異様。
それはまさにこの光景の事を言うのだろう。
目の前に広がる光景に、息をのむ。
外見はただの洞窟。
それといって目を引くところはなく、とても住める環境には見えなかった。
だが、少し中に入ればそれは間違いだったと気付くことになる。
まず外と中を区切る壁と扉でできた仕切り。
その中に入ると様々な物が置いてある。
まず目に付くのが入ってすぐ横にある様々な種類の刃物。
少し奥を見れば、
ガラスの容器には見た事のない色の液体に漬けられた植物や生き物の死骸。
更に奥にある部屋に進むと沢山の書物と先程の部屋の物よりも複雑な形をしたガラスの容器。
そしてその更に奥にある扉を開けると漸く生活感がある部屋に着いた。
(……何なんじゃここは?見た事もない物が多過ぎる。儂の家もかなりの物があるはずなんじゃが…)
「ど…した?」
「ん?いや、珍しい物ばかりだと思ってな…」
「当たり…前。殆どは…自作」
「ほぉ?それは凄いな。全てかなり完成度が高いぞ」
「……これ…あげる」
「ん?…くれるのか?それはありが……とう?」
(……な、なんじゃこれは!?
金属の……飾り?
確かに綺麗に磨かれてはいるが、部屋に飾るにしては小さいか?しかし身につけるにしたらちとゴツくて重いしのぅ。)
「……これはなんじゃ?」
「……知恵…の輪」
「なんじゃそれは?」
「2つに…分けれる。…馬鹿は…無理」
(……なるほど、儂への挑戦か。いいじゃろぅ。儂の実力を見してくれる)
〜〜1時間経過〜〜
「なんなんじゃこれは〜〜!!!!
これが外れるなんて嘘じゃろ!!
絶対に無理じゃ!!!
もし本当に外れるというならやって見せてみろ!!」
「……かして」
「ふん。潔く認め《カチャカチャ、カチャン》「できた」………え?」
「できた」
「な!?う、嘘じゃ!!!違う物と入れ替えたじゃろ!!」
「して…ない」
「嘘じゃ嘘じゃ!!!儂が話してる間にすり替えたじゃろ!!」
「……はい」
「……なんじゃ?」
「はめるのも…難しい」
「なに?!儂を馬鹿にしておるのか!!外れるなら組み合わせるのなぞ簡単じゃ!!!」
〜〜2時間経過〜〜
「絶対に組み合わせたりできぬ!!!!
またやりおったな!!
いつだ!いつすり替えた!!!《ガクガク》」
「気持ち…悪い。揺する…な」
「早く答えろ!!すり替えたな!!?」
「……ない。……かして」
「ふん。次は見逃さんからな。やってみろ」
「…………《カチャカチャ、カチャン》……はい」
「嘘じゃぁ!!!!」
「……慣れたら…できる。……違う種類のも…あげる」
「………まぁ貰うが。
…これもお主が作ったのか?」
「…そう。…他にも…ある。…終わったら…別のも……あげる」
「ぬぅ。こんな物をばかりしていたら頭がこんがらがりそうじゃ」
「……頭…弱い??」
「……ほほぅ。
ようし、いいじゃろぅ。
明日またここに来るから、別の物を用意しておくがいい!!!」
◇◇◇
幼女な夜一さんが帰っていったよ!!!
今更だけど、胸のない夜一さんが新鮮です。
本当にありがとうございます。
俺の家…というか拠点に来た夜一さんは部屋のあちこちを物珍しそうに見ていた。まぁ確かにガラスは職人さんに特注で作って貰ったし他の物もほぼ俺の自作だったりオーダーメイドだから当たり前だ。
因みにだけど、
最近大工の仕事や職人としてもやっていけるんじゃないかと思ってきた。というか偶にバザーに出品するし。
褒めてくれたのが嬉しかったので知恵の輪をあげた。
べ、別に夜一さん頭弱そうとか思っていじわるしたんじゃないんだからね!!!
