~修学旅行二日目~
今頃マスター達は楽しい夜のきゃっきゃうふふタイムなんだろうな。
「ふぁ〜…眠いな」
ただいま午前0時24分、二日目とは名ばかりのほぼ一日目だ。
「さすが、本店は仕込みから違うなぁ」
なんとこの本店は夜の11時まで営業しその後、片付けからの次の日の仕込みというハードな仕事である。しかも出勤時間は午前5時までなので、殆どの従業員は仮眠室や店のすぐそばに家をかりていたりする。
「ソラさん、明日の日替わりランチはどうしますか?」
「半年前位からの日替わりのメニューは残ってる?」
「はい、一年前からあります」
「全部見せて下さい」
そういうと、話しかけてきた青年えー…ひろし?さとし?なんだっけ?
「あっ、たろうだ」
「亮です」
「…ありがとう」
いつの間にか戻ってきていた亮に聞かれてた。資料の渡し方が荒かったので多分怒っている
「ごめんよー、亮君」
「18回、この数字の意味がわかりますか?」
「昨日から人の名前を間違えた回数」
なんでか知らないが一瞬でピカンときた。
「正解です。では、16回は?」
「……」
嫌な予感がする。
「それはソラさんが僕の名前を間違えた回数です」
「え⁉そんなに間違えてたかな?」
驚くとそのまま後頭部を誰かに叩かれた。
フライパンで
「ッ〜〜!」
「あ、よしのさん」
「おう、亮どうした」
「ありがとうございました」
亮がすごくスッキリした顔でお礼をよしのさんにして去っていく
「お前な、仲間の顔くらい覚えておけよ」
「頼みますから、鈍器だけはやめて下さい」
「しょうがないな」
「刃物もダメですよ」
「………わかってるよ」
「なんですか、その間は!」
すごく不安だ
「で、料理長さんよ、明日の日替わりランチはなんだ?」
「ちょっと待ってて下さい、決めますので」
不機嫌そうな顔ながらもおとなしく待ってくれるよしのさん。五月さんの言うとおり根はやっぱり優しい人なんだとおもう。
「麻婆豆腐と、付け合わせに小籠包か肉まんを選んで貰って、デザートにマンゴープリンでどうでしょうか」
「…まあまあじゃないか」
「え?」
「なんでもねぇ、それでメニューは出しとくから」
スタスタとここから消えてしまった。
「よかったですね」
「何がですか?」
ゲンジさんが意味深な笑顔で側を通り過ぎる。意味を聞いてものらりくらりと躱してしまう。
「みんな!明日の日替わりランチは麻婆、小籠or肉まん、マンゴーだ!各自仕込み開始!」
「「ハイ‼」」
ゲンジさんが声を張り上げみんなも答える。めちゃいい職場だな。
~午前6時半開店~
「モーニングセット、イー入ります!」
「「謝謝‼」」
この店何故か所々に中国語が入っている。恐らく超の趣味だろう。
「この店は朝から繁盛してますね」
「本店ですから」
サラッと自慢するゲンジさん。
「オラ、さっさと肉まん8つお持ち帰り出せや!」
「口悪過ぎですよよしのさん」
今はお持ち帰り用のカウンターで接客しているみたいです。
「肉まんお持ち帰り上がりました」
「遅えぞ…大変お待たせいたしました、肉まんお持ち帰り8つでございます」
マジでこの人ほど公私を使い分けている人は見たことないよ。
~お昼~
「みんな、ローテで休憩入っていいよ、しばらくは俺がやるから」
そろそろみんなから疲れが見え始めた頃に俺がそう提案する。
「まだ忙しいですよ」
「大丈夫だから」
俺に気をつかってくれているが俺には影分身というチートがあるのだよ。
「ほらね」
「…はぁ」
なんかため息わつかれた。失礼な人たちだ
「おいコラ‼こりゃどういうことだ⁉」
「申し訳ありません」
ん?なにかホールの方が騒がしいぞ。
「この店は客に虫が入ったもんだすのかよ‼」
「申し訳ありませんでした‼」
ウェイトレスの人がどうみても悪質なクレーマーに怒鳴られていた。
「責任者だせや!」
「私が責任者ですがどうかされましたか?」
おっ、よしのさんだ。あの人がいるなら安心だと思う。接客はきちんと出来る人だからきっと穏便に事を済ませてくれる…
「んだと、コラァ!表でろや、このチンピラがぁ!」
と思ったが違うようです。
「ゲンジさん、どうにかしてください」
「大丈夫です、あれはこの店の名物のようなものですから」
曰く、五月さんも店内で暴れるのはダメでも表に出て喧嘩するならいいらしい。いたるところからよしのさんに二千円!とかチンピラに百円とか聞こえる。よく見たらうちの従業員が元締めをしている。これ、客に利益でるのか?
