私が天に立つ!?   作:不比等藤原

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家出娘の葛藤

…どうしたものか。

 

監視のについていた人を気絶させ、

全力でかけて自然と向かった彼の家。

よくわからないけど、

彼なら大丈夫だという気持ちがあったのだ。

 

 

四楓院家

…四大貴族である家の娘であるという事実はとても大きく、大人も子供も儂には自然と敬語で話してきた。

別に不満があったわけではない。

それが普通だったからだ。

当然だが、

そんな儂には友と呼べる者がいるはずはなく、

その事さえも普通だった。

だからこそ、

彼との距離感が好きだった。

何故かは知らないが、初対面の時から驚いた反応はあったけど敬語で話したりする様な素振りはなく、それどころか儂を弄ってきたりする。

最初は警戒していたが、一緒にいると馬鹿らしくなってすぐに辞めてしまった。

儂に、初めて出来た友と呼べるかもしれない存在。

 

だからまさか断られるとは予想外だった。

彼ならいつも通り自然と受け入れてくれると思っておったんじゃが……。

何か理由があるんじゃろうか。

 

いや、それは後回しだ。

問題はこの後儂がどうするべきか、だ。

他の家に行くか野宿という事になる。

彼と暫くいたから少しは心得もある。だが、はっきり言って1人でそれが出来るとは考え難い。彼と一緒の時に彼にも下手くそだと笑われたし。

なら、

次は他の貴族の家だ。

かといってこれは家に連れ戻される可能性がある。

なので得策とは言えない。

 

……違う。こんな2つで迷っているんじゃない。

この2つなら迷わず貴族の家に行く。迷っているのは最後の一つだ。

最後の一つ。

動物のフリをして彼の家に住み着く。

これなら彼にばれない限り家に連れ戻される事はない。

それにこれは少し違うとは思うけど敬語で話したりする関係ではない。

けど、この選択肢は違う意味でかなりのデメリットがある。

1つ目は、

彼を騙すという点。

理由は分からないけど彼は今回の事では絶対に家に帰るべきだというスタンスだった。彼を騙すのは少し心苦しい。

 

2つ目は、

生活という点。

恐らく人の姿に戻る機会はほとんどない。

それに、食事も猫用の物が来るかもしれない。

 

三つ目は、

……猫の姿では服は着れないという事だ。

いや、別に本当の姿じゃないし毛に覆われてはいるけど、その毛もあくまで私の体の一部なわけで、彼と結構な時間寛いだあの場所で裸になるというのはかなりの抵抗があるわけで……。

 

でも、これを我慢したら儂は彼と離れる必要はなくなる。

逆に、我慢しなければ恐らく彼とは本当に長期間会えなくなる。

軟禁状態で監視の者を気絶させて逃げたのだ。監禁される可能性だってあるし、そうでなくても人も増えるし腕も上がるだろう。

そんな状態ではもし撒いたと思ってもまけていない事もあり得る。そんな状態で会いに行ったら彼に迷惑がかかる事になる。

 

 

 

夜、

 

 

服は、近くの木の根元に埋めた。

体を猫の姿にかえる。

儂は、離れるくらいならこっちを選ぶぞ。

ここからは儂の演技力にかかっている。

自然に、かつ気に入られるようにふるまう。覚悟は決まった。さぁ、いくぞ!!儂を甘く見るなよ!!………あれ?そういえばあやつの名前はなんだ??

 

 

 

◇◇◇

 

 

目の前には黒い子猫。

そう。俺の助言を聞かなかったあいつだ。

ほんとどうしてくれようか。

俺の罪悪感をかえせ。

 

「猫って…美味しいの…かな?」

 

「ニャァ!?」

 

「嘘。…頭の中……調べてみたいなぁ」

 

「ニャー!!」

 

え?なに?性格悪い?

知ってる。

 

 

「一応…確認しとく…けど、うちに…住むって事で…いいの?」

 

「ニャー」《コクコク》

 

「じゃあ…これ…付けて」

 

「………ニャァ?」

 

「ん?首輪…だよ。」

 

「…………ニャァ?」

 

「うちの…ペットである…証…。

特注…品。

付けたら…一生………外れない」

 

「ニャァ!?」

 

「嘘。」

「ニャ!?…ニャァァァ」

 

「僕が…死んだら…外れる」

 

「ニャァ!!?」

 

「大丈夫。体に…合わせて大きさも…変わるから。苦しくは…ならない。……さ、つけるよ」

 

「ニャァ!!」《フルフル》

 

「これ付けなきゃ…飼わない」

 

「ニャ!?」

 

「どう…する?」

 

