「では諸君、明日からの訓練頑張ろうじゃないか。野良犬を蹴り飛ばすために、そして11連覇のために!!」
それから俺は新体制を整える事にした。勿論そう簡単にはいかない。「どうして新体制を整えなければならないのか」「今まで負けなしの方法を何故変える必要があるのかと」等の不満が出ていることをエリカから聞いた。・・・当然であり必然の事だ。なら教えてやらないといけない。
俺はしばらくして、1軍メンバーを集めた。もうすでに3年生は進学のために抜けている。ほとんどは2年生で構成されている。一年生は俺とエリカとあと数名だけだった。
「さて今日集まってもらったのは他でもない、新体制に関してだ。みなとてもよく頑張ってくれている。しかし上辺だけの頑張り程意味のないものはない。新体制がうまくいかないと簡単に言うぞ?我々は近い将来敗北する。」
「ちょっと待って下さい!!意味が分かりません!!」「そうです!!」
「皆はどうして、この時期に新体制へ移行するか考えた事はあるか?」
「それは隊長の考えの元、新体制へ移行しているだけでは?私はあまりいい案ではないと思います!!」
「同じくその意見には同意します」
「同じく」
同じ意見が続々と出てくる。今まで積もった不満が今この場で爆発している。だけどな?
「お前たち・・・本気でそう思ってるのか?今まで通りの戦術で勝てると?」
「ではなぜ勝てないと?」
ここまで重症だったとは。
「わかった。多分私が今何を言っても無駄だろう。だから1軍VS2軍で勝負しよう。2軍の指揮は私が、1軍は逸見副隊長に任す。どうして従来の西住流でダメなのか、体で感じてもらう」
「私たちが勝ったら?」
「ありえない。絶対に」
「「「!!!」」」
「勝負は明日1200より開始する。以上だ」
そういい俺はその場から去った。そして予め呼び出しておいた2軍メンバーが集まっている部屋に入った。
「諸君明日は1軍との練習試合だ。な~に1軍だからと言って遠慮することはない。しかし諸君の中にも新体制への不満を抱えている者もいるはずだ。しかし明日は申し訳ないがその気持ちをなくしてほしい。何故なら諸君たちが1軍のメンバーに教えなければならない。今のままではダメだと。だから明日は私の指揮下の元彼女たちに教えてあげようではないか。今のままでは「黒森峰は全国大会で優勝できない」と。」
「「「「了解しました」」」
俺の役割は黒森峰を優勝させること。俺がいくら頑張っても下が付いてこないと意味がない。協力しなければ意味がない。そして考えてもらわないと、成長しなければいけない。
俺は隊長室に戻りコーヒーを飲みながら、ダージリン先輩風に
こんな格言を知ってるか?
「いわれたことしかできない人間を三流。
いわれたことを上手にできる人間で、ようやく二流。
では諸君はいつになったら1流になるんだい?」
昔エロゲーでこんなセリフがあったな。残念ながら俺は、前世も今も2流程度にとどまっている。
翌日
「これより1軍VS2軍を開始する!礼!!」
「「「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」」」
勝負は呆気なく終了した。残念ながら2軍の圧勝だった。
突然の砲撃、奇襲。隊列が分断され統制が乱れる。その隙に各個撃破。部隊を再結成しても数量のしつこい車両に合流を阻まれる。そして段々車両が減っていく。
今まで出会ったことない戦術。
当たらない砲弾。
じわじわ迫りくる敗北。
士気の低下が肌で感じられる。
この状況を打破、修復する事はエリカの能力を持ってしても不可能であった。
そしてその日の夕方
俺は資料を持ってミーティングルームに向かった。今回の結果はもうすでに全員へ通達している。勿論3年生にも通達済みだ。そして試合中の映像も各自で閲覧できるようにしている。これで俺の意図を察してくれればいいがな。待機させていたエリカと少し打ち合わせを行った後、部屋に入ることにした。
「エリ?」
「隊長と呼べよな」
「いいじゃない。エリ、私も少しエリのやり方に不満があったのは確かよ。でも今日分かったわ。変わらないといけない。このままじゃダメだって。」
「そうか。もしエリカが分からない場合、副隊長の変更を検討しなければいけなかったが、それは考えなくてもいいな」
「私ももう少し成長しなくちゃダメね」
「それがわかった時点で成長しているさ。さぁ行くか」
「ええ」
「本日は皆ご苦労だった。ところで1軍メンバーは皆顔色がよくないが、何かあったのか?」
俺は白々しく1軍メンバーに話しかけた。
「・・・」
「おや?返事がない?私に勝つんじゃなかったのか?そういえば結果はどうだったかな?逸見副隊長?」
「15VS15で開始して、2軍は残存車両8、1軍は残量車両0。2軍の勝利」
