【Green's Contradiction】 作:インプレッサWRX STI
「本当に、私はどうしたら良いんだろ…」
ルルーナは丘の傾斜に座って夜空を眺めていた。
「そりゃ…ウィッチ君とならプログレスとして私も少しは活躍出来ると思う、思うけどー」
「…やっぱり無理だよね、今の私じゃ」
「うんうん、やっぱり無理だよ、考えるのやめやめー、今までだって断ってきたでしょルルーナ、今更何でこんな事で悩んでるのさ、ウィッチ君には悪いけどちゃんと断ろう、うん」
ルルーナは立ち上がって空を仰いだ。
「うーん、今日も月が綺麗だねー♪」
「あ、あれ、なんでだろ、なんだか…月が歪んで見えるな…あはは…は…」
「………う…うぅ…ぐすっ…」
言葉とは裏腹に彼女の目からは大粒の涙が溢れていた。
「…やっぱり嫌だよ…このままなんて…嫌だよ…」
と、その時遠くの方でとてつもない爆発音が聞こえた。
「…っ!敵襲?!」
音の方をよく見ると着弾点から赤い炎が上がっていた、それも段々迫ってくる。
同時にけたたましいサイレンが響き渡る。
『統合軍、各部隊は指定の位置につけ、繰り返す、統合軍、各部隊は指定の位置につけ、これは演習ではない』
「…これはまずいねー…早く合流しないと…」
………………………………………………
「うわっ!なんだなんだ?!」
地響きと共に家が揺れる、この世界に来た時と同じどでかい爆発音も聞こえてくる。
「…敵襲よウィッチ君!早く防空壕へ行かないと!」
「で、でもルルーナやリーリヤが…」
「あの子達なら大丈夫よ、もう軍の部隊と合流してるはずだから!」
「……行きます」
「…っ!何を言ってるの!あなたは軍人じゃ…」
「軍人じゃなくてもαドライバーです!やれる事は絶対にあります!」
自分でも無茶苦茶言ってるのは分かっている、しかし、それ以上に
「僕は、やっと気づいたんです、ルルーナが…どんな気持ちでいたのかって」
「ウィッチ君……」
「だから…お願いします、僕は…彼女達を守りたいんです!」
「…………」
「…あの二人は訓練校の近くにいるはずよ」
「…ありがとうございます!」
「でも一つだけ約束して」
「必ず…あの子達を守って……」
「…もちろんです」
僕は家を飛び出し全力で走った。
「待ってて…ルルーナ…!」
……………………………………………
「リーリヤ・ザクシード」
「ルルーナ・ゼンディア」
「ただ今合流しました!」
「よし、これで全員揃ったな」
フィーリア・グレンハルトを筆頭に十数名の隊員と数人のαドライバーが集まっていた。
「敵は南部の森を破壊し突撃してくると見られる、我らは東部班と協力し西部方面から挟み撃ちにする」
「……………」
「…ルルーナ!聞いているのか!」
「は、はい!」
「気を緩めるな!これは訓練ではない!」
「す、すみません…」
「…ルルーナ大丈夫ですか?さっきから顔色が優れませんが…」
「だ、大丈夫だよー、ありがとー」
「よし、それでは作成開始…」
フィーリアが号令をかけようとしたその瞬間
ドガアアアアアアン!!!
