風評被害って恐ろしい   作:ソウクイ

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後始末に働くトップ

 

核弾頭みたいなお客様の訪問、お客人を休ませた後にもアザゼルの仕事はまだまだあった。

 

下っぱ堕天使にアリシアスの事を頼み一度執務室から離れ、グリゴリの幹部を緊急召集。 

 

召集された幹部達は殆ど事情を知らないが表情は厳しい。アザゼル含めて幹部はアリシアスの暴れぬいた大戦の生き証人が多数。そんなグリゴリ幹部達とこれからの対応を協議しないといけない事に、胃痛がまたぶり返した。

 

コカビエルの駒王襲撃、魔王の妹との交戦、アリシアス・ベリアルの封印の解放、アリシアス・ベリアルを本拠地に連れてきた。

 

総ての状況を話すと暫く沈黙。

 

最高責任者のアザセルを責められた。連れてきたのはアザゼルの小飼と言っていいヴァーリーなので反論すら出来ない。

 

 

暫く責めたが本題に話が移った。

 

アリシアスの即事追放か抹殺、堕天使の戦力としての引き入れる等、ハイリスク、ハイリターンを望んだ幹部もいたが、結局はアリシアスに対しての対応は、全てアザゼルが責任をもって対処する。アリシアスに対しての対応は全会一致()ですんなりと決定した。

 

 

要約すればアリシアスに関しては全てアザセル総督に丸投げである。アリシアスに関わりたく無いと言う本音がヒシヒシと伝わってきた。

 

アザゼルは最高責任者の地位を誰かに擦り付けようかと本気で検討した。

 

 

とにかくアリシアスと敵対しないと方針が決めるとホッと息を吐いた幹部が多数。

 

アザゼルは押し付けられた事と、一悪魔に脅える堕天使幹部の姿にげんなりさせられた。最初にアリシアスを見て悲鳴を上げた自分の事は心の高い棚の上に乗せる総督。

 

 

 

アザゼルは副総督だけを残し幹部達を解散させ、解散した後にアザゼルは大きくため息を吐いた。

 

「総督、強行策への対処はどうしますか」

 

副総督のシャムハザは困った様な口調で胃を押さえたアザセルに訊ねた。。

 

「あの戦争への参加者は何かする可能性があるよなぁ……本当にどうするか」

 

アザゼルは恐怖する感情は良く判るが、堕天使全体の安全の為に行動を認める訳にはいかない。

 

「強硬派を一時本部から離しましょう……離れれば冷静な判断も少しは出来る筈です」

 

「一時的な措置としてはそれで良いか。その方向で動いてくれ」

 

「判りました。素直に退避してくれるなら良いんですが」

 

「はぁ臆病な癖に逃げる事がプライドが許さないとか言う奴も居るからな。まぁその手のヤツは力付くで言うことを聞かせてやれ」   

 

「功名心に逸るモノは」

 

「そう言う奴も居るか。………向こうに頼んで対戦をして貰うか。暇潰しの遊びと伝えたら怒ったりもしないだろう」

 

「味方に引き入れる案はどうします?彼女程の戦力なら悪魔や天使の反発より利益が有ると言う意見も有りましたが。私としては一理有ると思います」

 

「なぁその場合、あの怪物をオレが管理するはめになるんだけどな?」

 

「総督の手腕なら可能かと……」

 

「…ハハハ、目を逸らしてるのはなんでだ?お前が総督になってくれるなら味方にするのは良いぞ」

 

「味方にする案はダメですね」

 

アザセルが本気の目で言うとシャムハザは即座にそう言った。

 

「……コカビエルが駒王でやらかした事についてはどうなった」

 

「はい此方が現在判っている駒王学園で起きた事についての報告です」

 

報告を聞いてアザセルの額に青筋が立った。

事前に聞いてたが文字で確りと確認すると怒りは倍増した。

 

この前も堕天使が駒王で問題を起こしてアザゼルが謝罪した。これで謝罪は2連続になる。しかも今回はアリシアスの事が有る。可能性はほぼないがアザゼルは…戦争の可能性すらあると考えた。

