私が天に立つ!?   作:不比等藤原

5 / 9
家出娘の苦悩

 

「ニャァァァアアアア!!!!」

 

「ちょ、夜一。やめな……さい」

 

 

夜一さんが来てから数年が過ぎた。

不思議な事に偶に夜一さんからの手紙も来るが……。

猫な夜一さん。

略して猫一さんは、

最初の頃はなんだか余所余所しかったのに、今では唐突に襲ってくる。

なんだ?お腹空いたのか?

そんなところまで猫にならなくても……。

……ほんと、

常に最初の頃のようにいてくれないだろうか。

最初は良かった。

いつも寛いでいた部屋でもなんだか居心地が悪そうで物陰に隠れたり、クッションの下に隠れたり、俺の服の中に侵入してきたり。

外に行く時も俺の着物の中に隠れてと何から隠れているのかは知らないが取り敢えず見ていて可愛かった。

でも数年経つと慣れたのか、外でも近くにはいるけど引っ付いては来ないし家の中では上の通りだ。

 

 

最近、静かになるのは食事とお風呂と就寝の時くらいである。

……あぁ。

食事といえば、

かなり試行錯誤をしたなぁ〜。

普通の食事をどれだけ猫用に見せるかとか。

それを出す時も、

いくら何でも普通の人のように皿を出すのはおかしい。

なので、

最初の1食目だけは床に皿を置いて食べさせた。

そして思った。

流石に構図的にまずい。

 

え?なんでそこで諦めるんだ?

あんたは何処のしゅう◯うだ。

 

………ん?しゅ◯ぞうって誰だ?

 

……まぁいい。

そういうわけで色々試した。

結果、

固形物は手から直接、

液体はスプーンですくって食べさせる事にした。

つまり食事の時の猫一さんの定位置は俺の膝の上である。

 

風呂は最初は洗ってあげてたんだけど、段々めんどくさくなって今は一緒に風呂に入っている。

……別にいいよね?

確か一護と入ってたし。

まぁ最初らへんの何回かは逃げ出そうとする猫一さんを無理矢理抱き抱えて入ったけど。

……え?

いや、

大人な夜一さんならまだしも幼女な猫一さんに見られても何も感じんわ。

でも偶にこっちをチラッと見て直ぐに視線を外すのは可愛かったよ。

気付いてないふりをしてあげた。

 

寝る時は同じベットで寝ている。

でも猫一さんは嫌がってソファーで寝ようとする。

……という事にしたいようだ。

バレてないと思ってるかもしれないけど、

抱きかかえる時、

起きてるって知ってるからね?

1日目は本当に寝ていたようで、

グデェ〜っとなっていた。

けど2日目からは体にある程度力が入っているのだ。

それに寝るタイミングが良すぎるのも理由の一つだ。

更にいうなら、

1日目の朝は驚き過ぎてベットから落ちていた。

なのに2日目からは寝ぼけて擦り寄ってくるのも理由だ。

……全く関係ないけど、

今の俺のマイブームは漸くして意識がはっきりした猫一さんが、至近距離にある俺の顔を見つけて驚く様を観察する事である。

まぁでも、

無意識に寄ってくるのだから人肌恋しい時期なのだろうし、そんなに慌てる必要はないと思うんだが。

 

 

「あぁ、なるほど…そういう…事か。ありがと夜一」

 

なんで襲って来たのかと思ったら朝稽古の時間だった。

大体20分くらい体を動かす。

 

……え?

それで2時間も走り続けられるのはおかしい?

それは特典だよ。

ていうかそもそもこの運動の目的はそれじゃない。

 

朝昼晩、

大体決まった時間に外に出て20分間運動をする。

因みにその間夜一さんは家の中で待機だ。

これで分かったかな?

……え?

分からない?

いやいや勘弁してくれ。

………ん〜。じゃあ最大のヒント。

偶に俺は稽古を忘れそうになるが、

その場合は猫一さんが鬼気迫る様子で襲ってくる。

これで察せない奴はもう人間の身体じゃない。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

この生活もあと数ヶ月か……。

 

儂がこの家に来てから早数年。

遂に四楓院家に帰ることになる。

理由は単純だ。

そろそろ本格的な稽古が始まるから。

小さい頃から基本的な事をやり、一定期間過ぎると技などの稽古に入る。

それにあたり、問題がある。

まぁ解決法はわかるのだが、それは出来ればしたくないのだ。

 

……首輪…どうしよう。

 

