【Green's Contradiction】 作:インプレッサWRX STI
「…僕、あんまり魔法好きじゃないんだ…」
「…え?」
ルルーナはとても驚いた表情をしている。
無理もない、魔法使いが魔法を嫌いと言っているのだから。
「……昔、中等部の時に、一人だけプログレスになってくれた娘がいたんだよ、だけど…ブルーミングバトルの時に回復魔法を使おうとしたら魔法の使い方を間違えてその娘に怪我をさせちゃったんだ…」
「そんな…」
「その時使おうとした魔法がまだ覚えたてっていうのもあったんだけど、カッコつけて使おうとした自分が…許せなくて…」
「その娘とはそれきり、それとプログレスを魔法で傷つけたって噂が広がって誰も僕のプログレスになってくれなくなっちゃったんだ…」
「………ご、ごめんね、そんな理由があったなんて知らなくて…」
「い、いや良いんだよ別に…さあ帰ろう」
行きと同じはずの獣道、しかしどうしてだろう、最初に通った時よりさらに深く、さらに暗く感じた。
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「…あーあ、つまらない事話しちゃったかなぁ…」
お風呂上り、ベットに転がり枕に顔を埋める。
「あんなトラウマ話女子に話すことじゃなかったよなー、失敗した…」
コンコン
誰かが部屋の扉をノックした。
「どうぞー」
「や、やっほーウィッチ君、まだ歯磨きしてないなら一緒にこれ食べない?」
ルルーナが持ってきたのは小箱に入ったチョコレートだった。
「夜にチョコレートっていうのもちょっとあれだけどさ、これとってもおいしいとっておきなんだー♪」
「じゃあ一つ…」
僕は彼女が差し出している小箱からチョコを一つ摘んだ。
「…おいしい」
チョコレートは甘過ぎず苦過ぎず、美味しかった。
「でしょ?わたしも食べよーっと、んん〜♪おいしい〜…」
ウ&ル「…………………」
「…えっと、今日はごめんね、せっかく僕の魔法を褒めてくれたのにあんな事言って…」
「気にしなくていいよー、むしろ私が謝りたいくらいだったし…」
「…………………」
「…………………」
「ねえ、ウィッチ君…私さ、思うんだ」
「…何を?」
「その女の子は…きっとウィッチ君の事嫌ってないよ」
「…………」
「だってその娘をサポートしようとしてやった事なんでしょ?なら、そんなに気にしてないよ」
「そう…かな…」
「少なくとも私なら思わない、絶対に」
「ルルーナ…」
嬉しかった、初めて明かした胸のうちを理解してくれる人がいたことが、本当に嬉しかった。
「ねぇ、ルルーナ…」
「な、なに?」
「その……も、もしよければ…」
「僕のプログレスになってもらえない…かな」
それは本当に最後の勇気を振り絞っての告白だった
これで駄目なら諦める、そう心に決めた。
ルルーナは少しの間うつむいてから顔を上げて、小さく口を開けた。
「…ありがとう、とっても嬉しいよ」
「だけど…ちょっとだけ、ちょっとだけ…時間をもらえるかな…」
「うん…」
「ありがとう…じゃあ…」
そう言い彼女はそっと部屋から出ていった
たった一言の返答だったが、
彼女が何かしらの事情を抱えている、
何故か僕は勝手にそう思ってしまった。
いや、そう思うことで自分の中に希望を残していた。