シンデレラの願いは、ダイアモンドを駆けること。   作:夢の防人

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幼き日の記憶

カキン・・・っ!

 

空たかく舞い上がった白いボールが、スタンドに突き刺さる。一瞬置いて歓声が響き渡る。

 

「すごいすごい!あの選手ホームランだよ!」

 

僕の隣にいる女の子が興奮したように笑顔を向ける。

 

「あそこのコース僕じゃ絶対うてない・・・やっぱりプロってすごい!」

 

僕は素直に感想を口にする。グラウンドに立つ選手はみんな、ライトの下のダイアモンドで輝き続けていた。

 

プロ野球・・・野球をやっている子供たちの誰しもが憧れ、目指す場所。けど、その入り口は限りなく狭いし、その世界も限りなく無常という言葉が似合う世界。

 

そんな世界は、僕の目にはあこがれ以上の強いなにかがあった。

 

「あっ、試合終わっちゃったね。」

 

「ほんとだ。いつのまにか終わってた。」

 

試合はさっきのホームランが決め手になりいつの間にか終わっていた。もっと野球、見てたいなぁ。

 

親に連れられて帰る途中の車内。

 

「私、絶対にアイドルになる!」

 

「じゃあ僕はプロ野球選手になる!」

 

子供のころの二人の約束。懐かしい純粋な記憶。

 

そう、僕らだけの。懐かしい記憶。

 

 

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10年後、東京。346プロダクション、シンデレラプロジェクトルームで島村卯月はスマートフォンの画面とにらめっこしていた。

 

「島村さん、どうか・・・なさいましたか?」

 

近くで仕事をしていたスーツ姿の大男・・・プロデューサーが話しかける。

 

「いえ、高校野球のニュースを見てたんです。今ちょうど秋大会の真っ最中ですから。」

 

いつも通りの笑顔で画面を見せる卯月。そこにはちょうど試合途中のスコアが記載されていた。

 

「島村さんは野球がお好きなんですか?初耳ですが、いい趣味だと思います。」

 

「ち、違います!・・・私の幼馴染が、今試合してるんです。」

 

卯月が通う高校はそれなりに歴史がある名門・・・とまではいかないが地元では有名な高校で、文武両道という言葉がよく似合う学問でもスポーツの分野でも有名な学校。もちろん野球部も例外ではなく、都内でも有数の名門校で入学前の入部試験はスカウト、一般関係なしにふるい落とされる部活。

 

今日は春の甲子園大会に出場するための最後の切符を手にするための、初戦。三年生が引退して、新チームの力が試される。

 

「あっ!」

 

「どうしました・・・ああ、サヨナラ負け・・・。」

 

画面を見ると、9裏のところに1×の文字。

 

・・・そっか、負けちゃったか。

 

そんな小言をつぶやくと、卯月は今日のレッスンにむかうのだった。

 

 

 

 

 

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