第四クトゥルフ神話『名前に癖のある探索者達の観光バス』   作:カロライナ

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Episode3 クリスティーナとロジーナ。

「んー♪ 磯の香りも悪くありませんわ。ほら、ロジーナそんなSMGが入ったアタッシュケースなんて置いてのんびり気長に観光に行きましょう。ここは日本ですことよ。わたくしの命を狙おうとする輩など居ませんわ。さ、さ、早く。早く。」

「・・・・・・・もしも・・・・・の事が・・・・ありますので・・・・。」

 

 その人物は2人ともロシア語で会話を交わす。周囲の人物はその様子や、話す言語が英語ではないと察すると、時々物珍しそうな顔で2人を見るもののそこまでマジマジと見ることはせず、わきを通り過ぎて行く。

 

「『もしもの事』なんて、そんなの日本では隕石が頭に当って死ぬ確率並みに低いですわ。逆にもしも警備員や警察官に呼び止められて、持ち物検査をされたらどうするんですの? 特に東京は2020年にはオリンピックが開かれますから、昔より警備態勢が上がっていると思いますわ。そんな中でSMGを持った人物が海ほたるに・・・。」

「・・・・わかりました。お嬢様が・・・・そこまで・・・・・・仰るのであれば・・・。」

 

 アタッシュケースを持ち歩こうとするロジーナに対して、非常に嫌そうな表情を作り右手の指先で口を隠してロジーナを見つめた。

 毎度表情を変えることはしないものの、嫌そうにアタッシュケースをセダンの後部座席座席の下へ仕舞うとロジーナは大人しく扉を閉める。その様子を見て金髪ロングヘアの女性は満足そうに頷くと、ロジーナの手を取ってエレベーターまで引っ張っていく。その姿は、ショーへと親を急かす子供のように傍からは見え、大きな親子だなと周囲の人を苦笑させた。

 

「それと、ロジーナ。2人きりの時は『お嬢様』ではなく気軽に『クリスティーナ』と呼んで下さいと・・・。」

「・・・・・お父様である・・・・ローチェフ様が・・・。」

「まッッッッッた、お父様絡みですの!? お父様のいうことを聞くのはお父様の前だけで良いですわ! ロジーナの妹であるセルジャントはすぐに名前で呼んでくれるようになったのにロジーナはいつまでたっても名前で呼んでくれませんわ。」

「・・・・・わかりました・・・・。・・・・クリスティーナ・・・様。」

「・・・敬語も禁止。」

「・・・・・・はい。」

 

 2人はそのままエレベーターに乗りこむと、クリスティーナは手慣れた手付きで屋上のボタンを押した。エレベーターには、2人しか乗っていなかった為クリスティーナは気兼ねなくロジーナに口を尖がらせて、ふて腐れたように文句を言い出しす。ロジーナは名前で呼べない理由を伝えようとすると、クリスティーナは怒りだしロジーナの妹を引き合いに出しいつまでも堅苦しいロジーナについて悪態を本人の前でつく。

 そしてついにロジーナが折れ、何とかお嬢様としての位置づけは明確化するために敬語だけは止めまいと思ったものの、クリスティーナにピシャリと撥ねられ、しかたなく2度折れた。

 2人は屋上展望台までやってくる。

 

「なんて見晴らしの良い展望台でしょう! ロジーナ! ロジーナ!! 100円硬貨を貸してくださいませ! わたくし、あの双眼鏡が覗きたいですわ!!」

「・・・・・・・。」

 

 先ほどの不機嫌が嘘かの様にクリスティーナは、屋上展望台に到着すると子供の様に、はしゃぎロジーナに双眼鏡を覗くために小銭をせがんだ。ロジーナは1つ溜息をつくと、革財布の中から100円硬貨を3枚ほど取り出し、手を差し伸べるクリスティーナの手の上に置いた。お金を受け取るとそれを握りしめ手ごろな双眼鏡にお金を入れ、その間 拡大された世界を3分間悠々と楽しみ始める。

 ロジーナはクリスティーナが景観を楽しんでいる間、周囲を見渡しクリスティーナに危害を加えようとしている暗殺すべき対象は居ないかと目を光らせていた。例え、サブマシンガンがなくともロジーナのスーツ裏、右脇のホルスターにはノーリンコT-54がある為いざという時は発砲するつもりであった。

 

 

 

目星

ロジーナ80→62【成功】

クリスティーナ70→63【成功】

 

 

 

 まず、クリスティーナが双眼鏡を大きな港と、そこから荷揚げするためのクレーンが見えた。空には飛行機も見え、成田空港に向かっているのだろう。次にロジーナは周囲を警戒していると、とある看板が目に付く。それが何であるのか、なんと書かれているのかまでは、日本語と英語、中国語で書かれていたものの分からなかったが『千葉方面』と書かれているのだけは分かり、また警戒している中で1人の男性と目が合った。

