「さぁ姿を現せ」
駒王学園校庭に浮かぶ堕天使コカビエルが造った巨大な魔方陣。空に浮かぶ巨大な魔方陣が光輝くと魔方陣の真下の地面が爆発して何かが現れた。
「校庭が!!」
駒王の学生が数時間前まで運動等をしていた校庭の中央から、噴火した直後の火山の様な土煙が上がっている。偶々強く吹いた風によって土煙が消えた。
校庭があった場所に深い穴が出来ていた。そして、穴から何かが浮かび上がるように出てきた。
「鎖の塊?」
穴の中から出てきたのは鎖の塊。鎖の隙間から僅かに見える本体らしき中央に黒い球体が存在する。黒い球体は二メートル程の大きさだが無数に巻かれた太い鎖のせいで大きさは何倍にも膨らんでいた。
「あんなのが駒王学園の校庭に埋まってたなんて、まさか本当にあれが封印なの。さっきのコカビエルの話は事実ということなの……」
リアスはコカビエルの突然の話を信じて居なかった。それは自分が管理する学園に魔王や神を殺した大物が封印されてるなんて事を突然話されても信じる方が難しいだろう。
幾ら相手が堕天使の幹部とは言え、いや、むしろ敵対する堕天使の幹部だからこそ悪魔に対して悪意のある嘘をついてる可能性も考えたのだが、しかし駒王学園の地下から厳重に封印された様な何かが出現した。
リアスの顔色はコカビエルから受けたダメージと関係なく悪くなった。
「あの時のままだ。ふふふ覚えているものだな。さて最後の問題だ。“アレ”の用意したモノがこの封印を破れるか…」
コカビエルが何かを鎖の塊に投げつけた。魔法陣が光、地震の様な揺れと地響きが鳴り鎖が揺れ動いた。何かが割れる音がした。すると球体を縛る鎖は少しずつ腐り崩れる様に落ちていく。総ての鎖りが落ちると巨大な魔方陣は役目を終えたとばかりに消えた。
黒い球体だけが残り宙に浮いている。鎖が無くなり封印が解けた様に見えた。ゴクリと誰かが喉を鳴らした。
「ふふふ、フフ、ハハハハハハハハ!!!遂に、遂にこの時が来たか。ああ待ち望んでいたのだな私は……悪魔、それに人間らも刮目しろ!四人の魔王を殺し神をも殺した悪魔、二天龍すら落とした悪魔、幾千年もの時の中で忘れ去られた最強の悪魔の復活だ」
歓喜した様子のコカビエル
「あの黒い球体の中に二天龍を倒し、神も魔王も殺した悪魔が入ってる…の。ほ、本当に復活するというの」
まだ封印の中身がコカビエルの話通りだと信じきってはいない。しかし自分達を打ち負かしたコカビエルが解放した封印、そんな封印の中身が軽い存在でない事だけは理解は出来る。緊迫する悪魔や二人のエクソシスト。
バキ!
