【Green's Contradiction】 作:インプレッサWRX STI
グレンハルト中佐に案内され校内を見学する
「ここが射撃場だ、エクシードによる武器の種類に関係なく必ずここで訓練を受ける、やってみるか?」
「え、でも銃の使い方なんて…」
「私が見ている、安心しろ」
恐る恐る銃を手に取る。
「お、重い……!」
(本当にこんな重いものを女の子が使っているのか?!10kg以上はあるぞ…)
「どうした情けない、男ならこれくらい簡単に扱えなくてどうする」
(そんな事言ったって…)
「まあ良い、次の施設を案内しよう」
訓練校にはジム、プール、運動場、宿舎、武道館、グラウンド、図書館、ミーティングルーム、さらには温泉まで完備されていた、もはや健康ランドも顔負けの充実した施設だ。
「ふぅ…とまあ主要な施設はこんなものだ、あと質問など無ければ今日は終了だ、明日からは他のαドライバー達と一緒に訓練に参加してもらう、遅刻は厳禁だ、遅れた場合グラウンド100周のペナルティがあるから気を付けろ」
「は、はい!ありがとうございました!」
「あ、それと…」
中佐はゆっくりこちらに振り向き。
「もうあんな無謀な真似はするな、一つ間違えば死んでしまうところだったんだからな」
「え?」
そう言い残し中佐は行ってしまった。
「もしかして…あの時の…」
………………………………………
「さてと…これからどうしようかな、まだ帰るには早いし…」
時刻は1時過ぎ、空には黄色い太陽が輝いている。
「ちょっとあっちの建物が多いところを散歩してみようかな、でもまた迷子は勘弁だしなぁ…」
行くか行くまいか悩んでいると。
「あ!ウィッチさん発見です!」
突然後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「え?リーリヤさん?まだ授業中なんじゃ…」
「今日は午後から自習だったので課題を5分で終わらせて抜け出してきました!ルルーナも早めに終わったのですが教官に仕事を頼まれてしまってまして…つまるところ暇になってしまいました!」
(い、良いのかそれで…)
「そ、そうだ、これからちょっと街に行きたいなーって考えてるんだけどどこに何があるか分からないんだ、だからもし良ければ案内してもらえない…かな…」
彼女の言動の影響か自分でも驚くほど大胆な発言をしていた。
(しまった…さすがにいきなり過ぎたか…?)
リーリヤはちょっと驚いた表情をしたが、すぐにニヤリと笑い
「ええ、お任せ下さい!私が今日中にグリューネシルトを隅から隅までご案内致しましょう!そうと決まれば早速お出かけですスタートです出発しましょう!」
リーリヤは腕をガッと掴み
「さあ!最速で回りましょう!」
「え、ちょっと…あーーーーー…………」
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「ゆっくり行って欲しいなら先に言って下されば良かったのに」
「い……言う暇………くれなかった……じゃないか……ハァハァ…」
疲れてる僕のことなど気にも留めず彼女は歩きながら説明を始める。
「それでは街を散策しましょう!まず右手に見えるこの靴屋さん!この靴屋さんは伝統的な靴から最近の流行にまで合わせた幅広い品ぞろえが人気です!左手に見える服屋さんは男性向け女性向け子供向けお年寄り向け全ての年齢層に対応してお客さんからのニーズにちゃんと応えてくれるのが魅力的なお店です!前方に見えるレストランは使ってる食材はそこそこ良いのにシェフの腕がイマイチでどの料理も何かねっとりしてるんですよねあとそっちの方にある噴水は待ち合わせスポットとしてとても有名でお昼や夕方には沢山の人が…」
「ちょ、ちょっとストップストップ!」
あまりの説明の長さに思わず止めに入ってしまった。
「どうしたのですか?まだまだ案内したいところは山ほどあるんですから次々いきませんと!」
「いくら紹介してもらってもそんなに覚えきれないよ、あと他にもリーリヤに聞きたいこと沢山あるからゆっくり行こうよ、ね?」
「…わかりました、あなたのペースに合わせましょう」
やっと彼女を止められたところで改めて街を散策する。
しかし…こうして見てみると建物は頑丈そうで綺麗なのだが質感が重くて冷たい印象だ。何というか…活気も訓練校付近と比べて無いように見える。
「何か…ちょっと静かだね」
「ここら辺はいわゆるスラムになりかけてる場所ですからね、統合軍が監視しているので犯罪は少ないですが人々の生活は大変です、世界水晶の力が弱くなる前はこんな感じでは無かったのですが…」
「世界水晶…」
世界水晶とは各世界に一つだけ存在する巨大な水晶の事、この水晶の力のおかげで世界が保たれていると言われている。
「以前、グリューネシルトは緑に溢れた世界でした、しかし、世界水晶の力が弱くなって緑の世界に異変が起こり始めたんです。降水量が著しく減り、気温も上がって水不足に、さらには異常気象や作物の生育不良で食料不足まで起こってしまいました」
「そのせいで内乱も多発しています、現在統合軍は反乱軍鎮圧のための作戦を実行中ですが反乱軍の勢力が想定よりも高く苦戦しています、早くこの状況を打破しないと益々国民に負担をかけてしまうでしょう…」
説明しているリーリヤの様子はあの元気はつらつな時とは違い、どことなく寂しく見えた。
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「大体の案内は終わりました、後はこちらの道を歩いていけば帰れますよ」
日も沈みかけた頃、彼女と一緒に元いた場所に帰ってきた。
「あ、ありがとう、今日はリーリヤのおかげで色んなものが見れて勉強になったよ」
「お力になれたのならなによりです!次はルルーナも誘ってお散歩に行きましょう!それでは!」
そう言うと彼女はまた風のように去っていった。
「さて、僕も帰るか…」
(緑の世界、グリューネシルト…生半可な気持ちで来ちゃったけど大分大変な世界なんだな…)
不安を胸に帰り道を歩く彼の心には、何とも言えないもどかしい気分が残っていた。