「成程成程。これは俗にいう惨敗というところか?どうだ?2軍相手に惨敗した気分は?」
「何故でしょうか?」
一人のメンバーが俺に質問した。
「なぜでしょうか?どうして私達は今日、負けたんですか?」
「どうして負けたか分からないのか?」
「はい」
「違うな」
「え?」
「負けたことが認められないだけで、どうして負けたか皆分かっている。ここにいる全員が分かっている。ただ認めないだけだ」
「・・・」
「言ってみろ」
「・・・」
誰一人喋らなかった。
「負けを認めることも大切だ。なぜ負けたのかを分析することも大切だ。今まで我々は負けたことがない。だからだ認めることができない」
俺はそういいつつ、後ろのスクリーンにあるものを映し出した。
「それとこれを皆に見てもらいたい」
スクリーンにはあるサイトが映し出されていた。
『黒森峰の弱点判明、命令系統の1本化。ちょっと混乱させたらすぐにパニくる』
『隊長以外はそんなに大したことない。戦車が強いだけ』
『来年度の戦車について学校と協議中。多分購入は見送り><』
『そもそもクロモリは強い戦車でごり押ししてくるだけだろ?ならこっちも同じ方法取ればいいんじゃね?』
その他色々なコメントがある。このサイトは戦車道サイトの一つで
「打倒黒森峰!!情報求む!!」という名で登録されていた。内容は簡単、どうすればクロモリを倒せるかを考えるサイトだ。匿名で多くの情報があった。そしてその中で一つ我々の弱点を言い当てており、そしてその弱点を突く方法の書き込みがあった。そしてその方法はまさしく今日俺が行った方法だった。
「諸君どうだ?私は今日、このサイトの方法を試しただけだ。これで分かった?どうして負けたか。我々の戦術は分析されている。分析されそして我々に勝利しようとしている」
俺は続ける。
「だからだ。来年の11連覇はかなりの難関になるだろう。敵は我々を熟知している。勿論常連校なら我々も熟知している。しかし相手が無名高ならどうだ?相手は我々を熟知しているが、こちらは全くしらない。このような状況は無いとは限らない。これから我々が勝利していくには、不測の事態に冷静に対応する能力を高めることだ。どうだ?私の言っている事に何か間違えはあるか?」
「しかし今までのやりかたから全く違う体制に変更するのはやはり抵抗は感じます」
おいおい、よく考えろよ。
「いや、まったくではない。通信士、砲撃士、装填士、操縦士、車長の役割、車両編成は基礎部分は今までと変わらない。俺がしたのは、変更というよりも追加だ。だから大本は西住流だ。これに関しては西住流門下生の逸見副隊長も認めている。勿論これは家元にも承認をもらっている。まぁ説得にはかなりの時間がかかったがね」
これ言葉を聞いたメンバーから
「家元も霧島隊長の意見に賛成なんですか?」
「ある程度は承認をもらった。まぁ私の最も行いたかった体制は却下されたがな」
「却下された内容は?」
「高機動力及び高火力にて相手を攪乱、その後本隊にて蹂躙」
「・・・確かに却下されそうですね」
「やっぱりか・・・まぁそれはいい。話を戻そう。どうだ諸君?ここまでの話を聞いて何を思ったかは聞かない。答えは明日の訓練のやる気で教えてほしい。私からは以上だ。この後会議があるので失礼する。もし話があるなら逸見副隊長に伝えてくれ」
俺はそう言い会議へ向かった。
次の日からの各車両のメンバーの動きはいつもより俊敏だった。やる気もある。我々がいる状況が分かってくれたか。あそこまで危機感がないのは、ある意味王者だな。
通信士は、各車両に装備されているボードに地図を貼り付け、何処にどの車両がいるかリアルタイムで把握できるように。また各自3人が同時に話しても正確に聞き取れるようにした。これにより情報の正確性がかなり上がった。
装填士は単純だ。とにかく早く、長く、正確に装填できるように。そして戦車がドリフトしている状況でも装填できるように教育しようとしたが、毎回ドリフトさせるわけにもいかなかったので、地震体験車を借りて訓練するようになった。おかげで最初は殆どの装填士がゲロっていた。
砲撃士は私直々の指導だ。最も厳しい訓練になったに違いない。内容?聞かないほうがいい。
操縦士は今までと変わらない。
車長については、いずれ話そう。
我々黒森峰は去年よりある意味強くなった。俺から見ても弱点のような弱点はない。それよりも弱点があるように見せて実は囮だった・・・なんて戦法も取り入れてみた。新入生が入って、そこから再度メンバーを厳選し、全国大会までに練習試合を数回行う。
みほの事だが、予定通り大洗に入学することになった。おそらくだが、新学期になれば戦車道が復活するだろう。まぁ原作と少し性格が違うが、予定通り入ることになるだろう。そうすれば我々と対峙する。
ベルセルク、進撃なんか色々2期始まったけど見る暇がない><