そう。首輪だ。

伝えずにいなくなるのも少し心苦しいが、猫は元々そういう生き物だと納得してくれるだろう。

……絶対に外れないどうこうと言っていたが、それがわしに付けられていると知ったら、なんとか外す方法を見つけてくれるだろう。

 

だから、言えば解決すると思う。

……思うが、真実を言えば彼にどう思われるのだろうか。

 

 

伝えた後の彼から儂へのイメージは、

猫になりすまして家に上がり込み、

ペットという立場に抵抗がなく、

手を舐めながら飯を食べ、

数年間も堂々と裸をみて、

立場を利用して同じベットで寝てきた存在。

 

 

 

 

 

 

……だめじゃ、絶対に嫌われる。

 

こちらからしたら何年も一緒にいて信頼している。

たが、向こうからしたら数年前に少しだけあった女の子のままなのだ。それがいきなりあなたの猫でした?ホラー過ぎる。

 

 

……かといって手紙では効果はないようだし。む〜ん。

 

手紙で猫に首輪は良くない的な事を書いてみたら、

『うちの猫は超絶可愛いからそうじゃないと攫われる。』

と、返ってきた。

余計に打ち明けづらくなった。

 

……どうすればいいんじゃ!!!

 

 

 

◇◇◇

 

数ヶ月後、

 

なんか、数日前に猫一さんが消えた。

その日、なぜか洞窟の外に書物が積まれていたから、出て行くのでこれまでのお礼。という事かもしれない。でも場所を考えて欲しかった。風で散らばっている。少し複雑な気分である。……それにしても。

 

……まさか、首輪をつけたまま行くとは…。

割と気に入ってたのかな?

 

 

 

因みにだがあの首輪、

本人は猫の状態で付けたから首輪にしか見えないが、他の人からしたらネックレスにしか見えない仕様である。

俺は誰かに見られたらその人の株が下がるような事はする気ないよ!!!

まぁつまり、

 

夜:首輪だから隠す。

激しい動きの中隠し通せるわけがない

他:夜一様は誰かから貰った物を誰にも見せないが常に身に付けているらしい。

夜:なんだか噂が流れているらしい。外さなければ。

他:夜一様がネックレスを触りながら鏡の前で立っていた。いったい誰からの物か聞かなければ

夜:ついに首輪について聞かれた。ダメ元で奴に頼むしかないか…

俺:夜一さんに真実を話す(愉悦)

 

 

俺の思いやりを無視した罪は重いのだ。

せいぜい無意味な心配で苦しむがよい!!

はっはっはっはつ!!!!!

 

 

 

◇◇◇

 

十数年経過、

 

 

てっきりもう来ないのかと思っていたら猫一さんはたまに帰ってきた。

因みに、

帰ってきた瞬間に抱き付いてきて離れなかったりする。

猫の身体なのに器用だよね。

その日は猫一さんを抱き締めながら撫で続ける。

3人掛けのソファーの端が定位置だ。

次の日の朝は猫一さんに起こされるまで寝ていると決めている。なので目が覚めてしまったら寝たふりをして観察をする。

あと、よだれか何か知らないが俺の服とズボンが濡れている。

なのでその日は猫一さんが逃げ出すまで弄り倒す。

強くしすぎず、

気持ちがいいのと擽ったいのの狭間がコツである。

それぐらいだとあまり逃げないので膝の上で悶える猫一さんが長く見られるのだ。

 

閑話休題、

 

研究もかなりはかどった。

崩玉と虚化。

大体の事を既に理解できている。

やっぱり完成形を知っているせいか割と順調に進んできたと思う。

でも残念ながら崩玉はここまでの様だ。

とりあえず擬きを作り、それを改良しているのだが、原作の様にはならないのが現状なのだ。

 

……ふと思った。

浦原さんマジパネェ。

だってあの人、これを1から自分で考えて作るんだぜ?

どんな化け物だよ。

 

最近、

幾ら時間があるとはいえ此処まで出来た俺凄くね?

とか思ってたから軽く凹んだ。

 

 

……そろそろ、する事が無くなってきたな…。

声を出す練習ももう必要ないし…。

 

………そう。

もう必要ないのである。

最近やっと普通に話せる様になったのだ。

思えば猫一さんと話す時も丁寧な話し方をしている時は比較的ましだったのだ。

そこから考えて、丁寧に話し始めたらあら不思議!!

普通に話せるというね。

どうなってるんだろうか俺の身体は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。