第四クトゥルフ神話『名前に癖のある探索者達の観光バス』 作:カロライナ
「・・・・・・。やはり、女性同士というのは受け入れられませんか・・・?」
「・・・そう、ね。」
「・・・・・・!」
ブラクラ処理に追われる家守を除く全員が、足高の回答に注目する。そして注目を浴び始めてから5分後。決心したかのように1回長い瞬きをすると、足高は考える素振をするのを止めクリスティーナに向き直り手を握り返す。クリスティーナは握り返されたことに少し身体を動かし、心待ちにするかのような熱っぽい視線を足高に向ける。ロジーナの視線が更に鋭くなる。
「女性同士は変よ・・・・・ごめん――」
そして、足高の口から出たのはクリスティーナのアプローチを拒否するような言葉であった。その言葉にガンは残念そうに顔を落し、ニャルは両手で顔を覆い、ロジーナは明るい表情になり、家守はブラクラの処理ができたことを1人喜んでいた。そして、クリスティーナは、拒否される3文字が聞こえるととても悲しそうな顔をし、視線を握り返された手に視線を落した。
青大事務所の空気が少しだけ、緩やかな時間に切り替わるのと同時に重い空気が天井から染み込み包み始めるのを肌で感じ取ることができた。しかし、その明らかな一部BAD ENDの展開を嘲笑う者が居た。青大は、目を瞑ったまま口元だけニヤリと笑い指の隙間にある写真を挿んでいる。
「待った!!」
足高が断りきる前に、それよりも大きな声で青大が断りの言葉を制止する。そして、カッコよく人差し指と中指で挿んでいる写真を全員に見えるように見せると、そのまま目を見開き不気味に笑った。
目星
足高75→100【ファンブル】
ロジーナ80→59【成功】
クリスティーナ70→39【成功】
足高は一瞬何の写真か良くわからなかった。日本の女子高生のような制服を着た人物が2人何か手を繋いで顔を寄せ合って何かをしているのだけはなんとなくわかったが。しかし、なんの写真か分からなかったもののすぐに理解した。青大がなんの写真を取り出して、事務所内の全員に見せつけているのか。そして反対の手にボイスレコーダーが握られているのが目に入り見る見るうちに足高は青ざめる。同時にロジーナも生唾を飲み込み、クリスティーナに至っては悲しんでいた顔が、再び輝きを取り戻していった。
「足高。嘘は行けないな。その嘘はクリスティーナを傷つける。」
「あ、青大・・・その写真は・・・・・・・。」
「くっくっくっ・・・。ボイスレコーダーもセットだぜ?」
「・・・・?」
「や、やめ・・・・っ!!」
足高の制止も無意味に、非常にもボイスレコーダーは再生される。それはとある2人の会話の内容だった。
『・・・八雲先輩。入部した時からずっと先輩のこと、その・・・・変かもしれませんけど好きでした!! 付き合ってください!』
『・・・・・。』
『やっぱり、女性同士というのは受け入れられませんよね・・・・すみません・・・。』
『・・・いえ。そんなことは無いわ。ちょっと突然の告白だったから、驚いただけよ。』
『・・・! では・・・!!』
『私もあなたの事入部したての頃から気になっていたの。まさか、両想いだったなんて・・・これから、よろしくね?』
『・・・・・ッ! ありがとうございます!! 八雲お姉様!』
『ふふふっ。その呼び方は2人だけの時限定よ・・・?』
『もちろんです!!』
『・・・? 青ダッ?! ちょっと、なんでアンタが・・・・・・待ちな[ブチッ]』
先ほどまでニャルが顔を隠していた仕草を今度は、足高が再現する。口を大きく開いてムンクの叫び声張りに声にならない悲鳴と、顔が真赤に染まるのを隠しながら・・・。そのキマシタワー大音量ボイスにガンとニャルの姿勢が再び活気のあるものへと早変わりし、クリスティーナも、足高が自らの顔を覆ったことで握られていた手を放すことになってしまったが、すぐに輝いた瞳で優しく、足高の太ももを触り恥ずかしがり素顔を隠している八雲の顔を見つめた。ロジーナは首を右下に擡げ、クリスティーナを足高から引きはがす事を失敗したことについて悟った。
「さて、足高。自分に素直になろうぜ? 正直に言わないと、俺が間接的に足高の本音をクリスティーナに伝えちまうぜ?」