黒い球体の表面を突き破る白い棒の様ななにか。
「う、腕」
腕は動いている。封印の中身は生きていて何かが出ようとしていた。腕を中心にバキバキとひび割れる様に腕を中心に卵が砕ける様に割れた。最後は粒子が散る様に完全に消えた黒い球体。
球体の中身が一誠達の目の前に現れた。
最強の悪魔を封印した球体が散り中から出てきたのは…身の丈はニメートル、全身を覆う獣の如く戦闘に適したしなやかで強靭な筋肉、肌は黒く光る黒曜石、顔は荒々しい般若の如く、頭に野太い2本の角を生やした悪魔の中の悪魔…
なんてモノは存在しなかった。
居たのは
困った様に周りを見ている金髪の西洋人形の様な可愛い少女(推定10才?)。
「「「「は?」」」」
間の抜けた声が多数聞こえた。
少女周りを見回し首を傾げる。
「…此所どこ?夜?それにあの建物は…学校?随分と懐かしい感じの……え、学校?…え、なにここ?」
少女は困惑している様子が窺えた。
どうみても先程コカビエルから語られた悪魔には見えないので、一誠たちも負けず劣らず困惑していた。
「ううん?何してたか思い出せない。ブラック真っ青な過重労働をさせられてたせい?疲れて変な幻みてる?それか罠で何処かに飛ばされたとか?」
もう一度周りを見て少女は頭を傾げる。迷子の子供の様にしか見えず女性陣の保護欲を誘う。
「な、なぁ元浜、アレが最強の悪魔?違うよな?(最強の悪魔ならもっとこうボインボインな女王さまみたいな感じだろ)」
「いや最強だ。確実に最強だ。(幼女は最強、これは世界の真理!……マジで原作で最強格は幼女な外見だった筈だし)」
「うーん?」
少女はリアス達に目を向けリアス達のいる場所に移動。見掛けはどうあれ封印から出てきた存在だと思いだしリアス達は緊張したが、少女の目には悪意や敵意が欠片も見えない。
「どうもこんばんは、ボロボロみたいだけど大丈夫?」
少女はアーシアに挨拶をした
「…え、はい!だ、大丈夫です!!」
アーシアは慌てながらも挨拶を返した。
「質問したいんだけど、此処ってどこ?」
「こ、ここは駒王学園です」
アーシアは答えた。
「駒王学園……うん……駒王学園って冥界のどこらへん?」
「あの、ここは冥界じゃなくて人間界ですよ」
「ニンゲン界?…ニンゲン界ってもしかして、人間が居る世界って意味で人間界?」
「は、はい」
「……人間界……」
少女は何か考えてるのか無言になる。
「…今度はこちらが質問していいかしら?」
リアスは躊躇いがちに声をかけた。
「え、うん、どうぞ」
「私の名前はリアス・グレモリーと言うんだけど……貴女の名前を教えて貰えるかしら」
「アリシアス・べリアルって名前だけど」
「……アリシアス・ベリアル?本当に?」
「本当だけど」
自分の名前に大した意味なんてないように隠そうとする様子はゼロ。つい先程コカビエルから最強の悪魔と聞いた名前。コカビエルの話が事実なら最強の悪魔の正体……
「本当の本当にアリシアス・ベリアル…アリシアス・ベリアル……もう一つ質問いいかしら」
「うん、質問はいいけど、その前に…」
イリナやゼノヴィアを見ていた。
「な、何?」
イリナとゼノヴィア、二人に共通する点は人である事、悪魔が人に対してどういう意識を向けるか。少女が何を言うのかと二人はゴクリと息を呑んだ。
「隠した方が良いと思うよ」
視線は体、イリナとゼノヴィアは自分の身体を見た。二人の服は身体のラインが完全に出る戦闘服、年頃の女の子が着る服でない。そんな服がコカビエルとの戦いで露出がさらに酷いことに…
イリナは手で隠した。ゼノヴィアは特に隠そうともしない。二人は悪魔のわりに貞操観念有るなと思った。
「ま、まぁその二人の事は今は置いておくとして………貴女は封印されてたみたいなんだけど、何で封印されてたの?」
「封印されてた、なんでって……なんで?え、封印されてたの?」
封印されてた自覚すら無かった様子にリアス達は困った。覚えてないならコカビエルの話の真偽を確認することが出来ない。
どうすんだという空気。
一誠は当事者の話を聞いてみることにした。
コカビエルの話が事実ならアリシアス・ベリアルが倒したのは魔王に神そして一誠の宿る二天龍。
「なぁドライグ、あの娘がお前を倒した悪魔なのか?」
「ドライグ?オーイ」
『現在ドライグは留守にしております。御用のお方はピーと言う発信音の後にご用件をお伝えください』
「ドライグ!!?お前留守電機能なんて付いてないだろ!?」
居留守を使うドラゴン。
一誠は自分の相棒の有り様に頭を抱えて、ふと可笑しな事に気が付いた。
復活させた犯人が一言も話してない。