 その男性は2人の男女に挿まれるような形で片手に紙を広げ、片手でスマホの操作をしていた。そして顔を上げた瞬間なんとなく目が合った。向こうが軽く会釈をしてきたため、ロジーナもそれに対し軽く頭を下げ会釈で返した。

 

「ふふふ・・・ロジーナはああ言った男性が好みですの?」

 

 突然のクリスティーナの声と言葉に、顔色を変えず振り向いた。するとそこには、海岸方面ではなく、ロジーナとその男性に向けて双眼鏡を向けたクリスティーナの姿があった。目元は双眼鏡で覆われていたため、一見ではクリスティーナの表情は分からないように見えたが口元がニンマリと悪そうに上がっていることから、からかった笑みを浮かべていることがなんとなくわかる。

 

「小麦肌の黒髪オールバックですわね。顔つきは・・・お父様よりイケメン。身体が引き締まって筋肉質な方ですわね。もしかしなくても、ロジーナよりも力持ち? ふふふふ・・・・。」

「・・・・・・別に・・・・・目が合っただけ・・・・・・会釈は・・・・向こうがしてきた・・・・・。」

「では、あちらさんがロジーナに恋心を? ふふふふふふふ・・・今後の進展が楽しみになってきましたわ。これはあちらの日本人の団体さんと一緒に行動をして、是非とも親睦を・・・。」

「・・・・クリスティーナ・・・・・・そこの看板・・・なんて・・・・・・書いてある?」

 

 クリスティーナは設置型双眼鏡を覗くのを止め、悪戯っ子のようなあくどい笑みを浮かべロジーナの方へ、双眼鏡の影からひょっこりとロジーナに顔を見せた。そしてロジーナの表情が変わらないのを目視すると、更に楽しげに笑って一歩3人に向けて踏み出した。ロジーナは急いで両肩を驚かせることがないように優しく、しかし余計なことを仕出かさないように掴みそのまま自分の方へ引き寄せ抱き締める。ただ抱き締めるのでは、流石に変だと考えていたため、思い出したかのようにロジーナは見つけた看板について尋ねることにした。

 

「もう、そんなこと言って気を逸らす作戦ですの?」

「・・・・・そんなつもりは・・・・・ない・・・ただ・・・・・クリスティーナが・・・・どの方面を見て・・・・いるのか・・・・気になっただけ・・・・・多分・・・・あの看板には・・・方角が・・・・書かれていると思った。」

「なんと書かれているか教えても、ロジーナは地名を知らないでしょう? そんな無意味なことをするよりも向こうの殿方と親睦を深めた方が・・・。」

 

 

 

筋力対抗ロール

クリスティーナ45→38【成功】

 

アイディア

ロジーナ65→41【成功】

 

 

 

 クリスティーナは抱き締められるのを振りほどき、もう4歩先に歩きだす。今から追いかけたとしても振り切られ、余計なことを吹き込まれる前にロジーナは何とかしなければと無表情ながらにも考える。そして気を完全に逸らすことができる言い訳を思いついた。

 

「・・・・響・・・の出身の・・・・・漢字に・・・・似ていたから・・・・尋ねた・・・・のだけど・・・・・・・。クリスティーナが・・・・話したくない・・・・ならいい・・・。」

 

 ロジーナの言葉にクリスティーナは、更に8歩進んだところで立ち止まり、綺麗な180°回転を決めロジーナが会釈した男性に近づくのよりも更に素早い速度でロジーナの元まで駆け寄ってきた。

 

「そういうことでしたの!! そういう事であればお教えいたしますわ。あの看板にはロシア語では『ちばけん』いい、そのように書かれていますわ! ロジーナも知っての通り私の大親友である響ちゃんの故郷でもあり、梨と落花生と、テッテーランドで有名な県ですの。知ってます? 千葉県にあるのに東京テッテーランドという由来について。響ちゃんの話ですと、千葉を英語表記にすると『Chiba』そしてこれは英語に治すとマファリナを指す事から、千葉テッテーランドから、東京テッテーランドになったらしいですわ!! そしてあの高いビルが立ち並んでいる方面は『とうきょうと』と書かれていまして、最後にもう一つの看板には恐らく『かながわけん』と書かれてますの。あ、あと響ちゃんは――」

 

 口車に乗せられ、満面の笑顔で『響』について紹介が始まる。そして長い長い『響』話が3人組が屋上から立ち去るまで続いた。

 

 

 




【後書き】
最近、ツイッターでのクトゥルフ募集卓に参加させて頂いております。
熊野やら、ブレアやらが探索者の名前に交じっていたら、恐らくそれは高確率で私です。

不知火という探索者は恐らく出ません。
後にも先にもあの探索者しか想像ができませんし、仮に居たとしてもカタカナ表記に
なってご一緒することになるでしょう。探索者としては元シアエガ教団の幹部ですが。

ご一緒した時は、よろしくお願いします。


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