「八雲お姉様の本音・・・!!」
ボイスレコーダーを軽く操作し、次の音声が流すことができるように調節を悪巧みする笑みを浮かべたまま行う。青大の言葉にクリスティーナも反応し、青大の方に顔を向ける。そして丁度目が合うと、青大の方がクリスティーナに向けてウィンクを1回送った。
「で、足高。間接的にするか? 直接的にするか?」
「直接・・・・直接・・・・・伝えるから、これ以上は・・・・。」
「ウェヒヒヒヒヒ! それでは、足高の本音をどうぞー。」
ウィンクを送った後、青大は地味に近づいてくる足高から逃げながら、再生ボタンに指を添えながらいつでもスイッチ一つで盗聴した音声を流すことができるように説得を試みた。説得はこの上なく効果的で、完全に弱みを握られた足高の心理状態を把握することは簡単なことであった。ロジーナは本音を伝える前に青大の強行を阻止しようと視線を青大に移す。
しかし、その進路に立ちはだかるような形で、いつの間にかガンとニャルが佇み、青大確保までの通路を邪魔されていた。そしてロジーナの様子にガンは青大がクリスティーナにした時と同じようにウィンクをロジーナに飛ばした。
「クリスティーナ・・・・そうね・・・・・。先ほどは・・・・断ったけど・・・。」
「・・・・・・。」
「私も実のところ貴方の事可愛らしいと思っていたの、こんな私で良いのなら――」
「そんな! やった!!! わたくしは、八雲お姉様の優しさや冷静沈着な一面に惚れましたの! こんな私・・・なんて謙遜なさらないで下さいませ! では、これからよろしくお願いいたしますわ!!」
「・・・えぇ。」
足高は顔を隠すのを止め、クリスティーナがしゃがみこんでいる場所に足高自身もしゃがみ込み、先ほど話してしまった手を今度は足高の方から再び握り直す。そして、視線を落し、クリスティーナの顔を始めは見ることは無かったものの、手を2回ほど優しく両手でなでるとしっかりと目線を合わせ、断った時の様に迷いがある様子もなくはっきりとした口調で考えていた足高の本音をクリスティーナに伝えた。クリスティーナは受け入れられたことによる両目尻に少しだけ嬉し涙を溜めると、謙遜した足高を否定し大きく両腕を広げると優しく抱きついた。抱きつかれた足高も口角を上げ少し微笑むと同じように優しく抱きしめ直した。
「これにて一件落着かな。」
抱き締める2人の様子を尻目に青大はボイスレコーダーの電源を切り自らのポケットに仕舞った。ボイスレコーダーを仕舞い終わった後、ガンが近づいてきて軽く青大の活躍を賞賛する。そして手に持っている写真を見せて欲しいとニャルと共にねだった。青大は足高が接近して来ていないかどうか一通りの警戒をし、近づいて来ていない事を確認するとガンとニャルにその写真を見せる。写真には女子高生時代の足高が、ある女の子と濃厚なディープキスをしている写真が写されていた。
その写真を見た、ニャルは口元を両手で恥ずかしそうに隠し、ガンは面白そうにケラケラと笑って「似たもの同時は惹かれあう」などと言った趣旨を話しあった。
そしてこの後、滅茶苦茶にチョークスリーパー掛けられた。
【後書き】
これにて、第四クトゥルフ神話『名前に癖のある探索者たちの観光バス』終了です。
最後まで読んで下さった方。誠にありがとうございました。
まだ、何のシナリオを執筆しようかは迷ってます。
そしてどの探索者を再利用するかも迷ってます。
この調子だとジャンルとしては同じクトゥルフ神話TRPGになりますが
第○クトゥルフ神話よりも新作の方が早く投稿できるかなー。というものがあります。
正直、9月末から10月頭に掛けてを予定していますが、
投稿されていなかった場合、後々ちょろっとカロライナのページを覗いて
新作を見て頂けたら、心がピョンピョンしながら喜びます。
Episode4-4 恋するクリスティーナ。で後書きが【後書き】しかありませんが
あれが、後書きです。データを誤って全て削除してしまった瞬間の私の心理状況が
だいたいあんな感じでした(震え声)
それでは、長くなりましたが皆様。次回作でお会いしましょう。
では、また。