「……ニャ、……………ニャァ」

 

「ん、いい子…。《カチン!》…はい、終わり」

 

「……ニャァァ」

 

夜一さんがなんか脱力した。

因みにだけど、勿論嘘だ。

死んだら外れるのは本当だけど、俺が外そうと思ったらいつでも外せる。夜一さんが黒猫という事実が判明するか告白してくるまではつけておくつもりだけど。

 

 

《フワッ》

「ニャ、ニャァ!?」

 

「疲れたなら…運んであげる。……あ、名前…付けなきゃ…」

 

 

 

………

……………

本名でいっか。

 

「…決めた……夜一…」

 

「ニャ!?」《ビクッ》

 

「僕の…友達の…名前なん…だ。……暫く…会えない……けど…やっぱり…家族は…大切にして…欲しいから。」

 

「ニャ、ニャァ」

 

「いや?」

 

「ニャァァ」《フルフル》

 

「じゃ…決まり。……後で…タグに名前…打たなきゃ」

 

 

◇◇◇

 

 

洞窟から抜け出し、

服を掘り起こして

万が一にも姿を見られないように離れてから人の姿に戻る。

……本当に伸縮自在なようだ。全然きつくない。

けど何故か首の太さよりは大きくならず材質的に考えて切る事も難しいだろう。

「……うぅ。人の姿の時どうすればいいんじゃ」

……彼は会えるのを楽しみにしているといった。

それも、儂の家族のために自ら儂を遠ざけてだ。

 

……家族を大切にして欲しい。

なんと単純な願いだろう。

でも、あの歳で1人で暮らしてる彼が言えば、いったいどれほど重い言葉になるだろうか。

…なぜ、彼はあの歳で1人で暮らしてるのか。

そんな事はとても聞けないけど、私は彼に友達と言われた存在だ。寂しい思いはさせない。

けど、ほんの少しの間だけ我慢して欲しい。

 

貴方のその思いやりを、無下には出来ないから。

 

 

◇◇◇

 

 

四楓院家、

 

「まだ見つからんのか!!!」

 

「本当に申し訳ありません。他の貴族の家は勿論目撃情報すらなく……」

 

「何をしておるのだ貴様らは!!夜一はまだ子供だぞ!!!」

 

「旦那様!!夜一様が現れました!!!」

 

「何!?どこに現れたあの馬鹿娘は!!!」

 

「ここじゃよ。父上」

 

「!!?……ほぅ。自ら帰ってきたのか。どうやら反省したようだな。だが今回の事は「違うぞ父上」……なに?」

 

「儂はすぐに戻らねばならん」

 

「何を言っている。お主が戻るのはここだろう。」

 

「確かにここもそうじゃ。じゃが、あたらしい所が出来た。たまに戻ってくるから心配せんでくれ」

 

「……夜一。まだ反省していないようだな。……仕方ない。娘に手荒な事は嫌だったのだが、仕方ないな。……やれ!!」

 

「………」

 

「…なに?おい!どうした!!早く出てこんか!!!」

 

「誰を呼んでいるのかは知らんが、廊下の下と屋根の上の奴らは今寝ておるぞ?」

 

「なに?!」

 

「父上。儂だってずっと子供ではない。儂には儂の意思がある。暫くすれば帰ってくる。それまで待って欲しいのじゃ」

 

「なにを」

「父上。儂の目を見て欲しい」

 

「………」

「…………儂は本気じゃ」

 

「………はぁ。仕方ない。ここでダメだと言っても家に寄り付かなくなるだけだろう。1週間に一度は帰ってくる事。それが条件だ。よいな?」

 

「……当然じゃ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

「ねえさま?」

 

「む!?ゆ、夕四郎か。驚いたないつからいたんじゃ?」

 

「どこに行かれるのですか?その先は門ですよ?」

 

「ちょっとした用事じゃ。1週間に1度は帰ってくる。それよりも鍛錬を怠るなよ?」

 

「はい!………ところでその首の物は何ですか?」

 

「んん?もしかして襟巻きの事か?全く、相変わらず忘れっぽいのぅ」

 

「いえ、それではなく、はだけて見えている下にある物の事です」

 

!!?

「な、しまっ!?……な、何でもないぞ。ただの…そう!ネックレスじゃ!!」

 

「ほぇ〜。だから所々に宝石が付いてるんですかぁ。さすがねえさまです」

 

「そ、そうじゃろう?」

 

「もっとよく見たいですぅ」

 

「そ、それはダメじゃ。ほれ、早く戻って寝ろ。明日に響くぞ」

 

「え?なら少しでいいので」

「ではな!!!」

 

「………いっちゃった…」

 

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