『海ほたる弁当』と書かれ右端の角にはデフォルメされたホタルイカの絵が描かれていた。
3人はそれを受け取ると『いただきます』と声を合わせ、早速封を開く。中には新鮮なマグロ、サーモン、エビ、タコ、イクラ、ウニなどの豪華海鮮ちらし寿司に、ホタルイカの沖漬け、明太出し巻き、筑前煮などが入っていた。3人はそれを美味い美味いと言いつつ頬張る。足高は口の中が無くなってからゆっくりと次の弁当の中身を口に運び、青大は筑前煮だけを避けてマイペースに食し、家守は弁当の中身を一気に掻きこんで、それぞれ完食した。
「にゃるツアー企画:初秋のシークレットバスツアー」にご参加いただき、ありがとうございます! この車両は、間もなく海ほたるに到着しま-す! 休憩を挟みますので、1時間後には戻ってきてください。現在時刻が17時ですから、18時までにはお戻り下さいね。」
3人分の食べ終わった弁当の容器を足高が丁寧に重ね、海ほたる名物「竜宮そうめん」「ウミホタルストラップ」について青大と家守が話し合っていると、バスが高架下のような場所を潜り、5.6度の大きな揺れがあったのちバスは停止し、マイクを通したバスガイドの声が奥の座席にいても聞こえてくる。
【後書き】
まだ書き終わってないのですが、5作目の作成も視野に入れています。
とりあえず反響の良かった犯罪者クトゥルフ卓にするか、優雅なお嬢様卓にするか、
キチガイ共の超能力者クトゥルフ卓にするか、ヤンキー共のクトゥルフ卓卓にするか
迷っている段階ではありますが。
それと、まだ過程の段階ですが、そのうち新しい小説も書き始めようかと迷っています。
内容としては実際にクトゥルフ恐怖体験した探索者達の後日談話ですね。
別に伏線でもなんでもないですが、第三クトゥルフ神話で比叡山 僧兵の父親が
言った通り名前を憶えているということは何かしらの縁を持っているということで
何かしらの知り合いだったりします。
そんな彼らの後日談です。