まぁ必死に頑張ってる姿は見ていて微笑ましかったけども!!!
……ついつい難しいやつを渡してしまったけど解けるだろうか。まぁ無理だったら明日また怒鳴り込んできそうでそれはそれで面白いからいいけど。
◇◇◇
深夜、
四楓院家は静寂に包まれる。
屋敷の外で警戒に当たっているものや、明日の事で動いている部下はいるが、その全員が主である者たちの睡眠を妨げる事がないよう音を立てずに行動しているからだ。
隠密起動の本領発揮である。
しかし、今日はその静寂を破り、とある一室から小さな物音と声が常に聞こえていた……。
《カチャカチャ》
「……ぬぅ」
《カチャカチャ》
「………おのれ」
《カチャカチャ》
「…………グウゥゥ」
《カチャカチャ》
「……っ!やっぱりできん!!一つめは兎も角2つめは絶対に無理じゃ!!!明日文句いってやる!!!」
「……ねえさま?」
「お、おお夕四郎。どうしたのじゃ?こんな遅くに。早く寝ないと明日が辛いぞ」
「声…聞こえたから」
「あぁすまん。起こしてしまったのか」
「何してるの?」
「ちょっとした遊びじゃよ。難しいがやってみるか?」
「んぅ。やるぅ。なにするのぉ?」
「ほれ。これを2つに分けるんじゃ」
「これを?」
「あぁそうじゃ。……いや待て。やっぱりまずは簡単なこちらから《カチャン》…んん?」
「できたよぉ。次は?」
「……そうじゃ夕四郎。今日は一緒に寝ても良いぞ?」
「!!ほんとですかねえさま!!!
早く寝ましょう!!」
「ははは、しょうがないやつじゃのぅ。」
「あれ?でも遊びはよろしいのですか?」
「あ、あぁ。もう眠くてな。」
◇◇◇
翌日、
「…え?…とけた……?」
「なんじゃその反応は。お主、出来ないと思っておったな?」
「……2つとも?」
「そうじゃ。」
「………ほんとに?」
「……ほ、ほんとじゃ」
「…なら、次はこれを」
「まて!いや、それもいいんじゃが次は違う事がしたいの。どこかに行かんか?外に行くのもいいもんじゃぞ?」
「……うん。なら…そうしようか」
〜〜2時間経過〜〜
「ちょ、ちょっと…まて…っ……はぁ……ふぅ…」
「……?なに?」
「いやいや、ケホッ…おかしいじゃろ。
…どんだけ、走り続けるんじゃ」
「……あと、1時間くらい」
「そんなにか!?…お主の…一体どこにそんな体力があるんじゃ」
「……さぁ?」
「……わしもう帰っていいか?」
「……だめ」
「なんでじゃ!?」
「見てて…楽しい」
「最低じゃ!!?」
「嘘。……荷物持ち」
「どっちにしろ最低じゃ!!
大体、何しに向かって何を運ばせる気じゃ!!!」
「…薬草取り」
「……む?お主、病気なのか?」
「…違う。お爺さん達への…恩返し」
「……ふむ。そういう事なら仕方な」
「今日は2人だから実験の分も取れる」
「やっぱり1人で行ってこい!!!
ってなぁあ?!」
「………」
「何をするんじゃ!下ろさぬか!!」
「少し急ぐ……こっちのが速い」
「知らん!!そんなに急ぎたいなら1人で行け!!」
「…荷物持ち」
「本気だったのか!?」
「………」
「ちょ、せめて違う持ち方をせぬか!!!乙女を俵担ぎとはなんじゃ!!もっとこう…お姫様抱っことかあるじゃろ!!!」
「………」
「無視をするなぁぅぁぁぁぁあ!?
ちょ、お主!い、いきなり変える奴が、ある…かぁぁ……」
「……あってる?」
「あ……いや…その…?ち、近くないか?」
「…やはり…元の運び方に…」
「いや!いい!!今更変えるのもあれじゃ!!このままいくぞ!!」
「……まぁ、どっちでもいい。」