【Green's Contradiction】 作:インプレッサWRX STI
「…考えがある」
「本当ですか?!早速それを…」
「だけど…」
僕は口をつぐんだ。
その発想が僕にとっての最大のトラウマでもあったからだ。
「どうしたんです?早く言ってください!もう一刻も猶予はありませんよ!」
周りからはどんどん火が迫ってきている、僕は恐る恐る口を開いた。
「…リンクしよう」
ル&リ「リンク?!」
「…二人の武器がエクシードなら、その力を増幅させるリンクをすれば武器を直せるかもしれない…」
「やったことはあるんですか?」
「緑の世界の娘とは一回も…リンク自体も…久しぶり…」
「だ、大丈夫なんですか?」
「た、多分……」
自信が無くなってきた。
その時、僕の手をルルーナが握ってくれた。
「ウィッチ君なら出来るよー、私でも守れなかったものを守ったんだから…私はウィッチ君を信じるよ?」
「ルルーナ…」
そっぽを向きながらリーリヤも僕の手を取る。
「…ルルーナがそう言うなら私もウィッチさんを信じましょう、どっちにしろそれしか方法はありませんし」
「リーリヤ…」
「じゃあ…二人ともいくよ…」
『エクシード・リンク!』
ウィッチの体から出た白い光が二人の体に伝わり共鳴する。
(これが…繋がってる感覚…)
(なんですかこれは?!体の内側から力が湧いてくる…!)
「リーリヤ見て!私達の武装が…!」
リーリヤのヴィヒター・リッタはそれまでよりも長く、鋭く、ルルーナのシュッツ・リッタはさらに大きく、分厚く変形した。
「すごい…これがアルドラの力…」
「直るどころじゃないです…!さらに強化することに成功しました!」
「すごい…本当に成功した…」
「いや、ウィッチ君が驚いてどうするのさー」
効果は予測以上、二人の武器はさらに強化され、輝かしいオーラを放っている。
「とりあえずここを脱出しましょう、私が退路を切り開きます!ルルーナはウィッチさんの安全確保を!」
「りょーかい、いくよウィッチ君!」
「う、うん!」
リーリヤは燃える木々に向かって槍を構える。
「突撃します!リーガル・ヴィスタ!」
槍は紅く輝き目の前の炎を粉砕した、リーリヤが突き進んだ跡には真っ直ぐに道が出来ている。
「さあ走ってー!」
リーリヤが作った道を一目散に走り抜ける、しかし横から火の粉が雨のように降ってきた。
「うわっ!」
「させないよー!」
ルルーナが落ちてくる枝や火の粉まで全てをガードする、まさに蟻の子一匹通さない完璧な守りだ。
「もうすぐ…抜ける!」
炎を掻い潜りようやく森を抜け荒野に戻ることが出来た。
「一時はどうなる事かと思ったけど…ここまで来れば安心だね」
僕はほっと一息つき岩に腰掛けた。
「……ウィッチさん、本当にありがとうございました、貴方がいなければ今頃私は森の中で死んでいました、この命、決して無駄にはしません」
「そ、そんなに改まらなくていいよ」
「ううん、私からもお礼を言わせて、本当にありがとねー」
「あ、あははは…」
また下手な照れ隠しをしていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ルルーナ、リーリヤ、ウィッチ、無事だったか!」
「フィーリア・グレンハルト中佐!」
隊員を引き連れたフィーリアがようやく到着した。
「リーリヤ…この馬鹿者!上官の命令を無視するとは何事だ!」
フィーリアは物凄い剣幕でリーリヤを怒鳴りつけた。
「うっ…申し訳ありませんフィーリア・グレンハルト中佐…」
「…この始末については後で考える、今はこの状況を何とかせねばならない」
相変わらず統合軍は劣勢、奇襲攻撃のせいで内部の情報も十分に伝わっていない。
「敵の奇襲部隊はお前達のおかげで無力化する事に成功した、しかしまだ本部隊が控えている、どうしたものか…」
「あそこ…」
「ん?どうしたウィッチ」
「い、いや…数で劣っていても敵の本陣だけ崩せればそれなりに優勢になるんじゃないかって…」
「それが出来れば苦労はしない、作戦を進言するならもう少し考えてからにしろ」
「す…すいません…」
当然ながらあっさり却下された、口を出したのがまず間違いだった。
「いや…いい作戦かも知れません」
僕の後からリーリヤが進言する。
「何?言ってみろリーリヤ」
「見る限り敵軍は北側の元ダラク要塞に本陣を構えています、あそこを直接叩けば確実に敵軍を混乱させられるでしょう」
「馬鹿を言え、あの要塞に着くまでに何人敵軍が守っていると思ってるんだ、死にに行くようなものだ」
