ビルの彼方此方に化け物がいる。
街には街灯などの明かりが一つなく、人の声が聞こえない。
静かな街に変わってしまった。
そんな静かな街にバイク音が鳴り、化け物は音がなる方に体を向けた。化け物の群れにバイクが全速力で突っ込んでいく。
「◼︎◼︎◼︎◼︎ーーッ‼︎」
【Single Mode】
化け物は吹き飛ばされるものの起き上がって、バイクに乗った男を見つけて襲う。
しかし、手に持っていた携帯電話が変形して銃に切り替わった。自分の身を守るために何発か目に狙い撃つ。
【Standing By】
彼はバイクから降りて携帯を開いて、913と入力する。
「変身」
【Complete】
携帯をベルトにつけると仮面ライダーカイザに変身し、たった一人で怪物の群れへと向かっていった。
この世界には希望も夢も何もない。あるのは成れ果てた都会と街、そして岩崎玲という生き残った一人しかしなかった。
*****
世界が変貌する前の話
岩崎玲、彼はごく普通の高校生だった。幼い頃、父親の影響で仮面ライダーに興味を持ち、特に仮面ライダーファイズのストーリーに目が釘付けになって夢中になっていた。父親の方は研究員として働いているが、どんな研究なのかは謎であり家族にもその内容を話していない。母親の方は海外に出張しており、彼は一人暮らしをしている。
一通り物を置いたところで、卒業アルバムを見ていた。
(…嫌な事件ばかりだったな。1年生の頃は沢山いたのに)
中学校では三年間普通に学校生活を暮らし、友達もできていた。が、その学校では嫌な事件が沢山あった。
まず同じ同級生の女子が自殺したことや、川や山に同じ学校の生徒の死体が何人か出てきていた事件。警察の方は証拠が見つからない以上詮索することはできない。
事件はうやむやのままになっていた。
「何かしてあげられることはできたはずなのに…」
自殺した少女は小学生の頃に知り合いであり、彼女の父親は彼の父親と同じ研究員だった。母親の方はおらず、父親と娘だけの生活を送っていた。父親の方は娘を亡くしたことで突然行方不明になり、家から跡形もなく去っていった。
玲が高校受験に受かった後、父親から仮面ライダーカイザのベルトとカイザ専用のバイクが突然送られていた。バイクはちゃんとしており、運転も可能だった。ベルトの方は最初はおもちゃかと思っていたものの、
【もしこれを使う時が来た時は、バイクが勝手に移動したり守ったりするからその頃に使いなさい】
(何を言ってるんだ俺の親父は?)
玲の方は張っていた紙を見て不審になっていたものの、ともかく送られてきた二つにはあまり手を出さないように、ベルトをバイクのサイドカーに置いてそのままにした。
動くなんてありえないと、その時の玲はそう思っていた。
入学式に入る前、家でテレビ番組を見ているとニュースが流れている。そのニュースは道路に爆弾らしきものがあるというものだった。
『はい、こちらの現場には爆弾が置かれてあったことで民間人は避難しています。
爆弾は道路にいつの間にか置かれてました』
レポーターが現場で説明し、どうしてここに爆弾があるのか見当もつかずとにかくすぐに爆弾処理班がやってくるというものだった。
が、置かれていた爆弾は時間通りに起爆せずに突然光り出して画面は砂嵐となった。大きな爆発が起こった事によって、何もかもが豹変した。爆発した場所から突然泥が吹き出し、空にバラバラに散っていっている。
その泥が海外に向かって高層ビルほどの高さの大津波となって国を覆う。
その爆弾によって全世界の運命は一気に狂わされた。
爆発後に、どうなっているのかなんて最初は理解できるわけがない。彼の住んでいる日本はその泥に飲まれることがなかった為にどうにかなったものの、もう半分の世界に該当している日本などの国に人を栄養分として吸収する怪物が出現した。残った国はそこらじゅうでパニックとなった。怪物は人を無差別に遅い、悲鳴が轟き叫ぶ声がする。
「ウワァァァァッ‼︎」
(なんだ⁉︎)
玲はその叫びで外に出る前にカーテンから隙間を覗く。すると、化け物が人を吸収して取り込んでいるのを間近にした。
それを見て気づかれないように
(どこに逃げればいいんだ⁉︎てゆうか何なんだあの化け物は!)
このままここでじっとしていても家にまで侵入されてしまったらもう手に負えない。一般市民の方は鈍器か何かで攻撃しているものの全く通用せずに逃げていく。
玲は口を閉じるものの、化け物の方は家に侵入して人を探す。玲は裏から外にゆっくり出ようと隠れながら逃げる。が、
「嘘だろ…くそッ⁉︎」
化け物は逃げていく玲を捕まえようと襲いかかってくる。当然、人よりも化け物の方が速さは上回っている為に追いつかれてしまう。
もうダメだと玲が思った時、バイクが高速で動いて化け物をはねた。化け物は吹き飛んで、地面に倒れてしまう。
「俺を、助けたのか…バイクが。でも車庫に置いていたはず…いや、今は深く考えない!」
決死の思いでサイドカーに置いていたベルトを手に取る。そのベルトは仮面ライダーカイザのもの。バイクが勝手に動いている以上、もう何が起こっても驚かない。
(もし、このベルトで変身できるのなら…)
玲はベルトを装着して、すぐに携帯を入力する。
【Standing by】
「変身!」
【Complete】
岩崎玲は仮面ライダーカイザへと変身し、怪物を殴る。
怪物の方はすぐに砕かれ、砂となった。
【Ready】
玲は無意識にカイザブレイガンを用意し、襲ってくる怪物に走って切り裂く。
そして
【Exceedchage】
最後の一人になった怪物はカイザブレイガンのショットで身動きが取れないようにし、ブレードで敵を貫いた。さっきまで襲っていた怪物はいなくなり、全て玲が倒した。
敵を倒した玲は変身が解かれ、どっと疲れている。
彼は近くにあった壁に横たわった。
「何が、どうなっているんだ…化け物が街に溢れて出てきて、バイクが動いて、変身ができて…それに俺、何で戦え」
周りを見渡しても、他人の声は聞こえない。彼一人だけがそこにいた。父親に渡されたベルトとバイクが仮面ライダーカイザと同様に機能している。
彼は全てを喋りきる前に、家の裏口で眠りについた。
タグの方は後から増えるので。