駄作なのでお許しを……
かなり長くなってしまいました。最後まで読んでいただけると幸いです。
夜天とタツマキが森を抜けたその先で見たものは……。シンクと姫さんが手を取り合いながら、至近距離で見つめ合っている場面だった。
「流石に手を出すのが早すぎではありませんか、シンクさん?」
「柊くん!」「柊さん!」
後ろの森から夜天が出てきたことに驚く姫様と、誤解を解こうと必死に弁解してくるシンク、どちらも慌てた様子を見せるので、つい弄りたくなってしまった夜天。
「これはあれだな、駆け落ちって言うやつか」
「違うよ!」「違います!」
「じゃああれか? キスでもするつもりだったのか?」
「き……キス」「キス……キスですか?」
シンクと姫さんがまたしても見つめ合ったと思ったが、すぐに顔が真っ赤に変え、目線をそらす。
「初々しい奴等だなぁこれじゃあ先が思いやられるぜ」
「柊くんが変なことを言うからでしょ!」
「まんざらでもなかったくせに?」
顔を真っ赤にしてまた黙り込む。少し弄りすぎたかと反省する夜天は、すぐに話の内容を変えた。
「それで、なんの話をしてたんだ?」
「えっ? あ、はい。えっとですね……」
さっきのキスから離れず、真っ赤な顔を俯かせていた顔を、すぐにいつもの顔に戻り、こちらに向ける。
「勇者様が、この戦場に参戦してくれるとのことで、これより、早急に城に戻り、皆様にお伝えしたいと思います」
「なんだシンク、結局勇者をするんだ」
「うん、皆をションボリさせないために」
「ションボリ?」
「うんションボリしちゃうから、それに……。」
シンクは目線を戦場の方に向けるその目は何故か、キラキラとしている気がする。
夜天も戦場の方に目を向けた。
そこで初めて目にしたものは、地獄のように禍々しい光景だと思ったのが、敵味方関係なく、楽しくアスレチックで遊んでいる光景が目に入った。
一部では戦闘をしている者がちらほらいるが、どちらも攻撃が当たると、ぬいぐるみのような姿に変化していた。
「これって戦争だよな? 怪我人とか死者とかは出ないのか?」
「勇者様にも説明させてもらいました。戦は大陸全土にしかれたルールに従って、正々堂々と行うものですから、怪我や事故が無いように勤めるのは戦開催者の義務ですから。もちろん国と国との交渉手段の一つでもありますから熱くなってしまうことも、時にはあります。だけど、フロニャルドの戦は国民が健康的に運動や競争を楽しむための行事なんです」
「へーそうなんだ」
もう一度、戦場に目を向ける、シンクは多分、楽しみたいのだろう、こんな楽しそうな場所はそうそうないのだから。
もう一度目線を戻すと、今度は、姫様の手の甲に何やら紋章が浮かび上がっていた。
「なんだそれ……紋章?」
「はい、これは紋章術と言いまして、紋章術にも色々あるんですよ! それではハーランに乗ってお城まで飛んでいきましょう!」
そう言うとハーランは鳥類特有の高い鳴き声を出すと思いきや、羽を上下に振り始めた。
「飛ぶって、もしかしてまた俺はハブられるのか?」
「あっ……度々申しわけありません! 勇者様がお力を貸していただくと思ったらつい嬉しくなってしまって…」
「……貸しだからな、早くその勇者を連れていけ、皆待ってんだろ? 俺はまたタツマキと一緒に向かうから」
「申しわけありません、城の者に、伝えときますので、城の方に来てください、説明はそこでさせていただきます」
「了解、そんじゃあいってらっしゃい、シンクも頑張れ!」
「うん、勇者シンク行ってきます!」
シンクと姫さんがハーランに股がり、崖から飛び出すと一直線に城に飛び立った。
「またお前と一緒だなよろしく」
「ワンッ!」
『おぉーとここでビスコッティ側に新たな情報が入りましたぁ! なんとミルヒオーレ姫がこの戦に勇者召喚を使用したそうです! 私もいくさで勇者召喚を見るのは初めてだぁぁ!』
「司会者のテンション高いなぁ」
夜天はビスコッティの城に走ってりながら、空中に浮かぶキューブ形のスクリーンを見つめていた。
そこでは生放送で、各所を写し出している。
「ワンッ!」
「おっタツマキ、そろそろつくのか?」
スクリーンから目をはなすと、目的地はすぐ目の前だった。
城故にかなりの大きさがあり、夜天の視野だけでは全てが見渡せない。
「取り敢えず、中には入れるように手配してくれてるんだよな、シンクに構って忘れてなければいいんだけど」
予想は的中、城の門をくぐった瞬間、光の玉が、夜天の前に飛んできた。
飛んできた玉を、夜天は身を捻らせギリギリに回避したが、そのあとにも数発同じものが飛んできた。
「あの姫! 後で覚えとけよ!」
足に力を入れ、速さがさらに上がった。その速さを維持したまま、タツマキを抱え込み、城内に滑り込む。
さらにそこに待ち受けていたのは、数人のメイド服を纏った犬耳族。
それぞれの手には、弓やら剣やらと、準備万端の様子だった。
「メイド一同、相手は一人のようです。三分で片付けてください。」
「「「はい」」」
メイド長らしき人物が、他のメイドに指示をし、数人のメイドが一斉に夜天に襲いかかる。
