DOG DAYS ~矛盾の退魔師~   作:抹茶屋

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タイトル変えました。
このあともちょくちょく変えるかもです


4話目 遅れて来るのは最強だ!(下)

『白熱の戦いを繰り広げているところ、ビスコッティから再度中継が入りましたぁ! ビスコッティ側のミルヒオーレ姫様?』

 

「みなさーん、楽しんでますか?」

 

『オォォォォォオ!』

 

「度々申しわけありません、皆さんにお伝えしたいことがありまして、こちらにまた一人、救世主が来てくれました。勇者様のご友人が戦に参戦しまーす。それではご登場してもらいましょう! 《(ひいらぎ) 夜天(よぞら)》さんです」

 

 

 場が沈黙、それも当たり前だ、姫様が指した場所には誰もいないのだから。

 

 

『ミ、ミルヒオーレ姫様? そのかたはいったいどこにいるんでしょうか?』

 

「あ、あれぇ? おかしいですね、柊さん?」

 

「なんだよ、俺の名前連呼して?」

 

『「えっ?」』

 

 

 姫様や司会者も含め、モニターを見ていた全員が目を丸くした。

 

 一人は目を手で覆い隠す者や、頬を赤らめてモニターを凝視するものがいた。

 

 それも仕方ない、何故なら、姫様の後ろから、上半身裸で夜天が現れたからだ。

 

 

「ひ、柊さん、なぜそんなかっこをなさってるんですか?! 皆さんが観てますから、早く着替えてください!」

 

「姫さんが呼んだから着替え途中でもきたのに、それはひどくねえか?」

 

 

 顔を赤くしながら、姫様が夜天の背中をぐいぐい押して、部屋のなかに押し込み、短い溜め息を吐いた。

 

 

「申し訳ありません、まだ着替えて「着替え終わったぞ?」」

 

「『「『はやっ!』」』」

 

 

 意気投合、全員が全員同じ言葉、同じタイミングで、言葉を発した。

 

 

『な、何ていうはや着替え、いえ、そんなことよりも、新たなる救世主が登場! これをどう見ますかぁ? ビオレさん!』

 

『そーですねー、勇者様のご友人と言うことですので、どれ程の力か気になります。それに少し好みです』

 

『な、なーんと! ここにきてレオン・ミシェリ閣下のお側役のビオレさんから爆弾発言がぁぁ! パナード将軍は勇者のご友人をどう見ますか?』

 

『私が見るからに、彼が良ければ、ガレットに来ていただきたいですね』

 

『バ、バナード将軍のお目にもかかったご様子だぁぁ! これについて、勇者のご友人の柊さん! お答えしてもらえますか!』

 

 

 モニターに姫様の場面が写し出されたが、そのとなりにいるはずの夜天の姿は何処にもなかった。

 

 

『柊さんの姿が見当たりません! ミルヒオーレ姫様! 柊さんの姿が見当たりませんが、何処のにいるのですか?!』

 

「あははぁ……柊さんは、先ほど戦場に向かってしまいましたぁ」

 

『行動がはやーい! 戦場にいる柊さん! どこですか?!』

 

 

 モニターが次々と代わっていく、とピタッと一つの映像に止まった。

 

 

『見つけましたぁぁ! けど、なんとぉぉ! 柊さんをガレット兵が取り囲んでいます。絶体絶命のピーンチ! さあどうやって切り抜けるんでしょうかぁ!』

 

 

 先に動いたのは、夜天だった。だが、その動きは焦ることもなく、ただゆっくりと敵兵の間を進んで抜けた。

 

 敵兵はその間も、ピクリとも動こうとしない、その光景に、司会者は、実況をすることを忘れ、呆気にとられていたが、すぐに我に帰り実況を再開した。

 

 

『い、いったい何が起こってるんだぁぁぁ! この私にも全くわかりませーん! バナード将軍、これはいったい何が起こっているのでしょうか?!』

 

『私にもさっぱりわかりませんが、一つ言えることは、彼は敵にはしたくない存在です。一層彼にはこちらに来て貰いたいですね』

 

『だそうです! これについて、柊さん何か一言を!』

 

「俺争いことは好まないんで、お断りするわッ!」

 

 

 迫ってきたガレット兵の一人を、夜天は足を払いをし、バランスを崩れたところに、強烈な蹴りを喰らわせ、猫玉に変化させた。

 

 

『言ってることとやってることが矛盾しているぞぉ!』

 

「ちっせーことは気にすんな!」

 

 

 夜天は片っ端から向かってくるガレット兵を迎え撃っていく。

 

 姫様からルールは聞いた。取り敢えず、向かってくるやつはとんどん倒していけば良いと。

 

 それに、相手はどんな攻撃を受けてもここら周辺にいれば、獣玉に変化し(ガレット側は猫玉と言うらしい)、一定時間行動を不能にすることができる。

 