 

 

報告では悪魔側に死者は居ない。コカビエルがリアス達を特に殺害する気はなかったと取れる発言をしているのも確認できた。

 

 

コカビエルの目的はあくまでアリシアスの封印の解放。アリシアスと敵対するならコカビエルは責められるが、敵対したくないなら余りコカビエルの行動を責める事は出来ないだろう。 

 

何にしても相手の反応次第。

 

アザゼルは駒王学園理事長のシスコン、もといサーゼクスに連絡を入れた。

 

 

 

「やぁアザゼルか。連絡を待っていたよ」

 

 

サーゼクスとは直ぐに連絡がついた。その顔は当たり前だが厳しい。それは自分の領地に妹を襲撃した堕天使のトップに甘い顔をしていたら異常だ。

 

「今回のコカビエルの暴挙について、堕天使のトップとして謝罪させてもらいたい」

 

「謝罪を受け取ろう。謝罪を受けとる代わりにと言うわけではないけど、封印から解放されたアリシアス・ベリアルがどうなったか教えてもらえるかな」

 

アザゼルはアリシアスはグリゴリに居ると事と、アリシアスの状態と様子は伝えた。

 

「このさい天使も含めて代表が集まって色々と話したいと思ってるんだが」

 

「……色々とか………わかった。返答については近いうちに連絡する。連絡にについてはセラフォールに頼む事にするよ」

 

サーゼクスは深く追求はせずに通信をきった。アザゼルは悪魔勢力の対応を待つことにした。

 

次に天使側への連絡、イリナとゼノヴィア二人のエクソシストを保護してる事を伝え、同じ様に今後について話がしたい事を伝え連絡を終えた。

 

アザゼルは一先ずやることを終えて執務室で少し休んだ。

 

翌日。

 

アリシアス達の様子を見ると雑誌を読んでいた。

 

中学、小学生サイズのアリシアスに高校生サイズの四人、アリシアスの事を女子高生のお姉さんに構って貰ってる可愛い女の子と一瞬でも見えて、アザゼルの瞳のハイライトは消えた。

 

「よお何を読んでるんだ」

 

「あ、アザゼルさま!?」

 

そう言いながらアザゼルは机に置かれた一冊を見てみる。それは何処にでもありそうな……

 

【ドライバー募集】【ウェートレス募集】

 

求人、アルバイト雑誌だった。

 

「おい誰だ!!求人雑誌なんて用意したのは!」

 

「これは其所の堕天使が持ってきたモノだ。アリシアス・べリアルに最近の情報が判る本を頼まれてな」

 

求人雑誌を一緒に見ていたヴァーリが答えた。因みにイリナとゼノヴィアも真剣に求人雑誌を見ていた。

 

「なんでだよ」

 

アザゼルはアリシアスが現代の情報を知りたいのは理解できた。だが何で現代情報を知るのに求人雑誌だと思った。そもそもなんでグリゴリにそんなモンがある?数千年封印されたアリシアスが現代の文字を読め…何故か読めるようだ。

 

「その他の雑誌も用意したのですが……」

 

レイナーレの言う通り他にも雑誌はあった。しかし求人関係以外は横に退けられていた。

 

「なんでそんなの見てるんだ」

 

アザゼルは三人の中では一番話し掛けやすいイリナに聞いた。

 

「……その………無職になりそうですし」

 

切実な答えだった。

 

アザゼルとしては、エクソシストが元エクソシストになっても別に良い。二人とも堕天使の被害者みたいなモノなので支援ぐらいはするつもりもある。普通の職に就きたいなら協力してもよかった。

 

問題は歩く核弾頭みたいな怪物だ。

エクソシストに触発されたか自発的にかは不明だが…

 

「880円……資格ないとダメな職業と」

 

蘇った魔王殺し兼神殺しのアリシアス・ベリアルが、真面目に職を選んでいる。アザゼルは喉まで出掛けた暴言を止めた。

 