「いえ…私が、私が敵軍を突破します」
「…出来るのか?お前が」
ぴくっとリーリヤの眉が動く。
「…恐らく以前の私の力ではとても無理でしょう、しかし今は素晴らしいパートナーが二人もいます」
「不本意ではありますが私は一人では生きていけません、ですが、ルルーナと…ウィッチがいればどんなに不利な状況でも勝てる、私は勝手ながらそう思っています」
「リーリヤ…」
「……よし、分かった」
フィーリアは小隊に号令をかけた。
「只今から敵本陣突入作戦を行う!先陣はリーリヤ・ザクシード、ルルーナ・ゼンディア、ウィッチの三名に私が同行する」
「中佐!」
「なに、部下を守るのも上官の仕事さ」
「それ以外の者は二手に別れ邪魔してくる敵を片っ端から吹っ飛ばせ!行くぞ!」
『おおおおおおおお!』
現場の士気が一気に上がる
「さあー、大変な事になっちゃったねウィッチ君」
「もう後戻りは出来ませんよ?」
「今更後戻りする気なんかないさ…サポートは任せて」
「…なんかさー、ウィッチ君変わった?」
「え?そう?」
「はい、口調や表情が…なんというか凛々しくなりました」
「あはは、気のせいだよ」
ル&リ(絶対変わった…)
「それでは全員配置につけ、日の出までに片を付ける!」
「頼んだよーリーリヤ、リーリヤにかかってるんだからねー?」
「それはこちらのセリフですルルーナ、背中は任せましたよ」
「僕も忘れないでよ…!」
『エクシード・リンク!』
『突撃します!!!』
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「うーーーん、いい天気だなぁ」
空に向かって思いっきり手を伸ばす、
吹いてくる風が心地いい。
「やっほーウィッチ君、ここにいたんだー」
「あ、ルルーナ、あれ?リーリヤは?」
「この前の命令違反の罰として校舎中の掃除させられてるよー」
「あはは、リーリヤらしいね」
丘の中腹に腰掛ける二人、目の前には先日戦火に包まれた街の無残な姿が見えていた。
「…ボロボロになっちゃったね」
「うん…でもリーリヤが止めに行かなかったらこんなんじゃ済まなかったよー、それに他の世界に依頼して復興を手伝ってもらうみたいだし、すぐに直せそうだよ」
「そうなんだ…良かった…」
「…………………」
「あ、あのね、ウィッチ君」
「どうしたの?」
「あの時…正直私、あそこで死んじゃうんだーって思ってたんだ、だけどそんな時にウィッチ君が来てくれて…本当に嬉しかったんだよ?」
「ルルーナ…」
「もっと言うとウィッチ君があんなに頼もしく見えたのはあれが初めてだったかな♪」
「あはは…」
「だけど…」
ルルーナはすっと立ち上がり僕の方を振り向いた。
「凄くかっこ良かったよ、ウィッチ君♪」
ルルーナは満面の笑みを僕に振りまいた、彼女の髪からは彼女と僕が出会ったあの時と同じく、青いリボンが風に揺れていた。
「そろそろ私も行かないと、じゃあ…」
「ま、待って!」
「うん?どうしたの?」
「まだ…あの時の答えを聞いてなかった…」
「あ…………」
彼女の眉がピクっと動いた、頬もほんのり紅くなる。
「ルルーナ、僕は君と出会った時から頼りっぱなしだった、いつもいつも面倒見てもらってばっかりだった、だけど…」
「だけど…これからは僕が君を守りたい!」
「……っ」
「僕は情けなくて、守られてばかりで、頼りない…だ、だけど!」
「いつか…いつか必ず君の役に立てるようなアルドラになってみせるから!」
少しの静寂が過ぎた後で、ルルーナはゆっくりと口を開けた。
「もう…ずるいよウィッチ君、そんな事……君から言われたら断れないってー…」
「本当に…本当に…こんな…私でも良かったら…」
半分泣きそうな笑顔で彼女は答えた
「私……君のプログレスに…なりたい!」
「や、やったーー!」
僕は歓喜のあまり飛び上がった。
「ちょー…喜び過ぎだって…あはは…♪」
「ちょっと!二人だけで何してるんですか!」
後ろからリーリヤが飛び出してきた
「あ、リーリヤ!掃除は?」
「そんなものすぐに終わらせてきました!それよりなんですか今のは!ちゃんと説明してください!」
「え、えーっと…告白、かな?」
「……っ!そういう事じゃないでしょう!ウィッチさんにルルーナは渡しませんからね!」
「なんでリーリヤが決めるんだよー!」
「当たり前です!私は既にあなたのパートナーなんですから!」
「ふふっ♪リーリヤらしいねー」
まだこの世界に平和が訪れた訳ではない、しかし、グリューネシルトの空の下では、三人の笑い声がどこまでも響いていた。