夜天は、ひょいひょいと避けるが、これが厄介なことに、その指揮は的確で、避ける場所にメイドが待ち受けて、攻撃をする間をくれない。
「ちょこまかと避けて、男なら正々堂々と戦いなさい」
「俺は戦闘とか無理なんで、遠慮しときます……でも、」
一人のメイドが、夜天に向けて槍を突き出す。
夜天はその槍を交わし、メイドの手首を握ると、その勢いが乗ったまま、夜天の前に出たメイドの足を蹴りあげる。
すると、メイドは宙に浮かび半回転し、背中を地面に叩きつけられる、前に出る勢いが上乗せされているため、通常の二倍ほどのダメージが相手に与えられた。
「護身術くらいは出来るんだわ」
そのメイドは、体から煙が出たと思うと、戦場で見た、ぬいぐるみのような姿に変身する。
「ここでもぬいぐるみみたいになるんだな」
「おのれ! よくも同胞を!」「赦しません!」
今度は二人一斉に攻めてくるので、夜天はバックステップで距離を取りつつ、懐から、二枚の紙を取り出すと、それを前のメイド二人に向かって投げる。
「その紙切れに触れると爆発するから気を付けてね♪」
「「えっ?!」」
メイド二人に紙切れが触れると、一瞬眩い光とともに、爆音が城内を響かせた。
「一枚で十分だったかな?」
「今の音は何事でありますか?!」
声がする方に目を向けると、そこには小動物であろうこれまた獣族の少女が口を半開きにしたまま、固まっていた。
「主席様! なぜここにいらっしゃるのですか?!」
「えっとですね、姫様が、勇者様のご友人がくると言われたので、案内役としてきたのでありますが……あなたは《柊 夜天》様でありますか?」
「お? そうだけど?」
「そうでありますか! 自己紹介が遅れたであります。私はビスコッティ国立研究学院主席、《リコッタ・エルマール》であります! それではすぐに姫様の場所まで案内するであります」
「えっ? あ、ああ、よろしく頼む」
「はいであります!」
夜天は、急な展開に頭がついてこれないまま、リコッタ・エルマールの後を追った。
夜天と同じく、状況を把握できずに、フリーズしているメイドたちの横を通りすぎると、メイド長らしき人物が頭を深く下げていた。
「勇者様のご友人とは露知らず、ご無礼を働いたこと、お許しください」
「あー、別に気にしてないんで、久しぶりに動けて楽しかったんで、こちらがお礼したいくらいです」
「その優しさ、痛み入ります」
そのあと、メイド長も夜天の後ろを歩いてついてきた。
「そう言えばシンクはどうしてるんだ?」
「勇者様ならすでに戦場に出場しているでありますよ! 今はエクレと一緒に敵軍を蹴散らしているであります!」
「ほー、それでどうなんだ? シンクがきて戦の状況は?」
「はいであります、勇者様がきてから、こちら側が有利になったであります。このままいけば、ビスコッティ側の勝利であります!」
前を歩くリコッタの尻尾がふるふると振っているところを見ると、本当に、シンクの存在は大きいのであろう。
それよりも、本当にでかい城である、姫様がいる場所に、まだつかない。
「なあ、リコッタちゃんや、姫様の場所はまだなのか?」
「すぐそこであります。あの扉の先にッ!」
バンッというドアを強く開ける音とともにリコッタが指差す部屋から、姫様が慌てた様子で、出てきた。
「姫様! そんなに慌ててどうしたでありますか?!」
「あっリコ、勇者様がピンチなのです」
「勇者様が?!」「シンクが?」
「はい、今勇者様とエクレがレオ様と当たっているのです」
「レオ? 誰だそいつは?」
「私が説明するであります。ガレット獅子団領の領主《レオン・ミシェリ・ガレット・デ・ロア》閣下であります。」
「じゃあそいつが敵チームのリーダーか……強いのか?」
「勇者様が、どれ程の者かはわかりませんが、レオン・ミシェリ閣下を倒せるかどうか……」
「だから私も戦に参戦して……」
「無茶であります。相手はレオさまです。姫様が行ったところで何も変わらないでありますよ!」
「でも、勇者様が戦っているのに、私がなにもしないのは……」
「じゃあ代わりに俺がその戦に出るわ」
「「「え?」」」
柊の言葉に、姫様やリコッタ、後ろに立っていたメイドまでもが驚きの声をあげた。
本人は、眠そうな顔で、姫様の前に出ると、姫様の頭を撫でる。
「貸しをここで返して貰おうか、俺を戦に混ぜろ、有無は言わせねぇ、ただ単に俺が出たいだけだからな。それに、戦場は国民が楽しくするものなんだろ? なにそんなに深刻な顔をしてんだよ、それじゃあ楽しいものが楽しくならねえだろうが。」
「……そうですよね……すみません、少し取り乱してしまいました。もう大丈夫です。」
「そうそう、姫さんは笑顔が一番だ! じゃあ俺は戦に出るとしますか!」
「あっちょっと待ってください! 戦のルールや、皆様にお伝えしたいので……もう少し待ってください」
「急いでるんじゃねぇのかよ……」
夜天は、呆れながらも小さく微笑み、姫様のお願いを承諾した。
ありがとうございました。
引続き、Dog Days~絶対防御~を応援してください。
~報告~
このあとはブラックブレットの方を進める予定でしたが、Dog Daysの終わりかたが、中途半端だったため、キリの良いところまで、進めていきたいと思います。