「何?!」
グリューネシルト本部北側の街から爆音が轟いた、火柱が上がる様子も見える。
「…しまった、こちらはフェイクか!今北側はほとんど人員がいない!」
敵軍は南部で一時的な爆発を起こし統合軍を南部に集中させて北部から一気に攻めてきたのだ。
「…嘘…あそこは…」
「リーリヤ?どうしたの……あっ」
炎に包まれている範囲はリーリヤが住んでいる家のすぐ近くだった。
「街が…!させません阻止します突撃します!」
「馬鹿者!死にたいのか!上官命令だ止まれリーリヤ・ザクシード!」
フィーリアがリーリヤを咎め引き止める。
「フィーリア・グレンハルト中佐……申し訳ありません!」
「リーリヤ待って!リーリヤ!」
リーリヤは命令を無視し、一人で燃え盛る街の方へと走っていった。
「あの馬鹿!あれでは死にに行くようなものだ!」
「…私も行きます」
「ルルーナ…お前まで…」
「フィーリア・グレンハルト中佐、リーリヤを守れるのは私だけです、行かせて下さい、必ずリーリヤを連れ戻します」
「…出来るのか、お前に」
「やってみせます」
「…分かった、お前を信じよう、だが無理をするな、駄目だと思ったらすぐに引け、例えお前のパートナーを失ってでもだ、それでも行くか?」
「………!」
残酷な命令、しかしそれは最低限隊員を生かすための当たり前の命令だった。
「…分かり…ました…」
「よし、頼んだぞ、我々もすぐに合流する」
………………………………………………
「絶対…!絶対!私達の街は破壊させません!」
リーリヤは音のような速度で森を抜け街へと入っていった。
「……これは!」
家や商店は既に炎に包まれ赤く染まっていた、その奥では反乱軍の軍団が砲弾を発射している。
「よくも……よくもおおおおお!」
リーリヤは槍を構え敵軍に向かって突撃する
「貫け!ヴィヒター・リッタ!」
リーリヤの槍は敵軍に凄まじい衝撃を与え一撃で吹き飛ばした。
「はぁ…はぁ…これで……っ?!」
絶望に近い心情に落とされた彼女の目の前にいたのは何千もの敵軍の姿だった、そこから次々に増援部隊が押し寄せてくる。
「…させません!私一人でも…ここは譲るわけにはいかないんです!」
…………………………………………………
「……リーリヤ、待ってて、今行くから!」
ルルーナは燃える森の中を疾走していた。
「このまま行けばすぐに……っ!」
ルルーナの目の前に立ちはだかったのへ反乱軍の先攻部隊だった、既にここまで攻めてきていたのだ。
「敵軍発見!撃てーーー!」
ルルーナめがけて何百もの弾丸が降り注ぐ。
「全く…こんな時に、邪魔しないでー!」
ルルーナは盾を出し弾丸を全てはじき返した。
「なんだあいつは…銃が効かぬなら…バズーカ砲!」
今度はルルーナめがけて特大の砲弾が発射される。
「くっ………!」
「止めるな!撃ち続けろ!」
容赦なく砲弾がルルーナに撃ち込まれる、それは確実に彼女の防御を蝕んでいった。
「うぅ…っ!た、盾が…」
絶対の守りを誇るルルーナの盾も特大級の攻撃により見るも無残な姿になっていく。
「…もう、許さないよ、本気でいくからね」
ルルーナはもう一つの盾を腕に装備し天高く飛び上がった。
「ツイン・シールドバッシューーー!」
「な、なんだ!ぐわああああ!」
ルルーナの盾はとんでもない衝撃波を発して敵軍を空高く吹き飛ばした。
「や、やっと倒せた…、リーリヤいないとさすがにきついよー」
「だけど盾が…」
先程の攻撃に加えシールドバッシュによりさらに負荷がかかり盾は穴だらけになってしまった。
「これじゃもう長くは持たないねー…早く合流しないと…」
その時、燃えてもろくなった大木がルルーナめがけて倒れてきた。
「えっ……」
………………………………………………
「うぅ……何とか避けられたけど…痛っ!」
ルルーナは倒れてきた大木を寸前でかわしたが足を挟まれ怪我をしてしまった。
足には太い枝が突き刺さり大量の血が流れ出している。
「助けに来たのにこの有様か…やっぱり私は…」
「いや、今はリーリヤを助けることだけに集中しないと…!」
何とか立ち上がり足を引きずりながら市街地を目指す、そこに別の方向から破壊音が響いた。
「あの音と光は…リーリヤ!街じゃなくて森から聞こえるって事は…相当押されてる…」
「早く…早く行かないと…」
「もう…大切な人を…失いたくない…!!」
彼女は痛みをこらえて再び走り出した、
既に自身の限界は超えていたが、もはやそんな事は関係無かった。