ニワカ過ぎて困る。
夜天が最後に放った攻撃によって、ステージは半壊。
そんな威力の中心にいた《レオン・ミシェリ閣下》は、防具全破壊だけで、獣玉まで追い込むことはできなかった。
「チビと垂れ耳相手と思うて少々侮ったか。このまま続けてやっても良いが、それではちと両国民へのサービスが過ぎてしまうのお」
「いや、むしろ、裸になろうとしてる奴もいるんだし、このまま続けないか?」
「それもありじゃが、その役目は垂れ耳に任せて大丈夫だろう」
「まて、どう言うことだそれは!」
夜天とレオン閣下は、エクレールを見ながら、ニヤニヤと笑うだけで、何も喋ろうとしなかった。
「それじゃあ、レオン閣下はここで退場と言うことでよろしいのかな?」
「うむ、わしはここで降参じゃ」
降参宣告を言った瞬間に、空に数発の花火が上がった。
『まさか……まさかのレオ閣下敗北! 総隊長撃破ボーナス350点が加算されます!』
ビスコッティ側に350点が加算され、点数は、ガレットを上回った。
『今回は拠点制圧ですので、戦終了とはなりませんが、このポイント差は致命的! ガレット側の勝利はほぼないでしょう!』
「勇者よ。親衛隊長の助けがあったとはいえ、わしに一撃を入れたことは褒めてやろう。だが、今後も同じ活躍ができるとは思うなよ。それと勇者の友人、お主には驚かされることばかりじゃった。お主とはもう一度、今度は一対一の真剣勝負をしてみたいものだ」
レオン閣下は、撮影班に渡されたマイクを、今度はシンクに投げ渡した。
シンクは、マイクをキャッチすると、そのまま演説を始める。
「ありがとうございます。レオひ『閣下っ!』……閣下」
「うむ!」
嬉しそうに頷くレオ閣下を確認したシンクは、ホッと息を吐いてから、再度感想をのべる。
「閣下との戦い、怖かったけど、とても楽しかったです」
シンクは、短かったが、自分が伝えたかったことを言い終わると、今度は夜天にマイクを投げた。
夜天は、そのマイクを片手で取ったが、何を言えばいいのかわからなかったため、取り敢えず、言いたいことだけ、言うことにした。
「あー、レオひm『閣下っ!』……ひm『閣下ッ!』……閣下とのバトル、俺的には勝ったつもりないんで、だから、その挑戦状、受けてたちます」
モニターを見ていた人たちは、一声に声をあげた。
それだけ、レオ閣下は、強く、人々から人気があることがわかる。
夜天とレオ閣下は互いに頷き合い、持っていたマイクを、エクレールに向かって投げる。
「よし、緑の垂れ耳! 口でくわえて取れ!」
「誰がするかッ!」
マイクは少し高めに投げたせいで、エクレールは飛んでマイクを、キャッチ。
「撮影班、垂れ耳によれ」
「今日のメインディッシュだ! 全員その目に焼き付けろ!」
訳がわからないまま、撮影班のカメラはエクレールを映す。
それは一瞬の出来事だった。
エクレールが、見事空中でマイクをキャッチをし、地面に足がつこうとした瞬間だった。
場が一瞬で沈黙、夜天は腹を押さえながら大爆笑。
その理由は……エクレールの身に付けていた服が、地面についた瞬間に、一瞬で【破け散った】からだった。
何故、服が散ったかが心当たりがないエクレールに、空中に浮いているモニターが、それを解決させてくれた。
それは、レオ閣下の武器破壊をした寸前の映像が流れていた。
シンクとエクレールが放った攻撃は、見事にレオ閣下の武器の芯に当てていた……が、さらにシンクの攻撃した、棒の先端が、エクレールの服を掠めていた。
これが答え、言い逃れができない動かぬ証拠。
『勇者、なんと自軍騎士に誤爆!! 防具破壊を超えて、服まで破壊してしまいました!』
「ナイスシンク! てか、服全部が弾け飛ぶって紙かよ、笑いすぎて腹いてぇ」
「ふっはははは、また来るぞ! 今度はきっちり侵略してやろう!」
レオ閣下は颯爽と去っていった。
『ここでレオ閣下、堂々とご退場。これは次の侵略戦にも期待が高まりますね!』
『全くです。ですが、まだこの戦も終わったわけではありません』
『そうですよぉ。戦場の皆さん、最後まで気を抜かず、タイムアップまで頑張ってください!』
全兵が気合の入った声を上げて、場はさらに盛り上がる。
裸にされたエクレールは、救護班に渡されたタオルを巻きながら、シンクを追いかけていた。
「だからごめんって! わざとじゃないって!」
「知るか! 1回斬られて死ねぇ!!」
「やだよ! 柊くん助けて!」
「よしきた!」
夜天は、エクレールのそばまで走ると、体に巻いていたタオルを奪い取った。
2度目のサービスシーン到来。