 

「一気に敵軍のリーダーまでいくか……」

 

 

 夜天は自分の足に懐から取り出した紙を当てる。

 

 すると、紙は、強い光を放つと、夜天の足に溶け込み、そこを中心に、黒い模様が直に浮かび上がった。

 

 

『夜天選手の足に何やら怪しげな紋章が表れたぞぉ?! あれも紋章術の一つなのですか?』

 

『いえー、あんな紋章術は見たことありません。皆さんご存じのように、紋章術はフロニャルドの空と大地に眠る《フロニャ力》を使う技術ですが……彼の場合は、そのフロニャ力を一切使っていないのですよ』

 

『それはつまりどういうことでしょうか?』

 

『彼は、フロニャ力がなくとも、強力な力を使えるということでしょう』

 

 

 モニター越しで、何か解説をしているが、夜天はそれを無視して、一気に足に力を込める。

 

 

「やられたくねぇやつは、道を空けろーーー!」

 

 

 一瞬だった、その場にいた夜天が、ガレット獅子団のレオン・ミシェリ閣下の前に現れるのが……。

 

 

 そして、そこまでの道のりにいた、ガレット兵の軍勢は、一瞬にして猫玉に変化する。

 

 その場にいた敵軍も、今まで、レオン・ミシェリと戦っていたシンクまでもが、口を空け、固まっていた。

 

 場所は更地から、何やら、蟻地獄のような場所まで、その中央でシンクとやり合っていたらしい。

 

 

「御目にかかれて光栄です。レオン・ミシェリ閣下、早速ですが、御相手願いたい」

 

「何者だ貴様! 何処から現れた! どうやってあの軍勢を一掃にしたんだ!」

 

「質問が多いわ! でもまあ、最初の質問は答えてやる、俺は《柊 夜天》。そして……《呪術師》だッ!」

 

 

 紋様が浮かんでいる足を、レオン閣下の顔目掛けて蹴り込むが……間一髪で手にもっていた剣を盾に防がれてしまった。

 

 しかし、防いだ剣は、夜天の攻撃に耐えられず、儚く四散した。

 

 

「貴様が勇者の友人か! なかなか楽しませてくれるではないか! じゃが……まだまだ甘いわ!」

 

「あんたがなッ!」

 

 

 夜天はシンクが停止している横にくると、襟元を掴むと、そのまま、レオン閣下の方向に力一杯に投げる。

 

 シンクは状況を把握し、我に還ったが、時はすでに遅し。目の前には斧を降り下ろしているレオン閣下の姿。

 

 

「あぶなぁぁぁああいいぃぃ!」

 

 

 咄嗟に繰り出すシンクの防御は、レオン閣下の攻撃をもろに受け、防御ごと、地面に叩き落とされた。

 

 しかし、その隙は見逃さない。つかさず夜天は、紋様が浮かんでいる足に力をいれて、地を蹴る。

 

 一秒もかからない早技、一瞬でレオン閣下の懐に入り込むと、手のひらをレオン閣下の腹に添え、その勢いのまま、押し込む。

 

 レオン閣下は、夜天の攻撃を受けると、そのまま壁に迫ったが、間一髪で空に跳んだ。

 

 

「惜しかったな、シンク! もう一発いくか!」

 

「やらないよ?!」

 

「貴様ら! なに遊んでいるんだ! 相手が仕掛けてきているぞ!」

 

「さっきからいる君は誰だね?」

 

「なっ………まあ今はいい! そんなことよりも今はレオ姫を……」

 

「いやいや、スキンシップは大事だぞ? 何事も相手を知らないと始まらない」

 

「だから今はいいと言っているではないか! ……エクレールだ」

 

「こんな時に自己紹介してるとか…少しは危機感を持つべきだぞ? 親衛隊長?」

 

「・・・貴様がしろと言ったんじゃないか!!」

 

 

 エクレールがくり出す攻撃を、夜天はたやすく避けた。

 

 

「避けるな!」

 

「いや、痛いの嫌いだし、普通避けるだろ」

 

「ちょっ二人とも、向こうの姫様がなんかやばいんだけど!」

 

 

 シンクの慌てた様子に二人は、シンクが指さした方向に視線を向けた。

 

 

「なんかめっちゃ怒ってらっしゃいませんか向こうの姫さんは?」

 

「あたりまえだろ、あんな場面を見た誰でも機嫌を損ねるは!」

 

「でも今は……」

 

『『とにかく逃げる』』

 

 

 シンクとエクレールはレオン姫から距離をとるためにお反対の方向に走っていく。

 

 しかし、一人だけ、そこから動かない、夜天に気付いたエクレールが足を止める。それにつられ、シンクも足を止めた。

 

 

「何をしているんだ、死にたいのか!」

 

「いやいや、死ぬのはごめんだぜ?」

 

「なら早くここから離れろ!」

 