 

アリシアスの実年齢は封印期間いれればウン千年だが外見年齢は十歳前後。高く見ても中学生、致命的なのが身元を証明するモノがない。働くのは無理だろう。いやそれ以前の話だ。

 

万が一働く場所があっても、一般の職場だと絶好の機会だと職場を襲撃される事は確実…脳裏には悲惨な事になる光景がありありと浮かぶ。勿論悲惨なになるのは相手方

 

どんな結果になるかアザゼルは最良の場合と最悪の場合を考えてみた。

 

最良を想定すると本人だけが報復を受ける。

最悪を想定すると1つの“種族”が消える。

 

アザゼルの接したアリシアス・ベリアルは、そこまで短絡的に危険な存在とは思えないが、種族の根絶が可能か不可能かで可能と思えるのが問題だ。可能性が0%じゃないと思えるからダメだ。

 

(全種族の)安全の為にもアリシアスは絶対に就職なんてさせられない。

 

 

 

アザゼルの表情に下っぱ堕天使二人は冷や汗を流し、エクソシスト二人も気にしているが、悪魔は特に気にせず仕事探しを続行した。

 

求人雑誌を見ていたイリナはポツリと呟いた。

 

「ゼノヴィア……一番下のお給料でも私達が貰ってたお給料より高くない?」 

 

イリナは前なら給金は関係ないと言えたが、信仰心がほぼゼロな今はブラックな方に目が行く。イリナの目尻から涙が溢れた。ゼノヴィアも哀しそうな顔をしていた

 

「……ウェイトレス……それか建築の手伝いみたいな。力仕事の方が良いかな」

 

「建築のアルバイト…」

 

アザゼルは話している仕事の時給を見た。何れも千円以下、最凶の悪魔が自給千円未満で働く光景を想像して胃が猛烈に痛くなった。

 

アザゼルは溜め息を吐いて雑誌を見てるヴァーリーに話し掛けた。

 

「何か興味があるモノでもあったか?」

 

「料理に少し興味があるな」

 

保護者代わりのアザゼルが知る限りヴァーリーは戦闘狂、ヴァーリが珍しく戦闘以外に興味を示している事に喜んだ。

 

「ほぉ料理に興味あるのか」

 

流石に白龍帝を一般職に就かせるのは無理だが、アザゼルはグリゴリの食堂で働いて貰おうかと検討した。

 

「ああ、昔のアリシアスみたいに食材入手からなら面白そうだ」

 

それ、コカビエルが調べたら怪物育成日記だよなとアザゼルは顔色を白くした。ヴァーリーは偶々日記を見て、自分の育った環境はまだましだったと思ったとか思わなかったとか…

 

アザゼルは一般的な食材で料理しろと思った。伝説に成るような神話の生き物を料理されるのは困る。と言うか明らかに料理が目的じゃない。

 

「お前がやりたいの料理でなくて狩りだろ」

 

アザゼルのツッコミはスルーされた。

 

「自宅からの通勤……そう言えば実家って今はどうなってるんだろ?」

 

「さぁ、どうなんだろうな。冥界の事は堕天使の俺にはわからない」

 

ベリアルの今の扱いって…どうだった?アザゼルは考えるが特に情報は思い浮かばなかった。

 

「それより仕事したいのか?」

 

「お金が欲しいですし。働かないと……」

 

世知辛い。

 

「実家は宛になるか不明ですし。そう言えば戦場で働いてた時の賃金は?何も貰った記憶がない……今からでも請求しに行った方が?……あの赤毛が今の魔王ならボコっても罪悪感とかないし…」

 

何かとんでもない事を言い出した。

 

アザゼルは話を逸らす為に全力で脳を動かし、…提案する事にした。

 

「あーー…アリシアス、仕事場ならオレが紹介出来るかもしれんぞ」

 

 

 

 

 




アザゼルさんの声優ってメイドガイ、ワンパンマンの深海王とかネタになりそうな人が多い……けどアザゼルさんは常識的で苦労人なイメージ。

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