「//////……、この変態!」
「おい待て、その状態で攻撃したらいろいろと見えちゃう、てか見えてるぞ!」
「知るかぁ!」
「そこは恥ずかしがれよ! こっちが恥ずかしくなってくるわ! しかも俺はシンクに頼まれただけだ、俺は悪くない、悪いのは全てシンクだ!」
「えぇっ?! 柊くんそれはひどいよ!」
「ゆーーしゃーー!」
標的を変更し、またエクレールとシンクの、追いかけっこが始まる。
ビスコッティ城で、その中継を視ていたミルヒオーレ姫と、学院首席のリコッタの二人は苦笑いをしていた。
これを引き起こした夜天もまた、大笑い。
『それにしてもこの勇者、強いし凄いが、やはりアホか?』
「ほっといてよ!」
『そして騎士エクレール、美味しい映像を2回もありがとうございました!』
「やかましい!!」
『また、颯爽と現れた勇者のご友人、この者については、もっと知りたいです』
「あぁ忘れるとこだった。そこで待ってろ実況者、骨の髄まで俺のことで一杯にしてやるから……」
『え、遠慮させていただきます』
「拒否権はねぇよ?」
実況のフランボワーズの顔が蒼白。
だが、実況者魂で、なんとか話を切り替えて、今後のことについて話始めた。
「さ、さて、ガレット軍が勝利していれば、この後は会場でガレットの地酒祭りが行われる予定でしたが……」
『このままビスコッティ軍が勝利すれば、戦勝イベントの開催は、ビスコッティ側の権利になりますね』
『フィリアンノ城のミルヒオーレ姫、今回のイベントはやはり』
スクリーンに満面な笑顔で、手を降っているミルヒオーレ姫が片手にマイクをもって映し出された。
「はい。フィリアンノ音楽ホールから音楽と歌の宴をお届けします」
「姫様のセットリストも、バッチリあります!」
リコッタが映し出され、その手には、なにやら色々かかれている紙が持たれていた。
しかし、夜空とシンクはそんな紙よりも、同じ疑問を口にした。
「へー、姫様って歌とか歌うんだ?」
「まあ、あぁいうノホホンとしたやつに限って、歌が上手かったりするからな……にしても姫さんが歌ねぇ……」
夜天の右腹に急の痛み、近くで、拳を作った手を見せてくるエクレールがそこにいた。
「きさま! 姫様を侮辱しているのか! 姫様は世界的な歌い手であらせられるんだぞ!」
「誉め言葉として……受け取ってほしかった……まさか本気で殴ってくるとは……思わなかった……ぜ……」
右腹を押さえながら、地面に踞る夜天を、シンクは苦笑いをしながらも、モニターに映る姫様に目を向ける。
「でも世界的歌い手って、姫様凄いなー!」
「そうだよ。お疲れ様、勇者殿とご友人。エクレールも」
「兄上」
いつの間にか、夜天達の後ろに現れた、これまた金髪の垂れ耳をした男が、無言でエクレールに替えの服を渡した。
「姫様は他国との間や交流の際、楽団を連れて世界中で歌われているんだ」
「あ、なるほど。だから世界的なんですか」
「ただ、近頃は戦続きでツアーもめっきり滞ってしまってね。我々も久しぶりに姫様の歌を聞けるぐらいなんだが」
「貴様達も、姫様の歌を聴けば納得するだろうよ」
「活躍してくれた勇者殿には特等席で聞いて頂くとしよう。もちろん勇者殿のご友人も」
「あー、聴きたいのは山々なんだけど、俺は一旦家に帰ってもよろし?」
「僕も一旦家に帰らせてもらいたいです、それか向こうに連絡をさせてもらえませんか?」
「「え?」」
何だろう、この二人の反応を見ると、とてつもなく嫌な予感がする。
予感が外れるように、心の中で祈りながら、その反応がなんなのかを聞く夜天。
「その、何故二人ともそんな、驚いた顔をしてるんだ? 呼び出せるんだから、帰らせることもできるんじゃ……」
「何を言っているんだ、お前達は?」
「召喚された者は、帰ることも連絡を取る事も出来ない」
「それが召喚のルールだ」
予想が的中したとはいえ、面と向かって言われると、かなりダメージがくるもんだ、夜天は絶賛
代わりにシンクが、受け答えをしてくれた。
「アハハ、ソンナマタマタ……」
「いや、本当のことなんだが……」
早い、早すぎるよ……続いてシンクがフリーズ、そのタイミングで、夜天は我に還ってきた。
「いや、ほら、もしかしたら帰る方法が、何事の諦めるなって……」
「なんと言われようが、帰る方法なんて無いんだ!」
夜天とシンクはひきつった顔でお互いの顔を見合わせてから、もう一度前を向く。
それでは皆さん、一緒に大声で『さん、ハイ』
『『嘘だぁぁぁぁぁぁ!!』』
次回はなんと姫様が……
次回はかなり長くなると思いますので、投稿の方が遅くなります