「俺のこと心配してくれてんの? 案外優しいんだな」

 

「や…別にお前のためにいったんじゃない、姫様が悲しむ姿が見たくないためだ! か…勘違いするんじゃない!」

 

「はいはい、ご忠告感謝、俺は大丈夫だからお前らは先にいってろ」

 

「な、何を言ってんだ貴様、本当に死ぬぞ!」

 

「シンク、そいつ抱えて早くここから去れ!」

 

「えっ? あっうん」

 

「ちょっ勇者! 友人を見殺しにするつもりか!」

 

 

 後ろで怒鳴り合っているのを耳にしながら、目の前で律儀に待ってくれていたレオ姫に目線を向ける。

 

 

「待ってくれるとは、姫さんは優しいですなぁ」

 

「わしは姫ではない! 閣下と呼ばんか! まあ今はそんなことはどうでもいい、勇者もろとも、始末してくれるわ!」

 

 

 レオン閣下の後ろから、紋章が浮かびあがる。

 

 

「紋章術か……こっちもあれ使うしかないかな」

 

「覚悟しろ! 獅子王・炎陣!」

 

 

 すると、レオン閣下を囲むように火柱が上げ、空から火炎弾が敵味方関係なく降り注ぐ。

 

 降り注ぐ火炎弾を、紙一重でかわしていく夜天にレオン閣下は、大斧を力一杯に降り下ろした。

 

 

「大・爆・破ッ!」

 

「あっヤベッ……」

 

 

 大斧が地面に触れた瞬間、蟻地獄のステージ全体を爆発させる威力。

 

 その場にいた兵たちは、敵味方関係なく、吹き飛ばされ、獣玉に変化した。

 

 

『爆破ぁぁぁ! レオン・ミシェリ閣下の必殺の《獅子王炎陣大爆破》! 範囲内にいる限り、立っていられるものはいないという。超絶威力の紋章砲! 味方も巻き添えにしてしまうのが偶にキズですが……それにしてもすごい!』

 

「フランボワーズ、確認せい。勇者とタレ耳、そして勇者の友人はちゃんと死んだか?」

 

『あー、はい! えーとですねー』

 

「そう簡単にやられるかぁ!」

 

「にしてもこれ高すぎない!? ねえこれ高すぎない!?」

 

『そ、空!! 勇者と親衛隊長は無事です! しかし、勇者の友人が見当たりません! 死んでしまったかぁ?』

 

「おれはここだ、勝手に殺すな!」

 

『な、な、なんとぉぉ! レオン・ミシェリ閣下の紋章術を間近に喰らっていたのに、無傷だぁぁ! この男は不死身なのかぁ?』

 

「人をゾンビみたいに言うな!」

 

 

 夜天が司会者の発言に怒鳴っている間に、いつの間にかシンクとエクレールが空から舞い戻ってきており、レオン閣下の左右に立っていた。

 

 

「勇者の友人、お前も手を貸せ!」

 

「手を貸せって……二人でなんとかならないのか?」

 

「二人より三人の方が確実性が上がる、お前らと手柄を分けたくないが……今はそれしかレオ姫を倒せない!」

 

「なら一人でやれよ、俺はあの司会者をしばきに行きたいんだけど、まあいいや、おい司会者、こいつの次はお前だ……」

 

 

 司会者がひきつった顔をしたことを確認すると、レオン閣下に体を向ける。

 

 

「よーし、んじゃあ」

 

「「いきますか!」」「いくぞ!」

 

 

 最初にシンクとエクレールがレオン閣下に攻撃、しかし、エクレールの攻撃を斧で、シンクの攻撃を盾で防御した。

 

 だが、その両方とも四散、今のレオン閣下を守るすべはない。

 

 それを確認してから、夜天は、片手に赤く染まった札を手に、レオン閣下の懐に入り込むと、その手にもった紙を、レオン閣下の胸の辺りに投げた。

 

 

「その紙は、さっきあんたが放った攻撃を吸収した紙でね、俺が無傷だったのはその紙のおかげ、んでその紙は、吸収した攻撃を相手に返すことが出来るんですよ……」

 

「まさか!」

 

 

 夜天が後ろに飛ぶ姿を見て、レオン閣下も、その場から離れようと足に力をいれる。

 

 しかし、地面から足が離れないことに、不思議に思ったレオン閣下は自分の足下に貼られた札が目に入った。

 

 

「奇妙な術は使うやつだ……」

 

「そりゃどうも。んじゃあ自分の攻撃がどれくらいいたいか、その身で受けてねぇ」

 

 

 夜天が両手を勢いよく合わせ、音が響くと、赤い札が一瞬目映く光ると思いきや、その周辺にいた者を全て吹き飛ばす爆発が、起こった。




 そろそろもう一つの方に手を出します。
そちらを投稿しだい、Dog Days を進めていきたいと思います。
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