「ゾロメ!次の仕事だ!」
おやっさんに呼ばれたゾロメは自分の部屋から顔を出す
「お!おかえり!内容は?」
おやっさんは机に地図を広げる
「一週間後に近くの街から武器を積んだ荷馬車が帝都に来る...違法な取引が行われるらしい...」
「それの強奪?」
ファクトリーからルーが顔を出していった
「そのとおり...だが今回はやばいぞ」
おやっさんの顔が少し曇る
「どうやら相手は腕利きの剣士を雇ったらしい...それも一級危険種を一人で狩るほどの実力者をだ...」
「一級危険種を一人で狩る!?」
ルーが素っ頓狂な声を上げる
「剣士でしょ?問題ない...銃で対応するよ」
ゾロメはそう言ってルーの方を見る
「道具の準備をお願い」
〜一週間後,森林地帯〜
「さぁて...」
ゾロメは袋から長距離狙撃用の麻酔銃を取り出す
「街道との距離はおよそ100mか...」
街道横の森林
そのうちの一本の木に登っていたゾロメはそう言ってスコープのズームを合わせる
息を殺して待っていると鳥がバサバサと飛び立つ音が聞こえる
それと同時に木製の車輪が地面を転がる音も聞こえる
「来ましたか...」
引き金に指をかけスコープをのぞき込んだ
ヒヒーン!
馬の鳴き声とともにスコープに茶色いものが入ってくる
それを視認したゾロメは迷わず引き金を引いた
プシュッと音がして荷馬車を引っ張っていた馬が倒れる音が聞こえる
その音通りの出来事が起こっていることを確認しゾロメは再びスコープをのぞき込む
プシュッとまた小さく音がして今度は御者が倒れる
ゾロメはそれを確認してしばらくまた息をひそめる
荷馬車に動きはない
「おかしいな...助っ人がいるはずなのに...」
乗っていたのは御者だけなのか誰も出てこない
ゾロメは銃をしまって駆け出す
荷馬車に駆け寄りまず御者の様子を伺う
眠っているのを確認して荷馬車の後ろへ回る
「さて...お目当てのものを...」
中へ入ろうとした時
「おい!!」
突然中から剣が出てくる
「ちょ!」
ゾロメは間一髪でそれを避け後ろに下がる
中からまだゾロメと同じくらいの少年が剣を構えて出てきた
「お前...よくも...」
「君が雇われた剣士?まだ子供じゃん...」
「ああ?お前が言うか?」
明らかに自分の身長に対して向けられたその言葉にゾロメは怒りを覚える
「それは......侮辱と受け取っていいのかな!」
袋に手を突っ込みハンドガンを取り出した
発砲音が森に響く
同時に金属音
そして...
敵は一切傷を負ってなかった
「弾いた...?流石ってとこかな...」
袋からもう一丁ハンドガンを取り出す
こちらの方が少し大型の口径だ
「おい!何でこんなことをするんだ!」
敵が言った
「この人はただの真面目な優しい商人だぞ!今日だって販売のついでに孫に会いに行くって言ってたのに...なのにどうして...どうして殺したりなんか...!?」
弾の装填を確認してゾロメは言う
「答える必要...ないね」
発砲音が一発
そしてまた金属音...
しかし
今回は敵が倒れた
「何か勘違いしてるようだけど...彼はただ眠ってるだけだよ?」
もう既に寝息を立てている少年に向かってゾロメは言った
「それにしてもすごかったな...」
アジトへの帰り道ゾロメはつぶやく
「発射の後、弾に衝撃が加わった時破裂して中の睡眠薬が飛び散る...か」
あんまり使い道のなさそうな銃ではあるが...
「今回は当たりだったな...」
ゾロメは路地を駆け抜けた