「そろそろ止めてきます…」
「いってらっしゃい」
笑顔で送り出された。
「よしのさん、やりすぎですよ」
「ん?あぁ、そうだな」
さっきのチンピラが店の前でひっくり返っている。あ、邪魔なのかよしのさんが投げ飛ばした
「二度と来るんじゃねぇ‼」
チンピラは地面に叩きつけられたが一応加減はされていたのかすぐに立ち上がり走っていった
「はっ、口程にもねぇ」
「やりすぎですよ。本当に」
「あんな奴はうちに来なくてもいいんだよ」
女性なのに、俺より男らしい
「なんかいったか?」
「なんでもないです…」
人でも殺しそうな眼光で睨まれた
「じゃ、あたしは休憩にはいるからよろしく」
この人の仕事は接客よりもさっきみたいな面倒な客の相手なのかもしれない
~午後3時~
「オイコラァ!メシん中に虫が入ってるじゃねぇか!どういうことだ!」
また、なんかめんどくさいのがきた。
「この店はよくあんなのがくるんですか?」
「一週間に一度あるか無いかです」
なんで俺のいる時に限って来るんだよ!しかも連続で同じ日に!
「誰かよしのさん呼んできて」
「大変です!よしのさんが休憩中だから行かないと言っています!」
「な!」
あの人仕事と割り切り過ぎだろ。
「責任者出せや!」
はぁ、俺が出るか
「私が超包子本店臨時料理長ですが、何かご不満な点でもございましたか?」
「ご不満もなにも、料理の中に虫が入ってんだよ!」
そういい、明らかに作り物のゴキブリが入った炒飯を見せてきた。てかこれ作ったの俺だし、舐めてんのかこのチンピラ
「失礼ですが、これは作りも…」
「ああ⁉なんかあんのか!」
イラっとする
「お客様少々お待ち下さい」
「あ?」
「ゲンジさん、ちょっと急用が出来ました!しばらくしたら戻ってきますから、それまでよろしくお願いします!」
「はいはいわかりました」
今度はあの子か
大丈夫か?
あの子に500円!
チンピラ1200円!
俺まで賭けの対象らしい。ただ俺の方がオッズが高いのは気に食わない
「おい、チンピラ表に出ろ」
「あ?それが客に対する言葉使いか!」
「俺は今休憩中だ」
「ちっ!」
表には出てくれるみたい
頑張れ〜
ぼくー頑張って!
声援はあくまでも子供に対するものだ
「おいガキ、今謝ったら許してやるぞ」
「勝てる相手に謝る意味がわからないね」
「ッ‼」
ちょっとした挑発で青筋を立てて殴りかかってきたから柔術で地面に叩きつけてやる
おお〜
「このガキがぁ!」
「ひかりもんかよ!」
ポケットからよくある折りたたみ式のナイフを取り出し切りつけにきた
「おいソラ、危ない!」
急に出てきたよしのさんが俺を庇おうとしてナイフと俺の間に飛び込んでくる
ズブッ
「ッ‼お、おいソラ…」
「大丈夫ですこれくらい、指を切った時の方が痛いです」
物理的に足とか消し飛ばされたことがあるしね、腹を刺されたくらいじゃなんともない
「チンピラ風情が仮とはいえ料理長の俺を慕ってくれる仲間を傷つけようとした罪は重いぞ」
少々気をつかって威圧し居合拳を直接顎にブチ当てる
「がぁ!」
「二度とここにくんな!」
振り抜いた拳の後から拳圧が発生して30m程吹き飛ぶチンピラ
「お前、結構強いんだな」
「アハハ…」
~午後11時~
「上がりだ!全員片付け!」
「「ハイ‼」」
ふぅーやっと終わった。
「ソラ…いや、料理長今日はすまなかった」
「いやいや、俺もイラついてましたし」
「まぁ、これはちょっとしたお礼だ」
封筒を俺の手に握らせる
「貰えないですよ!」
「いいってお前が持ってるもんだ」
そう言われると弱い
「じゃああたしは片付けがあるから」
颯爽と走り去っていく
「中身は…45700円?あれまだあるな」
これは…
「俺の賭け金かよ」
ということは、あの人俺に1000円もかけてくれたのか。嬉しいな
後で聞いた話だがよしのさんは俺に10万かけていたらしい。
儲け過ぎだろ‼
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